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米山隆一 ·立憲民主党・無所属

衆議院本会議(2024-03-14)での発言

第213回国会 ·第第11号号 ·5,248字
○米山隆一君 立憲民主党・無所属会派を代表して質問いたします。(拍手)  まずもって、能登半島地震でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、現在被災されている方々が一日も早く日常生活を取り戻されることを心よりお祈りいたします。  さて、自民党は、三月二日の与野党の国対間で衆議院政治倫理審査会を開催することで合意し、下村博文議員についてはようやく来週月曜日に政倫審が開かれることとなりましたが、本日の参議院政倫審における世耕参議院議員の発言でも裏金の真相は語られず、下村議員の政倫審では、キックバックが始まった経緯、若しくは再開した経緯を含め、真実を率直に語られるよう強く求めます。  一方で、裏金衆議院議員五十一人中四十五人の議員からは、いまだ申出がありません。下村議員以外にも、自民党議員四人程度は出席の意向を示していたはずです。自民党国対が申出を妨げないとの約束を破り邪魔をしているのか、それとも本人が申し出たくないのか、どちらかはっきりしてください。岸田総理の言う、志のある議員の政倫審への申出と、裏金問題の徹底的な真相解明を強く求めて、質問に入ります。  それでは、ただいま趣旨説明がなされました民法等の一部を改正する法律案について、御質問いたします。  この法律案は、今まで離婚時においては母親、父親の一方が単独で親権を行使する単独親権制度であったものに対し、父母双方が共同して親権を行使する、いわゆる共同親権を導入するところに大きな特徴があります。  率直に言って、我が党には、この共同親権に賛成の議員も反対の議員もおりますし、他の政党でも賛否それぞれの意見があると報道されております。当たり前ですが、全ての人間は、親から生まれ、子供から大人になります。親子関係の規律に大きな変化をもたらすこの法律は、多くの国民の生活に直接影響を与え、社会に大きな変化をもたらし得ます。全ての法案審議はそうあるべきですが、本法案の審議は、特に、様々な国民の要望に丁寧に耳を傾け、多くの専門家の意見を参考にし、立法事実を詳細に確認して制度趣旨を確かめ、法案が成立した場合に意図した制度趣旨が実現できるかを十分に検討し、熟議を重ね、議論が熟さなければ、決してその成立を急ぐべきものではありません。参考人招致なども含め、委員会における丁寧な審議の徹底を求めるとともに、小泉法務大臣には、是非、真摯な御答弁をお願いいたします。  まず、様々な意見がある前提で、共同親権のコンセプトそのものについては、私自身は否定しません。子供にとっては、親同士の仲はよくても悪くても、母親は母親、父親は父親であり、親にとっても、親同士の仲はよくても悪くても、子供は子供です。離婚しても母親、父親それぞれとの親子関係は変わらない以上、離婚後も共同で親権を行使できるだろう男女がいることは否定されないし、実際、我々は、そのようなありようをハリウッドのドラマや映画などで目にします。そのような関係が離婚後も維持されるなら、それはある種の幸福な家族の一態様だと思います。  しかし、ロシアの文豪トルストイの言葉に、幸福な家庭は皆同様に幸福だが、不幸な家庭はそれぞれに不幸であるとあるように、残念ながら、不幸な状況で離婚し、離婚後、二人が共同で何かをするなど到底考えられず、共同で親権の行使などもってのほかという御家族も現実にあるでしょう。私も弁護士として、そう数は多くないなりに離婚訴訟に携わってきましたが、夫婦間の関係性が冷え切らないうちに早期に離婚し、離婚後も良好な関係を維持する前述のアメリカのドラマや映画の中の御家族の場合とは異なり、我慢に我慢を重ね、どうにもならなくなってから離婚に踏み切ることが多い日本では、離婚後は口も利けない関係になる御家族も少なくないように思います。  そういう様々な家族がある中で、幸福の一態様である共同親権を原則、単独親権を例外として、共同親権を、それを望まない御家族に押しつけてしまう結果になってしまったら、多様にある幸福とは言えない家庭に大いなる不幸をもたらしかねないと思います。法案には共同親権を原則とするという文言はありませんが、一方で、法務省の説明や全体の規定ぶりからは、共同親権が原則として規定されているようにも見えます。  そこで、法務大臣に伺います。  今般の改正案は、離婚時において、共同親権を原則とするものではないということでよろしいでしょうか。明確にお答えください。  原則がどちらであっても、今般の改正案では、協議離婚時には本人たちが、裁判離婚時には裁判所が、共同親権と単独親権のいずれかを選ばなければなりません。  協議離婚であれば、当事者の合意による選択だからいいという意見もあるかもしれませんが、その前提として、離婚後単独親権なら何が起こり、離婚後共同親権なら何が起こるのか、当事者同士がよく理解していなければなりません。しかし、この法案からはその実情は見えません。具体例から想像しようにも、単独親権については多くの前例がありますが、共同親権については我が国にその実例、判例はありません。  この点については、法制審議会家族法制部会の附帯決議でも、改正内容及びその解釈上参考となる事項を適切に周知する必要がある旨の決議がなされていますが、それには、離婚後行使される共同親権の中身が定まっていなければなりません。  そこで、まず、共同親権の中身について伺います。  民法改正案八百二十四条の二第一項は、親権は父母が共同で行うとしています。例えば、離婚後、子供は母親と同居していて、父親は離れて暮らしている共同親権の場合、子の受験の際、離婚している父親の同意を取る必要があるのか、子が手術を受けるときはどうか、ワクチンを接種するときはどうか、母親と子が引っ越しをするときはどうかについて、それぞれお答えください。  また、民法改正案八百二十四条の二第一項三号は、子の利益のための急迫の事情がある場合には、共同親権においても一方の親が親権を行使できるとしていますが、その程度が分かりません。  例えば、先ほどの例で、受験の願書の提出が翌日に迫っているときは、離婚している父親の同意なしで、母親の同意だけで願書を提出できるのか、緊急の手術であれば母親の同意だけで手術を受けられるのは当然として、例えば、ある種の小児の心臓の手術のように、ある程度重くても二か月から三か月程度の範囲で手術日を選ぶ余裕のある場合は、母親だけではなく父親の同意を得ることも必要なのか、ワクチンの接種日が翌日に迫っているときには、離婚している父親の同意なしで、母親の同意だけで接種できるのかについて、それぞれお答えください。  これらのいずれかの例において、共同親権を有する別居の父親の同意が必要であれば、共同親権を選ぶということは、時に、感情的葛藤を抱えている別居の離婚相手と、期限の迫った状態で子の養育、監護の方針について話さなければならないことを意味します。  仮に本法案が成立したら、法務大臣の指揮の下、法務省は様々な想定事例の広報を行うことになると思いますが、その際には、そのような共同親権のネガティブな面もきちんと描いた想定事例等も含めて広報する意思がありますでしょうか。御所見をお伺いします。  さらに、民法改正案八百十九条七項では、裁判離婚の場合において、父母の双方を親権者とすることにより子の利益を害すると認められるときは、裁判所は父母の一方の単独親権としなければならない旨定めています。  子や一方配偶者に対する明白な身体的DVがある場合は、比較的発見しやすく、この条文によって共同親権から排除されることが多いであろうことには、あえて異は唱えません。しかし、物事には程度というものがあり、大きな傷がつかない程度の身体的DVや精神的DV、経済的DVもあり、それらのどの程度が該当するのか、判例もなく、判断してみようがありません。  そこで、お尋ねしますが、身体の傷害に至らないような精神的DVや経済的DVも必要的単独親権の理由になるのか。例えば、一方配偶者の不倫のような、配偶者間の感情的問題に基づいて共同親権の行使が困難な場合も必要的単独親権になるのか。それらの判断基準や事例は法律施行前に国民に周知されるのか、されるならどのようにしてするのか。これらについてお答えください。  また、これらの判断基準が定められたとして、実際の離婚訴訟においてそれらの証拠が当事者によって収集、提出され、裁判所がそれらを適切に判断できるかは、また別問題になります。特に、精神的DVや配偶者、親子間の感情的問題などについては、当事者がその証拠を十分に収集し、裁判所がそれを正確に把握し、それを適切に反映した判断を下すことは容易なことではありません。家庭裁判所は、現状でも、家事事件についてはパンクぎみで、離婚訴訟に過大な時間を要し、それほど適切とも言えない判断が下されていると感じることも間々あるのですが、現在の家庭裁判所は、このような新たな複雑な判断を十分にできる体制が整っているのでしょうか。また、整っていないなら、いつまでに、どのようにしてそれを整備するつもりでしょうか。お答えください。  さらに、民法改正案八百十九条六項は、「子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子又はその親族の請求によって、親権者を変更することができる。」と定めます。この訴えは、離婚後単独親権を定める現在の民法においても親権変更の訴えとして存在するので、それ自体が新しいものではありません。しかし、今まで単独親権だったところから共同親権が可能になれば、離婚後、親権を得られなかったことに納得せず不満を抱いている一方の親が、現在親権を持っている、子を養育している親に対して親権変更の調停を申し立てることが予想されます。それは、例えば、DV等を受けて離婚し隠れるようにして生きているシングルマザー、シングルファザーにとっては悪夢になります。  大臣は、本法案が仮に成立した場合、そのようなことが起こる可能性についてどのようにお考えでしょうか。また、お考えなら、どのような対策を講じるつもりで、それによってどの程度防げると考えているのか、併せて伺います。  以上、民法改正案において、特に共同親権について問題となりそうな点をお伺いしました。一問一答形式ではなく、今この時点では大臣の御回答は分かりませんが、それ自体、この法案の内容、この法案が成立した場合に当事者にもたらす影響、社会にもたらす変化は、現時点では、ここにいる我々国会議員にもよく分からないし、ましてや、多くの国民にとっては全く分からないことだということです。  私は、そのような法案をそのような状態のまま成立させることは、当事者に大きな不利益をもたらすとともに、社会全体に混乱を招きかねず、決して許されることではないと思います。本法案については、熟議に熟議を重ね、国民の理解を深め、多くの国民にとって判断する機が熟してから、多数の国民の意思を反映して決すべきであることを強く訴えさせていただきます。  なお、最後に付言いたしますが、本法案は、法制審議会が一月三十日に要綱案を答申した僅か三十八日後に衆議院に提出され、本日、審議に付されています。  ところが、同じく民法改正案であるはずの選択的夫婦別姓については、一九九六年二月に法制審議会がこれを認める要綱案を答申してから既に二十八年が経過し、調査によっては六〇から七〇%もの国民が賛成し、最近では財界もその実現を求めているにもかかわらず、政府はこれを実現する法案を提出しておりません。二〇二二年六月八日には、我が党と国民民主党、共産党、れいわ新選組が共同で、選択的夫婦別姓を可能とする民法改正案を衆議院に提出していますが、いまだ審議に付されておりません。  政府・自民党の対応は余りにバランスを欠いており、巷間言われている特定の宗教団体の影響を疑わざるを得ませんし、仮にその影響がないとしても、政府・自民党は、多くの国民が求める必要な変化を頑強に阻みながら、求める、求めない以前に多くの国民がその内容を理解しておらず、当事者と社会に大きな影響を及ぼす懸念がある法案を十分な審議のないまま押し通そうとする不合理な存在ではないかとの懸念を提起せざるを得ません。  私たち立憲民主党は、真に時代と国民が求める合理的な社会制度を、丁寧に、しかし、変化を恐れることなく果敢につくっていくことを誓って、私の質疑とさせていただきます。  御清聴、大変ありがとうございました。(拍手)     〔国務大臣小泉龍司君登壇〕

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