○浅田均君 日本維新の会、浅田均でございます。
私は、会派を代表して、総理に質問いたします。
さきの衆院総選挙で示された民意は、衆議院において少数与党という政治状況を生み出しました。この政治状況が国会に問いかけるもの、それは、国会は今や政府の下請機関ではないかとやゆされていたこれまでの状況を真摯に受け止め、国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関であるとうたう憲法第四十一条を体現する国会本来の姿に立ち戻れということではないでしょうか。
日本維新の会は、さきの衆院選で、与党による事前審査制度の見直し、閣法質疑、一般質疑の順で行われる委員会審議の慣習を改め、議員立法の活性化を図る等の公約を掲げましたが、国会を国権の最高機関たらしめるため、これからの国会運営で他党の皆様方と協調、協力し、衆院総選挙で示された民意に応え、熟慮の、熟議の府としての参議院構築に尽力したいと思います。
それでは、質問に入ります。
政治改革について質問します。
いわゆる裏金疑惑の解明はいまだ道半ばです。これまで参議院の政治倫理審査会に三名が出席しましたが、疑問は何一つ解決、解消していません。
春の政倫審以降に開かれた安倍派会計責任者の裁判で、一旦中止が決まった還流の復活は幹部会合で決まったとの証言があり、それまでの政倫審での発言と食い違いが生じたのに、再調査すらされていません。
先月二十八日の報道によれば、二十七名の議員が政倫審への出席の意向を示しているとされています。これは偶然とは思われません。何らかの力が働いたと思わざるを得ないのです。仮に三月の政倫審同様、いわゆる裏金と言われるお金の発生の経緯に関する事実が解明されなければ、何人出席しても時間と労力の無駄です。
疑惑発覚から一年が経過しました。総理は、政倫審に出席意向の二十七人の議員に対し、再調査を行い、新事実が存在するのか確認しましたか。していないのであれば、なぜですか。速やかに実施するべきではないですか。
総理は、さきの総選挙で、衆議院の政倫審に出席していなかった議員を非公認とする処分を下しましたが、参議院の政倫審に出席しなかった議員についても来年の参議院で同様の扱いにするという認識でよろしいでしょうか。また、出席するだけで事実解明もされない、単なる来年の参院選の公認をもらうためのセレモニーにしてはいけないと思いませんか。
政治改革の大きな柱の一つは、企業・団体献金の禁止です。
企業、団体からの多額の献金が政策決定をゆがめ得る弊害については、かねてから指摘されてきました。自民党は、一九八九年の政治改革大綱の中で、政治家個人又はその政治団体に対する寄附は、情実や直接の利害が絡む場合があることを認めながら、自由主義経済において法人などの団体が重要な役割を担っていること等を理由に、企業・団体献金の廃止を見送りました。
しかし、一九九五年に政党助成金制度が与野党合意で開始された際には、企業・団体献金の廃止とセットで行われることが前提となったはずです。にもかかわらず、企業・団体献金は、政党が受け取ることは例外的に認めるとする抜け穴によって、政党支部が雨後のタケノコのように設立され、実質的に議員本人が手にするという以前と変わらぬ運用がなされています。
改めて伺います。
政党交付金を受け取る一方、企業・団体献金や企業、団体のパーティー券購入を禁止しない理由は何ですか。情実や直接の利害が絡む場合はありませんか。お答えください。
政策活動費の廃止や調査研究広報滞在費、いわゆる旧文通費の使途公開と残金返納については、もはや表向き反対している政党はありません。特に旧文通費の改革については、今国会で歳費法等の改正を目指す方向となっています。ゴールを定めて合意に至ったことは大きな前進ですが、なおも予断は許されません。
総理には、一、政治資金規正法を再改正し、政策活動費の抜け穴なしに廃止すること、二、歳費法を改正し、旧文通費問題の決着を今国会で職を賭してでも実現させる覚悟を示してください。
今般のいわゆる裏金問題では、自民党は党として派閥のパーティー券問題に対し何ら説明責任を果たせない実態が明白になりました。そもそもこの問題の根源には、政党の組織や運営に関して法で規律付けがなされていないことがあります。
自民党の派閥が外形的に党内組織でありながら、党と別の組織であるという言い分がまかり通っているのも、政党の定義が明確でないことに起因すると考えますが、見解を伺います。
民間企業では、会社法によって整備すべき内部体制が事細かに定められています。しかし、政党は、巨額の政党交付金を税金から受け取りながら、法で公的な組織と位置付けられておらず、従うべき組織や運営のルールも存在しないままであることは適切ではありません。
政党の目的や必要な内部組織規程などを備えた政党法を策定し、公党にふさわしい政党ガバナンスを確立すべきではありませんか。
次に、経済政策について質問します。
所信表明演説では、経済の活力を取り戻す賃上げと投資が牽引する成長型経済へ移行するという考え方が示されました。この賃上げと投資が牽引する成長型経済という考え方に関し、以下四つの質問にお答えください。
一、二〇二四年三月に日銀の異次元緩和は解除され、金利のある世界に戻りました。これから金利はプラス。プラス方向で、しかも値は大きくなります。つまり、投資抑制圧力が強くなる中で、どうして企業に投資してもらい、経済の成長につなげるのか、そのメカニズムをお示しください。
二、物価上昇を上回る賃上げ。物価が上がり続けたら賃金も上がり続ける必要があります。これがずっと続けば、私の尊敬する同僚が唱えるハイパーインフレが起きます。どこでこの循環を止めますか。どのようにして止めますか。
三、ハイパーインフレが起きないようにするには利子率を上げる必要があります。ところが、利子率が上がると投資が抑制される。すなわち、賃上げと投資は両立しないのであります。したがって、賃上げと投資が成長を牽引することはあり得ません。この点をどうお考えでしょうか。
四番目、日銀の当座預金残高は約五百六十兆円まで膨らんでいます。これを平時の三十兆円に戻すには十年掛かるという試算もあります。日銀がこれから十年間、新たな国債買入れを止める場合、日銀に代わって誰が国債市場に資金供給するとお考えでしょうか。
日銀によると、本年第二・四半期のGDPギャップはマイナス〇・六%で、金額にすると年四兆円程度。総務省が算出した本年十月のコアCPIは前年比二・三%であり、外形的には三十九兆円規模にもなる補正予算が必要な状況には思えません。政府は足下の経済状況をどう評価していますか。また、なぜ今般の補正予算がこの規模で必要なのか、合理的な理由を教えてください。
政府は、経済対策の中で、いわゆる年収の壁対策として、基礎控除等を令和七年度税制改正の中で議論し引き上げることとしましたが、自治体からは、地方財源に大きな穴が空くとして強く反対する声が噴出しております。
そもそも百三万円の壁は課税のスタートラインであり、壁ではありません。一方で、壁を引き上げることによる地方全体の減収は四兆円と言われています。全国の住民サービスのレベルを維持させるために、財源不足分を地方の臨時財政対策債で肩代わりしたり、国債で財源調達するならば、結局、負担の先送りにほかなりません。
百三万円の壁を一気に百七十八万円まで引き上げることは、現役世代から将来世代への負担の先送りではありませんか。見解をお聞かせください。
年収の壁の議論の入口に立ち戻り、手取りの減少を埋めることに着目すると、百三万円の壁は壁ではなく、問題の核心は百六万円や百三十万円の社会保険の壁であることは明白です。
なぜ社会保険は、壁を越えたその時点から一挙に多額の保険料が課されるのでしょうか。マイナンバーを活用することで保険料と税、給付を組み合わせ、これら全体として年収の壁を生まない制度を実現することが考えられますが、見解をお聞かせください。
次に、在職老齢年金制度について質問します。
働いても年金が減らない、働く高齢者の厚生年金減額の基準額の引上げは、高齢者の働く意欲を高めるために必要な改正だと考えます。ただし、制度を見直すことにより、将来、年金を受け取る人の給付水準が下がれば公平ではありません。制度見直しにより不足する将来世代への給付分をGPIFの運用益で穴埋めすることを考えませんか。総理の見解を求めます。
東京二十三区では、この十年でファミリー向け中古マンションの相場が約二倍に達しました。現行の消費者物価指数ではこの現象が捉え切れません。消費者物価指数に含まれるのは持家を自分で借り上げたと想定して算出した帰属家賃であり、不動産価格の実態を含めて考えると、QOL、クオリティー・オブ・ライフ、生活の質の低下は実際の物価上昇二%どころではないと思われます。総理はどのようにお考えでしょうか。
物価が上がるということは貨幣価値が下がるのと同義です。都内のマンション価格が十年前に五千万円だったものが今は一億円。十年前に五千万円持っていたら買えたマンションが今は買えません。十年間ほとんど利息も付かないので、現金五千万円は五千万円のまま。円価は半分の二千五百万円に下がったということです。
いまだにデフレ脱却などと寝ぼけたことを言う人がいます。今起きているのはインフレです。インフレであり、クオリティー・オブ・ライフの低下です。過剰なインフレを収拾するためには金利を上げる必要があります。一方で、十年間にわたる異次元の金融緩和で日銀保有の国債残高は約五百八十五兆円まで膨れ上がっており、ばらまき続けた円を回収しないことには、金利を上げれば日銀が莫大な評価損を抱え、円の信認に影響を与える事態も想定されます。金利上昇は不動産購入の約七割を占める変動金利型住宅ローンに波及し、現役世代の可処分所得が減少します。
金利を上げなければ日本経済がもたず、金利を上げても日銀と国民生活がもちません。政府として、この状況にどう対処するお考えですか。
総理が力を入れておられる地方創生について伺います。
会計検査院は令和三年度決算検査報告で、地方創生臨時交付金を活用した商品券の前払金が商工会などに滞留したりして十分に活用されなかった事例を明らかにしており、メディアでは本交付金を利用した公用車の購入や着ぐるみの作成などの事例も着目されました。この十年における地方の人口減や若者、女性の流出に鑑みて、今までどおり国から交付金を支給する方法で地方創生の目的が達成できるとお考えでしょうか。
国が交付金をばらまけば、地方の側も不要不急の支出を取りやめるインセンティブは希薄になります。このような手法によって地方が中央の補助金に依存すれば、自治が骨抜きになります。
地方は統治の仕組みを変えることによって成長の原資を生み出すことができます。大阪府と大阪市は共同で副首都推進局を設置し、大阪の成長や発展に取り組んできました。その結果、令和五年度の大阪市の市税収入は、固定資産税等の伸びにより八千四十四億円と、二年連続で過去最高を記録しています。
地方創生の名の下に国が交付金を配るのはやめ、改革によって無駄を削減し、自主財源で地方が新規事業を実施できるよう国がサポートすべきではありませんか。
国は、地方に範を垂れるべく率先して無駄を省き、歳出削減をすべきです。米国においても、トランプ次期政権で連邦政府の歳出三割削減が目指されています。
会計検査院による令和四年度補正予算の調査では、歳出追加額が計上されている予算科目千二百八十五目のうち半数以上で、補正予算で追加した額若しくはそれを超える額が翌年度に繰り越されていました。補正予算の約四割以上が無駄だったとも取れる状況です。毎年の恒例行事と化している経済対策が正当性が疑われる状況にあることをどうお考えでしょうか。
金利の上昇により財政余力が失われる中、一般会計全体で例外のない予算削減の数値目標を設定、実行し、コロナ禍で過剰に膨張した予算を正常化するべきではありませんか。
地方再生に本気で取り組むのなら、農業、農村の課題は避けて通れません。税金からの補助金がないと生き残れないような農業のままでは、若者にとっては魅力がなく、地方での人口定着は望めません。
農業を成長産業に転換することは急務です。その要となるのは、主食であり主要作物として自給率の高い米であることは間違いありません。
しかし、その米は需要が減ったことを理由に生産が抑制され、事実上の減反も続いています。水田を畑地化あるいは他の用途に転換すれば、二度と米を作ることはできなくなります。食料安全保障の観点からも大問題です。
米の商品価値を高め、需要拡大を図るために、気候変動に強く、おいしい米への品種改良の促進とともに、米粉、パック御飯、日本酒など、米を原料にした商品の開発と普及に政府が一層の支援をすべきと思いますが、いかがですか。米の海外輸出を促進するために総理が先頭に立ってトップセールスを展開すべきだと思いますが、お考えの具体的な輸出促進策をお示しください。
米の商品としての魅力を高めるために、米の先物市場の活用が重要です。今年八月、大阪の堂島取引所が米の先物取引を開始しました。先物市場が活況となれば、米価格の指標ができ、価格が安定化することや、米の安定供給も期待できます。生産者にとっては、収穫前に利益が予測できることは魅力です。
米の先物市場の活用について、どのような効果を期待していますか。先物市場はまだ参加者が少ない状況ですが、これからどのように発展していくとお考えですか。併せて見解を伺います。
若者が意欲を持って農業の担い手となるようにするためには、これまでの常識にとらわれず、新しいことをどんどん取り入れていく必要があります。
農業には農繁期と農閑期があり、工業や商業、サービス業でもシーズンによって忙しさが違います。農繁期には農作業、農閑期には別の仕事というような人材活用もできるようにすべきです。
まさに地方創生のためにも、農家又は食品会社にだけ農地所有を認めるという現在の岩盤規制を取り払い、農業、食品以外の他産業の株式会社等も農地を所有し農業に参入できる改革が必要だと考えますが、所見を求めます。
企業による農地取得しかり、日本経済を力強く成長させていくためには、大胆な規制改革を断行し、生産性を高めることが不可欠です。
しかし、自民党政権がこれまで実施してきたのは、特定の産業や企業に多額の補助金を注ぐばらまき型の、極めて非生産的で長期的な視点を欠いた政策でした。
ライドシェアの全面解禁は、規制改革の重要なテーマです。
移動の足の確保という社会の要請に対し、政府は日本版ライドシェアなる制度を導入しました。その中身はタクシー業界に過剰に配慮した制約が多く、本来のライドシェアとは懸け離れた仕組みとなっています。
大阪・関西万博まであと百五十日を切りました。開催期間中、国内外から約二千八百二十万人もの来場者が万博会場に訪れることが見込まれており、円滑な移動の実現と近隣地域の社会経済活動を支える人流や物流への影響を最小化することは喫緊の課題です。日本版ライドシェアなる小手先の対応ではなく、世界の英知が集まる万博の名にふさわしい真のライドシェアの実現に向けてかじを切るお考えはないでしょうか。
国民の命を支える医療分野でも改革が求められています。
マイナ保険証の導入は医療DXの入口です。しかし、マイナンバーカード保有者は七五・七%、マイナ保険証の登録はカード所有者の八二・〇%で、国民の六割にすぎず、医療DXの実現に向けて大きな課題となっております。
政府は、医療情報を医療機関や薬局で共有することにより、切れ目なく、より質の高い医療の効率的な提供を図るとしていますが、肝腎の医療機関への電子カルテの導入は進んでおりません。
医療DXを促進するために政府が予算を確保し、責任を持って全医療機関へ標準型電子カルテシステムの導入を進めるべきと考えますが、見解を求めます。
最後に、外交・安全保障問題について伺います。
ウクライナ侵略を続けるロシアと、これを支持してきた北朝鮮の軍事協力が急速に進んでいます。北朝鮮はロシアに一万人以上の兵士を派遣し、ウクライナへの第二の侵略国となりました。ロシアは見返りとして、防空システムや対空ミサイルなどの軍事兵器供与に踏み切りました。
先月、ロシアは、核使用基準を緩和した上、極超音速で飛ぶ核弾頭搭載可能な新型中距離弾道ミサイルでウクライナ領内を攻撃し、全世界に向けての核による威嚇を強めています。両国の暴挙は断じて許せません。
ロ朝両国は、六月、有事の際の相互軍事援助を定めた包括的戦略パートナーシップ条約を締結し、先月、批准手続を終えました。日本を取り巻く安全保障環境は戦後最悪とされる中、共に日本の隣で核を持つ独裁専制国家が二十八年ぶりに軍事同盟を復活させたことは、更に日本を含む東アジアの安保環境に深刻な脅威を与えています。
ロシア軍が朝鮮半島に駐留し、日本と対峙する事態も否定できません。ロシアからの技術支援によって北朝鮮のミサイル発射精度が飛躍的に進化している点も見過ごせません。
このように、日本の安全保障環境は、岸田前政権が国家安全保障戦略など戦略三文書を決定した時点より明確に悪化し、局面が変わったと考えます。総理はどのように認識されていますか。
増大するロ朝軍事同盟の脅威に日本は具体的にどのように対抗し、抑止力を強化していく考えですか。日本は中国を念頭に防衛態勢を北方から南西へシフトを進めていますが、いずれも核を持つ中国、ロシア、北朝鮮の三正面で対処すべく、改めて北方にも重点配備する必要性が出てきたのではないですか。
防衛力整備計画で決定された九年度までの五年間の防衛費四十三兆円計画は、一ドル百八円の前提で策定されたもので、その後の急激な円安の影響で相当額が事実上消失しています。
想定外に目減りした防衛費を埋め合わせることなく、現行の戦略三文書の内容を遅滞なく着実に履行することは可能なのでしょうか。戦略三文書、なかんずく防衛力整備計画を見直し、令和八年度から新たな五か年計画を策定することを検討すべきではないですか。
以上、総理の率直な答弁を求めます。
日本維新の会は、一昨日、吉村大阪知事を代表、前原衆議院議員を共同代表とする新体制を発足させました。これからも、これまでの政治になかった視点から我が国の閉塞状況に風穴を空け、未来を切り開いていくことをお約束し、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕
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