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長友慎治 ·国民民主党・無所属クラブ

衆議院本会議(2024-04-19)での発言

第213回国会 ·第第23号号 ·1,797字
○長友慎治君 国民民主党の長友慎治です。  私は、会派を代表し、食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案に反対の立場で討論いたします。(拍手)  基本法は理念法です。しかし、理念が複数ある場合、そこには、あちらを立てればこちらが立たずというトレードオフの関係がしばしば生じます。今回改正される食料・農業・農村基本法は、五つの基本理念を掲げていますが、その関係はどのように整理することができるのでしょうか。  例えば、現在の食料・農業・農村基本法の基本理念は、食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮、農業の持続的な発展、農村の振興の四つを掲げています。この関係を説明すると、農業の持続的な発展を図ることができれば、国内の農産物供給が確保されるので、食料の安定供給の確保は実現され、農地も有効に活用されて守られるので、多面的機能の発揮も実現することになります。そのため、農業の持続的な発展から食料の安定供給の確保と多面的機能の発揮に一方向の矢印が引かれる関係になっています。また、農業の持続的な発展と農村の振興は、手を携えながら、まさに車の両輪として進んでいくという関係が想定されています。そのため、両者の間は双方向の矢印となっています。  もちろん、これは青写真にすぎず、実際にはそのとおりにいかないケースも見られますが、曲がりなりにも理想的な関係を描こうとしていました。現行法には、一本筋の通った哲学が確かに存在しています。  しかし、今回の改正案では、そうした全体的な体系は示されていません。現行法の一番目に掲げていた食料の安定供給の確保に代わり、改正案では、食料安全保障の確保と、環境と調和の取れた食料システムの確立が新設されましたが、部分にとどまっており、全体像が見えてきません。  これまでの審議で見えてきたことは、政府は、食料自給率を向上させ、国内への食料供給を増やし、農業を発展させようとしているのではなく、農業を輸出産業化することによって国内の農業生産基盤を確保し、それによって食料の供給能力を維持しようとする姿勢です。  これは、第二次安倍政権が進めてきた新自由主義農政と全く同じです。そのときのロジックは次のようなものでした。  少子高齢化によって国内農産物市場が縮小する一方、国際農産物市場は拡大しているので、国内農業を輸出志向型で発展させなければならない。そのためには、低賃金の外国人労働者に依拠しつつ、農業規模を拡大し、さらに、法人化することでコストを下げ、輸出農産物の低価格化を実現する必要がある。そして、農産物の輸出拡大に向けて国内農業生産を拡大し、それによって食料自給率を向上させていく。  しかし、このロジックが破綻していることは、安倍政権以降、食品、農林水産物の食料自給率が向上していないことから明らかです。この方針を続けるなら、幾ら基本法を改正したとしても、食料安全保障を確保することはできません。  さらに、食品産業の輸出が食料安全保障につながると政府は主張しますが、輸出といっても、多いのは、ウイスキーを始めとするアルコール飲料やカレーのルーなどの調味料であり、その原料も、国産の農作物ではなく輸入品に頼っています。これでは、日本の農家の所得の向上にも寄与しません。  また、二年前に成立したみどりの食料システム戦略が、農業ではなく環境に区分された点は問題です。有機農業の栽培面積の拡大など、これまでの農業生産の在り方を根本から見直し、そこから新たな農村社会を展望することがみどりの食料システム戦略には求められ、期待されていました。しかし、残念ながら、今回の改正案に有機農業という言葉すら盛り込まれませんでした。二十五年ぶりに改正される基本法で有機農業が明確に位置づけられなかったことで、有機農業に取り組む現場の生産者は目標を失いかねません。やはり、ここはしっかりと盛り込むべきです。  農業政策をころころ変えていると、生産者は、どうせまたすぐに政策は変わるだろうと思い、政府がどんな政策を打ち出しても、まともに対応しなくなってしまいます。現に、農協と農林水産省の関係において、そのような場面が生まれていないでしょうか。  以上、本法案に反対する理由を申し上げ、討論を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)

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