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杉尾秀哉 ·立憲民主・社民

参議院本会議(2024-04-17)での発言

第213回国会 ·第第12号号 ·5,295字
○杉尾秀哉君 立憲民主・社民の杉尾秀哉です。  ただいま議題となりました重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案等について、会派を代表して質問いたします。  その前に、まず総理、訪米お疲れさまでした。裏金問題とともに沈み行く岸田総理にとって、アメリカ・バイデン政権の破格とも言える厚遇が干天の慈雨とも思えたであろうことは、大統領専用車ビースト車内での破顔一笑の大統領とのツーショット写真を見ればよく分かります。  しかし、幾ら総理が日米同盟は前例のない高みに到達したと胸を張っても、もはや指導力を欠いた岸田総理の下ではいつ深みにはまるか分かりません。そもそも支持率僅か一六%そこそこでは、政権の正統性に欠けると言わざるを得ません。  こうした文脈で考えますと、今回の訪米前に政府・与党が本法案を駆け込みで衆院通過させようとした意図が透けて見えるようです。つまり、衆議院で本会議の審議を急いだのはバイデン大統領への手土産にするつもりだったのではないか、また、セキュリティークリアランス制度の導入について日米首脳会談で総理から何らかの言及があったのではないか。これらの疑問に対して、岸田総理、明確にお答えください。  訪米から帰った岸田総理を待ち受けていたのは、自民党裏金問題というアリ地獄でした。これも、訪米前に総理が駆け込みで行った裏金議員への処分、これが実に評判が悪い。自民党内には怒りや恨みが渦巻いていると聞いています。その象徴がスケープゴート役にされた塩谷元文科大臣で、再審査請求をした塩谷議員は、岸田総理の責任も問われるべきだと至極真っ当な主張をされています。  また、総理訪米の間に、安倍派の裏金作りは森元総理の派閥会長時代に始まり、問題のキックバックの再開にも森氏が関与していたことを示唆する下村元文科大臣が発言したとされる音声データがメディアで報じられました。総理はこの内容を把握していますか。もし把握しているなら、再々調査が必要なのではないでしょうか。  そもそも本件のキーマンである森元総理に、岸田総理が電話で事情聴取するなんてあり得ません。しかも、この電話も僅か三分から五分程度で、森氏は御機嫌伺いのような話だったと言っているそうじゃありませんか。  総理、もしそうでないと言うのなら、何分程度、どこまで突っ込んで事情聴取をしたのか、明らかにしてください。それができないなら、単なるアリバイづくりだったと断定します。  通常の会社や組織であれば、これだけ世間を揺るがす事件を起こせば、トップが責任を取るのは当然のこと。しかも、世論の六割超が岸田総理の処分を要求しているのに全くおとがめなしでは、自民党という組織はもはや末期的としか言いようがありません。  そこで、岸田総理に伺います。  今回の件で、一度でも自らの処分を考えたことはありますか。また、それをしなかったのはなぜなんでしょう。さらに、責任を取って総裁を辞めても、当面、総理大臣ではいられます。今からでも遅くありません。自民党総裁を辞任する考えはありませんか。  私は、今回の一件は、ただ総理・総裁の座に居続けたいだけという岸田総理の本性の現れと理解しています。また、それと同時に、総理は総裁再選に向けて着々と布石を打っているようにも見えます。それをうかがわせるのが、裏金議員の処分を発表した後の取材で自らの責任を問われて、最終的には国民、党員に判断いただくと発言したことです。国民が判断することとは、つまり解散・総選挙を意味します。  そこで、総理、今国会の会期中に解散を行う考えはありますか。また、党員の判断といえば自民党総裁選挙です。一部に流れているような秋の総裁選を前倒し実施する考えはないでしょうか。逃げずにお答えください。  いずれにしても、金と利権まみれの自民党政治はもう限界です。岸田総理が言うように、もはや今国会中に国民の信を問うしかないのではないでしょうか。  それでは、本法案の中身に入ります。  第二次安倍政権以降の政府・与党は、特定秘密保護法に始まり、共謀罪、安保法制など、ひたすら強い国づくりを目指してきました。そこにあるのは、国会での議論を軽視し、何でも閣議決定で決めたり、政省令や運用基準、規則等に丸投げする、言わば行政独裁とも言える手法でした。本法案もそうした流れの中にあります。  一方、米中の対立激化に象徴される国際情勢の変化は産業分野にも及び、重要な経済情報を保全する必要性が高まっているのもまた事実です。  こうした現実に対応するため、私たちも二年前の経済安保推進法には賛成し、その際に附帯決議で付けられたのが適性評価、今回のセキュリティークリアランス制度でした。  あれから二年の歳月を経て、今回、外交、安保など四分野のトップシークレット、機密と、シークレット、極秘情報は、従来どおり特定秘密保護法でカバーする一方、本法案では重要インフラやサプライチェーン等に関するコンフィデンシャル、秘密級の経済安保情報のみを対象とし、一体的に運用することとされました。  しかし、肝腎要の法案の中身は全てが曖昧なままで、衆議院では出来の悪い法律、このように酷評される始末です。このため、我が党が中心となって、恣意的な情報指定に一定の歯止めなどを掛けるため、国会による情報監視等を盛り込んだ修正案を可決させました。  そこで、総理に伺います。  衆院段階で法案修正がなされたことへの評価と、なお機密の範囲と対象や、プライバシー侵害のおそれなど、数多く残る懸念点について今後どのように払拭していくのか、考えをお聞かせください。  本法案について、経済界はおおむね歓迎する一方、企業の中には今後の見通しの不透明さや人事への影響などについて戸惑いの声も聞かれます。  そこで、セキュリティークリアランス制度導入に対してどれほどのニーズがあるのか、また民間企業のビジネスチャンスがどれだけ広がるのか、数字や具体例を示して説明してください。  また、今回の法整備は経済安保情報に限られるため、期待されているような同盟国との防衛産業協力の進展とは基本的に関係がない、こういう解説があります。事実でしょうか。高市大臣、お答えください。  今回の法案で導入されるセキュリティークリアランス制度の適性評価の対象となる人数について、政府は具体的な説明を拒み続けてきました。ところが、衆院審議の最終段階になって高市大臣がようやく、多く見積もって数千人程度で、数万人という単位にはならない、このように答弁しました。  ここで言う数千人とは初年度の見積数でしょうか。それから、適性評価の対象の人数は制度の根幹に関わるものですが、なぜ黙っていたのでしょうか。  ちなみに、アメリカでは、身上調査を行う機関、DCSAは三千人規模で、認定を得た人は四百万人以上に上ると言われています。一方、日本で適性評価のためにこれから内閣府につくられる新たな組織は二十人規模と桁違いに少ない。  先行する特定秘密保護法の評価保有者数は十三万人と言われておりますけれども、新制度では最終的にどれだけの規模を想定しているのでしょうか。併せて高市大臣の答弁を求めます。  先ほども指摘したように、今回の法案では、民間人が調査されることによるプライバシー侵害のおそれがなお拭えないままです。  政府の説明では、調査は本人の同意が前提というふうにされておりますけれども、会社内での処遇などを考えると、事実上の強制となる可能性が否定できない上、調査項目が配偶者や家族の国籍はもとより、飲酒の節度や渡航歴、さらには経済状況にまで及んでいて、民間のプライバシーが、民間人のプライバシーが身ぐるみ剥がされるおそれがないとは言えません。  そこで、適性評価を行う調査機関による権限の濫用を防ぎ人権を最大限保障するとともに、収集した個人情報の管理の厳格化と、調査拒否を理由とする配置転換など労働者への不利益な取扱いの禁止など、重要事項を今後定める運用基準に委ねるのではなく、法案審議の過程で明確な歯止めのためのルールを示すよう総理の見解を求めます。  適性評価制度と並ぶ最大の問題は、本法案で保護される機密の範囲や具体的な対象などの重要事項がこれまた運用基準に委ねられていることです。  例えば、対象となる情報の範囲ですが、条文上は規定されていないものの、政府保有に限るということでいいのか。具体的には、民間保有の情報が勝手に指定される可能性がないことや、政府がコンフィデンシャルと認定し、その後、文書等において明確に表示されたもの以外は保護対象ではないということでよろしいか、高市大臣、お答えください。  この情報指定の件数についても、やはり衆議院審議の最終段階になって、初年度でも数十件程度、多くても三桁の件数と見積もられるという高市大臣の答弁がありました。これも驚きです。なぜ法案審議の最後まで言わなかったのか、全く理解できません。  そこで、今度は岸田総理に伺います。こんな秘密主義のような姿勢で法案を成立させようとしていいんでしょうか。そもそも当初の指定が数十件から数百件レベルしか想定されていないということは、目下保護対象となるべきコンフィデンシャル級の重要経済安保情報がさほどないことを意味するのではありませんか。これは、私が冒頭指摘した本法案の立法事実にも関わる重要な問題です。  このほか、秘密指定が違法性のあるものも含めて恣意的にならないようにすることや、指定すべき情報を正しく取捨選択するための具体的な方策についても、政府からいまだ明確な回答はありません。併せて岸田総理の答弁を求めます。  さらに、衆議院段階では、特定秘密保護法と本法案とのシームレスな運用には隙間があり、凸凹ではないかという指摘がありました。これは本法案が特定秘密保護法の改正ではなく、新法として提出されたこととも密接に関連します。  本法案により改めてトップシークレット、シークレット、コンフィデンシャルの関係が整理をされ、それに伴い特定秘密保護法の運用基準も見直されることになりますけれども、これまでの説明では、何か付け加えるとか書きぶりを改めるなどといった抽象的な説明ばかりで、特定秘密の際限なき拡大の懸念はいまだに残ったままです。  仮に本法案が成立したら、特定秘密保護法についても今後どのように見直すべきか、方向性くらいは示す必要があるのではないかと思いますけれども、総理の考えをお聞かせください。  ちなみに、特定秘密保護法は施行後十年が経過をしましたが、これまでに立件されたのは海上自衛隊の元一等海佐だけで、このケースも刑事事件としては不起訴処分となり、真相は闇の中です。  今回、秘密保護法制が新たな段階を迎えるに当たり、こうした特定秘密保護法十年を総括するとともに、引き続き、ジャーナリストや一般庶民が処罰されるなど国民の知る権利が侵害されるおそれがないことを総理、明言してください。  また、今回の法案提出に至る議論の過程では、労働者の権利利益保護のため、労使協定の締結など労働組合の関与を求める意見が出されています。  これについて、高市大臣は衆議院での質疑で、労使協定の義務付けまでは難しいという認識を示しつつも、前向きな答弁をされています。  そこで、高市大臣に伺います。更に一歩踏み込んで、労働組合の関与に関して運用基準の案文を示す考えはありませんか。  さらに、今回の法改正では、経済安保推進法の審査対象とする基幹インフラに一般港湾運送事業を追加する内容が盛り込まれました。これは元々、二年前の法案審議の段階で私も含めて必要性を強く主張したものですが、政府がこうした意見に耳を貸さず放置した結果、去年、名古屋港が深刻なサイバー攻撃に遭うという大失態を犯しました。  一方、事案の性格は異にしますけれども、これも私が何度か国会質疑でも取り上げた大川原化工機の冤罪事件に象徴されるように、安全保障関連法制をめぐっては、捜査当局による暴走の危険性が常に付きまといます。  こうした経緯に鑑み、岸田総理には、国会軽視と行政独裁の姿勢を改め、権力を常に抑制的に行使すべきことについての見解を求めます。  締めくくりに、参議院では抽象的な議論ではなく、でき得る限り具体的に、そして政府には条文の棒読みやごまかし、はぐらかしのオンパレードではなく、これもでき得る限り真摯に質問に答えていただきたい。これが国民の不安を払拭する最大の近道であることを信じて疑いません。  良識の府である参議院らしい議論が展開されることを期待して、私の代表質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

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