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阿部圭史 ·日本維新の会

衆議院憲法審査会(2025-03-27)での発言

第217回国会 ·第第2号号 ·2,619字
○阿部(圭)委員 日本維新の会の阿部圭史です。  先ほど橘法制局長の御説明の中で非常に重要な点がございまして、制定経緯だと思っております。  明治維新以来、我が国は、フランスやドイツで採用されているような大陸法的な考え方を採用しています。一方、大東亜戦争後の占領軍であった米国は英米法を採用する国です。大陸法と英米法は根本的に異なります。  戦後の憲法改正議論の中で、大陸法的な考え方を採用する我が国は、当初、GHQに提出した憲法草案第七十六条には、戦前の旧憲法と同様に、緊急時には立法や予算の権限を国会から内閣に移すことを明記することとしておりました。一方、英米法的考え方を採用する米国、GHQは、緊急事態における国家の対応権限については、明文上の規定がなくとも不文の原理として認められるとの見解で対処するよう我が国政府に促したことで、結果として、憲法草案第七十六条の日本国憲法への導入は見送られたという経緯がございます。  しかし、当時の我が国政府は、自然災害が多い国情を考慮すると、不測の災害に対する措置は必要であるとGHQに訴え、ある意味妥協の産物として、日本国憲法では五十四条二項に参議院の緊急集会が定められたわけです。制定経緯からすれば、五十四条二項の定める「国に緊急の必要があるとき」とは、自然災害について述べていることが分かります。  先ほどの橘法制局長の説明の中で、参議院の緊急集会の射程に関する論点が五つございました。これらについては、これまで多くの時間を割いて議論をされてきたものであり、論点は出尽くしているというふうにも考えられます。例えば、国会議員の任期延長は合意形成に最も近づいているテーマだと思います。その議論をいつまで繰り返すのでしょうか。前回の本審査会で我が党の馬場伸幸衆議院議員が述べたとおり、壊れたテープレコーダーのごとく議論を繰り返す意義は見出せないというのが実際のところであります。  その上で、私から改めて二点述べたいと思います。  一つ目。日本国憲法の制定経緯を見れば、参議院の緊急集会はあくまで自然災害しか想定していないことは明白だと思います。  一方、我が国が直面する脅威は自然災害だけではありません。  先日の三月二十日には、オウム真理教による地下鉄サリン事件から三十年を迎えました。将来、このような、首都東京の国家中枢で大規模テロがないとは限りません。  武力攻撃事態については、例えば台湾有事について、台湾国防部は、中国人民解放軍による攻撃を想定した台湾軍の軍事演習、漢光演習について、立法院に説明するために今月十八日に出した文書の中で、中国による侵略の可能性がある年を二〇二七年であると言及したという報道もございます。  感染症の蔓延については、感染症危機管理に私自身長年携わってきた人間として申し上げれば、COVID―19よりも病原性及び感染性がはるかに高い感染症が蔓延し、社会機能が停止することはあり得ます。  このような状況に鑑み、二〇二三年六月に日本維新の会と国民民主党、有志の会の三会派がまとめた、国会議員の任期延長その他の国会機能維持に関する緊急事態条項の改正条文案では、緊急事態として五類型を定めています。武力攻撃、テロ・内乱、自然災害、感染症の蔓延、これらに匹敵する緊急事態の五つです。方向性は、自民、公明両党と大きな違いはございません。自然災害しか想定されていない現憲法の参議院の緊急集会では国民を守る体制として極めて不十分であり、緊急事態条項の制定が早急に求められます。  二つ目。参議院の緊急集会とは、そもそも参議院が開会できることの前提に立った議論です。  そして、我々三会派がまとめた緊急事態条項の改正条文案は、現在の五十四条二項の条文が衆議院の解散時のみ明記し、衆議院の任期満了時については定めがないことに鑑み、任期満了時における開催の明記も行っています。要するに、三会派の条文案も、あくまで憲法の定める参議院という統治機構が機能するという前提に立っています。すなわち、我々の緊急事態条項は立憲主義にのっとったものです。立憲主義とは、憲法の上に位置するものはなしということです。  ここで改めて、最近の憲法学に即した緊急事態に類する概念、文言の整理を強調したいと思います。  まずは、緊急事態と全く異なる概念として非常事態というものがあります。この緊急事態と非常事態に相当する概念が、緊急事態条項と国家緊急権であります。すなわち、緊急事態条項と国家緊急権は全く異なる概念であると言えます。  緊急事態に用いられる緊急事態条項は、あくまで平時の統治機構の下でそれが行われ、立憲的統制が十分に機能するものです。その上で、平時の法制度、法運用とは異なる対応を必要とする事態のことであります。  反対に、非常事態に用いられる国家緊急権は、平時の統治機構をもってしては対処できない程度の事態であって、憲法所定の機関、例えば参議院が正常に機能し得ないときにどのように対処すべきかというものであります。要するに、国家緊急権とは、立憲的統制を離れ、憲法秩序を停止するものです。具体的な事例として、戦争で国の中枢が爆撃され閣僚や議員がほとんど死んでしまうとか、散り散りになって連絡も取れないという事態のことでございます。  我々が議論している緊急事態条項とは、まさに憲法秩序の維持を目的として行われるものであります。もちろん、我々国会は、最悪の事態を想定し、最終的には緊急事態を超えて非常事態についても議論せねばならない責務を負っているとも思います。しかしながら、これまで幾多の議論を重ねてきた緊急事態と緊急条項については既に論点が出尽くしております。  我々は、起草委員会を設置し、三会派の条文案を土台に改正原案の作成に入るべきだと訴えています。議論を繰り返しているだけでは、国民から負託を受けた国会として何ら社会に対して価値を具現化していない状況であるため、国民に対して極めて不誠実だと言えるのではないでしょうか。是非とも、起草委員会の設置に向けて委員の皆様のお力添えをお願い申し上げます。起草委員会を見据えたネクストステップにつきましても、是非とも自民党と公明党についても御意見を賜りたいと思っております。  終わります。

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