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伊東良孝 ·自由民主党・無所属の会 ·内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策・消費者及び食品安全・地方創生・アイヌ施策)

衆議院本会議(2025-04-15)での発言

第217回国会 ·第第20号号 ·3,837字
○国務大臣(伊東良孝君) 尾辻かな子議員からたくさんの御質問をいただきました。合計十五問ありますので、順次御答弁させていただきます。  まず、公益通報者保護法の対象法律の規定方式についてお尋ねがありました。  公益通報者保護法では、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護を直接の目的とする法律を対象法律として列挙しております。  ネガティブリスト方式を採用した場合には、労働者、事業者の双方にとって、通報が保護対象に含まれるかが不明確となり、規定方式の変更は困難と考えております。  次に、森友学園をめぐる事案に関連して、通報の公益通報該当性や公文書管理法が対象法律に含まれるのかについてのお尋ねがありました。  消費者担当大臣として個別事案にコメントすることは差し控えますが、公文書管理法は公益通報者保護法の対象法律ではなく、公文書管理法の違反に関する通報は、公益通報には該当をいたしません。  次に、兵庫県事案についての見解と、地方公共団体に対する行政措置権限の適用除外規定の見直しについてお尋ねがありました。  消費者担当大臣として、これも個別事案についての見解をコメントすることは差し控えさせていただきます。また、兵庫県におきましては、県議会の百条委員会や県の第三者委員会の報告書の内容を踏まえ、適切に対応されるものと考えております。  国や地方公共団体といった行政機関は、自ら法令遵守を図り、義務を履行することが期待されており、消費者庁の行政措置は適用しないこととされております。  一方、消費者庁では、地方自治法の規定に基づく技術的助言として、ガイドラインの策定や実態調査の実施等を通じて、地方公共団体の体制の整備を促してきたところであります。  引き続き、地方自治法の技術的な助言の範囲内で、対応すべき事項があれば、適切に対応してまいります。  次に、一般職の国家公務員等が公益通報をしたことを理由とする分限免職又は懲戒処分について、罰則の対象についてのお尋ねがありました。  組織によって、分限免職又は懲戒処分の意思決定の方法やプロセスは様々であります。罰則の対象者については、懲戒権者など形式的に解雇又は懲戒の意思表示をした者が直ちに該当するわけではなく、実質的な意思決定をした者やそれに関与した者が対象となると考えております。  次に、不当な配置転換を罰則の対象にすることについてのお尋ねでありますが、一般論として、犯罪の構成要件は明確で、対象となる行為は罰則に値するものでなければなりません。  我が国では、メンバーシップ型雇用が一般的で、配置転換については、適材適所の配置や人材育成の観点から、事業者の広い裁量の下、頻繁に行われており、必ずしも不利益な取扱いとは言えません。また、その様態は様々であり、不利益性は個人の主観や事情に依存する部分が大きく、罰則の対象とすることは困難と考えております。  次に、刑事罰に至るまでのプロセスについてのお尋ねがありました。  労働者に対して公益通報を理由とする解雇及び懲戒が行われた場合には、当該労働者が捜査機関に対して被害申告や刑事告訴をしたり、又は周囲の方々等が刑事告発をしたりした上で、起訴されれば、刑事裁判において判断されることとなります。  次に、通報者からのヒアリングについてのお尋ねがありました。  制度の見直しを議論した公益通報者保護制度検討会には、日本労働組合連合会の代表者や通報者を支援する弁護士が委員として参加をいたしております。  また、この検討会におきましては、通報者を支援している日弁連の消費者問題対策委員会の委員からもヒアリングを行い、通報者の状況について十分意見聴取をしております。  次に、配置転換等を立証責任の転換の対象とすることについてのお尋ねがありました。  立証責任を転換する範囲については、各国の労働法制や労働慣行の違いを考慮する必要があります。  EUや韓国ではジョブ型雇用が一般的ですが、我が国ではメンバーシップ型雇用が一般的で、配置転換について事業者に広い裁量が認められており、労働法制において、権利濫用であることの立証責任は労働者が負っています。  このような労働法制との平仄を踏まえると、配置転換等について、公益通報を理由とすることの立証責任を事業者に転換することは現状困難と考えております。  次に、取引先事業者や通報者の支援者を保護する公益通報者に含めることについてのお尋ねがありました。  公益通報者保護法は、労働者等、事業者に対して弱い立場にある個人を公益通報者として、公益通報を理由とする不利益な取扱いから保護する法律です。取引先事業者は個人ではないことから、公益通報者として保護することは困難と考えております。  また、公益通報者の支援者を保護対象とすることにつきましては、これらの者に対する不利益な取扱いの実態が現状明らかではないことから、その状況を注視してまいります。  次に、資料の収集、持ち出し行為についてでありますが、守秘義務違反の免責規定を設けることについてのお尋ねであります。  公益通報の証拠となる資料は、事実関係を調査するために重要な位置づけを占める一方、通報者による内部資料の収集や持ち出しは、事業者の情報管理や組織秩序に悪影響を及ぼす場合があります。  裁判所においては、通報との関連性や通報者の動機、行為の様態、影響等を総合的に勘案し、判断していると承知しております。  このため、公益通報のための資料収集、持ち出し行為について、一定の要件の下、免責する規定を設けることは現状困難であり、事案ごとに事情を総合勘案の上、判断することが妥当と考えております。  次に、通報妨害の禁止及び通報者探索の禁止が許容される正当な理由についてお尋ねがありました。  通報妨害におきましては、例えば、労働者に対し、不正行為について、特段の根拠なく報道機関や取引先などに通報しないよう文書又は口頭で求めることは、正当な理由に該当し得ると考えております。  また、通報者探索においては、例えば、通報者が具体的にどのような局面で不正を認識したのかなどを特定した上でなければ必要な調査や是正ができないという場合に、従事者が通報者の特定につながる事項を問うことは、正当な理由に該当し得ると考えております。  次に、体制整備義務事業者の範囲の拡大についてお尋ねがありました。  消費者庁の実態調査等の結果、従業員三百人を超える義務対象事業者でありましても、体制整備の不徹底と実効性の課題が明らかとなっております。  こうした中、まずは、義務対象事業者が公益通報に適切に対応するための体制整備の徹底と実効性向上を図ることが重要と考えております。  従業員数三百人以下の努力義務対象の事業者は、内部通報制度の重要性について一層の周知啓発を行い、その認識を高めてまいります。  次に、公益通報を担当する職員数あるいは予算、人員体制整備についてのお尋ねがありました。  現在、消費者庁では、公益通報者保護法を担当している職員の定員は十四名であります。  今回の法改正により、事業者の従事者指定義務違反は、公益通報者保護法上の通報対象事実となり、消費者庁への公益通報が見込まれるほか、それ以外の体制整備義務違反につきましても情報提供が増えることが見込まれております。  このため、消費者庁では、今年度に新たに法執行のための定員を確保しており、今回の法改正後も、引き続き法執行体制の強化に取り組むことといたしております。  次に、費用手当てのある専門ADRの創設と奨学金制度の検討の必要性についてのお尋ねがありました。  訴訟以外で、第三者が介在して個別労働紛争の解決を図る制度として、労働審判のほか、厚生労働省や各都道府県等の関係機関による個別労働紛争解決制度、いわゆるADRがあります。ここでは、公益通報が関係する事案を含め取扱いがなされているものと承知をいたしております。  御指摘の奨学金制度につきましては、財源の確保のほか、事業者内部の不正を通報した労働者に奨学金を支払うことについて国民の理解を……(発言する者あり)課題があると考えております。  次に、見直し期間についてのお尋ねがありました。  令和二年の法改正時は、公益通報を理由とする不利益な取扱いへの対応が必要とされましたが、対応の具体的方向性について結論が出ず、引き続き検討することとなりました。このため、施行後早期に対応を検討し、必要な措置を講ずる必要がありました。  今回の法改正では、不利益な取扱いについて、刑事罰を導入することや立証責任の転換といった一定の措置を講ずることとしており、今後の見直しの検討に当たりましては、施行後の裁判事例の蓄積を踏まえる必要があります。  我が国では、訴訟の準備を始めましてから一審判決までに二年程度かかることも珍しくなく、当事者の一方が控訴、上告した場合、判決が確定するまで更に長い時間を要します。このため、法の見直しの検討には、施行後五年程度が必要となっているところであります。  以上であります。(拍手)     ―――――――――――――

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