○三木圭恵君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の三木圭恵です。
ただいま議題となりました流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案に関して、会派を代表して質問いたします。(拍手)
物流は、国民生活や経済を支える社会インフラであり、その重要性から経済の血液と例えられるほど、我々の生活に非常に重要な役割を担っています。
しかしながら、物流で働くトラックドライバーの労働環境は、極めて厳しいと言わざるを得ません。トラックドライバーの労働時間は全職業平均より四百時間から四百五十時間長く、年間賃金は二十万円から六十万円ほど低いのが現状です。また、人手不足は全職業平均より約二倍高くなっています。そして、年齢構成は中年層の割合が四四・三%と、全産業の三四・七%を上回っています。
過酷とも言える労働環境の下、自動車運転従事者の二〇二二年度の過労死等の労災補償状況も、脳・心臓疾患の請求件数では百四十四件と一位であり、二位の販売従事者の四十八件を大きく引き離しています。支給決定件数も五十七件と一位で、二位の十三件の約四倍となっています。
トラックドライバーの労働環境改善は、待ったなしの状況と言えます。しかしながら、労働時間を短縮し収入が減ってしまっては何にもなりません。労働時間が短縮されても、以前と同様に収入を得ることが何よりも大事であると考えます。そして、中小零細企業で働くドライバーも、全職業の平均収入や労働時間に近づき、労働に見合う対価を受け取れるようにしなければなりません。
いよいよ二〇二四年四月一日から、トラックドライバーの時間外労働の上限規制を年九百六十時間とすることになりますが、トラックドライバーの手取り収入額は減らないのでしょうか。多くの中小零細企業のドライバーは、現在の時間外労働を行っても全産業平均よりも低い収入となっていることは述べましたが、更に収入が減ってしまうと生活が脅かされます。時間外労働をしてでも今の収入を維持したいドライバーがほとんどであると考えます。
そこで、質問いたします。
働く時間が規制されることにより、何も対策しなければ、トラックドライバーの収入が平均何%減ると政府は試算されていますか。また、政府が打ち出した政策パッケージの効果によって、トラックドライバーの収入が維持できるとお考えですか。仮に維持できないとすれば、何%収入が減るとお考えですか。お答えください。
政府は、下請企業が適正な運賃を受け取ることができるように、令和五年六月に物流革新に向けた政策パッケージを発表し、その中で、標準的運賃制度の荷主企業等への周知徹底を強化し、荷待ち、荷役に係る費用、燃料高騰分、下請に発注する際の手数料等も含めて、荷主企業等に適正に転嫁できるよう、令和五年中に標準運送約款や標準的な運賃について所要の見直しを図ることとしました。なぜ、五年間という猶予があったにもかかわらず、このパッケージの発表が令和五年、つまり二〇二三年であったのでしょうか。もっと早い段階で二〇二四年に向けての対策を打つべきでした。
そして、見直しをした結果、標準的な運賃が八%上乗せして改定されると聞いていますが、その改定がドライバーの収入を何%引き上げると試算されているのでしょうか。お答えください。
たとえ標準的な運賃が支払われたとしても、業務を効率化できずに労働時間が短縮された場合、今までどおりの仕事量がこなせない可能性が出てくるのではないでしょうか。パッケージでも様々な労働時間短縮の方法が提案されていますが、どこの現場でも実行可能とは限りません。一人当たりの労働時間を短縮すれば、少人数で経営しているような会社であれば、すぐに人手不足になることが容易に考えられます。運よく人手を増やせたとしても、その分の収入を増加させるには、時間と、新たな仕事を獲得する営業能力、そして投資に係る資金力が必要となります。
トラック会社はトラックを五台所有していることが企業としての条件ですが、トラック五台で家族経営をしているような小さな会社にとっては、労働時間の短縮は非常にきついものと言わざるを得ません。このままでは、労働基準法違反で摘発されるまで現状の労働時間のままで仕事を続けるか、会社を畳むかの二択ですと言われる経営者も多くいらっしゃいます。国交大臣として、このような小さな会社をどのように救済するおつもりなのか、お考えをお聞かせください。
また、トラック業界は、中小企業と零細企業が九割を占めます。多重下請構造が最大の課題となっている現段階では、二次下請から三次下請、そして、ひどい状況下では六次下請、七次下請まで仕事が発注されています。実運送者が荷主の顔も知らず、直接交渉できる状況にないことがほとんどです。このような状況下では、標準的な運賃を適正に転嫁できないケースが多発するのではないでしょうか。元請の管理台帳から外されてしまうことも可能性としては大いにあり得ると考えますが、チェック体制は万全と言えますか。
トラックGメンは、元請事業者の監視と、通報があったケースに対応するだけで十分と言えるのでしょうか。下請の小さな会社は、弱い立場から、荷主、元請事業者の言いなりにならざるを得ません。結局は、トラックGメンに声を上げることすらできないのではないでしょうか。トラックGメンは、上がってきた声に対応するだけでなく、自ら運送業者を見回り、視察を行い、受け身ではなく積極的に実運送業者の声を聞くことが必要と考えますが、見解をお伺いします。
そして、実際に、標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会の資料では、契約額が標準的な運賃以上であるケースは令和四年度において一五%と、ほとんど守られていません。それどころか、標準的な運賃の七割以下で契約されるケースが五割を超えるという驚きの数字です。これでは、法的拘束力のない標準的な運賃の実効性は全くと言っていいほど担保されないのではないでしょうか。国交大臣の所見をお伺いします。
そして、多くの下請会社からは、標準的な運賃を定めるよりも、法的実効力のある最低運賃を定めてほしいという声が聞かれますが、最低運賃を保障する制度の導入についてはどのようにお考えでしょうか。
また、多重下請構造により、実運送事業者の適正な運賃の確保による賃金水準の向上のため、元請事業者等が実運送事業者を把握できるよう、台帳作成等に係る規制的措置等の導入を図るとありますが、荷主から引き受けた貨物の運送ごとに管理簿を作成することになり、元請企業の事務作業が負担になるとの懸念がありますが、いかがでしょうか。
トラックドライバーの労働環境を改善し、適正運賃を受け取れるようにするためには、この多重下請構造をいかに是正していくかが重要になってくると考えます。
一例として、米国では、輸送業務における関連法案によって多重下請構造を規制しています。これは、輸送事業と仲介事業とを同一の事業者が行うことを禁止し、運送事業者として業務を受託した場合は該当業務を再委託することを禁止する法案です。これにより、荷主、ブローカー、実運送業者の三者間の情報連携が義務化され、多重下請構造が解消されました。このことにより、横ばいであったトラック運転手の年収は年率二%で上昇するようになりました。
日本においても、多重下請構造を是正するために規制を導入することが必要と考えますが、見解をお伺いします。
次に、物流の効率化についてお伺いします。
トラックドライバーの労働時間が規制されることにより、中継輸送を行い、今まで一人で運んでいた長距離輸送を二人体制で運ぶという方法があります。この場合、二人体制にすることによって、ドライバーの労働時間は短縮されるものの、人件費が倍かかることになりますから、輸送量を倍量してコスト削減をすることになります。輸送量を倍にするために、トラック車両を例えば十トン車から二十トン車に換えるなど、投資が必要になります。また、中継地点に拠点がある必要があり、なかなか中小零細企業には難しいと言われています。一社では長距離は難しいが、多くの関連企業で連携して荷物を輸送することも視野に入れる必要性があります。
資金力に不安がある企業のために、国交省は、中継拠点の整備や企業間連携を進めるための仕組みづくりなどの役割が求められると考えますが、見解をお伺いします。
荷主が取り組むべき措置として、ばら積み、ばら降ろしによる非効率な荷役作業を、パレットの利用により効率化させることがあります。十トンの荷物を手積みした場合、二時間から三時間かかるものを、パレットとフォークリフトで作業した場合は三十分でできるとされています。パレットの利用が促進されなかった理由は、パレットに回収などの経費がかかること、パレットの底の部分に空洞ができるため積載量が減ることなどが挙げられ、それが荷主の負担になるからだとされてきました。
そもそも、荷役作業をトラックドライバーに課してきたことが、荷役作業に係る非効率化を荷主が放置してきた要因であると考えます。商慣行の見直しというのであれば、荷役作業をトラックドライバーの仕事にするのではなく、荷主の仕事として位置づけた方がより効率化が進むと考えますが、見解を求めます。また、物流効率化のための規制措置であるならば、なぜ努力義務にとどめたのか、その理由も併せてお答えください。
次に、再配達率削減緊急対策事業についてお伺いします。
政府は、三月五日から十五日までを期限として、持続的に再配達率を低く抑える仕組みづくりや、再配達率削減に資する先進的なDX、GXの取組に関する実証事業への支援を実施するとして、執行団体の募集を行っています。募集を行ったばかりですが、結果はいかがでしたか。ポイント還元を通じ、コンビニ受取等の柔軟な受取方法やゆとりを持った配送日時の指定等を促す仕組みを社会実装するとしていますが、消費者の消費行動の変容を促すためのこのような施策は、もっと早い段階で実施するべきではなかったのですか。なぜぎりぎりのタイミングの今なのか、理解に苦しみます。
物流産業を魅力ある職場とするため、トラックドライバーの働き方改革に関する法律が二〇二四年四月一日から適用されることになりますが、そもそも、働き方改革関連法案は二〇一九年四月から順次実施されています。運送業は猶予期間が五年間適用されていましたが、この五年間を政府は有効に活用してきたのでしょうか。物流革新に向けた政策パッケージが昨年の六月、物流革新緊急パッケージが同十月です。二〇二四年が目の前に迫ってきて、慌てて様々な対応策を打ち出してきた感が否めません。
効率化を促進する法案がやっと今日提出されましたが、今日は二〇二四年三月二十一日、働き方改革が実施されるまで、あと十日間しかありません。効率化を促進する法律が可決されても、即日に効果を発揮するわけではありません。だからこそ、五年間の猶予期間が設けられていたのです。
輸送力に一四%の能力不足が見込まれるまま労働時間の規制の実施時期を迎えざるを得なくなったことは、政策上の失敗だったと言わざるを得ません。五年間もあれば、多重下請構造も荷主に対する規制も法的実効力をもって変化をもたらし、荷主や消費者の物流に対する意識変容ももっと進んでいたはずです。このままでは、働き方改革も物流の効率化も、中小零細企業の隅々まで行き渡らず、絵空事のようになってしまうのではないでしょうか。
二〇二四年には一四%、二〇三〇年には三四%輸送力不足が生じる可能性が懸念されている状況で、物流を滞らせないことを優先し、トラックドライバーにしわ寄せが来るようなことはあってはならないことです。ネットで頼めば翌日に荷物が届いたり、スーパーに商品がそろっている状況は、当たり前ではありません。物流に関わる人たちの努力の結果なのです。
政府には、今からでも真摯な姿勢で物流の問題に取り組んでいただくように切にお願いをし、最後に国交大臣の改革にかける決意を改めてお伺いして、私の質問を終えます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇〕
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国立国会図書館 国会会議録 API を構造化
REST: /v1/diet/speeches/search?speaker=三木圭恵
MCP: search_diet_speeches(speaker="三木圭恵")