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笠原尚美 ·阿賀野市農業委員会会長職務代理

参議院農林水産委員会(2024-06-06)での発言

第213回国会 ·第第15号号 ·3,946字
○参考人(笠原尚美君) 新潟県阿賀野市農業委員会会長職務代理の笠原尚美と申します。  本日は、参考人として意見を述べる機会をいただき、誠にありがとうございます。  私は、農業委員会の関係者ですので、三つの法案のうち、農振法等の改正を図る法律案について意見を述べさせていただきます。  私は、令和四年五月に行われた農業経営基盤強化促進法と農山漁村活性化法の改正の際にも農林水産委員会で意見を述べさせていただきました。  法律の改正後、農業委員会は地域計画の基となる目標地図の素案作りに向けて奮闘していますが、多くの集落で話合いをする中で、あのとき改正された基盤強化法はこんな形で現場に生かされていくんだ、活性化法はこんなふうに考えられているんだと、二年を経過した今になって感じることが多くあります。  お手元にお配りした資料は、今回申し述べさせていただく私の意見の要旨と、その後にあるものは、今年三月に開催された第十九回女性の農業委員会活動推進シンポジウムで事例報告をした際の資料となっています。  阿賀野市農業委員会では、昨年七月末から、十五名の農業委員と十一名の農地利用最適化推進委員が集落に入り、目標地図の素案作りの話合いを進めています。事務局体制は専任職員七名と会計年度職員一名ですが、農林部局から農業経営基盤強化促進法の手続を行う会計年度職員一名が常駐し、合計九名と、大変恵まれた体制となっております。  当委員会の特徴を、地域計画の策定、目標地図の素案作りの観点から幾つか挙げさせていただきます。  阿賀野市の地域計画は十八の旧小学校区で策定されますが、目標地図の素案作りのための話合いは、市内二百十三ある全集落に農業委員、農地利用最適化推進委員がペアとなって入り、話合いのコーディネートを行っています。この際には、土地持ち非農家の皆さんにも出席いただいて、制度説明や農地バンクの仕組み、今後の農地の貸し借りの契約がどう変わっていくのかを説明し、理解を得ています。  また、話合いに使用する資料や説明のシナリオ、どんなふうに話合いをコーディネートしたらいいかをまとめた目標地図作成のための委員心得などを委員と事務局が一緒に作成し、活用しています。事務局任せにせず、委員が農業者としての視点を織り込むことで、地域計画の必要性を分かりやすくお伝えし、その集落に合った形で話合いを進めています。  それでは、今回提出された三つの法律案について意見を述べさせていただきたいと思います。  農業生産の基盤となる農地を確保し、適正、効率的に利用する者による農地利用を促進するため、農地の総量確保をうたうことは重要と考えます。しかし、国が考える総量目標と現在策定が進んでいる地域計画で明らかになる面積にそごが生じる可能性は否定できません。国が考える目標面積と地域が守るべきと考える農地の面積の違いをどう埋めていくかについては、地域特性も鑑みながら、国、都道府県、市町村が一緒になって考えていかなければいけないと考えています。  また、農用地区域の変更に国が関与することは評価いたしますが、農地転用が自治体の税収や就労などに大きく寄与する場合も多くある中、地域未来投資促進等の地域整備法に基づく計画については、農地を守る立場の者として、関係省庁との連携等を取っていただきたいと考えております。  さらに、第十三条第五項を新設されたことを評価しております。都道府県知事が、市町村から農用地区域の除外の協議があった際、都道府県の面積目標に影響があると認めた際に、市町村にその影響を緩和するための措置を記載した書面を求めることが明らかになりました。この影響緩和等の措置に、荒廃農地を解消し、農用地区域に編入することを財源の裏付けも含めて対応することも選択肢の一つに明確に位置付け、運用することが大事であると考えます。  一旦荒廃した農地は、耕作できる状態に戻すには膨大な時間と費用が掛かります。いわゆるA分類の農地が解消されたとしても、あくまで生い茂っていた雑木などを刈り払い、撤去したものであり、作付けできる状態ではありません。荒れないように管理されている農地です。この管理されている状態を耕作可能な状態にしなければ、農用地区域に編入しても無意味な編入となってしまいます。こうした農地再編のための措置等については、政省令などに明記することでより強く必要性を知らしめ、しっかりした予算確保をしていただきたいと思います。  続いて、農地法の改正について申し上げます。  不適切な転用を防止するため、農地転用の許可を受ける者が事業計画中に定期報告を行う仕組みの構築並びに違反転用を行い原状回復等の措置命令を受けた者が期限までに回復の措置を行わなかった場合公表する仕組みの創設については評価しております。  当委員会では、過去に違反転用等を行った者に対して許可を与える際に申請に基づいた転用を行うよう申し添えるとともに、農業委員、農地利用最適化推進委員が日々の見回りの中で注視し、場合によっては農業委員会会長などから指導を行っております。しかし、法的な後ろ盾がないため、その場さえしのげればいいと思っている事業者もあり、歯がゆい思いをしてきました。  また、転用の許可を受けた者には、事業完了後、事業完了届の提出をお願いしていますが、転用許可が下りてもなかなか転用作業に入らないケースや事業完了届の提出を忘れていることもあり、事務局の負担となっているのも事実です。  こうしたことを防止し、適正に転用がなされていることを把握するためにも、また違法転用を防止する観点からも定期報告を行う仕組みは有効と考えます。  このほか、原状回復の措置命令に応じない者の公表や関係機関との共有は必要ですが、命令を発するための詳細なガイドラインなどの整備も同時に行っていただきたいと思います。  こうした確認業務については農業委員会が担うことになりますが、農業委員会の業務は年々増加しており、事務局体制に恵まれている当委員会でもその傾向は顕著です。農林部局のみならず、ほかとの兼務やごく少人数の農業委員会事務局も多くあります。事務局体制の脆弱さは、様々な農地、農業施策を実施する際の遅延にもつながり、農業者への不利益になる場合もあることから、事務局体制の強化に特段の御配慮をお願いいたします。  続いて、農業経営基盤強化法について申し上げます。  地域計画区域内の遊休農地を担い手に権利設定する際、その手続を迅速化、義務化することは、遊休農地の更なる荒廃を防ぎ、使える農地を再生するために必要なことと考えます。  先ほども申し上げましたが、遊休農地を解消しても、使える農地にするには更なる時間とお金、労力が掛かります。できることであれば、こうした農地を引き受けてくれる担い手に対して何らかのインセンティブをお考えいただきたいと思います。  農地所有適格法人が、農業経営を発展させるため食品事業者との連携措置を行うことについては、実感が伴わないことをお断りして申し上げれば、そもそもの資本力が違う食品事業者などに対して、決定権の担保だけでは農業経営者の不安を拭い切れないのではないかと考えます。この不安を払拭するため、懸念払拭措置を規定し、様々な条件を付し、計画認定後も農林水産大臣が監督するなど、現場の懸念を受け止めていることは評価すべき点であり、その実効性に期待するものです。  以上でありますが、農地を守る上で大切にしなければならないのは、集落や地域での共同作業による農地保全の役割です。私どもが目標地図の話合いに集落に入って必ず出てくる話題の一つがこの共同作業の話であり、農業従事者の減少や高齢化、さらには農地所有適格法人が広範囲での農地を賃借するため出役できなくなっているなど、保全活動が成り立たなくなる集落が増加しており、この先も増加し続けると思われます。  現在でも、多面的機能支払交付金などで手当てがされているものの、お金ではなく人員の問題だとおっしゃる集落も多く、今ある農地を農地として使い続けるためのアプローチを多様化させる必要があるのではないかと感じているところです。  現在、地域計画の策定に向けた話合いが全国で行われております。初めて話合いを行った地域もあり、試行錯誤しながら進めているところも多くあります。地域農業に関する方針や農地の利用の在り方を地域の話合いに基づいて進める地域計画は現場を出発点とした取組であり、大変やりがいを感じております。この取組を地域計画策定後も続け、計画の実現に向けて、農業委員会、市町村、また、今後取扱いが大幅に増加することが見込まれている農地中間管理機構など、地域が一丸となれるよう、令和七年度以降もしっかりとした予算措置をお願いいたします。  また、先ほどから何度も申し上げますが、農業委員会事務局や農林部局の人員の問題は喫緊の課題と考えます。私が、昨年の農業委員としての年間活動日数は、目標地図の作成のための集落の話合いもあり、二百九十七日でした。これだけの活動ができるのは当委員会事務局の支えがあってこそのことです。私たち農業委員、農地利用最適化推進委員が農地や農業者に寄り添った活動をするためにも、人員に恵まれた農業委員会に在籍している私から是非とも特段の御配慮をお願いして、私からの意見陳述を終わらせていただきます。  大変貴重な機会を二度もいただけたことに感謝しております。ありがとうございました。

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REST: /v1/diet/speeches/search?speaker=笠原尚美
MCP: search_diet_speeches(speaker="笠原尚美")