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福田徹 ·国民民主党・無所属クラブ

衆議院本会議(2025-05-20)での発言

第217回国会 ·第第27号号 ·4,656字
○福田徹君 国民民主党、福田徹です。(拍手)  質疑に先立ち、今月十四日、航空自衛隊練習機が愛知県犬山市入鹿池に墜落した事故について触れさせていただきます。  まず、何より、お二人の隊員の一刻も早い発見を望みます。そして、愛知十六区は、私をここへ送り届けていただいた、その町で起こっています。入鹿池は、日本有数の農業用ため池です。これからの米作りのための農業用水の安全の確保をお願いします。  また、自衛隊機をめぐっては、二〇一八年以降、五件の事故が起こっております。周辺住民のためにも、そして何より、自らの危険を顧みず、国民のために尽くさんという自衛隊員のためにも、原因の究明の徹底と再発防止の徹底を強くお願いします。  質疑に入らせていただきます。  私は、救命救急センターの救急医として働いてまいりました。現役世代の負担を抑えながら、世界一の日本の医療を守る、救える命は必ず救う、その思いで政治の舞台に参りました。命のために働いてきた自分が、今、この壇上で年金の質疑をさせていただく。この法案について指導を受けた友人からは、おまえの仕事も変わったなと笑われました。  でも、実は、私はそう思っておりません。救急医の仕事は、命の危機を救う仕事です。一方で、年金を始め、私たち政治家がここで議論する事柄は、人間の毎日の生活です。命の危機、それよりも前にある、命の日常を守る仕事だと思っています。  私は、友人に対して堂々と、年金の質疑をする自分は、今も人の命を守っている、そう言いたいと思っています。そして、総理と、今ここにいらっしゃる全ての議員の皆様と一緒に、命の日常を守る、その自覚とともに、真剣で前向きな議論をさせていただきたいと思います。  本日の質疑は、一つ、今回の法改正の目的、二つ、議論の前提の確認、三つ、その目的を達成するために行う施策の内容、四つ、そして、その施策が合理的だと考えられる根拠、この順でお聞きします。  まず、総理にお尋ねします。  今回の法改正の目的、一番の狙いは何でしょうか。年金の持続性の強化なのか、現在の受給者の年金額確保なのか、将来の受給者の年金額の確保なのか、若しくは、その全てなのか。目的によって、取るべき施策は違います。まず、目的を教えてください。  私は、最大の目的は、将来の年金受給者の年金額確保だと思っております。特に、今、五十代に差しかかった氷河期世代、そして、それ以降の世代、この方々に、将来、生活ができる、生きていけると思える金額の年金を受け取ってもらえるようにすることです。  今のままでは、年金で生活できない高齢者がたくさん生まれることが予測されています。二〇二四年財政検証では、氷河期世代が年金を受給するようになる七十一歳から八十七歳となる二〇五七年には、誰もが受け取れる基礎年金は今と比較して三割減ることが予測されています。現在月十三・四万円もらえる年金が、十・七万円となります。しかも、これは夫婦二人の年金を合わせた金額です。単身ではもっと少なくなります。これではとても生活できません。  総理にお尋ねします。  この二〇五七年の年金額についてどうお考えでしょうか。今回の法改正で二〇五七年の年金額を幾らにする目標でしょうか。年金は数学です。今、法案が出された時点でこれは分かるはずです。経済シナリオによって変化することは分かりますが、大まかな金額が分かるだけで、氷河期世代やそれ以降の世代が資産形成等で準備することができます。どうか目標の金額を教えてください。  そして、私が今回の二〇二四年財政検証で最も大きな懸念を感じているのは、試算の前提です。今回の将来推計は、二〇七〇年の合計特殊出生率を一・三六として試算しています。近年、合計特殊出生率はどんどん低下して、二〇二四年は一・一五と予測されています。二〇七〇年に一・三六、これは現実的な数字でしょうか。これよりも低ければ、実際もらえる年金はもっともっと低くなります。  総理にお尋ねします。  この前提は余りにも楽観的過ぎるのではないでしょうか。どのような想定で一・三六とされたのでしょうか。実際、一・三六よりも低くなれば、将来の年金は予測より大きく下がります。このことについてどうお考えでしょうか。  次に、総理が目標とする年金額を達成するために行う施策についてお聞きします。  本案では、被用者年金の適用拡大、在職老齢年金の見直し、標準報酬月額の上限の見直しが盛り込まれています。どれも、頑張れる人はもっと頑張って保険料を払って、そして老後に備えよう、こういう施策だと思います。もちろん全て必要な施策です。でも、最も重要な施策が抜け落ちていると思います。それは、全ての人が受け取れる基礎年金を生きていける年金として保障する、その施策です。  これは氷河期世代対策でも同じです。リスキリング、就労支援、資産形成支援、もちろんどれも大事です。でも、五十代に差しかかった氷河期世代の方から現場で届く生の声というのは、何を今更、もう遅い、増やす資産なんてない、これがその声です。  そして、これは厚生労働省のデータでも示されています。氷河期世代の金融資産は五百万円以下が半分近く、これはほかの世代よりも少ないです。そして、最近は賃金が上がっていると言いますが、二〇一九年から二〇二四年、この間の賃金上昇率は、就職氷河期世代でほかの世代と比べて低いです。これは個人の努力不足ではありません。違います。大卒者の就職率は六九・七%、ほかの世代と比べて一〇ポイント以上低いです。そして、一九九〇年には二・三%であった完全失業率、これが二〇〇二年には五・三%。ありとあらゆるデータが、これは個人の努力不足ではなくて政治や社会の問題であった、そう示しています。その氷河期世代に対して必要な施策はリスキリングだけではありません。必要なのは、生きていける年金の保障だと考えます。  私たち医師が治療する細菌性肺炎の根本治療は、細菌を死滅させる抗生剤です。決して、せき止めや解熱剤ではありません。でも、今回の法案は、基礎年金を増やすという抗生剤なしで、せき止めと解熱剤だけで肺炎の治療をするようなものです。抗生剤なしでは患者の命は救えません。抗生剤投与が遅れれば、救えるはずの命を救えません。  総理に御提案します。  昨日、総理は、基礎年金の底上げ策について、結論を得るためには多少の時間がかかるとお話しされました。違います。今です。氷河期世代の命の日常を守るために、そして、その後の世代の未来のために、今すぐ、基礎年金を増やすという抗生剤を投与しませんか。是非、お考えをお聞かせください。  当初の法案には、現在の厚生年金受給者の年金額を少し減らして、将来の基礎年金を増やす、その施策が入っていたと報道されています。私は、本案でその施策が外れていることを非難する気持ちは全くありません。政府や与党という集団の中で様々な論点が丁寧に議論されて、その結果、何かしらの意思決定がなされる、これは正しい姿です。そして、今はここ、国会という別の集団で丁寧な議論をさせていただきたいと思います。ただ、そのために必要なこととして、よりよい議論を行うために、これまで政府や与党の中でどのような議論を経て意思決定がなされたのか、これを知りたいと思います。  総理にお尋ねします。  当初検討されていたというマクロ経済スライドの早期終了による基礎年金の底上げ、これが本案から外れるに至った議論の内容について教えてください。政府として、削除すべきでないと説得されましたでしょうか。もしされていないのであれば、なぜしなかったのか、教えてください。  私は、この施策が妥当なのか、国民に向けてオープンに議論し、丁寧に説明すれば、受け入れられる可能性は十分にあると思っています。そして、氷河期世代やその後の世代のために必要な施策だと思っております。  マクロ経済スライド早期終了による基礎年金の底上げ、これは何なのか。最もシンプルに説明すれば、二〇四〇年までの厚生年金受給者の年金額を月に数百円程度減らして、二〇四〇年以降のほぼ全ての年金受給者の基礎年金を上げる、こういうものです。なお、二〇四〇年というのは氷河期世代が年金をもらい始める時代です。  二〇四〇年までの厚生年金受給者にとっては年金減額となる施策です。どのようなお気持ちになるか、私も十分に理解しています。そして、このような施策を提案しなければいけないことを心からおわび申し上げながら、どうしてこの施策に合理性があるのか、説明させていただきたいと思います。  この施策の合理性を理解するためには、二〇〇四年の年金制度改正まで遡る必要があります。二〇〇四年の時点で、経済状況に合わせて足下の給付を抑えて百年先まで安心の年金制度とする、こういう予定でした。  ただ、その後、デフレの程度ほど基礎年金の給付を下げることができず、二〇〇四年時点で五九・三%であった所得代替率、これを、本来、二〇二三年に五〇・二%にまで下げる予定だった。ただ、実際は二〇二四年に六一・二%と逆に上がってしまっています。つまり、現在の年金は、百年安心のために作った二〇〇四年の時点での計画より多く支払ってしまっていることになります。それでは将来の年金が減るのは当然です。  総理にお尋ねします。  二〇〇四年時点での見込みとして、現在の年金が高く、将来の年金が低くなること、このことについてどうお考えでしょうか。この問題を解決するためにすべきことは何とお考えでしょうか。  私は、政策を間違えることは悪いと思いません。政策の運用がうまくいかないことも悪いと思いません。悪いのは、一度始めた政策を検証せず、見直さず、間違ったままでいることだと思います。優れた政治とは、一〇〇%正しい政策をつくることではなく、根拠に基づいた政策をつくり、確実に検証し、よりよい政策に修正できる政治だと思っています。  総理に御提案します。  今の政策を見直し、よりよいものにしませんか。今、当初の計画より払い過ぎてしまっている年金を見直し、将来の年金を守りませんか。そして、受け取れる年金が減ってしまう一部の受給者を心から大切に思って、思いに共感しながら、場合によっては別の何かで支援を考えながら、この経緯を説明し、合意を得る努力をしませんか。御意見をお聞かせください。  今回の年金法改正を国民のために真に価値のあるものとして実現するためには、多くの政治家、全ての国民の合意を得る必要があると思っています。今は政党同士で戦うときではありません。私たち全員が、私たちが知る困っている一人一人の顔を思い浮かべながら、一緒に力を合わせるときだと思っています。  救急医療チームは、一つの命のために一つになります。ふだん意見が違う医師同士でも、一たび患者が救急ベッドに横たわれば、命を守るために一緒に戦います。  私たち国民民主党は、対決よりも解決、この本会議場の議員の皆様と、命の日常を守るために一つになることを望みます。共に国民のために働きましょう。  御清聴ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕

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