○船田委員 自由民主党の船田元であります。
自由民主党を代表して、意見を述べたいと思います。
まず、今国会最初の審査会が円満に開催されたことにつきましては、枝野会長、武正筆頭幹事を始め各会派の先生方の御尽力でありまして、感謝を申し上げたいと思います。
最初に、これまでの経緯を簡単に振り返りますと、審査会では、新型コロナの蔓延やロシアによるウクライナ侵略などを受けまして、緊急時においても国会機能を維持しなければならない、こういう観点から議論が開始をされました。
そして、令和四年以降毎週のように審査会を開催する中で、オンライン審議の議論を契機に緊急事態全般に議論が進展をし、参考人質疑あるいは二回にわたる論点整理が行われるなど、慎重かつ着実に議論が積み重ねられてきたと思います。
その結果、選挙困難事態における選挙期日、議員任期の特例と前議員の職務権限行使については、自民、公明、維新、国民、有志の五会派においてほぼ合意を得るに至っております。
我々と異なる考え方を持つ先生方との討議の中で論点が明確化し、議論がより深まったという点も少なくございません。このように濃密な議論を経て丁寧に積み上げてきた成果を無視することなく、国民の幅広い理解を得て、憲法改正原案の条文起草につなげたいと考えております。
なお、選挙困難事態の立法事実を検証するという本日のテーマの設定は、これまでの議論の積み重ねを踏まえたものでありまして、これにより論点が一層整理されるものと期待をしています。
今回のテーマに関し、最も意見の対立があるのは、選挙の実施に支障がある選挙区の割合が一体どれぐらいであれば選挙困難事態と言えるのかという点であります。
本日配付されている資料によりますと、例えば東日本大震災では、衆議院では定数四百六十五名のうち六十九名、これは全体の約一四・八%に影響があるとされており、少なくとも東日本大震災については該当すると考えております。
一方、三分の一の定足数、これは憲法五十六条一項に定められておりますが、この定足数を満たせば、国会を召集しても審議をし議決をすることが可能であることから、仮に選挙困難事態が発生をしても、予定どおり選挙を実施した上で、被災地では困難が解消され次第順次繰延べ投票で実施をすればよい、その方が選挙権の保障という要請にかなうという主張があることも承知をしております。
しかし、これでは、被災地域選出の議員がいない状態、いわば地域が偏った状態で選出された衆議院が誕生することになってしまいます。多様な民意、そしてとりわけ被災地の声が十分に反映されているとは言えません。
また、現職の総理大臣の選挙区が被災地だった場合、総選挙後の特別会では異なる総理を指名せざるを得ませんが、災害対応や復旧復興に全力を注ぐべき重要な局面で、円滑な行政活動の遂行に支障が出るということも考えられます。
そして、三分の一ほどだけで衆議院として災害関連の法案や予算の審議を行う中で、一人また一人などと、ぽつりぽつりと選出議員が増えていって、東日本大震災のシミュレーションでは、発災から約八か月、本来の選挙日からでも約七か月後にようやく、同一の選挙から選ばれた議員が顔をそろえるということになるわけです。
これでは、万全な体制で緊急事態対応を行うということができないとともに、このような状態は選挙の一体性を欠く、つまり、一定の時点の民意に基づいて同じ選挙で選ばれたものではなく、適正な選挙とは言えないと考えられます。このことは、机上で論理を組み立てる学者ではなく、実際に選挙を戦い抜き、民意に支えられた我々だからこそ分かることであり、我々の肌感覚として直感できるものではないかと思います。
また、繰延べ投票は、あくまでも狭い範囲で短期間選挙を延期するものにすぎず、我々が想定しているような影響が広範かつ長期にわたる大規模災害には対応できないと言わざるを得ません。
そもそも、繰延べ投票は、既に選挙期日の公示が行われていることが前提とされており、そろそろ任期満了を迎えるといった段階で大災害が発生したようなケースには繰延べ投票は適用できません。こうした場合にもあえて繰延べ投票を活用するとすれば、ダミーの選挙期日を公示するということになるかもしれませんが、このような選挙、繰延べ投票の在り方は本来の制度趣旨にかなうものではないと思います。
さらに、投票行動への影響も無視できません。既に被災地以外の選挙結果が出ていることから、繰延べ投票に当たっては、その結果を踏まえて投票が行われることが懸念されます。広範囲かつ長期にわたる選挙困難事態ではその影響は甚大なものとなり、本来の期日に全ての選挙が行われていた場合と比較して異なる結果になることも十分あり得ると考えられます。
一方、当初の選挙の結果が僅差だった場合は、当落線上にある候補者の選挙運動が混乱することも予想されます。実際に、昭和四十九年の参議院全国区における繰延べ投票の例では、災害の復興作業中にもかかわらず、この災害は三重県の伊勢市を中心とした水害と聞いております、その作業中にもかかわらず、当落線上の候補者が一斉に被災地で選挙運動を始めたことで大いに混乱を来したという記録もございます。
なお、災害に強い選挙環境というお話もありますが、これは確かに重要であります。しかし、想定を超える大災害が起きることもまた事実であって、実際、我々はこれを何度も未曽有の災害として経験をしてきたわけであります。
以上のことを踏まえますと、選挙困難事態に関する立法事実は十分に存在すると言え、万が一の場合に備えるためにも、選挙期日、議員任期特例の制度を創設し、どのような事態にあっても国会機能を維持できる仕組みを整えていくべきである、このように考えております。
今後、より議論を深めた上で、憲法改正の実現に向けて是非次のステップに進んでいきたい、このように考えております。
以上であります。
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