○国務大臣(江藤拓君) まず、答弁させていただく前に、西川先生から、私の答弁書ではちょっとカバーし切れていない部分が多分に含まれていたような感じがいたします。答弁漏れと言われるのもなかなかでございますので、十分ではないかもしれませんが、若干継ぎ足しながら答弁をさせていただきたいと思います。
まずは、この法律案を出したことによって、農家の方々の手取りがしっかりと確保されることにつながるのかということについては、やはり、これまでの農家の方々は価格形成にコミットできなかったということが大変なフラストレーションとしてあったのだと思っております。それを、今回はしっかり協議の場も設けられるということでありますから、もちろん、青申をしていただいたり、コスト計算、しっかりしていただくことも必要でありますが、生産者の方々にも十分利益が還元されるようにするための法律であることも御理解をいただきたいと思います。
それから、日米の交渉にもコメントされましたが、これにつきましては、赤澤大臣が今、帰国中でありますので、私はあくまでも農林水産大臣であって、日本の生産基盤を守り、そしてこれから五年間の集中期間において日本の食料安全保障を確保する、そういう強い信念を持って、これから農林水産大臣の職務を果たしてまいりたいというふうに考えております。
それでは、答弁させていただきます。
西川将人議員の御質問にお答えをいたします。
この法律案の実効性と再生産可能な価格形成についてのお尋ねがありました。
この法案では、コストなどの取引条件を示して協議の申出があった場合には誠実に協議するなどの努力義務、努力義務ということについて御懸念はありますが、まずは努力義務を定めることにいたしました。売手、買手、それぞれがどういう行動を取ったらよいのか、そういう判断基準を示すことといたしております。
努力義務、判断基準は、これらに基づき、適確な実施が必要な場合には指導、助言、取組が不十分な場合には勧告、公表などの措置を講ずることとしておりまして、合理的な価格形成の実効性は担保されているというふうに考えております。
また、生産者も消費者も、特定の方にしわ寄せが行ってはいけない、特に消費者の方々、そして生産者の方々にしわ寄せが行ってはいけないという仕組みにしなければなりませんので、食料を持続的に供給していくことにつなげていきたいと考えております。
このため、この法案では、生産から販売までの各段階で誠実な協議が行われるよう求め、生産者を含め関係者による食料の持続的な供給を実現してまいります。
次に、価格安定についてのお尋ねがありました。
米については、現在、流通の目詰まりを解消するため、緊急的に備蓄米の売渡しを実施いたしておりますが、他方で、これまでコストが価格に反映されてこなかったということも課題であると考えております。
このため、この法案では、生産から販売までの各段階で費用が考慮されるよう誠実な協議を求めており、コスト割れの供給を阻止することにより、食料の持続的な供給を実現してまいります。
次に、農業者の皆様からの声の受け止めについてお尋ねがありました。
先月三十日に令和の百姓一揆と称する集会が行われたことは、私もよく承知をいたしております。そういった声を上げられることについては、私はいいことだというふうに思っております。私としても、我が国の農業を取り巻く環境は、人口減少、高齢化などによる農業者の減少など、極めて深刻な状況にあるということを認識いたしております。
このため、食料安全保障を確保するためにも、利益が農家に還元されるような産業構造に転換していくことが必要と考えております。新たな食料・農業・農村基本計画に基づき、生産性の向上、付加価値の向上等を通じた農業者の皆様方の所得向上を図ってまいります。
次に、この法案の目的と商習慣についてお尋ねがありました。
この法案は、食料の持続的な供給を実現していくことを目的とし、費用を考慮した価格形成と、商慣習の見直しなどを進めていくことといたしております。
商慣習の見直しにつきましては、議員が御指摘をいただきました三分の一ルールのほか、発注から納入までの時間、これにゆとりを持たせるリードタイムの緩和をいたします。配送による商品をできるだけまとめて効率的に届ける納入頻度の削減など、様々な取組が想定されるものと考えております。
こうした商慣習の見直しにつきましては、努力義務に基づく指導、助言、勧告、公表などにより実効性を確保してまいりますが、さらに、この制度を円滑に運用するため、農林水産省では、本年度より、本省、地方農政局などに、農産物などの取引の実態を調査、把握する専門の職員を配置します。議員が御指摘されたGメンでございます。外部からの通報なども対応してまいります。
さらに、これらの過程において、不公正な取引方法に該当する事実があったと思料するときには、公正取引委員会へ通知をいたします。
次に、判断基準についてお尋ねがありました。
本法案では、どういう行動を取れば努力義務を果たしているのかという、事業者の行動規範となる判断基準を定めることとしています。
判断基準の策定に当たっては、農産物などの場合、短期間で品質が低下しやすく、売手と買手の取引上の地位に格差が生じやすい、議員の御指摘の点であります、そういった認識に立ち、生産から消費までの関係者の意見を十分に伺いながら、現場の実態を反映した、具体的で分かりやすいものにしてまいります。
次に、品目の指定についてのお尋ねがありました。
この法案は、食料全般を対象といたしますが、指定する品目については、コスト指標を公表し、消費者の理解醸成や生産性の向上を促していこうというものであります。
現在、指定品目の候補として、米、野菜、飲用牛乳、豆腐・納豆の四つの品目を対象に、品目ごとの関係者によるワーキンググループを設置をいたしまして、どのようにコスト指標を策定するのかなど協議を進めているところでございます。
引き続き、関係者の意見を十分に酌み取り、食料・農業・農村政策審議会の意見も伺って、丁寧に品目指定に向けて取り組んでまいります。
また、その他の品目の指定について様々な要望をいただいております。期待する声も多いということも十分承知をいたしております。制度を実際に運用していくためには、依然、多くの協議、調整が必要であります。ここまで三年かかっておりますので。まずは、現在協議中の四品目に関して、制度運用の土台をしっかりと固めることによって広げていきたいというふうに考えております。
次に、コスト指標作成団体についてお尋ねがありました。
コスト指標については、生産から販売に至る各段階の関係者による合意形成が重要であります。
このため、この法案では、コスト指標を作成する団体に対して、生産、製造、加工、流通、販売のうち、少なくとも複数の段階の事業者、事業者団体が参画していること、役職員に対して秘密保持義務を課すこと、これを求めております。
こうした厳正な設定要件を設け、公正で正確なコスト指標を作成してまいります。
次に、新たな直接支払い制度の創設についてのお尋ねがありました。
直接支払いを含む農業者への支援の在り方については、新たな食料・農業・農村基本計画に即して、令和九年度に向けた新たな水田政策の在り方を検討していく中で、現場の実情を調査、検証し、議論を深めてまいります。
今後、与野党の垣根を越えて、また、現場の方々、関係団体を含めた幅広い御意見を伺った上で、意欲を持って取り組んでいる農業者の皆様方の営農に支障が生じない支援の在り方について、令和七年度中に方針を決定し、令和八年の概算要求につなげてまいりたいと考えております。(拍手)
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