衆議院本会議(2025-04-11)での発言
第217回国会
·第第19号号
·1,957字
○国務大臣(伊東良孝君) 岡野純子議員にお答えをいたします。
一点目といたしまして、本改正法案の施行作業への意欲についてお尋ねがありました。
改正法案によりまして、取引上の立場の弱い中小の受注者が価格交渉をしやすくなり、価格転嫁が促進されることから、速やかな施行を求める御意見があることは十分承知をいたしております。
一方で、改正法案は、政令、規則、運用基準といった下位の法令などを整備して、その内容について、一定の期間をかけて、しっかりと周知、広報していく必要もあるわけであります。
改正法案が可決、成立した場合には、速やかにこのような施行準備の作業を進めていきたいと考えております。
二点目に、資本金の基準についてお尋ねがありました。
現行の下請法では、独占禁止法の優越的地位の濫用規制を補完して、簡易迅速に取引適正化を図るために、資本金基準を設け、対象となる受注者と発注者の取引を定めています。
この具体的な資本金の額につきましては、中小企業基本法の中小企業者の定義などを参考に、優越的地位にあるとみなせる者を外形的に定めるべく設定をしています。
一方、資本金基準に該当しない取引においても、自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとなる場合には、優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となり、個別事案ごとの判断とはなりますが、下請法で保護されない事業者も保護されることとなります。
三点目でありますが、競争当局としての毅然とした対応についてお尋ねがありました。
公正取引委員会は、下請法に違反する行為として、迅速かつ効果的に対処しておりまして、下請事業者に与える不利益が大きい事案については積極的に勧告、公表しております。
また、発注者が下請法に基づく勧告に従わなかった場合には、独占禁止法に基づき、より厳格な措置である排除措置命令や課徴金納付命令を講ずることが可能であります。
公正取引委員会においては、今回の法改正も最大限に生かしつつ、引き続き、中小企業に不当に不利益を与える行為に対し、厳正に対処していくこととしております。
四点目でありますが、競争当局による是正措置と私的自治の原則との均衡についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、私的自治の原則、とりわけ事業者間取引における契約自由の原則の観点から、こうした規制による行政の介入は最小限にとどめる必要があります。
そのため、現行の下請法は、独占禁止法の優越的地位の濫用規制を補完する法律という位置づけの下、明確に定められた禁止行為に対して、罰則や行政処分ではなく、違反行為によって生じた不利益の原状回復などを勧告し、公表するという行政指導で対処することとしております。
このように、必要な規制を行いつつ、取引適正化と私的自治の原則の両面のバランスを取っているところであります。
五点目、下請法逃れへの対策についてお尋ねがありました。
現行の下請法では、規制の対象となる大規模な事業者が小規模な子会社を形式的に経由して発注することで規制を免れるような脱法行為をさせないための規定を設けております。
これに加えて、改正法案では、資本金の減資などによる下請法逃れへの対応として、従業員基準を導入することといたしております。
このような規定を適切に運用することで、御指摘の下請法逃れに対応できるようになります。
また、御指摘のケースにおきまして、発注者に優越的地位の濫用行為が認められた場合には、公正取引委員会において、独占禁止法に基づき厳正に対応していくこととしているところであります。
六点目、最後でありますが、この改正法案を運用していく上での覚悟についてのお尋ねがございました。
取引上の立場の弱い事業者が物価上昇に負けない賃上げの原資を確保できるようにするためには、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させる取引環境の整備が重要であります。今回の改正法案が成立すれば、事業者間における価格転嫁及び取引の適正化につながると考えております。
また一方、デフレ型の商慣習から脱却するためには、自社の商品やサービスの価格を据え置き、その原資を取引先に求めるという旧来の社会的規範を変えていく必要があります。
これを実現するため、公正取引委員会において、この法律や優越的地位の濫用規制などを引き続き厳正に執行していくことに加え、担当大臣としても、労務費転嫁指針の普及啓発などについて、しっかりと取り組んでまいります。
以上であります。(拍手)
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