○高良鉄美君 なかなか読む機会もないかと思いますけれども、お忙しくてですね。
この本は、ユーゴ紛争の際にセルビアを一方的に悪役とするプロパガンダが行われていたことを明らかにしました。この本の中で紹介されている新聞を国会図書館から取り寄せ、資料でお配りしております。
資料一を御覧ください。
当時、ナチスのアウシュビッツを想像させるほどのインパクトがあったことを覚えております。この写真です。
しかし、ドイツのジャーナリスト、トーマス・ダイヒマンが、戦後、現地を訪れて調査をしたところ、痩せたモスレム人が鉄条網で囲まれた収容所に閉じ込められているように見えるが、実はこの鉄条網はカメラマンの背中側にあった。つまり、写真には写っていない倉庫や変電設備を囲うためのもので、痩せた男を収容するためのものではなかったというものです。しかも、この痩せた男というのは、民族浄化とは関係ない、ほかの民族だったということです。しかし、当時この写真が大きなインパクトを与え、強制収容所が、強制収容所などないと幾らセルビアが事実を述べても一切通じなかったと言われています。
セルビア人による残虐行為の象徴とされているのがスレブレニツァ事件です。一九九五年にボスニアのスレブレニツァという町でセルビア側が約一万人のイスラム教徒、民間人を虐殺したと言われているものです。
資料一の四と五、新聞の三つの後ですね、は、旧ユーゴスラビア国連事務総長特別代表もされた明石康さんのインタビュー記事です。明石さんも、公のストーリーとは全く違った事実を主張されています。
明石さんは、セルビア人勢力による残虐行為は紛れもない事実です、しかし、そればかりが強調され過ぎたため、ほかの勢力の残虐行為は見過ごされてしまった、そこに善玉、悪玉という単純化したイメージができてしまった、あるいは、安全地域に指定されたスレブレニツァをセルビア人は占拠しました、安全地域に対する行為としては許せない、しかし、ボスニア政府、モスレム人側が先に仕掛けたという疑いがないわけではない、ここに数千人を配備していたボスニア政府側は、セルビア人側の攻撃とともに勢力をさっと引いてしまった、このような事実は取り上げられません、セルビア人の非人道性だけが喧伝された、また、ボスニアの町モスタルの破壊はすさまじかった、ここではクロアチア人がモスレム人に対して残虐行為に及びました、しかし、これもほとんど取り上げられませんでしたと述べておられます。
次に、セルビア人、セルビア側が和平案を拒絶したという点について述べます。
ユーゴ紛争のうちコソボ問題について、一九九九年二月に行われたいわゆるランブイエ和平交渉は、ユーゴ側は署名を拒否したために決裂したと言われており、交渉失敗後の三月からNATOの空爆が始まりました。
しかし、その合意文書案には、お配りした資料二の四十ページですね、文書がありますけれども、そこの下の方にあります注三十二にある条項があり、ユーゴ側はこれを問題として署名を拒否しました。米国のオルブライト国務長官が入れたと言われる附属文書Bです。NATOの平和維持部隊はコソボだけでなくユーゴ連邦全域に展開し、交通、運輸、公共施設の優先的かつ無料の使用が許され、全ての民事、行政、刑事上の違反が当事者の管轄権から除外されるというものです。
事実上、ユーゴ全土をNATOが軍事占領するというものであり、独立国であれば決してのむはずがありません。空爆の口実をつくるため、わざとのめない条件をアメリカが出したと推測されます。
外務省は、前回、ユーゴスラビア政府が和平合意案をかたくなに拒否と答弁しています。事実上の占領、軍事占領を突き付け、これを拒絶したことをもって空爆とは、余りに悪逆非道と言わざるを得ません。
岩屋大臣、せめて、当時の高村外務大臣もこの条項の存在をもし御存じであれば別の判断をされた可能性があったのではないかくらいのコメントをされてもよろしいのじゃないでしょうか。
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