○国務大臣(林芳正君) 拉致問題担当大臣の林芳正でございます。
拉致問題をめぐる現状について御報告を申し上げます。
北朝鮮による拉致問題は、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であり、国の責任において、主体的に取り組み、解決を目指すべき課題です。
二〇〇二年に五名の拉致被害者の方々が帰国されて以来、一人の拉致被害者の御帰国も実現しないまま、本年二月には有本明弘さんがお亡くなりになりました。心から哀悼の意を表するとともに、御家族の皆様にお悔やみ申し上げます。御存命のうちに有本恵子さんとの再会を実現できなかったことは痛恨の極みであり、誠に申し訳なく思っています。
拉致被害者やその御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題であるとともに、その本質は国家主権の侵害です。もはや一刻の猶予もない、何としても結果を出してほしいという御家族の皆様の切迫した思いを改めて胸に刻んで、全力で果断に取り組んでまいります。
拉致問題の解決に向けては、我が国自身が主体的に取り組むことが重要です。石破総理自身、日朝間の諸懸案を解決するため、もう一度日朝平壌宣言の原点に立ち返り、当時思い描いた思いを大局観を持って実現すべく、この機会を逃すことのないよう金正恩委員長に対して呼びかけていくとし、首脳同士が会談し、解決へ導かなければならない旨を述べています。こうした石破総理の強い決意の下、引き続き北朝鮮に対して様々なルートを通じて様々な働きかけを行ってまいります。
また、拉致問題の解決には国際社会との連携が不可欠です。例えば、先月の日米首脳会談では、石破総理から、いまだに肉親と再会することができない拉致被害者御家族の苦しみや切実な思いをトランプ大統領に直接伝達した上で、一日も早くこの問題を解決したいという決意を伝え、米朝間の交渉の可能性も念頭に、改めて理解と協力を求め、トランプ大統領から全面的な支持を得ました。
私自身も、国際会議や外国要人の方とお会いする機会に、拉致問題の即時解決に向けた理解と協力を直接求めてまいります。米国の新聞への意見広告の掲載等、米国を始め国際社会において広く拉致問題についての関心と認識を深める取組も続けてまいります。
拉致問題は過去の歴史上の事件ではなく、今なお被害者が自由を奪われ、御帰国できない状態が続いている現在進行形の問題であり、日本国民が心を一つにして、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現への強い意思を示すことが問題解決に向けた力強い後押しとなります。このような認識の下、政府としては、拉致問題に関する啓発活動にも力を入れて取り組んでおります。
本年度は、地方自治体との共催により国内七か所で拉致問題を考える国民の集いを開催したほか、拉致問題に関する舞台劇や映画等の上映会を全国各地で開催しました。
加えて、これまで拉致問題に触れる機会の少なかった若い世代への啓発活動を特に積極的に推進していく考えです。具体的には、教員等を対象とした研修や、中学生、高校生を対象とした作文コンクール、教員を目指す大学生に対する講座の開設などの取組を行っております。また、昨年八月には、全国の中学生の参加を得て拉致問題に関する中学生サミットを開催しました。本サミットに参加した中学生のアイデアを基に制作した広報動画も活用しております。
これらの啓発活動と並行して、拉致被害者や北朝鮮の人々に向けたラジオ放送も政府として実施しております。また、民間団体に委託した放送を行うとともに、ラジオの共同公開収録を本年度も四回実施しました。今後とも、拉致被害者や北朝鮮の人々に向けた情報発信を積極的に行ってまいります。
拉致問題は石破政権の最重要課題です。拉致被害者の方々、そして御家族の皆様が御高齢となる中、一刻の猶予もありません。認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国の実現に向けて、全力で果断に取り組んでまいります。
松下委員長を始め、理事、委員の皆様の御理解、御協力を心よりお願いを申し上げます。
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