○打越さく良君 立憲民主・社民の打越さく良です。
憲法審査会における最大の論点は、国会中心主義を取るかどうかです。これによって議論の重心が変わってまいります。議会に籍を置く者の矜持として、憲法第四十一条の「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」、このことを考え方の基本に置く、それは当然でありましょう。
ところが、改憲を標榜する会派の意見からは、緊急事態、任期延長などの議論において、国会よりも内閣の権能を優越させようという認識がかいま見られます。このような認識は、議会人にはあるまじきものと言わざるを得ず、誠に遺憾です。
議院内閣制である以上、内閣とは国会が組織するものであって、政府や大臣は、立法府、国会議員よりも上であるというような認識を持つことは本末転倒です。こうした認識は、戦前の帝国議会が立法権を持たず協賛機関にすぎなかった頃に回帰しようとするもののように思えます。
衆参の憲法審査会で、国会の権威を損ねることに熱心な意見が多過ぎることは極めて嘆かわしいことです。これは、ノスタルジアどころか退行であり、改憲を口実にした言葉遊びであると考えます。
そして、日本国憲法は、第四十一条に示されるように、その統治構造の核として徹底した国会中心主義を採用しています。この統治構造を機能させるためには、いかなる場合においても国会機能が維持されていることが前提とならなければなりません。すなわち、どのような事態が起きても、憲法がその統治構造の前提とする国会中心主義を維持できるよう、備えを講じておく必要がございます。
そのため、第五十四条第二項の参議院の緊急集会が用意されています。参議院の緊急集会は、その制定経緯から国家的な緊急事態を想定した制度であることは明らかであるとともに、戦前の政府による権力濫用の反省に基づき、徹底した国会中心主義の見地から創設された極めて優れた仕組みです。
繰り返し述べてまいりましたが、徹底した国会中心主義を採用する以上、高見勝利先生が御指摘なさるとおり、内閣の判断により衆議院が解散されたときだけではなく、衆議院議員の任期満了後の場合にも参議院の緊急集会を求め得るのです。
また、権力の抑制と均衡を確保することが憲法の趣旨にかなうのですから、土井真一先生が御指摘のとおり、緊急集会に関する第五十四条第二項の規定を衆議院が、衆議院議員が存在しない例として解散の場合を定めたものと解し、衆議院議員の任期満了による総選挙の場合にも本条を類推適用して、国に緊急の必要あるときは内閣は緊急集会を求めることができると解するのが適当です。
また、憲法第五十四条第一項は、解散の日から四十日以内に総選挙を行い、その選挙の日から三十日以内に国会を召集するとしており、特別国会の召集まで七十日間の日数を限っています。これは、現在の民意を反映していない従前の政府がそのまま政権の座に座り続けることのないようにという要請であって、緊急集会の継続期間が限定されるかのように見えるのは、実はその間接的、派生的な効果としてにすぎないとの長谷部恭男先生の解釈が最も妥当でしょう。土井真一先生が御指摘なさったとおり、それは、衆議院が存在しない状況で緊急集会を認めなければ、内閣が緊急事態の法理に依拠するなどして単独で必要な措置を講じる事態を招きかねないからです。
すなわち、立憲主義の基本的な考え方からすれば、権力の抑制と均衡の機会はできる限り認めるべきだと解するのであれば、七十日を超えて緊急集会を認めることはできるのです。
こうした認識の下、小西幹事から提案のありました諸課題について細則等の検討を行い、その整備を図っていくことは急務であると考えます。
以上が私の意見です。
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