○牧山ひろえ君 立憲民主党・社民の牧山ひろえです。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました民法等の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論いたします。
今回の法改正の主たるテーマは、離婚後の家族法制、特に共同親権等です。これからの議決によって、離婚後の親権の在り方が七十七年ぶりに見直されることになります。法律は、社会や家庭の在り方を規定します。八十年近くアンタッチャブルであったという事実こそが身分法の重さを裏付けています。
身分関係、特にトラブルを取り扱ったり、子供や一人親など社会的に弱い立場になりがちな対象を取り扱う際に、決して犯してはならないと思うことがあります。それは、対象を切り捨ててはいけないということです。しかし、本法律案の策定過程では、こうした点で大きな問題がありました。
まず、史上初めて、法制審議会家族法制に関する部会で全会一致でない議決が含まれている要綱案を策定、提出しています。また、審議会にはDVの被害者等が当事者委員として参加できませんでした。加えて、共同親権を取り扱ったパブリックコメントで当事者の声が多数切り捨てられました。身分関係において、これほど当事者の切捨てが起こったことは記憶にありません。社会を統合すべき法律が社会を分断しようとしています。あってはならないことです。
元々、共同親権に関しては立場の違いがそれぞれ明確で、ここに至る以前から賛成論、反対論の激しい対立が存在しました。にもかかわらずです。今回の改正に当たり、それなりに議論を進めていたのに、中間試案のパブリックコメントが終わる辺りから急にスピードアップして、拙速としか評価し得ないような生煮え状態の案が作成されて国会に提出されました。そのため、一々ケーススタディーについて質疑で確認する必要があり、そのために多大な時間が割かれましたのも事実でございます。また、政府・与党側の審議の進め方、答弁ぶりにも問題があったのではないでしょうか。
まず、制度全般の土台となるような大きな論点について対応策が不十分なまま国会提出をしており、そのために議論がその先に進まず、審議の充実を妨げました。
例えば、今回の主テーマである離婚後の共同親権には、共同の親権行使の有無により、非合意強制型共同親権と合意型共同親権の二種類があり、合意型の場合には非合意強制型に比べてはるかに少なくても合意時点では摩擦は小さいのですが、審議の前半においてはこの二種の違いに関心が薄く、議論が整理しづらかった状況があります。
また、DVや虐待のおそれの際には単独親権という方向性が打ち出されており、方向性は正しいのですが、果たして家庭裁判所がDVや虐待の事実ないしおそれを裁判所が正確に判定できるのかという一番大きな疑問点が解消されていません。
また、市民社会の歴史の長い諸外国では、社会的現象が時期的に先行して発起する傾向があるので、海外の事象や傾向を研究すればより円滑に新制度の導入ができると思われるのに、積極的に取り組んでいる様子が見えません。
例えば、重要事項の決定権にしても、子が適時適切な親権行使を受けられることが重要で、家裁がオーバーフローのため適時の要件を満たせない場合、制度自体の前提が崩壊するのですが、当局にそれに関するシビアな認識はないようです。
法施行に向けた準備にせよ、準備の前提となる実施時のイメージ、スケール感などに全く具体性がなく、法が成立したら調査を始めるの一点張りで、国民の代表として政府提案の良否を判断しなければならない国会審議の前提が満たされていません。この傾向は近時の政府・与党の議会運営によく見られるものですが、今回はそろい踏みといった印象です。
これらの問題点に取り組むに当たり、衆議院審議時に遡り、私たちの立ち位置を説明させていただきます。
子供たちの命と未来に直結するこれだけの重要法案が、国会における各党の勢力図という現実を前にしたとき、多くの問題点を抱えたまま、原案のまま成立することになる。それでいいのか。私たちは非常に苦慮した上ではありますが、衆議院での審議の後半、十一項目に及ぶ修正項目を与野党に提案し、協議の結果、合意に達しました。合意した修正案は我々の案を全て反映したものとは言えませんが、修正項目のエッセンスは最低限盛り込まれたものであり、原案のまま運用されることによって生じる被害を少しでも軽減できると判断しました。
衆議院での採決に際しては、私たちは、まず筋を通し、この考えを明らかにしつつ、委員会での採決に当たり、私たち自身が提案した修正案には賛成、そして、元々多くの議員が多大な懸念を持っていることを踏まえ、政府原案には反対をするに至りました。衆議院での可決後、参議院に送られてくる修正案が溶け込んだ修正民法改正案ということになります。同一の法案には政党、会派として同じ対応をするのが責任政党としての一つの考えなので、我が党の立場としては参議院でも賛成することといたしました。
ただし、質疑でもお分かりのように、私たちはこの政府案にもろ手を挙げて賛成しているわけでは全くありません。元々の私たちの修正内容は含まれない政府原案に対する評価は、衆議院の委員会採決で原案に反対したことに示されるように、極めて悪いものになっております。
また、国会議員、そして国政政党として法案を少しでもいいものにする努力をするのは当然ですし、義務でもあります。また、筋論に関しても、交渉の相手方、すなわち修正協議を行うよう与党側にも働きかけを継続していきました。提案内容としては、衆議院での審議時に作成した修正十一項目が関係分野を幅広くカバーしており、かつ分かりやすくもあったのですが、本則の修正に至らなかったので、当院では本則の修正を目指したものです。
ですが、与党の反応は極めて厳しく、既に衆議院で修正協議済みということを理由に全く応じることはありませんでした。この点は残念と言わざるを得ません。この与党のかたくな態度に当方も方針を変換し、附帯決議を充実するための方針に切り替えたというのが参議院における修正協議の経緯で、この場で明らかにさせていただきたいと思います。
このような環境下であることも踏まえ、参議院では衆議院での議論を踏まえた真摯な審議を行ってきました。審議時間について、参議院の質疑時間は衆議院の六、七掛けであるのが常識とされていますが、衆議院の対政府質疑が十五時間台であるのに対し、参議院の標準換算では十八時間以上となり、衆議院の審議時間を参議院の審議時間が上回る審議でした。改正法案の疑問点や問題点が数多く議論できました。御尽力いただいた与野党の皆様には感謝します。また、法務省、最高裁が今後、国会審議内容を生かすために最大限の努力を尽くすことなどが附帯決議に盛り込まれたことも賛成の理由として挙げられます。
先ほどもお話ししたように、今回の法案の内容や審議の進め方には大きな問題があります。子供たちの笑顔を守るため、柔軟性を保ちつつ、しっかりと今回成立した新制度に改善の意欲を持って関わり続けることが私たちの責務だと強く決意を申し上げ、賛成討論とさせていただきます。(拍手)
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REST: /v1/diet/speeches/search?speaker=牧山ひろえ
MCP: search_diet_speeches(speaker="牧山ひろえ")