○岩永洋一君 ただいま御指名をいただきました、連合長崎で事務局長をしております岩永です。どうぞよろしくお願いをいたします。
貴重な衆議院予算委員会の地方公聴会が長崎で開催されることになり、意見表明する機会をいただき、感謝申し上げます。
私も、資料、レジュメに従ってお話をしていきたいというふうに思っています。
連合・連合長崎は、働くことを軸とする安心社会、誰一人取り残されることのない社会をつくるため、政策、制度の提言を始め様々な活動を行っております。
そのことから、私は、働く者、生活者の立場で、現在の地方の状況や、とりわけ、離島を抱える長崎県の生活、労働環境、物価高の中で実質賃金が上がっていない現状、あるいは、激しい人口流出、慢性的な人手不足、働く場所が少ない現状を好転させ、元気なふるさと長崎を取り戻したい、そのような思いで課題認識や意見等を述べさせていただきます。
長崎県での人口減少に歯止めがかかっていません。私たち生活者が生活していく上で、特に長崎市では、住居費などが高く、駐車場代も月三万円台も珍しくありません。離島においては、輸送コスト高による本土との差があり、ガソリン代も一リットル当たり約三十円程度高いなど、県全体でも燃油費が高い実態があります。
そのような現状がありながら、賃金水準は、毎月勤労統計調査によると、東京や大都市部と比べると十万円以上も低い水準でございます。地方だから生活コストが低廉であるとの実感は少なく、少しでも高い賃金や少しでもいい生活環境を求めて都市部への流出が続いていると思われます。
昨年の春季生活闘争の結果は、三十年ぶりの高水準の賃上げ集計結果でございました。しかしながら、大手と中小企業の賃上げ額差があり、格差が拡大したと言わざるを得ない状況でもあります。また、この結果は、労働者全体へ波及はできていなく、全体へ波及させるためには最低賃金の引上げも必要です。
長崎県の地域別最賃は、全国で下から四番目の八百九十八円です。東京都との差は二百十五円で、地域別の物価指数の状況を鑑みると、これも格差、額差があると言わざるを得ない状況であります。Aランクの大都市圏は人口増加傾向にあります。
連合は、最低賃金を、限りなく早期に誰もが千円を目指しています。日本経済の自律的成長に向けては人への投資が不可欠であり、その重要な要素たる最低賃金の引上げが必要であると考えます。
次に、県内で働く構成組織の仲間の職場の実態として、幾つかの労働組合に聞き取りをいたしました。そのうち、離島でのバス事業の実態です。
数年前までは運転手二十四人いたところ、離職などで、現在、十七人で回している。運転手不足により、路線廃止や間引き運行など、減便せざるを得ない状況である。
離職理由は様々とありますが、正規社員で二十年勤務していた方が最低賃金近傍で働いていたことを自覚して退職をした、また、家族四人を養うには賃金が低過ぎるとのことで福岡に家族で移住した、残業時間が月に四十時間平均であっても年収三百万円程度であったなどから離職したそうです。
これらのことは、離島だけではなく、人手不足が拡大している公共交通全般に言えることですが、住民の生活を支える使命感、責任感の下に、低廉な運賃で一生懸命に事業を運営する経営者や労働者の使命感で頑張っていると思っています。
造船業、運輸関係も同様に、人手不足の中、求人を出しても若者が入社してこない、仕事のしわ寄せが来て残業が多く大変だ、いわゆる三K職場で働きたくない、せめて魅力ある賃金であればとの声はたくさん聞きます。
先ほど、福岡に移住した方のことをお話ししました。移住できる方は、生活を改善できるチャンスがあり、まだよい方です。様々な理由で移動できない方は、現在の物価高の中で実質賃金が上がらず、生活が厳しくなる中で辛抱し続けなければならない状態です。
次に、中小企業の置かれた状況をお話しします。
慢性的な人手不足、企業を継続するためにも新しい人材は欲しいが、求人しても来てもらえない、人材を確保するために低い賃金を上げたいが、賃上げする体力がないなど、中小・小規模事業の経営の厳しさがあります。
関係省庁による賃金引上げ、人材育成など、様々な観点の支援メニューを整備し、諸施策を展開されていますが、十分な利活用ができていない企業があると考えています。
特に、業務改善助成金については、申請の煩雑さと、設備投資などをしなければ助成金が出ない制度では申請しづらいなどの声を今でもよく経営者などからお聞きいたします。一方、年収の壁対策として新設されたキャリアアップ助成金については、ほぼ真水の助成があり、助かっているとのことです。
そこで、国への要望です。
業務改善助成金などは、時限的な対応策でも構いませんので、厳しい中小企業の窮状を鑑みての思い切った対策、すなわち、設備投資等にこだわらず、賃金を引き上げた分の真水の助成が必要であると考えます。
さらに、県が中小企業への支援、融資を行っていますが、地域事情に応じた支援を強化するために、国から県へ、その予算、交付金を増額することも必要ではないかと感じています。
多くの中小企業は、大企業よりも賃金水準が低位にとどまっています。賃金支払い能力の差は、買いたたきや取引対価の一方的決定などの不公正な取引が一因となっていると思われます。弱い立場に置かれた中小企業が価格交渉をできる環境づくりが必要ですし、高騰している原材料費、エネルギーコスト等の上昇分について、労務費を含めて適切に価格転嫁しやすい環境づくりをしなければなりません。
そのために、連合長崎としても、価格転嫁の円滑化に関する協定の締結を促進いたしました。この協定は、昨年三月から県に汗をかいていただいた結果、県、国の機関、経済団体と私ども連合長崎の十三団体で、昨年六月八日に締結しました。
この協定の一つの大きな目的として、パートナーシップ構築宣言を行う企業を増やし、価格転嫁の機運を高め、価格交渉をしやすい環境をつくり、企業が稼げて、賃上げを実現することにあります。
その宣言した企業数は、協定締結時に百八十九企業で、現在二百八十四企業に伸びていますが、県内企業数の〇・六八%です。まだまだ少なく、情報発信の上、更に宣言する企業を増やすことで、価格転嫁の円滑化が促進されます。国や県は、協定参加機関への更なる支援の強化や情報発信を強く行っていただきたいというふうに思います。
政府は、十一月に、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を取りまとめていただきました。これは、連合が求めてきたものであり、賃上げ実現に向けた足がかりとなるものとして評価しています。
しかし、価格転嫁が進んでいない産業、業種もあることから、業種別に踏み込んだ対策が必要であると考えていますし、調達部門など、交渉現場での実効性の確保も課題です。指針全般の内容が中小企業の経営者を始め広く社会に認識され、十分に活用されるよう、国と地方で周知、相談活動の徹底をお願いします。
あわせて、求められる行動に沿わないような行為をすることにより、公正な競争を阻害するおそれがある場合には、厳正に対処することを徹底していただくようお願いします。
まとめとして、企業、産業の持続的な発展と中小企業で働く人たちを始めとした物価高に打ちかつ賃上げなどの労働条件改善のためには、公正な取引慣行の実現、サプライチェーン全体で適正な価格転嫁を強力に進めることが不可欠です。このままでは、地方では人材確保ができず、企業の廃業が出てくる可能性もあり、そうなれば、働き口がなくなり、人口流出がますます進み、疲弊していくことになります。
経済も賃金も物価も安定的に上昇する経済社会へとステージの転換を図るためには、今こそ中小企業への絶大なる支援に御尽力をお願いし、私の発言といたします。(拍手)
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国立国会図書館 国会会議録 API を構造化
REST: /v1/diet/speeches/search?speaker=岩永洋一
MCP: search_diet_speeches(speaker="岩永洋一")