○熊谷裕人君 立憲民主党の熊谷裕人です。
立憲民主・社民・無所属の会を代表して、石破総理に質問いたします。
幾つか具体的な提案もしますので、是非、総理、御自身の言葉で楽しい答弁をいただきたいと思います。
最初は災害対策関係です。
日本は災害大国で、近年、大規模災害が相次ぎ、被害が激甚化しております。私は、災害に備えるには、災害対策だけではなく、防災も含めた、災害被害を少なくするにはどうするのか、災害が起きたらどうするのか、そのときの即応体制をどうするのか、そしてその後の即応体制を、そしてその後の迅速な復旧と復興をどのようにつなげていくのかということを平時から災害に特化して準備し、即応できる体制を整えておくことが必要であるとずっと思っておりました。
総理は、二〇二六年度中に防災庁設置を目指す方針を出されましたが、まだ具体的な制度設計は示されておりません。災害への備えは、災害大国である我が国全ての国民に密接に関係する重大事項です。一刻も早く防災庁構想を真摯に議論するべきであると思いますが、総理の見解はいかがですか。
東日本大震災のとき、私は地方議員でした。発災後間もなく被災地にボランティアに駆け付けて、瓦れきの撤去や土砂の除去などの手伝いをさせていただきました。その経験の中で人力の非力さを覚え、後に小型建機の操縦資格を取り、防災士の資格も取りました。
今、全国各地の災害現場で、重建機の操縦スキルなど様々な専門スキルを生かし、災害ボランティアとして貢献をいただいている皆さんが大勢いらっしゃいます。そして、このようなスキルを生かした皆さんの活動範囲は年々広がっています。
私は、全国各地の専門スキルを持った災害ボランティア団体や国土交通省のテックフォースなどを常設化して、官民の力を結集した緊急災害支援隊を創設すべきだと国会質問でも度々訴えてきました。災害が頻発化、激甚化している今こそ、災害ボランティア団体や個人への支援を災害時だけではなく平時から国としてしっかり支援をしていく組織と予算が必要であると考えますが、総理、いかがでしょうか。
加えて、その支援組織は、災害派遣等での経験が生かせる、若くして定年退職を迎える自衛官の皆さんの退職後の活躍の場となると思いますが、総理の見解をお聞かせください。
一月二十三日現在、能登半島地震で亡くなった方は五百十六人、そのうち災害関連死は二百八十八人に上り、直接死を上回っています。災害関連死は、避難生活での心労や持病の悪化などで命を落としてしまう二次被害で、避難先の生活環境の改善によって防止できるものです。災害関連死が直接死を上回る深刻な事態を受け、その対策の強化が急がれます。
今後、避難先である施設の温熱環境の改善や、とりわけトイレ環境の改善、スフィアスタンダードによるプライベート空間の確保など、避難生活の環境改善を自治体任せにすることなく、国が積極的に関与する考えはありますか。
加えて、二〇二一年に始まった道の駅に広域的な防災拠点機能を担わせる防災道の駅は、二〇二四年八月現在、全国で三十九か所のみですが、今後、防災道の駅整備の加速化や、それ以外の道の駅の地域防災拠点としての整備など図るべきと考えますが、総理の認識を伺います。
またあわせて、災害避難所では、高齢者や小さな子供、障害を持つ方など災害時要配慮者への方々への様々な配慮が必要なのは言うまでもありません。妊産婦や乳児と母親、乳幼児を抱えた家族などへの配慮も忘れてはなりません。さらに、日本に暮らしている外国人は言葉や文化の違いで様々なリスクに直面することから、多言語化や多文化に対応した支援も必要です。
災害対策基本法等の改正で、医療関係者に加えて福祉関係者も支援に従事できるように検討していると承知していますが、妊産婦等への支援として看護師や助産師を積極的に活用し、不安を募らせている方々へ心身両面の支援をするべきと考えますが、総理の見解を伺います。
あわせて、災害避難所での性被害やセクハラ被害も深刻な状況と言われています。そのような被害をなくすためにどのような対策を講ずるべきと考えているか、総理の所見を聞かせてください。
〔副議長退席、議長着席〕
二番目は外交関係です。
米国では、一月二十日にトランプ氏が大統領に就任し、第二次トランプ政権が発足しました。米国第一主義を掲げる大統領の再登板は、我が国との関係では、安全保障面で、防衛費の増額や在日米軍駐留経費の負担増が求められる可能性や、日米豪印、クアッドや日米韓等のインド太平洋地域における多国間協力からの後退などが懸念されています。
さらに、経済面でも、輸入品への関税引上げや、これを材料にした強圧的な貿易交渉が我が国にも迫られる可能性、そして、米国が対中規制、対中国規制を強化した場合の我が国への協調圧力、インド太平洋経済枠組み、IPEFからの離脱などの可能性も懸念されています。
政府は、日米同盟を外交・安全保障の基軸としています。石破総理には、第二次トランプ政権との間で日米の良好な関係を維持しつつ、伝えるべき懸念は伝え、日米双方の利益になるようなウィン・ウィンの関係を築かれることを期待しますが、最初の日米首脳会談はいつ頃までに、また、どういった話ができれば我が国にとって意義のある会談だったと言えるのか、総理の考えをお聞かせください。
第二次トランプ政権の発足や中国経済の低迷を受けて、今、中国が対日姿勢をやや軟化させたとも言われていますが、日中間には懸案がまだまだ山積しております。
尖閣諸島周辺海域における中国公船の活動や東シナ海の我が国EEZ内へのブイ設置、中国国内での邦人拘束や日本人学校児童殺害事件など在留邦人の安全確保の課題、日本産海産物の輸入規制など、課題や懸案を棚上げせず、しっかりと懸念を伝え、対応を求めていく必要があります。
総理は、米中の経済や安全保障の競争的な関係が激化する中で、我が国はどういった立ち位置と役割を果たしていくべきと考えていますか。そして、日米、日中それぞれの距離感は総理としてはどうあるべきと考えているか、お尋ねします。
本年は日韓国交正常化六十周年に当たり、シャトル外交の再開や日米韓首脳会談の定期開催など、近年では最も良好な日韓関係の状態と言えます。
しかし、尹錫悦大統領の非常戒厳宣布をめぐり韓国政治の現状は今や完全に不透明であり、こうした状況は日韓関係において好ましくありません。
核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に対し、日韓、日米韓で緊密に連携することが今必要であると考えますが、総理はこの六十周年の節目に日韓関係をより良好なものとするためにどのような関係構築を目指すのか、決意を聞かせてください。
トランプ大統領は、一期目の政権において、北朝鮮の非核化に向けて米朝首脳会談で交渉を重ねていましたが、その交渉は決裂でした。新政権でも北朝鮮との対話を重視する姿勢と言われており、首脳会談再開が実現すれば大きな転機になると考えられます。
この機を捉えて、さきの米朝首脳会談で拉致問題を提起したトランプ大統領が再選し、日中関係に改善の兆しが見えてきている今こそ、北朝鮮に対して強く影響力を発揮できる米中両国の協力も得て、拉致問題の解決を大きく前進させるべきと考えますが、総理の拉致問題解決への決意を聞かせてください。
三番目は、財政金融関係です。
円安は日本経済にとってプラスであるというのが長らく政府や日本銀行の公式見解でした。しかし、この間、生産拠点の海外移転などが進んだ結果、輸出の拡大という円安メリットが減少する一方で、近年、国民の多くが身をもって体感しているように、円安による輸入物価の上昇を通じた家計の実質所得の押し下げというデメリットの方が目立ってきているように思います。
日銀の分析によれば、特に最近、国内総供給に占める輸入品の比率の高まりや企業の価格設定行動の積極化などにより、円安が消費者物価に与える影響はより大きくなってきています。
アベノミクスが戦後二番目の長さとなる景気拡張を記録しながら、実感なき景気回復と評されたのは、GDPの五割強を占める個人消費が低迷していたためで、現在も、行き過ぎた円安由来のコストプッシュ型インフレが個人消費の足かせとなり、日本経済の成長を阻んでいます。
その認識の上で、総理に伺います。
現在も円安は日本経済にとってプラスであると考えているのでしょうか。お聞かせください。
また、日銀が利上げの金融政策決定変更を決定しましたが、為替相場の反応はほとんどありませんでした。政府はかねてから、為替水準は経済のファンダメンタルズを反映するものと言っていますが、私は今の円安水準は行き過ぎた円安であると考えています。国民がコストプッシュ型インフレにあえぐ中、石破政権がこれからも円安を志向する政権なのか、あるいは円高を志向する政権なのか、併せてお答えください。
自民党政権は、今もデフレ脱却を掲げ、経済政策を打ち出しています。しかし、日本銀行の生活意識に関するアンケート調査では、一年前に比べて物価が上がったと回答した人が九五%に上り、そのうち八六・七%の人がどちらかといえば困ったことだと回答しています。つまり、今、国民にとっての懸念は明らかにデフレではなくインフレなのです。
実際に、二〇二二年四月以降、消費者物価の前年比上昇率は二%を超え続けています。内閣府は、二〇〇一年三月の月例経済報告の中で、デフレを持続的な物価下落と定義しましたが、現在起こっているのはそれとは真逆の持続的な物価の上昇です。
さらに、内閣府は二〇〇六年に、デフレ脱却を、物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがないことと定義していますが、経済の性質上、デフレに後戻りする可能性を完全に否定することはできないのではありませんか。つまり、政府の説明によれば、いつまでたってもデフレを脱却できないということになりませんか。大規模財政出動を正当化するために、実体経済を無視してデフレに固執しているのではありませんか。
一体どのような状況になればデフレを脱却したと言えるのか、デフレ脱却の四条件は今も有効なのか、それ以外の条件も存在するのか、総理の明確な答弁を求めます。
また、日銀は昨年三月の金融政策決定会合において、二%の物価安定の目標が持続的、安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断し、マイナス金利政策の解除や長短金利操作の撤廃など、異次元の金融緩和の転換を図ったわけです。そして、この度の金融政策決定会合で十七年ぶりの水準である〇・五%に政策金利を引き上げました。
政府と日銀の間で経済認識に相違はありませんか。そして、政府はどのような状況ならデフレ脱却を宣言するのか、総理の認識を伺います。
四番目は、社会保障関係です。
この度の政府の年金部会の議論の整理では、厚生年金の短時間労働者の加入要件のうち、企業規模要件と賃金要件を撤廃するといった適用拡大案を取りまとめました。この取りまとめ案が実現すると、約二百万人の労働者が厚生年金と健康保険の適用となり、労働者と事業主双方に保険料の負担が新たに発生することになります。
労働者には、厚生年金に加入することによって将来受け取る年金給付の水準が上がることや、健康保険に加入することにより傷病手当金や出産手当金を受給できるようになるというメリットがありますが、事業主には、人材確保につながるのであればよいですが、負担増となりメリットはありません。
中小企業にとって厚生年金の保険料の事業主負担は重く、経済的支援なしでは経営が立ち行かなくなるおそれがあります。そのような懸念があるにもかかわらず、現時点で政府は、厚生年金の適用拡大に当たって企業への経済的支援を講じるのかどうか明らかにしていません。
取りまとめ案の企業規模要件の撤廃に踏み切るのであれば、新たに適用される事業所に対して必要な支援策を講ずるべきと考えますが、総理の現時点での見解を伺います。
また、政府の年金部会では百六万円の崖への対応として、労使折半である社会保険料の負担割合を労使合意で変更し、事業主の負担割合を増やすことができるという特例を導入することも検討していましたが、賛否両論あり、まとまりませんでした。
その後、政府の検討状況について、従業員五十人以下の企業と五人以上の個人事業所に限定して、この特例を導入する方針であるとの報道がありました。果たして、保険料の事業主負担を支払うことですら困難な状況にある中小零細企業が労働者の保険料まで肩代わりすることが本当にできるのでしょうか。政府としてこの特例を導入するのかどうかと併せて、現時点での認識を、総理、お答えください。
五番目は法務関係です。
二〇二四年九月二十六日、逮捕から五十八年の歳月を経て、袴田巖さんの再審無罪判決が下されました。この判決から、通常審には整備されている証拠開示制度が再審法にはないことによって、再審請求に必要な新証拠の入手が難しく、再審請求の高いハードルになっていることや、期日指定などの手続規定が刑事訴訟法では整備されていないことで裁判所ごとに審理の格差が生ずる再審格差の課題、検察官の不服申立て、抗告による審理の長期化といった再審制度の問題点が明らかになりました。
これらの諸課題の解決に法制審議会で年単位の期間を掛けるのではなく、冤罪被害者が高齢化したり亡くなったりする前に問題点を改善すべく、早急な再審法の見直しが必要であると私は考えますが、総理の見解を求めます。
最後は農林水産関係です。
農産品生産費の価格転嫁による食料品価格の上昇は、表面上、生産者の収益増につながるとしても、国内農畜産物の需要を減少させるおそれがあります。価格転嫁が必要な生産者が思う適正価格と、家計が厳しくなる中で安価な食料品を求める消費者が思う適正価格を市場原理により同時に実現することは、現実的には困難です。だからこそ、価格は市場で、所得は政策でと切り分けて考えるべきです。
農業従事者の高齢化と就農人口の減少が進行している中で、持続可能な農業経営の確立に向け、価格形成の新たな仕組みのほかに、食料安全保障の確保と多面的機能の発揮に貢献する農業者の所得向上などに資するよう、農地に着目した直接支払などの抜本的な農業者支援策を併せて講ずるべきと考えますが、総理の見解を求めます。
結びに、参議院では、自民党安倍派の政治資金パーティー裏金問題に関する政治倫理審査会での審査が続いています。これまでの出席議員の弁明を聞いている限り、真相解明には程遠いものと感じており、真相解明に近づくためにも、指示をした者として言及されている元派閥の事務局長の国会への参考人招致は必要不可欠であると考えます。
政治改革を真に国民から信頼されるものとするために、総理として、自民党の総裁として、強力なリーダーシップを発揮していただくようお願いをいたしまして、会派を代表しての質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕
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API / MCP 利用
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MCP: search_diet_speeches(speaker="熊谷裕人")