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小川淳也 ·立憲民主党・無所属

衆議院本会議(2024-12-03)での発言

第216回国会 ·第第4号号 ·10,750字
○小川淳也君 立憲民主党の小川淳也です。  会派を代表して、総理に質問いたします。(拍手)  冒頭、総理の日々の激務に深く敬意を表します。  その上で、総理にはお疲れもあったのでしょうか、さきのAPECにおいて、席上、スマートフォンの操作、海外首脳の挨拶に着座で対応、首脳陣の集合写真に遅れて間に合わない等、一部、外交儀礼上、批判の声が上がっています。これを擁護する声があることも前提としつつ、まずは、総理御自身の受け止めをお伺いします。  さきの総選挙では、自公過半数割れという歴史的な結果となりました。  この際、伺います。総理は、就任前から衆議院解散を公言、自らその必要性を唱えていた予算委員会を開催せず、否定していたはずの党利党略の批判が強い七条解散に踏み切りました。その時点で、何か国民の大事な期待を裏切り、魅力がうせたのではありませんか。一部に、発足即末期との酷評まで見られます。一連の衆議院解散・総選挙のてんまつを振り返り、御自身なりの反省や総括があれば、お聞かせください。  関連して、私は、裏金に関与した議員はそもそも議員辞職すべきという立場です。裏金に関与した議員を党公認とした判断は正しかったのか。こうした議員を推薦した連立パートナーたる公明党の判断も含め、総理並びに国交大臣にお伺いします。  再選した十二名の議員が、部会長等、党要職に起用されました。既にみそぎが済んだという御認識でしょうか。無所属で再選した議員も直ちに自民会派に入ったとか。これらを含め、判断が甘く、反省が足りないのではありませんか。総理の見解を伺います。  非公認候補に二千万円が支給された件について伺います。  まず、総理は、非公認候補党支部に公認候補同額二千万円が振り込まれた事実を知っていたのか。その判断は正しかったと今もお考えか。党支部の活動支援と称しながら、候補のいない選挙区支部になぜ振り込まれなかったのか。これらは総じて裏公認料、事実上の選挙資金とのそしりを免れない、そう断じざるを得ませんが、総理の反省と見解を伺います。  総理は、さきの党首討論において、総選挙で政策活動費支給の可能性をほのめかしました。率直にお聞きします。今般の総選挙で政策活動費は支出したのか。したとすれば、昨日分までを含め、誰に幾ら、何のために支出したのか。事実関係を伺います。  総理は、党首討論で、一連の裏金を不記載と強弁されました。単なる不記載なら、記載してください。できるものならやってみてください。書けないではありませんか。書くつもりもなければ、備えもない。それを裏金と呼ばずして何と呼ぶんですか。三月の自民党調査では明確に、裏金の招来を防げなかったと総括していることを踏まえ、発言の撤回並びに総理の答弁を求めます。  更に伺います。自民党の政治改革論点整理では、裏金相当額の二倍を党から寄附すると明記しています。なぜ二倍なんですか。何の根拠ですか。これは、個々の議員から回収するのか、党が負担するのか。税を原資とする政党交付金はこれに充てられるのか。具体的な説明を求めます。  今回明るみに出た裏金は、収支報告公開の五年分のみ。まさに氷山の一角です。率直にお聞きします。結局、この裏金づくりは、いつ誰が始めたんですか。どのような経緯ですか。途中、異を唱える声もあったようですが、なぜ、どのようにかき消されたのですか。そして、裏金は、幾ら、何に、何のために使われ、どのくらいが手元に残っているんですか。本来納税すべき額はそのうち幾らだと目されますか。  この問いに、どれか一つでも答えられますか。分かる人が自民党内に一人でもいますか。それこそが最大の問題です。注意だ、非公認だ、二倍の納付だ、全て後づけで言い訳がましく、アリバイづくりにすぎないのではありませんか。結局、真相解明がないことが最大にして根本的な問題。新たな疑惑も出始めています。改めて徹底した再調査と国民への説明責任を果たすことを求め、総理の答弁を要求します。  信任を失った政権が今後、国民生活に関わる政策の推進力を十分に得られるのか、甚だ疑問です。  党総裁選における石破公約について伺います。  総理は、総裁選で、最低賃金を二〇二〇年代に全国平均千五百円にすると掲げました。しかし、今国会での所信表明では、最低賃金を引き上げていくための対応策の策定を関係閣僚に指示したと述べたのみ。二〇二〇年代に全国平均千五百円、一体どのように実現されるのか、御自身のお考えを説明してください。  国立大学、高専の授業料無償化、学校給食の無償化も総裁選公約です。是非とも早急に実現しようではありませんか。これもトーンダウンするのか、総理の本気度を伺います。  その他、既に示された防災庁や地方経済・生活環境創生本部設置以外にも、経済、金融、市場の危機対応組織の創設、価格転嫁対策強化のため下請法改正案の提出、中央省庁の地方移転推進、住宅支援、修学旅行費の支援強化、給付型奨学金の拡充、自衛官給与の早急な引上げ、食料自給率と自給力の早急な引上げの数値目標化等々が高らかに掲げられていますが、これらは、先日の所信表明では何も触れられていません。一体どうなったんですか。今後どうなるんですか。個々に具体の説明を求めます。  過去の発言に関してお尋ねします。  まず、金融所得課税です。  総理は、総裁選において、所得が一億円を超えると所得税負担率が低下する一億円の壁問題を念頭に、金融所得課税強化を実行したいと発言されました。しかし、総理就任後、現時点で具体的に検討することは考えていないと、事実上撤回。この短期間に、どのようにお考えが変わったんですか。今後、金融所得課税適正化の可能性はあるのか、消えたのか、明確に御答弁ください。  アベノミクスについて伺います。  安倍元総理は、かつて、一ドル三百円になれば、あっという間に経済は回復すると豪語されました。円安は輸出企業の収益を押し上げる一方、激しい輸入物価の上昇が厳しく家計を圧迫しています。  温かい風が地方にも中小企業にもやがて届くと言うが、届くわけがない、うそはいけない、アベノミクスはトリクルダウン、東京が金持ちになれば地方の野菜が売れると言う安倍総理は分かっていない。これがかつての総理の言葉です。改めてお聞きします。総理は、アベノミクスをどう評価し、今後の金融政策はどこへ向かうのか、御見解をお聞きします。  消費税について伺います。  総理は、かつて、将来一〇%台後半が不可避と発言されました。私にも北欧型の福祉社会は一つの理想との思いがあります。  しかし、消費税率二〇%から二五%の欧州では、食料品ゼロ税率、水、燃料の軽減税率等により、実効税率はフランス、イギリスが九%、ドイツで一〇%、北欧ですら一二から一三%。これらを前提とすれば、少なくとも現行制度を前提に、これ以上の負担の引上げは負担水準、逆進性双方から極めて困難かつ不適切と思われますが、当時の発言の真意並びに今後の方向性をお聞きします。  専守防衛、非核三原則は見直すべきとの発言について伺います。  この間、防衛費の倍増、敵基地攻撃能力、集団的自衛権など、防衛政策の一大転換が強引に推し進められてきました。昨年のある学会で総理から、核戦争なき世界をつくるため核を持つとの驚きの発言も飛び出しました。専守防衛、非核三原則は将来に向けて堅持すべきと考えますが、いかがですか。  あわせて、総理はかねてより憲法九条二項の削除論者です。確かに、現状、国防政策の是非に加え、法的安定性という法治国家の根幹に関わる問題までが惹起されています。これらを含め、持論に沿って、在任中の改憲発議があるのかお聞きします。  いわゆる森友、加計、桜問題もなお看過できません。  森友も加計も桜も、分かったという国民は少ない、文書が改ざんされたり破棄されたり、検証のしようがない、根本的な問題、説明責任をどう果たすかだ、きちんと責任を取らなければいけない。これも総理御自身の言葉です。  与党内野党との批判を恐れず、常に正論を吐き、ついに総理に就任されました。まさに有言実行、これらの真相究明、文書の公開を断行いただきたいと思いますが、いかがですか。答弁を求めます。  旧統一教会について伺います。  自民党総裁と教団最高幹部の面談など、新事実が報じられています。従来の答弁では、これに自主的な点検をとのことですが、不十分です。第三者委員会を設置し、厳正な調査を通じて説明責任を果たすことを要求し、総理の答弁を求めます。  沖縄振興についてお尋ねします。  総理は、所信の中で、沖縄の基地負担の軽減に取り組み、沖縄振興の経済効果を十分に波及、実感できるよう、沖縄経済の強化に向け支援を継続すると表明されました。しかし、実際には沖縄への交付金は減額続きなのではありませんか。沖縄からは、見せしめ、脅しとの声まで聞こえてくる始末です。関係予算の減額撤回並びに交付水準の回復を要求し、総理の答弁を求めます。  全ての戦争は外交の失敗。実力行使に傾きがちな昨今、国会に席を預かる人間の一人として、改めてこの言葉を胸に刻みたいと思います。政治家の仕事をたった一つ挙げるとすれば、それは、戦争をしないこと、国民を戦争に巻き込まないこと。私はそう固く信じて疑いません。  混迷を極める中東情勢について伺います。  パレスチナでの戦闘が始まって一年余り、停戦と人質解放は今なお完全には実現していません。イスラエルによる国連機関への攻撃が事態を更に深刻化させています。イスラエル及びイスラム諸国と独自の関係を築いてきた日本こそが、停戦協議や国連機関の円滑な活動推進に指導力を発揮すべきと考えますが、総理の外交方針をお聞きします。  昨年及び本年、国政調査の一環として現地調査を行いました。ここから幾つかお尋ねします。  まず、離島振興についてです。  本年夏、島根県海士町をお訪ねしました。今や日本で人口減が止まっているのは象徴的には東京都と海士町、そう言っても過言ではありません。住民の二割が島外、島の高校生の五割が島外、役場職員の六割が島外。島民の士気の高さとチームワークに圧倒されました。まさに革命は辺境より来る。  振り返れば、本年亡くなられた前町長の自らの給与半減からスタートした島改革でした。これに幹部職員の給与三割減が続き、何と職員組合は自ら一割の給与削減を申し出、老人会は補助金の受取を辞退、むしろ町営バスの運賃引上げを嘆願するという耳を疑うような奇跡が連続したのです。そして、大人を含めた島留学が奨励され、新鮮な魚介類の域外輸出を含め、島の振興、発展に一丸となって取り組んでいます。  もとより、永田町も裏金や巨額の政策活動費等に自ら厳しいメスを入れることが、国民の改革マインドに火をともす唯一の着火点と考えますが、改めて年内の政治改革実現に向けた総理の決意を伺います。  加えて、もう一点。海士町を始めとした国境離島には、空路や海路の助成が行われています。今後、それ以外の内海離島に対しても、まさに航路は道路との観点から、公共交通予算の重点配分が必要と考えますが、お考えをお聞かせください。  お地元、鳥取市内の青翔開智高校を見学しました。  一組二十名前後。少人数で考え、対話し、発表、発信する力を養う教育は特筆に値し、校長先生は四十代前半。正解のない時代の教育を志すと言い切る姿に希望を感じます。  生徒は、地場産業の課題を大人たちとともに悩み、考え、解決策を模索しています。与えられる課題は、例えば、明治維新は革命に該当するかという本質的なテーマ。革命とは何か、フランス革命やイギリス革命とどう異なるのか。あるグループは明治維新を革命に該当すると結論づけ、他のグループはそうではないと結論づける。そして、その理由はかくかくしかじかと。大切なことは、両方とも正解だということです。  私たちは、たった一つの正解にいかに素早くたどり着くかを繰り返し訓練されてきました。しかし、今、今後まさに正解のない時代を生き抜くにふさわしい訓練と資質を子供たちが身につけ、育んでやらねばなりません。正解を探すどころか、むしろ問い自体を自ら立てる力、自ら調べ、考え、対話を重ねる力を教育課程で養わねばならないのです。  今後の教育に求められる基本的な指針について、総理のお考えをお聞きします。  五島列島沖の浮体式洋上風力を視察しました。  山がちな日本列島で、メガソーラーの設置は限界に近づいており、平地当たりの設置面積は既に欧州を超えたと言われています。また、深い海溝に囲まれた日本近海は、欧州のように遠浅ではなく、着床式の洋上風力を拡大する余地は限られています。となれば、深い海に浮かぶ浮体式洋上風力が最後の切り札。世界第六位とも言われる海洋面積をフル活用し、浮体式洋上風力を十分整備すれば、現在の供給電力の二倍以上を自国生産できるとの試算もあります。  これは、もはや民間企業が採算を気にしながら進める類いの話ではなく、かつて国家が鉄道を敷設し、郵便を整備し、電信電話網を整えたと同様、国策として大規模に進めるべき国家プロジェクトではありませんか。総理の見解を伺います。  関連して、二〇三五年までの温室効果ガス削減目標は、二〇一三年比六〇%減にとどまるとの報道が散見されます。これは事実でしょうか。これまでの国際合意等に照らせば、そして、現在の温暖化の深刻化、国際社会に占めるべき日本の地位と責任に照らせば、更に野心的な目標設定が必須ではありませんか。総理のお考えをお聞きします。  昨年夏、スウェーデンの老人ホームと労働組合を訪問しました。  スウェーデンの老人ホームは、収入と資産に合わせ月額何と一万円台から入居でき、そこで働く介護従事者には全産業平均同等の賃金が支払われているとのこと。私は聞きました、この国に介護離職という言葉はあるのかと。聞いたことがない、明確な答えでした。  今後、更に莫大な介護需要が発生する我が国こそ、国策として、スウェーデン並みの施設整備、抜本的な対策を講じるべきと考えますが、総理の答弁を求めます。  スウェーデンの労働組合には全労働者の七割が参加しています。中央での賃上げ交渉は国の隅々まで拡張適用され、まさに同一労働同一賃金が担保されています。日本の労働組合の加盟率は、いまだ一六%。集団的労使関係の枠外に置かれる労働者の増加は国家的な課題です。この点、スウェーデンでは労組が企業経営や雇用政策に参画する仕組みが整えられており、口先だけで賃上げを迫るより、はるかに実効性があると考えます。  今後、中小零細、非正規の方々を含め、抜本的に労働基本権を確保し底上げする法的、制度的環境整備について、総理のお考えをお聞きします。  さて、ネット選挙解禁から十年余り。さきの東京都知事選、衆院選、そして兵庫知事選、名古屋市長選等、ネットの影響力がいよいよ決定的なものとなったことを痛感しています。  考えてみれば、既にショッピングも、仕事も、家探しも、人との出会いも、さらには結婚までが、ネットが主流ないし大きなウェートを占めており、政治だけがそうならないはずがないということかもしれません。  一方、長年の商取引等に比べると、政治空間のネット活用は、まだまだユーザーの経験やリテラシーが十分とは思えません。通常厳しく規制される虚偽表示、誇大広告対策も不十分。加えて、有料での動画投稿募集、広告、さらに、視聴回数に応じて投稿者がお金を得る仕組み等が政治空間の言説にどのようなバイアスを加えているのか。今後、ネット上の言論を健全な民主主義の発展につなげていくために、新たな努力と試行錯誤が求められます。自民党総務会長は、この点、法規制の可能性に言及されましたが、総理の見解を求めます。  関連して、同一党派による候補者の大量擁立、ポスター掲示枠の事実上の金銭売買、自らの当選でなく他者を応援するための立候補など、これまで法が予期していなかった事態が頻発しています。本来、法が予定しない、ある種社会規範によって抑止されてきた揺さぶり、法の間隙を縫う行為は、今後、民主主義を育むのか、廃れさせるのか、大いに危機感を感じています。この点についても総理の見解を伺います。  あわせて、そもそも、こうした従来考えられなかった行為が容認、黙認、場合によっては歓迎される社会的風潮は一体どこから生じているのか。その背景に迫る総理の御見識を伺います。  現在、国の内外において政治、社会情勢が極めて不安定化し、流動化しています。民主主義も危機にあると言ってよいでしょう。なぜ、多くの国々で、人々は不満や不安を募らせ、憤りを深めているのか。私には、国内外における格差と貧困の拡大、社会的疎外、これらが深刻化していることが最大の要因、そう思えてなりません。様々な格差指数が既に第二次世界大戦前夜に近づいていることは、多くの関心を集めるところです。  こうした事態がもたらす閉塞感、不公平感、不平等感が、人々を絶望させ、将来への展望を失わしめている。場合によっては、社会への憎悪を募らせ、ある種の破壊衝動を抱かせてしまっている。それが社会不安の増長、増幅、政治不安と密接に関連している。この点、総理はどうお考えか、御見解をお聞かせください。  格差や貧困の拡大に関連して、これに直結する経済の低迷、人口減や高齢化に関しては、残念ながら、我が国は世界のトップランナーです。昭和の時代、日本の人口は毎年百万人程度増加していました。令和の今、毎年百万人近くの人口減少に転じ、これが今後数十年続きます。  高齢化率は、昭和の時代が五%、今三〇%、やがて四〇%の時代に突入します。少子化の進行も著しく、戦後の団塊世代は年間二百五十万人、我々団塊ジュニア世代は年間二百万人、今生まれてくる赤ん坊は年間僅かに七十万人。この超高齢化と超少子化の同時進行が、日本の人口構成を激変、逆転させています。まさに昭和の正三角形から令和の逆三角形へ。その激しい変化の中、日本の社会保障制度が根底から揺さぶられているのです。  しかし、この重大な構造変化に正面から向き合わず、だましだまし、継ぎはぎで対応してきたツケ、矛盾が、この国の莫大な財政赤字の正体ではありませんか。この点、総理の御見解を伺います。  積み上がった莫大な財政赤字が今度は金融政策のおもしとなり、国際市場で円はたたき売られました。アベノミクス前の一ドル七十円台から、今や一ドル百五十円、六十円。その価値は半減したのです。その安くなった円で、今なお食料の七割、エネルギーの九割近くを輸入していることが物価上昇の主たる要因。この点も併せて総理の見解をお聞きします。  なぜこの国はもっと本気で農林水産業を支援してこなかったのか。食料の国産化に必死になってこなかったのか。なぜもっと本気で再エネを中心としたエネルギーの国産化に努めてこなかったのか。安くなった円で国際的に高くなった食料とエネルギーを買い続けているわけですから、物価が上がるのは当然ではありませんか。  もちろん、物価上昇は日本だけではありません。アメリカでもヨーロッパでも物価は上昇しています。しかし、海の向こうでは、物価が上がるスピード以上に賃金や年金が上がっているではありませんか。なぜこの国ではそうならないのか。総理の根本的な御認識をお聞かせください。  この三十年、日本では圧倒的に非正規雇用を拡大してきました。象徴の一つが派遣労働です。昭和の時代、多くの人々が正社員だった頃、それでも認められていた派遣労働は通訳や速記など、まさに特殊技能労働にのみ認められる例外でした。しかし、その後、小泉、安倍政権の下、一体誰の声を聞いたのか、どなたの利害をおもんぱかったのか、やがて製造現場からサービス業まで、ほとんど全ての仕事に派遣労働が拡大されたのです。  今や働く人々の四割は非正規。女性は更に深刻です。こうして働く人々のいわばバーゲニングパワーを奪っておきながら、口先だけで賃上げしろと言うこと自体が随分むなしく、かつ不誠実、無責任と感じますが、総理、いかがですか。  人口減、高齢化、社会保障の綻び、莫大な財政赤字、金融政策は可動域を失い、円はたたき売られ、それでも海外から輸入せざるを得ない食料とエネルギー、そして、物価は上がるが労働市場が弱体化し、賃金と年金は下がり続ける。これこそが、これこそが失われた三十年の正体ではありませんか。総理に反論があればお聞かせください。  これら全てを逆流、逆回転させる政治を手にしなければ、今後、更に社会は行き詰まり、混迷を深め、人々は絶望と憎悪、相互不信、そして破壊衝動を抱き、やがては戦争や革命に至ることすら否定し切れない。そういう極めて不安定かつ不穏当な時代に入ったとの認識が必要ではありませんか。総理、いかがですか。  かつて、作家の司馬遼太郎氏は作品の中で、法の支配は豊かさと平和を前提とすると記しました。まさに民主制も平和と豊かさを前提とし、民主制は平和と豊かさが保たれる限りにおいて存立し、その崩壊と同時に崩れる。こうした緊張感を持つべき時代なのではないかと思います。  かつて、若者の国民年金保険料は月額百円でした。今、一万七千円近く。厚生年金保険料は、当時、収入の三%。今は一八%。健康保険と合わせて三〇%。これを労使折半しています。現役世代の負担は極めて重く、企業は正社員の雇用を控えるようになりました。今、若者はかつての何倍もの重い負担に耐え、しかし、それでも財源は不足し、莫大な財政赤字が垂れ流され、この国の持続可能性が崩壊しています。それでも歯を食いしばって、この重い負担に耐え続け、不安と闘いながら生きているのが現実です。  ここであえて指摘したいことがあります。この現役世代の重く厚い負担は、誰一人、自分の親、自分の祖父母のためだけに耐えている人は一人もいないというシンプルな事実です。いわば全親世代、全祖父母世代のために、若者はその厚く重い負担に耐え続けています。  こうして辛うじて維持されてきた社会保障制度を前提に、今度は形成された資産の多くを高齢者の諸先輩方が保有されています。そして、やがてその保有資産の多くは、今度は、決して次世代全体ではなく、自分の子に引き継がれていくのです。この負担と受益の相関関係は果たしてフェアなものと言えるか。不条理ではないのか。これは持続可能か。この点、是非、総理のお考えをお聞かせください。  特に、人口減の中、毎年の死亡者数、相続財産総額は増加の一途です。しかし、そのうち全次世代に還元されるのは僅かに数%。仮にもう数%、全次世代に還元されれば、直ちに全国の国公立大学を無償化し、私立大学の授業料を半減させることができるでしょう。もう数%で若者に月額十万円程度、返済不要な奨学金を支給することができます。  もう数%で今度は抜本的に農林水産業を支援し、食料の国産化、輸入依存からの脱却を図れる可能性があり、さらに、もう数%で本格的に再エネを導入すれば、やがてエネルギー自給国となり、気候変動対策に十分な成果を上げることも夢ではありません。これは、毎年三十兆円分もの輸入化石燃料を不要とし、流出する国富を国内で循環させることを意味します。加えて、もう数%で、今度は若者ばかりでなく、なお将来不安におびえる高齢者の皆様に、スウェーデン並みの安価で充実した老人ホームを用意することができるでしょう。  昨年、私は、党税制調査会長として、資産格差が拡大、固定化している現状に鑑み、税率構造や非課税措置の見直し等により、相続税、贈与税の累進性を高めるとの党方針を取りまとめました。  今後、超高齢化、人口減少時代を生き抜くために、いわば資産の一部を全ての若者に、財産の一部を全次世代へ、そして同世代内の助け合いへ。これこそが、この超高齢化、超少子化時代を生き抜く、恐らくは唯一にして最大の活路となる、私はそう確信します。総理にお考えがあればお聞きします。  今、複数の壁の議論がなされており、どれも重要な論点です。しかし、加えてもう一歩、今の政治に本来求められるものがあるとすれば、こうした各論、個別論を束ねる全体構想ではないでしょうか。トータルの将来ビジョンであり、国家のグランドデザインです。社会を再設計し、全体観のある国家構想を描く、それこそが、今、本来政治に求められる本来の機能だと思いますが、総理、いかがですか。  そして、このトータルの改革は、やがて日本を世界に冠たるモデル国家として、国際社会で光輝かせることにつながるでしょう。韓国は既に三年前から人口減、中国も二年前から人口減。やがて世界のあらゆる国々が、日本が苦しんできた超高齢化と人口減にいや応なく直面し、例外なく悶絶することになります。日本こそが世界に先駆けて変貌を遂げるべきです。世界に冠たるモデル国家として、課題先進国がいつしか世界最先端のソリューション国家となる。混迷する世界に貢献し、世界をリードするのです。  立憲民主党は、こうした全体構想を描き、引っ張る、まさに改革の旗手とならねばなりません。新たな社会モデル、国家構想を描き、グランドデザインを示す。国中に満ちあふれる閉塞感を打破し、不安を払拭し、互いの信頼を基調とした持続可能な社会の再設計、再構築に向け、その改革の先頭に立つのです。この難しい時代だからこその国民の願い、そして希望に、正面から応えようではありませんか。  やがて次世代にこの社会を、自信を持って、誇りを持って、胸を張って堂々と引き継ぐ、引き渡す、それこそが私の政治家としての夢であり願いでもある、そのことを強く訴え、高らかに宣言し、質問を終わります。  御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕

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