○中西祐介君 おはようございます。
ODA派遣の調査第一班につきまして、お手元配付の調査派遣資料、概要等を御参照いただきながら御報告させていただきたいと思います。
当班は、昨年八月二十九日から九月七日までの十日間、スリランカ民主社会主義共和国及びバングラデシュ人民共和国に派遣をされました。
派遣議員につきましては、今井絵理子議員、小沢雅仁議員、三浦信祐議員、団長を務めました私、中西祐介の四名でございます。
今回訪問したスリランカではグナワルダナ首相、あるいはバングラデシュではハシナ首相と面会する機会に恵まれるなど、様々な大臣も含めたレベルでの対話を重ねることができました。また、ODAの案件の現場視察も重ねることができまして、非常に実りのある派遣となりました。
まず初めに、訪問国における所見概要を申し上げたいと思います。
スリランカは、二〇一九年に最大都市コロンボで爆破テロが発生して以来、内政では大規模減税を含む政策変更、さらに、コロナ禍による観光業の低迷や急激なインフレなどを要因として、深刻な経済危機に陥っておりました。慢性的な貿易赤字と財政赤字体質で債務残高が増加をされ、二〇二二年四月には、IMFのプログラムに沿った債務再編が行われるまでの間、対外債務の支払を一時的に停止する措置を発表したところであります。
我が国の円借款につきましては、現在、事業が一時的に中断をしている状況でありまして、今回視察した上水道事業や送電線事業でも、政府から請負業者への支払が滞り工事が中断し、完成目前で地域住民にこれら公共サービスが届けられない状況に陥っていたところであります。
上水道事業は、スリランカ政府の自己資金の活用で本年二月にようやく完工したということでありますけれども、IMFから求められている国営企業の民営化などの構造改革を進めることで、一刻も早い円借款の復活が期待されるところであります。
自由で開かれたインド太平洋、いわゆるFOIPを履行する上でも、財政の持続可能性を踏まえた債権国と債務国の適切な関係が重要でありまして、昨年十一月に日本を含め十七の国で合意をした債務再編計画を確実に履行させていく必要がございます。
これらの影響で、我が国の支援は今、技術協力が中心です。今般の派遣では、農家の家計所得の向上や障害者の支援等の現場を視察をさせていただきました。これらは、単に物を与えるだけではなくて、技術や手法を伝達し、自ら将来の成長展望を切り開いていくということに有効であると高く評価できる取組であると評価しています。
次に、バングラデシュでございます。我が国は最大の二国間供与国でありまして、マタバリ深海港、ダッカメトロ、ダッカ国際空港第三ターミナル、経済特区による投資促進事業など、ベンガル湾産業成長地帯、いわゆるBIG―B構想の下での更なる協力の推進を図っておりまして、面会した政府要人の発言の端々には、更なる大規模インフラ整備に関する強い支援要請があったところであります。
我が国としては、いわゆるこうした箱物を造るだけではなくて、その後の運営や維持管理が大切であると、そうしたワンパッケージでの支援が重要であるというふうに考えております。中長期的な視野に立った持続性ある支援が、二〇四〇年代にも先進国入りが目標と当該国は公表しておりますけれども、そうした可能性を秘めたインド太平洋地域の重要な親日国でもあるバングラデシュとの今後の関係において重要ではないかなというふうに考えるところであります。
続いて、本調査を通じて得られた知見を基に、六項目の提言を申し上げたいと思います。
まず第一に、FOIPの実現に向けた支援の重要性でございます。
今回訪問した両国は、いずれもアジアと中東、アフリカの中間に位置するシーレーン上の戦略的要衝でありまして、極めて大切な親日国であります。南西アジアの連結性の観点から、インド洋周辺で最大の港湾でもあるコロンボ港とマタバリ港の機能強化への関連事業は、FOIPにとってもどれも欠かせないピースの一つであることを再認識をしたところであります。
あわせて、海上法執行能力等の強化も必要だと感じています。スリランカ沿岸警備庁を視察をした際には、我が国の支援に対する感謝とともに、資機材のメンテナンスやパーツの調達等の更なる支援について強い要望があったところであります。現在も船舶の乗っ取りや襲撃など危険度が増すインド太平洋地域における海上安全の確保に貢献する上で、我が国の強みを生かした支援の重要性を改めて認識をいたしました。
一方、スリランカでは、中国企業による港湾拠点開発や軍事拠点化への危惧など、債務のわなの問題も目の当たりにしました。我が国は、国際社会とともに実態を解明しながら、当該国が自立性の下に質の高い成長を透明度の高い開発協力を得ながら実現できるよう国際社会でリードすべきだというふうに感じています。
第二に、ロヒンギャ難民キャンプの現状を踏まえた今後の人道支援の在り方であります。
今回の派遣でコックスバザールの避難民キャンプを訪問しました。高台から見渡す限りの広大なキャンプ地には、定住を妨げるために竹の柱にビニールをかぶせただけの粗末な住居がひしめくように並んでおりまして、約九十七万人の避難民がいかに厳しい生活を強いられているか、その窮状を目の当たりにしたところであります。
国際機関からの人道支援が命綱である一方で、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルとハマスの惨状への世界の支援の目が移っておるところでありますが、現地では、昨年以降、こうしたことを背景に、資金難により避難民への食料配給が段階的に縮小されている現状を伺いましたが、このままでは更なる困窮が見込まれるところでございます。
我が国としては、国際機関等を通じた既存の支援枠組みを継続、強化するとともに、避難民の滞在長期化で疲弊するホストコミュニティーへの協力を更に進めるべきだというふうに考えています。
ハシナ首相からは、キャンプにおける個別の事情に対応するだけではなくて、ミャンマー側への働きかけなど、アジア全体を見据えた問題解決のための役割を果たしていただくよう切実に求める声があり、政府には適切な対応をお願いをしたいと思います。
また、持続可能な避難民帰還策を重視するとともに、ミャンマーの安定的な体制の回復を含む事態の改善が不可欠であるとの立場を堅持した上で、問題解決へとつながるアプローチを積極的に講じていくべきだと考えます。
第三に、都市間連携を通じた外交関係の強化の重要性であります。
今般の派遣において、徳島県鳴門市と友好都市関係にあるバングラデシュのナラヤンガンジ市を訪問しました。人口増に直面する同市では廃棄物処理問題が喫緊の課題であり、キャパシティービルディングの視点から、鳴門市が有する廃棄物処理の知見の共有は非常に意義があったと記憶をします。
こうした教訓から、日本全国の地方都市が有するGXやスマートシティーなどの知見を被援助国各国の地方都市でも積極的に取り入れるニーズがあると推察をいたします。都市間連携の充実は、我が国の外交スタイルを考える大きなヒントであり、新たな外交関係の構築の一助になることが期待されるところであります。
第四に、今後のODAにおける多層的な交流強化の必要性です。
これまで開発協力の中で、若年層、障害福祉分野、アカデミアなど、我が国が交流強化を進めてきた社会領域は多岐にわたっています。
例えばスリランカでは、JICA等による障害児教育の取組や現地企業における障害者の就労支援等を視察をし、我が国の強みである障害福祉分野での交流強化に対する期待が各所で示されたところであります。また、青少年教育訓練センターでは、若年層の高い学習意欲や日本で働くことへの憧れを肌で感じてきました。日本語教育プログラムの充実や技能実習生の積極的に受け入れることで、産業界や学術分野における関係強化につながることが期待されております。
今回、両国首相からも、若年層の交流や我が国での就労機会の拡大、供与、安全保障分野での多層的な協力などについての重要だとの認識が共有できました。これからの開発協力は、資金協力など目に見える経済支援以上に、人間同士のきずなを重ねることで次の時代の二国間の協調につなげていく視点が求められます。これら交流強化活動の一層の拡充、推進を期待をいたします。
第五に、支援内容及び事業の周知、広報の更なる推進です。
今般の派遣では、視察後に多くの現地メディアから取材を受け、新聞やテレビで報道をいただきました。まさに両国の関係性への関心の高さに加え、ODAが有効活用されていることのあかしであると感じたところであります。
常日頃から在外公館やJICA等により日本の支援の必要性や成果をアピールすることは大変有効であります。具体的には、SNSを活用した海外協力隊の国内外への紹介や現地メディアへの露出など、多面的な発信が必要であり、被援助国からの反応、例えば、現地機関、現地での関係機関や在京大使館からのメッセージを紹介するなど、在外公館を始め、JICA等の更なる積極的な取組を求めたいと思います。
さらに、日本国民に広くODAの重要性を理解していただくためにも、現状では、報告書やホームページでの紹介、当委員会での報告、質疑にとどまっているこの参議院ODAの派遣に関する発信について、新たな方策を模索すべき時期ではないかと考えるところであります。
第六に、今後のODA派遣の在り方についてであります。
参議院改革の一環として、ODA派遣は、二〇〇四年に開始して、二十年が経過をいたしました。現地視察を重視しながら、今後は更なる改革、例えば、被援助国からの民間投資の拡大を求める声に応え、経済団体など外部団体との連携など、官民の力を結集した展開に加え、各府省の海外事業について統括的に政府高官との面接につなげるなど、面会につなげるなど、派遣内容の更なる充実を検討すべき時期にあることを指摘申し上げたいと思います。
これらを実現するためにも、派遣メンバーの人選のスケジュール感も重要です。メンバーをある程度前広に人選しつつ、メンバー間で派遣国の課題認識を共有し政策的な提言を持ち合わせることで、より実りのある派遣が実行できると考えます。
また、外交的な観点では、議連等によるものも含め、我が国の国会議員が余り訪問していない国に足を運び、日本のプレゼンスを示すことも重要であると考えています。
これらの観点から、今後の当委員会でのODA派遣の在り方について検討を深めていただきたくお願いをいたします。
あわせて、現在の参議院の慣例訳であるハウス・オブ・カウンセラーズが現地派遣先で常々理解されない問題を指摘いたします。評議員会ではなくて上院として明確に理解されなければ、参議院の外交活動が正しく認識されず、国民にとってもマイナスであります。国際的に正しく認知される訳語に見直す必要があることを改めて皆様に問題提起いたしたいと思います。
以上が第一班の所見及び提言であります。
最後になりますが、調査に御協力をいただきました視察先及び内外の関係機関の方々、全ての皆様に心から感謝を申し上げ、報告とさせていただきます。ありがとうございました。
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REST: /v1/diet/speeches/search?speaker=中西祐介
MCP: search_diet_speeches(speaker="中西祐介")