○おおつき紅葉君 立憲民主党のおおつき紅葉です。
立憲民主党・無所属を代表し、地方自治法の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
一九九三年の衆参両院の地方分権の推進に関する決議から三十年、二〇〇〇年の地方分権一括法施行からおよそ四半世紀が経過しました。第一次地方分権改革により、国と地方の関係は、上下主従から対等、協力へと大きく転換し、機関委任事務制度が廃止されました。まさに、自ら治める形への大きな一歩でした。自治体に対する国の関与は必要最小限度とされ、法定受託事務のみに限って是正の指示が可能であるものの、それも違法な事務処理等の場合です。さらに、自治体独自で行う自治事務については、原則として是正の要求であり、極めて抑制的、例外的なものとして位置づけられてきました。
しかし、この度の改正案は、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に関する特例を規定する新たな章を設けるとされています。改正案の基となった答申自体が、日本国憲法の基本理念を十分に具現するように現行地方制度に全般的な検討を加えるという地制調の目的に反していませんか。
加えて、個別法が想定していない事態に対し、地方自治法の中に包括的な指示権を設けることは、かつての包括的指揮監督権の復活をほうふつさせ、まるで、国に全面授権する、いわば地方版の緊急事態条項のようなものではないですか。対等、協力となった地方分権の流れを逆回転させ、国、自治体間の関係を上下主従に戻すことにつながると危惧をします。大臣の御見解を伺います。
二〇二〇年から足かけ四年に及ぶコロナ禍は、日本の国、自治体を通じた行政に大きな課題を投げかけました。突然の一斉休校など、非常時における国の見解、判断が常に適切とは限りません。現に、政府のコロナ対策を検証した新型コロナ対応・民間臨時調査会は、場当たり的な判断の積み重ねだったと報告しています。
熊本地震でも、防災担当大臣が避難先に指示をした体育館を、地元自治体は危険と判断し、これを拒否。その後、震度七の地震で、当該施設の天井は落下しました。現場の判断がなければ、被害は更に増えたことでしょう。
現場の自治体でさえ状況把握等が困難であるのに、国が正しいとの前提で指示に従うことを義務づけることが、果たして合理的と言えるのですか。かえって、住民の生命や安全を損なうことにはなりませんか。
大規模な災害、感染症の蔓延など、現行制度ではカバーできない事態や、個別法の規定では想定できない事態への対処とのことですが、大規模な災害について、既に災害対策基本法などに改正案と同様の規定があります。既存の法律で対処できないケースとは具体的に何を示しますか。コロナ禍で露呈した個別法の問題点は、その都度、感染症法や新型インフルエンザ特措法等を改正することで対応してきました。新型インフルエンザ特措法など既存の法律で対処できないケースとは具体的に何であるとお考えですか。
また、大規模な災害、感染症の蔓延などの、などの中には、武力攻撃事態等及び存立危機事態は含まれていますか。また、国と自治体の関係において、武力攻撃事態等及び存立危機事態であって既存の法律で対処できないケースとは具体的に何ですか。大臣の所見を伺います。
さらに、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態、生命身体又は財産の保護のためなどとあるものの、どのようなケースを指すか不明瞭です。自然災害、感染症、武力攻撃の三類型について、現行法で対応できないケースがあり得るなら、個別法を改正すべきではないでしょうか。三類型以外の類型があるとすれば、どのようなケースか、具体的に示していただけますか。大臣に伺います。
それこそ、今回の答申では、まず、個別法によって備えるべき事態を適切に想定とありましたが、個別法において適切な想定は行われたのですか。地方自治法改正よりも先にすべきと言われたそれらのプロセスはどう考えているのですか。そもそも、改正案は、個別法の立法に取り組むべき国会の立法権をも侵害することになりませんか。大臣の見解を求めます。
国は、自治体へ資料、意見の提出要求ができるようになりますが、自治体側が拒否の意思表示をした場合はどのように扱うのでしょうか。むしろ、ちゃんと協議すべきではないですか。国が指示をしたものの従わないときは、ペナルティーを科すようなことはあるのでしょうか。
国、自治体間で迅速で柔軟な情報共有、コミュニケーションが確保されれば、指示などを出さずとも、国、自治体間で合意形成ができます。そもそも、改正案を作るに当たって、各自治体の長の声を聞いていないのではないですか。首長の皆さんがこの改正を是とすると思われますか。大臣、いかがですか。
事態は、会議室ではなく、現場で起きているんです。非平時において国の判断が優先されるということは、最も重要であるはずの現場での判断や自治体の主体性、自発性を損ない、また、平時における自治体側の意識にも悪影響を及ぼしかねません。コロナや災害対応から導けるのは、想定していない事態に柔軟に対応できる政策立案と政策調整の能力の重要性であり、政策執行を支える各種のリソースの配備、蓄積ではないですか。大臣の答弁を求めます。
対策本部長である総理の権限として行使される関与を、各大臣の権限として拡大することを考えていますか。そもそも、自治体の行革や効率化、外部化を進め、非正規職員を増やしておいて、災害時等に国が応援を指示して対応を義務化することはおかしいのではないですか。いろいろと日頃から備えて冗長性を持っている自治体にばかり負担をかけることにならないですか。
改正案では、自治体の特定歳入等について、地方税共同機構への収納を義務化する規定が盛り込まれています。しかし、地方制度調査会では委員から意見もなく、最終の答申案において唐突に盛り込まれた感があります。地方税共同機構への収納の義務化は、どういう経緯で法案に盛り込まれたのですか。義務化ではなく、できる規定にすべきと考えますが、総務大臣の答弁を求めます。
改正案には、地域住民の生活サービスの提供に資する活動を行う団体を市町村長が指定し、行政財産の貸付けや随意契約における事務委託といった支援を可能とする旨の規定が盛り込まれています。指定地域共同活動団体とは一体どんな団体なのか、地方制度調査会においても共有化されていません。具体的イメージを明らかにしていただきたいと思います。また、指定を受けない団体を軽んじたり差別したりすることにはならないでしょうか。
議会の関与もなく、首長の判断において指定できることとなっていることから、現行の指定管理者制度より恣意的な運用となるおそれはありませんか。場合によっては、癒着の温床にもなりかねないのではないでしょうか。公正性の確保のため、議会の議決を要することについてどうお考えですか。
人口減少が進む中で、基礎自治体の人的、財政的リソースの余裕がなくなっている一方、国による手当てや支援が全く見えません。指定地域共同活動団体にお任せではなく、自治体の基礎体力自体を涵養する対策を講じるべきではないですか。
私の出身の北海道の知事を務めた横路孝弘元衆議院議長は、地方の視点を大事にして、地方自治の更なる充実と発展を求めてきました。オーラルヒストリーの中で、第一次地方分権改革を振り返り、「国の関与は必要最小限度にすべきであること、それから、自治事務に対する国の指示を広く認めるべきではないというようなことが、地方六団体から強く主張されました。しかし、実態はどうなのかというと、運用の面ではまだ国の関与がなくなってはいない、という状態です。」と振り返っています。
立法事実もない上に、分権改革を逆回転させる今回の改正案について、大臣は、自治体の長がこの法律を本当に望んでいると思いますか。
さて、先月施行された長崎、島根、東京での衆議院補欠選挙では、我が党の公認候補が三つの選挙区で勝利を収めることができました。これは、自民党の派閥による裏金事件に端を発した政治不信の表れにほかなりません。
国会も残り会期が一か月半となりました。ここから、政治改革を与野党で本気で成し遂げられることができるかどうか問われる局面を迎えます。連座制の導入、政策活動費の全面公開、企業・団体献金の禁止など、一日も早く自公案を出してください。そうでないと、審議は進みません。私たち野党は本気です。覚悟を持って、この終盤国会に臨みたいと思います。
一方で、衆議院で立憲民主党に三議席増えたことで、政治倫理審査会で大きな壁として立ちはだかっていた、裏金議員に対して申立てをできる数が満たされることになりました。速やかに、真相究明のため、野党として申立ての権限を行使することをここに宣言いたします。
私は、長く政治部で記者をしておりましたが、最後に一言申し上げたいと思います。
過去にこうした政治と金にまつわる問題が出れば、自民党は、若手議員を中心に、本気の危機感を持って自浄能力を働かせるエネルギーがありました。それが長期政権の原動力になったと私は見ています。しかし、今回、危機感を持って本気でこの危機的な状況の中で政治改革を成し遂げようという熱意が、自民党全体から全く感じられません。どうしたんですか。事ここに及んでは、国を治めるガバナンス能力が欠如していると判断せざるを得ません。
野党第一党として、本気の政権交代を目指して挑んでいく決意を申し上げ、質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣松本剛明君登壇〕
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