○辻元清美君 立憲民主党の辻元清美です。
会派を代表して、憲法に対する考え方を申し述べます。
今年は戦後八十年に当たる年です。かつて日本は、全体主義と軍国主義という政府の過ちによる戦争で甚大な惨禍がもたらされました。沖縄では四人に一人が亡くなり、私の父方の祖父もブーゲンビルで戦死しております。皆様の周辺にも犠牲者がいらっしゃるんではないでしょうか。
その反省の下、今日まで八十年間の我が国の発展は、平和主義を掲げ、世界屈指の人権法典として優れた日本国憲法に基づくものと言えます。改めて、この節目の年に、憲法の意義について、石破総理は談話を閣議決定しないとおっしゃっていますので、本審査会で意義について議論してはいかがでしょうか。
さて、日本国憲法は、戦前戦後の内閣法制局長官を務められた金森徳次郎担当大臣や佐藤達夫先生などの法律家と先輩議員の懸命の努力によって制定されました。国会は二院制を採用していますが、元々、総司令部案では一院制でした。これに対して、日本側の強い意思により、現在の憲法の二院制になったという経緯があります。この経緯を見ても、押し付け憲法ではないと言えます。日本国憲法第五十四条に参議院の緊急集会が制定された経緯も戦争への反省に基づいたものと言えるでしょう。
憲法制定会議で、憲法担当の金森大臣は、戦前の緊急政令を認めないためにも参議院の緊急集会を設けた、さらには、非常の場合の暫定措置はやはり行政権ではなく国会が行うべきだと発言しています。また、大日本帝国憲法下、一九四一年二月に法律を改正して、一九四二年四月まで一年間選挙を延長し、その間に国民の信を問うことなく、一九四一年十二月八日に無謀な日米開戦に突っ込み、何百万人もの犠牲者を出した歴史があります。この歴史の教訓を踏まえるならば、安易に緊急事態条項の制定とか衆議院の任期延長とは言えないはずです。
参議院の緊急集会という制度は、災害時などだけではなく、後世の私たちが同じ過ちを繰り返さないために戦争への歯止めとして憲法に組み込まれた仕組みという側面があります。戦後八十年、憲法審査会の私たちがこれを肝にしっかり銘じなければなりません。
さて、参議院では、昨年六月の参議院改革協議会の選挙制度専門委員会報告書で、緊急集会の機能の充実強化が明記されております。本審査会でもこれまで緊急集会の運用について充実した議論を行ってまいりましたが、機能強化や制度整備、選挙制度との関係などの議論を更に深めることは有意義であると考えます。
また、昨年、公明党の幹事からは、選挙困難事態の全国一斉選挙の必要性に対して、繰延べ投票でなぜいけないのか、衆議院議員の任期延長には民主的正統性の問題がある旨述べられ、問われるべきは、大災害時においてもできる限り選挙を行うことができる災害に強い選挙制度をどう整えるかであるという旨発言をされました。
戦前の反省からも、安易に任期延長を論じるのではなく、まずは、いかなる事態でも民主主義の源である選挙ができる制度の具体化の議論を深めるべきです。これこそ立法府の私たちの役割ではないでしょうか。
また、国会法百二条六に定められている憲法審査会の法的な任務として、憲法違反問題などの調査審議があります。三月二十五日大阪高裁まで五つの高裁で違憲判決が出ている同性婚禁止、あるいは、二〇二三年十月二十五日に最高裁は性同一性障害の生殖能力に関する規定の違憲判決を出しました。さらに、選択的夫婦別姓、憲法五十三条の臨時国会の召集義務違反など、憲法問題として本審査会の任務としてしっかりと調査審議する必要があります。
さらには、国民投票について、テレビやネットのCM規制、ネット上のフェイク情報の対処など、さらには広報協議会の在り方について何ら解決されておらず、これら結論を得ない限り、国民投票の実施は困難と考えます。憲法二十一条の表現の自由との関係や、インターネット社会の民主主義の在り方についての検証と憲法論議も必要だと考えます。
最後に、緊急集会についての議論の在り方について一言申し上げます。
立憲民主党では、衆議院の憲法審査会においてこのような発言をいたしております。参議院の緊急集会でできないことを前提として議論を進めることは、要するに衆議院で進めることは、参議院の自律に対する干渉ではないかと問題提起をいたしました。
緊急集会の在り方は参議院全体に関わる事項であり、参議院改革協議会などで広範な議論が必要です。参議院の憲法審査会だけで結論を出すことはできないばかりではなく、参議院を差しおいて衆議院の憲法審査会でその機能などについて結論を出すような事項ではないということは、参議院憲法審査会の各党の合意がなされるものと存じます。
念のためこの点も申し添えて、発言を終わります。
御清聴ありがとうございました。
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