SEISAKU DB トップ
SEISAKU DB
土井和雄 ·全国商工会連合会中小企業問題研究所所長

衆議院消費者問題に関する特別委員会(2025-04-22)での発言

第217回国会 ·第第6号号 ·5,347字
○土井参考人 全国商工会連合会の土井でございます。  委員の皆様には、日頃より商工会の活動に御理解、御協力を賜り、この場をおかりして厚く御礼申し上げます。  また、本日は、意見陳述の機会を賜り、誠にありがとうございます。  私は、ただいま陳述された山本先生が座長を務められた消費者庁の公益通報者保護制度検討会に委員として参画しておりました。主に、企業側、事業者側の立場で意見を申し上げてまいりました。本日は、どのような背景に基づいて、委員会でどのような主張をしてきたのかという点について、お話をできればと思います。  資料をお配りしておりますので、資料を御覧になりながらお話を聞いていただければと思います。  まず、せっかくの機会でございますので、簡単に、私の属する商工会という組織について御説明をさせていただきたいと思います。一ページを御覧いただければと思います。  右側に日本地図がございますが、この赤い部分が商工会のある地域でございます。主に、平成の大合併以前の町村部というのを設立の地域としております。御覧になってお分かりになるように、面積は広く、人口は少ないというのが特徴でございます。そういった地域に、千六百を超す商工会が設立をされております。  また、地図の灰色の部分は、主に都市部でございますが、これは商工会議所さんのエリアでございます。  会員数は現在七十八万、今年の四月一日の調査では恐らく切ってくるだろうとは思っておりますが、少子高齢化による地域の人口減少、あるいは事業者の廃業の増加などにより、ピーク時に百二十万おった会員が三分の二程度になっているということでございます。  また、商工会は、中小企業、小規模事業者を会員とする地域の総合経済団体という側面がもちろんございますが、加えて、四千人の経営指導員を擁して、地域の事業者さんに伴走型で支援をしていくといった支援機関、特に事業者にとっては一番身近な支援機関という役割も持っております。  会員の構成でございます。二ページを御覧いただければと思います。  個人事業主が五六%おるという組織構成でございます。また、従業員規模でございますと、一番多いのが従業員ゼロ人。専従者の方ですとか、そういったところは除いて、雇用している従業員という観点ですとゼロ人というのが一番多い。逆に、従業員五十人以上という層は二・二%しかございませんので、基本的に、中小企業の中でも小規模な会員が多いというところでございます。  済みません、前置きが長くなりましたが、本題の方に入らせていただきたいと思います。  今回の論点について、私の意見を申し上げます。  検討会の報告書に対する意見ということでまとめましたので、必ずしも今回の改正法案に盛り込まれている内容だけではないことについて御理解をいただければと思います。  まず、全体的な点について申し上げます。  今回の法改正は、我々企業側、事業者側の立場で考えてみますと、体制整備義務違反であったり不利益取扱いについて罰則が導入される案となっております。  我々にとって厳しい内容も盛り込まれておりますが、先ほど山本先生から御紹介のあったように、昨今の企業不祥事の増加あるいは国際情勢の変化といったこと、あるいは、内部的な事情でありますと、SNSが発達してまいりました。従業員の方から外部に対して告発するといった行為もかなり行われるようになってきたといったことを考えると、今回の案は結構厳しい案だとは思っておりますが、我々企業、事業者の側でも、きっちりと内部通報に対応していかなければこの先生き残っていけないといったことで、今回の法改正は必要なものであるというふうに認識をしております。  個別論点についてお話をいたします。資料三ページでございます。  まず、内部通報の徹底と実効性の向上について申し上げます。一から三までございます。  一、体制整備義務違反の事業者への対応、あるいは二番の事業者への周知義務の新設については異論はございません。  ただし、周知義務については、何を周知すればいいのかといったことに関して、例えば研修を必ずやらなければいけないのかであるとか、そういったことについては、はっきりと、今後、法改正後、指針等で示していただければというふうに考えております。  三番目の体制整備義務の対象となる事業者の範囲でございます。  御承知のとおり、現在、三百人超が義務、三百人以下が努力義務となっております。消費者庁の行われた調査において、特に三百名以下の企業の回答だと思いますが、努力義務なのでいわゆる窓口の整備をしないという回答が半数近くあったということで、これは実は誤解でございます。三百人以下でも、体制整備の義務がないだけで、内部通報にはきっちり対応しないといけないという法律でございます。  ただ、法で定められている従事者指定であったり窓口の設置が努力義務となっているわけであって、これは、我々経済団体を含めて、令和二年の改正法案に対する周知が至らなかった部分があるかなと思っております。  その観点で考えると、まず、体制整備義務に関しては、我々がどう思っているのかというと、法律だけ見ると、単に、従事者を指定して、規定などを作って窓口を設置すればいいじゃないか、こんなの簡単で、規模の大小にかかわらず、できるじゃないかと思われるかもしれませんが、実際に、いざ、じゃ、体制整備をしてみようかと思うと、法定指針というのがこの法律にはございます。指針の解説ということで、例えば遵守するための考え方、具体例というのが示されておりますが、これを御覧になっていただければ分かるんですが、実は、企業にとってはかなりハードルの高い内容になっております。  私、事務方として、令和二年の法改正後の、指針を決める際の検討会にも入っておりましたけれども、ここの内容というのは結構大企業じゃないとなかなか対応できないよなというようなところで、議論を聞いていますと、今回は三百人超が義務であるので、ある程度、ちょっと言い方は悪いんですが、理想な公益通報を受けるための体制整備といったように、かなりハードルの高いものになっているかなと思っております。例えば、大規模企業をある程度想定したような部門横断的な窓口の設置であったり、必要な予算、人員等の確保など、かなりハードルが高い内容になっております。  例えば、これは同じような、法律というか社内の内部統制の話で、パワハラなど防止のための労働施策総合推進法、これも同じような形で、相談窓口を設置して、あるいはルールを定めるといったような形の法体系になっておりますが、それに比べても、かなり、体制としてつくらなければいけないと読めるものが重いかなと思っております。  実際、今回、そのような議論もございましたが、我々としては、まず、本制度にきっちりと各企業は取り組まなければいけない、そのためには、形式的な体制整備義務を課すよりも、通報受付から調査、是正までのマニュアル類をきっちり整備するということが必要ですし、あるいは、匿名通報であったり、そういったことに対応するためにも、やはり外部窓口の設置であるとか、そういったことも求められているところです。  これはなかなか、正直、三百人ぐらいだったらあるかもしれませんけれども、百人ぐらいだと法務部門がない企業も多いんですね。そういったところでなかなか全てをやることは難しいので、外注のサービスの発展であるとか公的な相談機関であるとか、そういったところの整備をしつつ、どこのところまで義務にするかとか、今回、体制整備の罰則も加わるといったこともありますので、必要であるというふうに考えております。  続いて、二番目の論点、四ページの公益通報を阻害する要因への対処について申し上げます。  公益通報者を探索する行為について、正当なものを除いて禁止するということに異論はございません。  ただし、公益通報者を探索する行為そのもの、探索して報復的な対応をするであるとかそういったことには今回罰則が加わるわけですが、探索したというだけでは特に行為は発生していないといったことかと思いますので、罰則を加える方向には反対をしております。  二番目の公益通報を妨害する行為について、導入に特段異論はございません。  三番目の資料収集、持ち出し行為の免責について、現在、多くの企業、これは規模の大小を問わず、コンプライアンスであったりセキュリティーの向上のため、むしろ資料の持ち出し等というのは制限するといったような方向でございます。パソコンのアクセスできる範囲というのも狭めていっているといったようなところでございます。また、あと、取引先の機密情報であったりお客様の情報であったり、そういった情報を持ち出したりすると、仮に免責のルールを作ったときに、公益通報者は免責されるのでいいんですけれども、企業は対顧客であったりお客様に対して免責はされないということですと非常に厳しいというところでございますので、要件等について更に検討することが必要だと思っております。  五番目の濫用的通報者への対応については、我が国では、先ほど御案内があったように、内部通報に関しては、思料するということをもって通報ができるといったことで、間口が広いのが他国に対しても特徴かなと思っておりますので、今現在も多くの通報を受けている企業の中では、既に終了した案件の蒸し返しなどの通報があり、その対応に追われて本来の必要な調査とかができないといったような事実もあっておりますので、これについても、状況をよく調査して、必要が認められれば導入が必要かなと考えております。  続いて、五ページ目の公益通報を理由とする不利益取扱いの抑止、救済について申し上げます。  一の不利益取扱いの抑止について、不利益取扱いを実施した場合に、解雇、懲戒に限定して刑事罰を導入することについて異論はございません。解雇、懲戒に関しては、企業にとっても日常的なことではなく、実施する際には覚悟を持って行うべきだということだと思っております。  一方、配置転換につきましては、事業者の規模の大小にかかわらず、広く一般的に実施されております。実際、人事をやってみると、全ての従業員が満足する配置転換の実現というのは困難でございます。例えば、私ども商工会だけに限っても、やはり離島であるとか、なかなか厳しい条件のところに行っていただいたりとか、そういったこともあります。これは、いろいろな企業で、なかなか今回の人事は結構厳しいけれども、戻ってきたときには何とかするよといったようなことで、あるいは経験を積んでいただくということでやられているかなと思っております。また、若干はたから見て厳しいなと思う人事について、不利益と感じられる、感じ方には個人差がやはりあるかなと思っております。  仮に罰則を導入した場合、配置転換の抑制、配置転換に関する管理業務の増加に加えて、裁判例もございましたけれども、公益通報をしたことを理由に自分の望むような人事の実現を望むといったような事例もございますので、いろいろな懸念点を持っております。  このように、企業の負担は罰則を入れた場合はかなり増加するかなと思っておりますし、人事や経営に影響があると思っております。雇用形態の変化の状況なども見ながら、必要に応じて検討する必要があるかなと思っております。  二番の不利益取扱いの救済についてでございます。  今回、労働関係法令との平仄を取るために、公益通報から一年以内の解雇、懲戒に限定して立証責任を企業側に転換する方向について異論はございません。  一方、配置転換等についての立証責任の転換については、先ほどの罰則と同じような形で、事業者の負担や雇用慣行の変化も考慮して、引き続き検討するべきだと考えております。  最後に、四、その他の事項について申し上げます。  一の通報主体の範囲拡大につきましては、フリーランスの方を通報対象に加える件でございます。公正取引委員会では、取引先への報復を禁止するガイドラインを既に作られております。それとの整合性を取る意味で、今回導入する必要があるのかなと考えております。  二の通報対象事実の見直しについて、まずは、本改正法の下で周知を徹底して、公益通報制度の普及を図ることが重要だと考えております。抜本的な見直しについては、改正法施行後の実態を十分に踏まえて検討するべきだと考えております。  以上、たくさん申し上げました。委員の皆様には、今回の法改正を機に、公益通報者保護制度が多くの方に理解され、普及が進むきっかけになるように、活発に御議論をいただくようにお願いをいたしまして、私の陳述を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)

土井和雄 の他の発言

2025-04-22 · 衆議院消費者問題に関する特別委員会
○土井参考人 それでは、お答えをいたします。  先ほどの陳述の中でも述べさせていただきましたが、従業員三百人超であると、社内にコンプライアンスをある程度担当する法務部門などが置か…
2025-04-22 · 衆議院消費者問題に関する特別委員会
○土井参考人 お答えいたします。  配置転換については、企業の中で、規模を問わず、幅広く行われております。特に最近は、いわゆる定期異動のほかにも、随時異動といいますか、例えば年度…
2025-04-22 · 衆議院消費者問題に関する特別委員会
○土井参考人 お答えいたします。  委員おっしゃるとおり、企業経営に相当な影響があると考えております。  先ほどの御質問にお答えしたときにも申し上げたように、配置転換に関するこ…
2025-04-22 · 衆議院消費者問題に関する特別委員会
○土井参考人 お答えいたします。  フリーランスという言葉が最近主流でございますが、基本的には、個人事業主は、いろいろな形で自分よりも大きい企業なりと契約をして、いろいろな業務を…
2025-04-22 · 衆議院消費者問題に関する特別委員会
○土井参考人 お答えいたします。  確かに、三百一人以下というよりも更に小さい規模の企業で、そこで何か不正的な、身近なところで行われていて、通報窓口もその辺で見えるところにあると…
2025-04-22 · 衆議院消費者問題に関する特別委員会
○土井参考人 お答えいたします。  問題としては、配置転換という一般的に行われている行為について、それを行った時点では、それが不当かどうかということはやった事業者の側では判別でき…

API / MCP 利用

国立国会図書館 国会会議録 API を構造化

REST: /v1/diet/speeches/search?speaker=土井和雄
MCP: search_diet_speeches(speaker="土井和雄")