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平岡康弘 ·静岡県行政書士会会長

参議院法務委員会(2024-06-06)での発言

第213回国会 ·第第16号号 ·4,085字
○公述人(平岡康弘君) 静岡県行政書士会会長の平岡でございます。  最初に、このような機会を与えていただいたこと、有り難く思っております。  私たち行政書士は、御存じのように、官公署に提出する書類の作成、そしてまた権利義務、事実証明等の書類の作成ということを業務にしております。その範囲は非常に広範囲にわたっております。そのことから、静岡県行政書士会においても、業務における専門分野に分けてそれぞれ活動をしております。  今回、行政書士というのは、申請取次制度においても、在留許可等、そういった国際業務を専門としている委員会があるものですから、急遽その委員会に今回のことについて御相談させていただいた上で、その国際委員会の方で取りまとめていただいた意見を述べさせていただきたいと思います。  行政書士の中にも特定技能における登録支援機関等について登録されて活動している行政書士もいることから、この国際関係の業務、在留許可を通じて、申請等を通じてなじみの深い行政書士もたくさんいるということで、今回このようなお招きもあったことと承知しております。  最初に、育成就労法についてです。  技能実習制度において、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の第一条に、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図り、もって人材育成を通じた開発途上地域等への技能、技術又は知識の移転による国際協力を推進することを目的とするとありますが、実際には不足する労働力を補うための人材であったという声が多く上げられています。  そして、技能実習生の人権問題や劣悪な労働条件、悪用事例が報告されており、国内外からは多大な批判を受けております。過酷な労働環境、賃金の不払、人身取引に近いケースも見られ、国際社会からの信頼を失う事態に至っているとの指摘もございます。  一方、技能実習生を大切な従業員としてきちんと対応している企業もあり、行政書士が関わる企業には、むしろそのような企業が多いという実感を持っております。  育成就労制度では、法律修正案の第二十四条で、人材が不足している地域において必要とされる人材が確保され、もって地域経済の活性化に資するよう、育成就労外国人が地方から大都市圏に流出すること等により大都市圏その他の特定の地域に過度に集中して就労することとならないようにするために必要な措置を講ずるものとすると、労働力としての人材であると明記が予定されている点で、技能実習制度の目的と実態の乖離が育成就労へと変わることで発展的に解消されることはとても望ましいことと思料いたします。  外国人材の労働者としての人権が守られ、また特定技能一号と対象となる職種、分野が原則一致していることにより、キャリアアップの道筋が明確化されることを期待いたします。  問題点、疑問点等として、特定技能一号の産業分野と育成就労制度の対象分野が原則一致で国内での育成になじまない分野は育成就労の対象外とのことで、現在の技能実習制度の分野から削除される分野もあるのかと思料いたします。その場合、その分野での受入れが今後認められないこととなると、企業にとっても事実上の労働力であった人材を確保できなくなる等の問題があると思料いたします。また、特に自動車産業分野の下請となる中小企業の多い地域では問題になると想定され、政府においてはそういった実情にも配慮して対象分野を設定していただきたいと思います。  同一機関での就労を一年から二年の転籍制限では、結局、賃金の高い大都市圏へ転籍を希望する外国人材が多くなり、地方から大都市圏への流出が防げるか疑問です。外国人材の転籍を防ぐためには企業がより高い賃金で受け入れなければならず、日本人を雇用するのに比べてイニシャルコスト、ランニングコストともかなりの負担があるため、一概に企業にとってメリットがある制度とは言えないと思料いたします。転籍に関しては、転籍先の受入れ機関が元の受入れ機関に対して初期費用の補填を行うための制度を検討しているとのことですが、実効性のある仕組みを構築していただきたい。補償を行うなど、制度も必要ではないかと思料いたします。  附帯決議十に、「育成就労を希望する外国人が送出機関に不当に高額な手数料を支払うことのないよう、主務省令で定める手数料の金額の基準を育成就労外国人にとって合理的なものとするとともに、送出国との新たな二国間取決めの策定に際しては、悪質な送出機関が排除され、我が国への育成就労外国人の送出しが適切に実施されるものとなるよう、協議を進めるものとすること。」とあり、悪質な送り出し機関の関わりがなくなることを期待しております。  法修正案第二十四条の三項、政府は、監理支援機関、監理型育成就労実施者から独立した中立の立場で監理支援事業を行うことができる体制が十分に確保されていることを確認するために必要な措置を講ずるものとするとあることから、実際の監理団体は受入れ機関の言いなりである団体が選ばれているという実態があるため、外部監査人の強化を行い、支援機関が十分に機能すること、悪質な支援機関を取り締まる体制を整備していただきたいと思います。  そのほかとして、現在、技能実習生の在留資格申請取次ぎは監理団体も行っているので、育成就労の在留資格申請取次ぎも従来どおり監理支援機関が行えるようになると思料いたします。  しかし、育成就労から特定技能への在留資格変更許可申請取次ぎを監理支援機関が行うのは違反ではないかと思料いたします。実際に、特定技能の在留資格要件をよく理解していない者が申請取次ぎを行い、一度申請を取り下げて再度申請し直しになった事例もあると聞いております。特定技能に関する在留資格申請について、行政書士以外の者が関わることは外国人にとって不利益になることも考えられますので、制度の仕組み等に明記していただきたいと思います。  結びに当たりまして、今回の新制度によって、外国人労働者のスキルアップやキャリア形成、また人権の保護等、今まで問題になっていた部分が改善され、日本での長期的な就労が促進されるのではないかと期待しております。  受入れ機関においては、相変わらず多額の経費が掛かるといった問題もあると思われます。もちろん、育成就労外国人、特定技能外国人を雇用するのに掛かる経費の一部を賃金に上乗せして日本人労働者を雇用しようとしても応募がないなど、賃金だけの問題では解決が付きません、解決できません。企業にとって外国人労働者は人材不足の解消につながりますが、弱小企業にとって決して安くないランニングコストを支援機関に支払っても、名ばかりの支援機関というところも少なくないと聞いております。  在留資格の専門家である行政書士が外部監査人を担うなど、積極的に企業と外国人双方の利益のため、この制度に参加していかなければならないと感じているところでございます。  入管法改正についてです。  第二十五条、永住者の在留資格の取消しに係る規定の適用に当たっての配慮、新入管法第二十二条の四第一項の規定の適用に当たっては、新入管法別表第二の永住者の在留資格をもって在留する外国人の適正な在留を確保する観点から、同号に該当すると思料される外国人の従前の公租公課の支払状況及び現在の生活状況その他の当該外国人の置かれている状況に十分配慮するものとあります。  現在の社会は多文化共生へ向けて取り組んでおり、長く日本に在留し、母国に帰るところもなくなっている人も多くいると考えられます。  素行が善良であること、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること、その者の永住が日本国の利益に合すると認められること、これらの厳しい審査で永住許可をされている方の多くは真面目に公的義務を果たしています。一部であっても公的義務を果たさない永住者が存在すれば、永住者全体への偏見につながるというのは理解できますが、永住者も日本人と同様に罰則を適用する、定住者へ変更されることで不安定になるなどといった声もあり、行政書士としても当事者から多くの質問を受けることになると思います。  そこで、入管庁には、法案が成立すれば、衆議院修正の附則や附帯決議にもあるように、制度趣旨の適切な周知を行うとともに、慎重な運用に努めてもらいたいと思います。  ここにはちょっと書き留めてはないのですけれど、私たち単位会ですので、日本行政書士連合会というところにも同じような組織があるものですから、そちらの方にちょっと問合せをしたところ、結構、脱退一時金ですね、国民年金と厚生年金の脱退一時金について外国人が適用されるということですけど、最初は三十六か月以上日本にいらっしゃってという方が、令和三年の四月に六十か月にそれが引き上げられて、今現在、単純出国というんですかね、永住者の在留資格を失うような場合でなくても脱退一時金の受給は可能であるというふうな、そんな制度になっているようです。  単純出国して脱退一時金もらってまた入国されてくるという外国人も中にはいらっしゃるというふうなこと聞いていますし、この脱退一時金が六十か月分、資金の一定、六十か月分支払われるとなると、五十万から七十万円の金額がその都度支払われているということで、これ、日本の財政にとってなかなか厳しくなっているんじゃないかというような、そういった意見を伺いました。  この資料によりますと、令和三年度だと約十万件、その脱退一時金の裁定件数というものがあるようですので、相当な金額にはなるんじゃないかということで、その点もちょっといろいろ考慮してこれから考えていただきたいというような御意見もいただいたものですから、それに付け加えさせていただきます。  以上でございます。どうもありがとうございました。

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