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森まさこ ·自由民主党

参議院法務委員会(2025-05-13)での発言

第217回国会 ·第第8号号 ·4,079字
○森まさこ君 自民党の森まさこです。  古庄委員から法案についての質問がありましたので、私からは性犯罪について質問をさせていただきます。  フジテレビの事案、大阪地検検事正の事案、被害者の女性たちは訴え出るまでにどんなに耐えてきたのでしょうか。訴え出た後もどんなつらい目に遭ってきたのでしょうか。そのことに思いを寄せると胸が痛くてなりません。  私は今日、個別の案件の刑事責任、民事責任を問うているわけではございません。これらは氷山の一角であり、同様の事案がたくさんあると思います。それに対する法務省の役割について、今日は考えたいと思います。  私が総理補佐官時代にも相談が寄せられた件がありました。ある有名な私立大学医学部で、女子医大生に医学部教授が性的な嫌がらせをして、被害者は医者としての就職に差し支えるから何も言えず耐えていました。見るに見かねて、同じ学部の男子学生たちが大学の公益通報窓口に通報したのです。しかし、大学も公益通報窓口にも無視をされて、私のところに相談が上がってまいりました。  また、別の案件は、私のインターン生なんですが、インターンが終わって就職をし、就職先の外資系企業で上司から部署の全員で飲み会があるからと誘われて行ったところ、皆がいる場所で性的暴行を受けましたが、男性社員も女性同僚も見て見ぬふり、又は何も言うことができず、黙っていたそうです。会社の公益通報窓口の法律相談所に相談しましたが、同僚は口をつぐみ、調査がままならず、結局会社を辞めました。  このように、女性議員である私だからなのでしょうか、多くの事案が寄せられています。  フジテレビジョン第三者委員会の報告書では、業務の延長線上における性暴力と言っておられますが、これは特定の法律用語ではないものの、刑法百七十六条一項八号のいわゆる経済的、社会的関係上の地位にある者からの性暴力の被害者は、会社の中での関係や取引先の会社との関係で、その被害を訴え出ることが非常に難しいことは想像に難くありません。ですから、このような犯罪については的確に処罰できるようにする必要があります。これまで法務省は、このような性的犯罪被害に積極的に取り組んできたと評価できるでしょうか。  私が法務大臣在職時、性的被害者の九割が女性だったこともあり、女性の大臣として、性犯罪防止に積極的に取り組まなければならないと思いました。しかし、簡単なことではありませんでした。  御存じのとおり、性犯罪に関する重要な法改正が二回行われています。一つ目は、平成二十九年七月十三日施行の刑法の一部を改正する法律です。この法改正では、強姦罪の構成要件及び法定刑の見直し、監護者によるわいせつ行為又は性交等に対する罰則の新設、強姦罪等の非親告罪化が行われました。ただ、そのとき、被害者団体からの要望聴取が十分に行われず、強い主張や要望があったものの、法改正に入らないものがありました。  この二十九年改正刑法附則には三年後の検討条項があり、その三年後の法務大臣が私だったんです。しかし、当時、性犯罪の改正に取り組むことには慎重な意見も多く、私は気持ちを強く持って改正に乗り出さなければなりませんでした。官僚の皆様がお膳立てしてくださったことだけを取り組めば楽なのでしょうが、しかし、被害者の皆様のことを考えますと、被害者に寄り添って対策を進めることが法務省のやるべきことだと考えたのです。  そのときに私に力を与えてくださったのが、当委員会を始めとする国会審議での委員の皆様からの御質問であったり、議員連盟の申入れでした。附則に三年後と書いてあるではないですか、いつ始めるんですかという質問などです。  私は、大臣として私的勉強会を大臣室内に半ば強引に設置し、毎週検討を行いました。この勉強会には、医師、弁護士、被害者支援団体、そして被害者当事者に入っていただきました。その結果、法務省の正式な性犯罪に関する刑事法検討会の立ち上げにこぎ着けました。  資料一を御覧ください。  それが法務省の検討会です。検討会のメンバーは七割、女性にいたしました。法務省検討会史上、飛び抜けて最多の女性比率となりました。大臣、これ不公平ですという意見もいただいたんです。いつも男性の方が多くて、何で女性が多くなったら不公平なのか分かりませんが、性暴力の被害者の約九割が女性であることを踏まえれば、メンバーの女性比率を高めるのは当然です。女性の研究者、裁判官、検事等に入っていただきました。  資料二は、この検討会について述べた記者会見です。字が小さくて恐縮ですけれど、法務省のホームページに書いてあります。  性犯罪に関する検討会の構成員に性犯罪被害当事者である委員が選ばれていますが、その理由についてお聞かせください。性犯罪の被害当事者の御経験も踏まえることが必要であり、そして、委員は被害者支援にも関わって様々な性犯罪被害の実態についての見識をお持ちであることから、前回の検討会等には被害者の方が委員に入っておらず、検討会でヒアリングを行うのみでありましたが、今回は委員に入っていただき、毎回出席をしていただく。そして、私が立ち上げた大臣室直轄の勉強会のメンバーでもいらっしゃいましたところ、その中で多数回議論をする中で、御自分の被害体験だけではなく、本当に多くの方の被害体験を知見として積み重ねていらっしゃって、そして、冷静に法改正についても議論できる方とお見受けして委員になっていただいたところですと、私が答弁をしています。  そして、その下の記者会見では、刑法改正の見直しが必要かどうかを議論する検討会、これにはやはり女性の視点を取り入れる必要があるんではないですかという記者の質問に対して、私が、十七人のメンバーのうち十二人が女性ですので約三分の二が女性です、その中には犯罪被害者の方、被害者の目線で活動してきた法曹実務家などがおられます、法曹は全て女性です、つまり、裁判官、検事、弁護士、全員女性としました、性犯罪には様々な被害者の方がおられますが、その中でも被害者に占める女性の割合は高いわけです、被害者目線でしっかりとした法改正の検討をしていただけるように期待していますと、私が答弁をしています。  この検討会では、結果として、平成二十九年の刑法改正時に拾われなかった論点を拾っていただけました。そして、法制審議会の刑事法(性犯罪関係)の部会につなげることができました。その結果、令和五年の刑法及び刑訴法の一部改正が行われて、本改正によって冒頭述べた不同意性交等罪が設けられ、その構成要件に、経済的、社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮が設けられたのです。  部下であれば、上司を訴えると首になる、又は昇進の道が絶たれるおそれがある、だから嫌と言えない。こういった事案に対応するために不同意性交等罪を設け、ノーと言えなくても処罰できるようにしました。これこそ、平成二十九年の刑法改正に入れようとしたけれども入れられなかった条文です。  つまり、平成二十九年から六年たってやっと改正できた。平成二十九年の改正の着手したときから数えたら、もう十年以上たってやっとこの条文が入ったんです。その間にどれだけの性的被害者が涙を流し、泣き寝入りをしてきたかということに思いをはせていただきたいと思うんです。  こうやって、やっと不同意性交等罪を設け、その構成要件に、経済的、社会的関係の地位に基づく影響力による不利益の憂慮を設けることができたのですから、これを国民の皆様に広報し、性犯罪を出さないように努めることが法務省の義務ではないでしょうか。会社の内部事情や取引先との業務上の関係等で訴え出ることができずにいる被害女性の皆様に、法務省として、しっかり性暴力被害防止に取り組んでいることを見せ、希望を与えることが重要です。特に、不同意性交等罪をどう適用し、罰すべき人を適切に罰するか、被害者が泣き寝入りとならないようにするのか、これが法務省の仕事です。  法務大臣におかれましては、氷山の一角であるフジテレビジョンや大阪地検の元検事正の事件を契機として、検討会を設置し、被害者が訴え出られるような措置を講じるべきです。性暴力被害について広報をしっかり行い、警察や検察は被害の端緒を見逃さぬようにしっかり対応していただきたいのです。訴える女性は、清水の舞台から飛び降りる気持ちで訴え出て、職を失うかもしれないと不安に思いながら、清水の舞台から飛び降りる気持ちで訴え出て、職を失うかもしれないと不安に思いながら日々を過ごしておられます。警察及び検察は、秘密を守ってしっかり被害者救済に力を尽くしていただきたいです。  また、法務省には実態調査も行っていただきたいです。被害者が申し出ることが難しい犯罪なので、調査には工夫が必要だと思います。病院や公益通報窓口、プライバシーに留意しながら、被害を受けた女性が訪れる現場を丁寧に確認をし、できる限りの調査を行っていただき、今後の対策を進めていただけないでしょうか。  個別の事案の判決の蓄積を待ってからの対策となると、事案によっては最高裁まで争うこともあり、そうなると、また十年掛かってしまうことが考えられます。この間にも、被害者はどんどん増えていってしまいます。政府が調査、広報等を行い、積極的に対策を行っていくことが犯罪抑止効果を生みます。法務大臣が対策に乗り出しますと会見を行えば、被害に苦しんでいる女性にとって一筋の光明となります。  是非、法務大臣には、法務省による調査分析、広報、啓蒙、指導等を行う必要性について、全国の女性被害者のための、一定の経済的、社会的関係上の地位にある者からの性暴力被害の救済、防止、その対策の推進に取り組む決意を述べていただきたいです。よろしくお願いをいたします。

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