○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。
私は、会派を代表し、子ども・子育て支援法改正案について総理に質問いたします。
本法案は、こども未来戦略の加速化プランに盛り込まれた施策を着実に実行するために、子ども・子育て支援金制度を創設し、その財源を子供から高齢者まで全国民を支える社会保障予算の活用、抑制で確保するとしています。
しかし、なぜ社会保障のみが財源の対象なのでしょうか。衆議院で政府は、社会保障以外の財源は防衛力強化のための財源と明言しました。それはつまり、子ども・子育て支援よりも軍事優先ということではありませんか。
子供、子育てを国を挙げて取り組むというのであれば、アメリカ言いなりで倍増させた軍事費を見直して、武器の爆買いをやめ、その分を子育て支援や社会保障の充実に充てるべきではありませんか。
〔副議長退席、議長着席〕
総理は、子ども・子育て支援金により実質的な負担はないと言いますが、本法案によって年一兆円の支援金が医療保険に上乗せされ、全国民から徴収されます。
医療保険料には上限があり、一定所得を超えると、所得が大きくなるほど負担が低くなる逆進性があることは明らかです。逆進性のある医療保険から子ども・子育て支援の財源を持ってくることは全くの筋違いではありませんか。
所得が同じでも、入っている保険によって支援金の負担が変わることも不公平です。
とりわけ、低所得者が多い国民健康保険の方が、他の被用者保険に比べ支援金の負担が重くなります。政府は、低所得者の負担軽減のために国保や高齢者医療制度に公費を投入すると言いますが、こども家庭庁の試算では、公費を投入しても国保の負担が被用者保険の負担より高くなっています。低所得者の多い国保の方が支援金の負担が重くなることを認めますか。今回の支援金が社会保障の所得再分配機能を弱め、格差と貧困に悪影響を及ぼすのではありませんか。
衆議院で財務省は、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心という従来の社会保障の構造を転換する必要があると答弁しましたが、実際はどうでしょうか。
主要先進国の中で我が国は最も高齢化が進んでいますが、同じ高齢化率で比較したときに、社会保障支出は対GDP比で我が国は平均より下回っており、高齢者への給付が手厚いとは言えません。一方、家族関係支出と教育への支出は先進国の中で最低レベルです。高齢者中心などではなく、子供にお金を掛けなさ過ぎたことこそが問題なのではありませんか。
今回の法案は、子供関係以外の社会保障予算について、二〇二三年から二〇二八年までの六年間で保険料と公費支出分合わせて二・一兆円も削減することとしています。これは過去九年間の削減実績を踏まえた目標といいますが、この九年間で生活保護基準の引下げ、要支援一、二の介護保険給付外し、要介護一、二の特養からの排除などが行われ、社会的弱者ほど深刻な影響をもたらされています。二年目に当たる今年度も、訪問介護事業所を廃業に追い込みかねない報酬引下げも行われました。さらに、今後四年、これらと同程度の影響をもたらす社会保障改悪を毎年進めようというのですか。
高齢者や社会的弱者の生活は、当事者だけでなく、子や孫、親戚など現役世代の家族が支えています。社会保障費の削減により、むしろ介護離職やヤングケアラーなどの問題が更に深刻化するのではありませんか。
政府は、子ども・子育て支援について社会連帯の精神を強調しますが、高齢者向けの支出を削って子供関係の支出を増やすこのやり方そのものが社会連帯を壊し、世代間の分断と対立をあおるものではありませんか。世代間の対立をあおるのではなく、高齢者も、子供、若者、現役世代も、そして子供を産んでも産まなくても、全ての人の暮らしを支える政治こそ目指すべきです。
三歳未満の未就園児が全て保育施設を利用できるようにし、ワンオペ育児などで孤立した子育てをしている家庭を支援するという理念は重要です。私の周りでも、持病を持つ母親が通院のために子供の一時預かりを利用する、利用しようとするたび、毎回二百回以上電話を掛けないとつながらない、予約が取れないという声を聞いています。
従来、政府は、こうした一時預かりを利用できない状況や、ふだんはその保育所を利用していない子供を預かる施設側の困難さなどの課題を改善し、利用を促進しようとしていましたが、今回の法案で課題は解消されるのでしょうか。
幼い子供にとってみれば、いつも一緒にいる親と離れること、初めての場所で初めての大人に預けられることに当然ストレスや緊張が強いられます。だからこそ、多くの通常の保育では、慣らし保育を始め、保育園、保育士が時間を掛けて子供や親との信頼関係を築きながら保育が行われています。
一方、政府の進めるこども誰でも通園制度の試行事業では、利用する園、月、曜日や時間を固定せず利用する自由利用方式を採用できることになっており、一時間ごとに事業者を替えることも可能です。
衆議院では、居住地を離れて全国どこでも、直前まで空きがあればアプリで予約ができるようにすると答弁がありましたが、それでは子供が保育園という新しい環境や人に慣れるための慣らし保育の時間すら取れません。まだ言葉もうまく話せない、睡眠や食事のタイミングなど生活パターンも違い、個性ある子供たちを慣らし保育もなく新たに預かることは、施設側にとっても非常に負担の掛かる難しい保育となります。
こども誰でも通園制度、とりわけ自由利用方式は、子供にとっても施設にとっても通常保育とは異なる困難や負担があるという認識が総理にありますか。
政府の重大事故防止有識者会議によると、保育所における死亡事故の発生は、ゼロから二歳児、預け始めの時期が最も多くなっています。この最も死亡事故が多い条件で常に子供を受け入れることになるこども誰でも通園制度、自由利用方式の保育で子供の安全は保障されるのでしょうか。
さらに、保育の質と安全を保障する前提となる人員配置基準も、保育士が半分でよいとされました。通常の保育より難しい保育が保育士側に求められるにもかかわらず、なぜ人員配置は低い水準でよいと考えたのでしょうか。
衆議院で加藤大臣は、保育士以外の人材の活用も含めと答弁されましたが、保育士以外の更なる活用など、保育従事者の基準の更なる引下げもあり得るのでしょうか。緩い基準で安易な事業者参入のおそれはないのでしょうか。
こども誰でも通園というのであれば、親がどれだけ働いているかなどで対象を絞る保育の必要性の要件を見直して、文字どおり、全ての子供たちに質の確保された保育を保障できるようにすべきではありませんか。
今の日本は、若い世代が子供を産み育てることも結婚することも本当に困難で、選べない社会になっています。この社会を根本から変えることこそ求められています。若者、子育て世代の経済的負担を抜本的に軽減し、所得を増やし、ジェンダー不平等を解消する。そして、全ての子供たちがストレスのない安心、安全な環境で自由に遊び、自由に学び、成長できる権利を保障することこそが政治の責任であるということを申し上げ、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
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MCP: search_diet_speeches(speaker="吉良よし子")