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中西祐介 ·自由民主党

参議院憲法審査会(2025-05-21)での発言

第217回国会 ·第第4号号 ·2,558字
○中西祐介君 自由民主党の中西祐介でございます。  私は、憲法と現実の乖離、本日は地方自治と選挙制度について申し述べたいというふうに思います。  これまで憲法審査会や参議院改革協議会などで議論を積み重ねていただきまして、制度導入以来約十年間、ほとんどの会派よりこの合区解消、改正が必要であるということを御理解いただくに至り、心から感謝を申し上げたいと思います。  しかし、残念ながら、本年行われる参議院通常選挙でもまた五度目の合区選挙が行われることになります。投票率の低下や無効票の増加という合区による弊害は、私も二度経験した過去四度の合区選挙を踏まえ明らかでありまして、この立法府の不作為というべき事態を一刻も早く是正しなければならないと考えています。  最高裁は、令和五年の判決で初めて、有権者において、都道府県ごとに地域の実情に通じた国会議員を選出するとの考え方がなお強く、これが選挙に対する関心や投票行動に影響を与えているということがうかがわれると指摘しています。当たり前のことだと思っています。  昨年の報道機関の世論調査でも、参議院議員は地域の代表として都道府県から一人以上選択されるのがよいという選択肢に考える割合が六割以上に上ったことは皆さん御承知おきだと思っております。これらの民意を背に、以前、本審査会に参考人でおいでをいただきました全国知事会始め地方六団体も、合区の解消及び都道府県単位での参議院議員の選出を毎年の緊急要望で強く訴えられておるところであります。  国立国会図書館に調査を依頼したところ、OECDに加盟している三十八か国の議会の選挙区選挙において、最広域の自治体より広域の選挙区を設け、直接選挙を採用しているところは、我が国のこの参議院選挙以外に全くありませんでした。やはり合区選挙は世界的に見ても極めて不自然な制度であるということが言えると思います。  先月、四月三十日には、ついに徳島の弁護士会が合区反対の意見書を取りまとめました。そこには、住民がひとしく持つ公務員を選定する権利を侵害しかねず、合区制度が国民主権を定める憲法に違反する疑いがあるというふうに訴えられております。さらに、これまでも最高裁の個別意見、反対意見で述べてきた参議院選挙における一票の価値の平等の判定は、選挙区選挙、比例代表選挙を総合した参議院議員全体で判定すべきとの考え方も示されています。  衆議院の不在時に大規模災害が発災し、甚大な被害がもたらされ、現行の憲法に規定されている唯一の緊急事態対応である参議院の緊急集会が開催されたとしても、合区選挙区では代表がいない地域がある可能性も、前々回、私から指摘させていただきました。  我々が直近経験した、緊急で国家を挙げて対応すべきコロナ禍の状況においては、県選出の参議院議員を通じて都道府県、市町村単位に緊急対応を講じたことを思えば、合区の常態化は県民感情として到底受け入れられず、怒りに似た感情を持つのは当然だと思っています。明らかな制度的欠陥に真摯に向き合うべきだと考えます。  参議院定数訴訟における最高裁のリーディングケースとされる昭和五十八年判決では、投票価値の平等を選挙制度の仕組みの決定における唯一、絶対の基準としているものではないと言及している中で、少子高齢化と大都市への人口移動による人口減少が進み、我が国の例えば食を支える農林水産業の持続性が脅かされる、あるいは地域の社会サービスを支える就業者が足りなくなるなど、人口数だけを尺度に地域を代表する参議院議員を減らすということは、立法府がこの国における負の循環を促しているようなものだと私は表現したいと思います。  憲法論としても関連した御意見を御紹介したいと思います。  護憲派学者と評されることもある一橋大学の杉原泰雄名誉教授は、日本国憲法の施行以来の憲法政治の中で特に大きく軽視され続けてきたのが第八章地方自治のところであり、それは日本国憲法制定当初からのものであった、そしてその一因には、明治期以降、資本主義の発展に地域の資源や労働力を利用する中央集権により地方自治が軽視されてきたことがあるということの趣旨を指摘されております。  また、大石眞京大名誉教授は、自主立法権、自主行政権、自主財政権等の内容を憲法典に明文化して地方自治の充実を図ることは十分考えられる選択肢というべきとも述べられております。  さらに、地方政治を専門とする砂原神戸大学教授も、地方自治体への更なる権限や自律性の付与の観点から、国と地方自治体の権限配分を憲法に明記し、地方自治体の憲法上の責任を明らかにするということは一つの方法とされております。  さらに、全国知事会は、合区問題の主たる原因として、憲法における地方自治の規定が第八章の僅か四条項にとどまり、第九十二条における地方自治の本旨が余りにも抽象的であると鋭く指摘されております。  これら現行憲法における地方自治規定の規律密度の低さと、地方公共団体が果たす役割の重大さと大きさという現実は、まさに是正すべき憲法と現実の乖離ではないかと指摘したいと思います。  既に、参議院改革協議会の下で選挙制度専門委員会では、合区弊害の解消が大勢を占めるという報告書を取りまとめていただいたところでありますが、一方、そのための選挙制度としては、各都道府県から少なくとも一人の参議院議員を選出する方策を主張する意見と、ブロック制による選出を主張する意見に大きく分かれています。  参議院改革協議会には、立法府として、弊害が明らかとなった合区選挙を放置しないという強い決意を示した上で、参議院の在り方を踏まえた選挙制度についての議論を進めつつ、令和十年の参議院選挙においては、民意や地方六団体の意見が適切に反映され、合区の弊害が解消された選挙制度で実施できるよう、不退転の意思と計画性を持った審議を強く要請するものであります。  以上より、地方自治と選挙制度の現状を鑑み、憲法の観点から、日本国憲法第八章の地方自治などについて議論を更に深めるべきことを申し上げて、私の発言を終わります。  ありがとうございました。

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