○猪口幸子君 日本維新の会の猪口幸子です。
ただいま議題となりました医療法等の一部を改正する法律案について、日本維新の会を代表して質問します。(拍手)
医療は日本社会を支える基本的なインフラであり、その中でも高額療養費制度は、国民の命を守るセーフティーネットとして重要な役割を果たしています。もしも深刻な病気にかかるという困難に直面した場合にも、生き続けることを諦めることが決してないように、患者と家族を支える制度です。
医療費については、ほかに改革すべき部分が数多くあります。手をつけやすいところからといって高額療養費の負担を増やすのでは、国民の皆さんは納得しません。国民の声を受けて、政府は、衆議院を通過した予算を組み直して、今年八月からの高額療養費負担増を見送ることにしました。この政府の行動については一定の評価をしています。
新型コロナウイルスによる感染への対応で大きな役割を果たした全国の医療機関は、コロナ以降になって経営的に大きな問題を抱えるようになりました。独立行政法人福祉医療機構の調査によれば、令和二年以降の病院の医業利益率は、急性期、慢性期、精神科共に年々低下する傾向にあり、特に急性期病院について、令和五年度の医業利益率はマイナス二・三%にも低下しています。政府は今、しっかりと重要なインフラを維持する対応をすべきです。
医療の本質は人対人です。医療DXは、人が不足する部分を補い、また人でなくてもできることを行うものと理解しています。デジタル技術を導入し、効率化を進めることはとても重要ですが、常に倫理観を持って、医療を提供する側も医療を受ける側も、限られた医療資源を丁寧に、無駄のない効率的な方法で持続可能な制度として維持していくことが今求められているのだということを改めて主張いたしまして、質問に入ります。
政府が本法案で進めようとする地域医療構想は、入院、外来、在宅医療、介護の各分野が連携を図ることを実現しようとするものです。二〇四〇年頃には、過疎地域では高齢者は減少し、都市部では高齢者が増加するため、地域ごとに必要となる医療体制は異なります。地域ごとに異なる医療ニーズに対し適切な対策を取るために、今回、地域医療構想調整会議の構成員として市町村を位置づけています。
厚生労働大臣に質問します。地域医療構想調整会議における市町村の役割をどのように考えているのでしょうか。都道府県よりも現場医療の声に近い市町村が果たせる地域医療への役割は大きいと考えますが、今後どのように活用していくのでしょうか。お答えください。
これまで政府は在宅医療を進めてきました。有料老人ホームなどの施設への医療提供は、自宅に住む患者に対する本来の在宅医療とは異なるものであり、在宅医療の中でゆがみが生じています。現在はサービスつき高齢者向け住宅への紹介業といった業種が出てきており、非営利という医療本来の在り方からすれば、余り適切とは言えない状況にあります。
厚生労働大臣に質問します。自宅在住者に対する在宅医療の仕組みを、そのまま、本来の自宅ではない施設に適用することについて、その適切性をどのように認識されているのでしょうか。お答え願います。
オンライン診療は、災害時や医師が少ない医療過疎地、パンデミック発生時には必要ですが、ただの問診だけのオンライン診療については、あくまで臨時の対応として位置づけるべきと考えます。オンライン診療の多用は、歩行状態、血圧、脈拍、心音、呼吸音、下肢の浮腫など、対面の診察でしか分からない症状を見逃す結果につながります。また、簡便であることから頻回受診につながり、医療費の増大をもたらすことが考えられます。オンライン診療については、国民の不安もあり、それを払拭するためにも適正なルールを設定する必要があると考えます。
厚生労働大臣に質問します。オンライン診療に関しては、不正請求の事例も散見されていますが、適正な管理、運用に当たり、政府は何を課題とし、どのような管理と対策を実施するのでしょうか。
新たにオンライン診療を受ける専門施設として、本法案では、公民館等の施設を利用することを想定しています。医療過疎地域において公民館等の利用は適切と考えますが、医療機関が多い地域では医療提供が過剰になります。そこには、医療費増大や不正請求の温床になる可能性が危惧されます。新たな設置に当たっては、地域医療のニーズを踏まえた上で適切に判断できる仕組みが必要と考えます。
厚生労働大臣に質問します。オンライン診療受診施設の設置者は、設置後十日以内に届け出ることになっています。しかし、事後届けでは設置が適切かどうか判断することができません。被災地を例外として、設置前の届出にすべきと考えますが、本件について見解を伺います。
本法案では、オンライン診療を行う医療機関の管理者が、オンライン診療受診施設設置者に対して、オンライン診療基準への適合性を確認することとなっています。オンライン診療を行う医療機関と受診施設が同一法人であるときや経営を一にする場合は、適切な確認がなされるとは思えません。
厚生労働大臣に質問します。オンライン診療を提供する側と受診施設に対する保健所の立入検査や視察を徹底するべきと考えますが、見解を伺います。
昨今、美容医療をめぐるトラブルが増えています。美容医療を行う医療機関における医療事故や、オンライン診療不正、術後管理のトラブル、専門性のない医師が治療に当たる等の問題が起きています。医師の資格のない経営者が営利目的で運営することは問題です。また、若い医師が収入のよさに引かれて十分な経験を積むことなく治療を実施することも問題です。
厚生労働大臣に質問します。美容医療について、医師の偏在対策と併せて、専門医資格の有無の調査をすることや、広告の規制等の対応が必要と考えますが、見解を伺います。
医師偏在是正に向けた総合的な対応については、地域医療の中核にある大学病院の活用が重要であると考えます。特定機能病院としての大学病院本院の在り方をより明確にし、基礎的基準として、医師派遣の機能を必須化することが必要と考えます。このことで地域医療構想の実現と医師偏在の対策の両方を改善できるのではないでしょうか。
厚生労働大臣に質問します。大学病院の在り方としては、専門的医療、先進医療、難病医療の実施、基本診療科の幅広い設置、教育、研究に加えて、新たに地域に一定の医師の派遣を行うことを明記することで、地域の医療機関や地方自治体とのネットワークが構築され、医師の偏在も解消されると考えますが、見解を伺います。
医師の偏在とともに、診療科の偏在も深刻です。外科や産婦人科については、長時間勤務になりやすいために希望者が減少しています。また、近年は高齢出産が増加し、母子共に命の危険を伴う出産が多くなっており、裁判リスクを考えた負担も選択を避ける原因となっています。
厚生労働大臣に質問します。外科や産婦人科などの外科系医療を維持するために、チームによる診療を促進し、特定の医師にかかる負担の軽減を図る必要があると考えますが、見解を伺います。
高齢化が進んでおり、二〇四〇年まで医療ニーズは上昇するため、医療の効率化、医療DXは進めていかなければなりません。医療DXの初期の段階として進めている電子カルテは、病院への導入は進んでいますが、国民からすれば、医療機関の窓口とも言える中小の診療所への普及は余り進んでいません。医療機関全体の普及率はいまだ五〇%程度でしかありません。
厚生労働大臣に質問します。電子カルテで共有される医療情報において、中小の診療所は情報を拠出する側であり、導入に余りメリットを感じません。そのような診療所に電子カルテを導入するためには大きなインセンティブが必要と考えますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
本法案では、医療機関が、三文書六情報を社会保険診療報酬支払基金に提供し、同基金が有する電子カルテ情報共有サービスとして、全国の医療機関、医療保険者、そして個人に情報が提供される仕組みが構築されるとしています。電子カルテ情報共有サービスの構築に当たっては、システムの構築と運用には費用がかかります。現在、医療機関への保険料の支払いは、社会保険診療報酬支払基金と国保連合会の二本立てとなっており、支払基金に情報集約をするためのシステム改変など、新たな取組が必要と考えられます。
厚生労働大臣に質問します。医療保険は、被保険者、雇用者、そして国が負担していますが、この構築と運用の費用は誰が負担するのでしょうか。被保険者や雇用者の負担が増えるのでしょうか。お答え願います。
本法案では、社会保険診療報酬支払基金は、医療情報基盤・診療報酬審査支払機構に名称を変更し、組織改編をするとしています。実際には、情報通信に強い人材を多数導入しなければ実現は難しいのではないでしょうか。
厚生労働大臣に質問します。情報通信に強い人材を集めるには、どのような施策があるのでしょうか。全国的なシステム構築に必要な人材の確保策についてお答えください。
電子カルテで集約した医療情報は、パーソナル・ヘルス・レコードとして活用し、生涯にわたる健康の維持のための礎となる仕組みと考えています。生活習慣病の改善や遺伝情報を活用した健康づくりなど、新しい健康社会の在り方をこれからも議論していくべきであると考えます。
厚生労働大臣に質問します。全ての日本国民が最適な医療を受けられる仕組みを構築していくことと、そのための施策のあるべき姿について見解を伺います。
日本維新の会は、現役世代の社会保険料の負担を軽減することを主張しています。その施策を実施する上で大事なことは、患者目線を忘れないことと実行可能であることです。日本中の病院が経営の危機に直面している現状において、地域医療を守るための方策を進めていかなければなりません。誰かが暴利を得られるような欠陥を排除した適切な医療制度を実現するための努力を続けてまいりますことをお約束しまして、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣福岡資麿君登壇〕
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