○国務大臣(齋藤健君) 重徳議員の御質問にお答えします。
日本のエネルギーの現状や固有事情、国益を守るための戦略についてお尋ねがありました。
我が国は、すぐに使える資源に乏しく、山と深い海に囲まれ、再エネ適地が限られるという地理的要因もあり、エネルギー自給率が約一三%と世界的にも低い水準にあります。
したがって、エネルギーの安定供給は、我が国の全ての社会経済活動を支える不可欠なものであります。国際競争力の維持強化と国民生活の向上の観点から、SプラススリーEの原則の下、安定的で安価なエネルギー供給を確保することが、まさに国益そのものであると理解しております。
とりわけ、将来が期待される水素や再エネは、産業競争力強化にも資する分野であり、我が国が劣後することは許されません。水素製造や輸送技術、ペロブスカイト太陽電池や浮体式洋上風力などについて、技術開発から社会実装、サプライチェーン構築まで、切れ目なく支援を行います。
このような取組を通じて、安定供給、経済成長、脱炭素の同時実現に全力で取り組んでまいります。
脱炭素に向けたルール作りについて、EUの取組状況や国際的な政府間のルール作りについてお尋ねがありました。
EUは、EU域外からの鉄やアルミなど六つの分野の対象製品を輸入する際に、製造過程における炭素排出量に応じて課金するEU・CBAMという仕組みを導入することとしており、昨年十月より移行期間が始まっています。
ネットゼロの実現に向けては、各国がそれぞれの戦略に基づき、独自の取組を模索している状況であると承知しています。今後、国、地域を超えた国際的なルール作りを進めていかなければならない状況であると認識しています。
このような中で、我が国としても、GXの推進を日本企業の競争力強化につなげていく観点から、国際的なルール形成及び環境づくりに積極的に取り組んでいかねばなりません。
こうした観点から、アジア・ゼロエミッション共同体における二国間クレジット制度の利活用を含む協力の促進や、IEAやOECD等の国際機関と連携し、グリーンスチールなどの国際評価手法の確立に向けた議論を進めてまいります。
エネルギーの脱炭素化による我が国の産業立地の優位性確保への影響についてお尋ねがありました。
世界各国でGX実現に向けた投資競争が熾烈化し、国内外でサプライチェーン全体で排出削減を目指す企業が増加する中、エネルギーの脱炭素化の推進は、我が国に立地する企業の競争力に大きく影響すると考えており、産業立地の優位性を確保するためにも重要な課題であります。
一方で、我が国は、周囲を海で囲まれ、安価に、かつ安定的に使えるエネルギー資源が乏しい現状を踏まえますと、エネルギー需給構造両面での改革が必要です。まずは、これまで取り組んできた徹底した省エネに加え、再エネ、原子力など脱炭素効果の高い電源の最大限活用など、エネルギーの脱炭素化に向け、あらゆる手段を講じていきます。
こうした取組に加え、GX経済移行債を活用した投資促進策やカーボンプライシング、本法律案などの規制、制度的措置を組み合わせ、我が国のGX投資を加速させ、サプライチェーン全体をGX型に構造転換することで、産業立地の優位性を高めてまいります。
水素社会への移行によるエネルギー自給率の向上についてお尋ねがありました。
国内の再エネ等から製造された水素を活用する場合、大宗を輸入に依存する化石燃料の使用を減少させることができます。このため、エネルギー自給率向上の観点からは、国内における再エネの利用促進と水素等の製造、供給体制の構築に取り組むことが重要であります。
こうした観点から、水素社会推進法案における支援措置においては、十分な価格低減が見込まれ、将来的に競争力を有する見込みのある国内事業をまずは最大限支援していきます。
しかしながら、少なくとも当面の間は、国内製造だけでは産業で必要とする水素需要を賄えない見込みが高い状況です。また、世界では既に、安価で低炭素水素等の製造が可能な適地の確保など、権益獲得競争が始まっている状況にあります。
このため、国内よりも相対的に安価かつ大量に製造が可能な輸入についても、SプラススリーEを前提に、GXの実現に資するものに限定して支援していくことが必要と考えています。
再エネ推進についてお尋ねがありました。
再エネについては、地域との共生を前提に、目標である二〇三〇年度電源構成比の三六から三八%の実現に向けて、最大限導入していくことが政府の基本方針であります。
特に、洋上風力発電は、二〇三〇年に十ギガワット、二〇四〇年に三十から四十五ギガワットの案件形成目標に向け、再エネ海域利用法に基づく着実な案件形成に向け、取り組んでまいります。加えて、排他的経済水域においても、必要な手続等の整備に取り組んでまいります。
排他的経済水域において主流となる浮体式洋上風力発電については、コスト低減と大量生産に係る技術確立が課題です。グリーンイノベーション基金を活用し、社会実装に向けた要素技術開発に取り組むとともに、今年度からは、具体的な海域を利用した大規模実証事業を進めています。
また、地熱発電については、現在の地熱発電の電源構成比率を二〇三〇年度には約三倍に引き上げるとの目標を掲げており、開発リスクやコストの低減、地元理解の獲得といった課題に対応するため、国立公園等の有望地点の資源量調査、事業者が実施する初期調査等への支援や地元に対する理解促進活動への支援を実施しています。
引き続き、関係省庁とも連携し、国民負担の適正化と地域との共生を図りつつ、再エネの最大限の導入に全力で取り組んでいきます。
アンモニア発電のカーボンニュートラルへの貢献と経済的メリットの両立及びコスト低減の見通しについてお尋ねがありました。
海外市場のうち、特にアジアでは、石炭火力への依存度が高い国が存在し、今後も石炭火力の新設も続く中、伸び行く需要を賄いつつも、脱炭素と両立する現実的な手段が求められていると認識しています。現に、様々な政府間対話の場において、カーボンニュートラルに向けたエネルギー移行に関する日本の協力についての期待が示されているところです。
こうした中、我が国はアンモニア発電について高い技術を有しており、海外でも日本の技術を活用したアンモニア発電が商用で導入されるなど、ビジネスにつながる形での展開も始まりつつあります。我が国の強みとなる技術を通じて、アジア大での脱炭素化を積極的に進めてまいります。
お尋ねのアンモニアのコスト低減に向けては、水素基本戦略におきまして、二〇三〇年に水素換算で一立米当たり十円台後半、一キログラム当たり二百円程度の目標を掲げております。
この実現に向け、グリーンイノベーション基金を通じた技術開発や、水素社会推進法案での価格差に着目した支援を通じて、コスト低減を目指してまいります。
自動車のライフサイクル各段階における脱炭素化の現状についてお尋ねがありました。
まず、政府としては、二〇五〇年に自動車のライフサイクル全体でのCO2ゼロを目指すこととしています。
その実現に向け、製造段階については、国内のエネルギー供給の脱炭素化を促進していくと同時に、御指摘の製鉄や部品製造を含め、関連するサプライチェーン全体で、徹底した省エネルギーや、電化や非化石エネルギーの活用が進んでおります。具体的には、自動車製造業の脱炭素化は、昨年度は二〇一三年度比で三一%削減まで進んだものと承知しています。
使用段階については、燃費の向上、電動車の普及、合成燃料の研究開発などを同時に進めており、二〇二三年は、ハイブリッドを含めた電動車の新車販売が全体の約五〇%となっています。
廃棄段階については、リユース、リサイクルの高度化が鍵であり、蓄電池のリサイクル技術開発などの取組を進めています。
今後の国際的な脱炭素化の潮流の中で、自動車においても、車の電動化など、使用段階のみならず、ライフサイクル全体での脱炭素化が評価されていくものと考えています。各段階でのCO2の削減は今後の国際競争力に直結するとの認識の下、引き続き取組を進めてまいります。
カーボンニュートラルに向けた各国・地域の自動車産業政策に対する評価と国際交渉における我が国のイニシアチブについてお尋ねがありました。
EU、米国、中国等の諸外国では、カーボンニュートラルの実現に向けてEVの導入を促進していくことが大きな政策の方向性であると認識しています。他方で、例えば、英国ではガソリン車の販売禁止時期が延期をされたり、EUでは、EVとFCVに加え、合成燃料のみで走行する車両の登録を二〇三五年以降も認めるなど、現実に直面する中で様々な動きがあると承知しています。
その中で、我が国としては、二〇三五年までに乗用車新車販売でハイブリッド車も含めた電動車一〇〇%という目標を掲げ、水素や合成燃料も含む多様な選択肢の追求を基本的立場としてきました。これまでも、昨年のG7広島サミットやAZECなど様々な場でその重要性を主張し、関連する共同声明に盛り込まれたところです。引き続き、自動車分野のカーボンニュートラル実現に向けて、多様な選択肢を日本が主導して国際社会に発信してまいります。
e―フュエルの開発状況やその特性、実用化の見通しについてお尋ねがありました。
合成燃料、e―フュエルは、水素と、発電所や工場等から回収した二酸化炭素を活用して製造される、カーボンニュートラルに資する燃料であります。既存の内燃機関や燃料インフラが活用できること、化石燃料と同等の高いエネルギー密度を有することがメリットであり、二〇三〇年代前半までの商用化を目標に掲げています。
この目標を達成するため、グリーンイノベーション基金により、e―フュエルの大規模かつ高効率な製造プロセスの開発に約五百五十億円を支援するとともに、NEDOを通じて、大学や石油元売等が参加する、コストの低減を目指した次世代型のe―フュエル製造技術の開発を行っています。また、自国生産のみならず、日本企業の海外プロジェクトへの参画を後押しすることを通じて、早期のノウハウの獲得を促していきます。
引き続き、合成燃料の早期商用化に向けて、しっかりと取り組んでまいります。
FCVと水素ステーションの国内普及と海外市場への展開についてお尋ねがありました。
FCVの普及に向けては、車両や水素の燃料価格が高いことや、水素ステーションの自立化に向けては、水素需要の拡大や水素ステーションの運営費の低減といった課題があります。
FCVは、EVと比べ航続距離が長く、充填時間が短いという特性を踏まえ、商用車に重点を置いて導入を進めていくこととしています。具体的には、トラックやバス等のFCVを導入する企業等への補助、商用車など大規模かつ安定的に水素需要が見込むことができる地域への水素ステーションの戦略的な整備など、意欲ある地方自治体と連携しながら、総合的に取り組んでまいります。また、水素ステーションの事業性についても、継続して検証を行っていきます。
海外展開に向けては、欧州や中国等も商用車へのFCV導入に取り組んでいる中で、その基幹部素材である燃料電池について、国内外の市場を一体で捉えて、開発、普及を進める必要があります。国内における燃料電池や部素材の製造能力の強化を支援するとともに、水電解装置等の様々な用途での活用を進めていくことで、国内外の需要獲得を目指してまいります。
水素社会推進法案における低炭素水素等のCO2排出量の基準についてお尋ねがありました。
低炭素水素等のCO2排出量の基準については、現在、海外の制度も参考に、例えば、水素一キログラムの製造に係るCO2排出量が三・四キログラム以下のものを対象とすることを審議会において議論しており、具体的な内容については、今後、省令において定めることとしています。
また、水素については、輸送時のCO2排出量について、現段階では、その測定方法についての国際的な議論が収れんしていません。このため、我が国では、現時点で、輸送時のCO2排出量を含めることを想定はしておりません。
今後も、各燃料における国際的な議論の動向も注視しながら、引き続き検討を進めていきたいと考えています。
価格差に着目した支援や拠点整備支援の内容についてお尋ねがありました。
価格差に着目した支援では、低炭素水素等の供給事業者に対し、低炭素水素等によって代替される原料、燃料との価格差を十五年間支援してまいります。
これにより、低炭素水素等の利用者となる企業、自治体等が、経済合理的な価格で低炭素水素等を調達することができるよう支援してまいります。
また、拠点整備支援では、水素等の大規模利用に資する共用設備を支援することで、コンビナートなどでの大規模な水素利用を推進していきます。
実際にどのようなプロジェクトが本制度の支援対象として選定されるか、現時点で見込むことは困難でありますが、本制度のみならず、GI基金等の研究開発や、規制、制度的措置も通じた取組を組み合わせることにより、需給両面に働きかけ、二〇三〇年に最大年間三百万トン、二〇五〇年には年間二千万トン程度の水素の導入を目指しています。
愛知県におかれても、地域と企業が一体になって精力的に検討が進められていると伺っており、我が国のGX実現に資するプロジェクトとなることを期待しております。
CCSに関する国民の理解やCCSの適地、事業者選定などについてお尋ねがありました。
まず、CCS事業は、国民の皆様の御理解を得つつ進めることが重要です。国が主導して地域ごとに説明会を行い、御指摘の事故リスクやCO2の回収率を含め、CCSの政策的意義や負担、安全性などを丁寧に説明してまいります。
苫小牧においてCCS実証を担う日本CCS調査株式会社によれば、我が国には約百六十億トンのCO2の貯留可能量があると推定されています。国も、データの蓄積を継続し、適地調査を計画的に推進します。
また、事業者選定に当たり、CCS事業法案では、鉱業法も参考に、都道府県知事と協議を行った上で、利害関係者からの意見を踏まえて許可を行うこととしており、苫小牧市における事例も踏まえて、地元への説明に対応してまいります。
CCS事業における環境影響については、鉱業法も参考に、貯留事業実施計画を認可制とした上で、貯留事業者にCO2の漏えい防止措置を講じさせるとともに、モニタリング義務を課しており、周辺環境に影響を及ぼさないよう取り組んでまいります。
我が国のCCS技術への海外からの評価や、その導入に伴う我が国の経済的メリットなどについてお尋ねがありました。
我が国は、CCS技術の開発を二十年以上行っており、CO2の分離回収、輸送、貯留のプロセス全体についての技術を保有しています。
こうした我が国の技術については、その経済性も含め、海外で評価されており、マレーシア、タイ等のアジア大洋州の国々が、日本の政府機関や企業と協力覚書を締結しています。
また、二〇二一年に、経済産業省とERIAが主導し、東南アジア諸国と日米豪印の十四か国をメンバーとして、アジア全域でのCCUS活用に向けた知見の共有や事業環境整備を目的とするアジアCCUSネットワークを立ち上げました。
こうした取組を通じ、各国のCCSプロジェクトへ我が国企業の参入が進展することで、CCS技術を必要とする国々だけではなく、これらの国々への技術の海外展開等を通じて、我が国経済にとってもメリットがあると考えております。(拍手)
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齋藤健 の他の発言
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○齋藤座長 これより委員からの質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤原崇君。…
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○齋藤座長 次に、庄子賢一君。…
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○齋藤座長 ありがとうございました。
以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。
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○齋藤座長 ありがとうございました。
次に、高橋富一君にお願いいたします。…
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○齋藤座長 ありがとうございました。
次に、鈴木厚人君にお願いいたします。…
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次に、米谷春夫君にお願いいたします。…
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申合せの時間を大分超過しておりますので、おまとめいただければありがたく存じます。…
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○齋藤座長 これより会議を開きます。
私は、衆議院予算委員会派遣委員団団長の齋藤健でございます。
私が会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
…
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