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福山哲郎 ·立憲民主・社民・無所属

参議院本会議(2025-02-12)での発言

第217回国会 ·第第4号号 ·5,860字
○福山哲郎君 立憲民主党の福山哲郎です。  会派を代表して、日米首脳会談について、石破総理に質問させていただきます。なお、定番の国会答弁の、仮定の御質問にはお答えいたしかねますという答弁はされないよう、また、具体的にお答えいただきますよう、お願いいたします。  石破総理、トランプ大統領との首脳会談、お疲れさまでした。率直に言って、共同声明を見る限り、安全保障分野での成果は十分に得られたのではないでしょうか。また、会見のやり取りを拝見しても、一定の個人的な関係も築かれたという印象を受けました。事前の調整に奔走されたであろう外務省や経産省、官邸等の関係者にも敬意を表します。また、石破総理に改めて敬意を表します。  立憲民主党は、日米同盟は日本外交の基軸だと考えています。そのことを前提に質問させていただきます。  今回の共同声明において、「日米関係の新たな黄金時代を追求する決意を確認した。」とありますが、日米が追求する黄金時代とは一体どういった時代であり、具体的に何を追求するのでしょうか。お答えください。  一方で、石破総理が予算委員会等で常に確認したいと言われていた法の支配、この文言は、日本の、自由で開かれたインド太平洋の中では中心的な理念、外交の在り方を示すものです。驚いたことに、法の支配という文言が共同声明の中に一度も出てきません。なぜ法の支配を落としたのでしょうか。  今回の共同声明と、僅か十か月前に開かれた当時の岸田総理とバイデン大統領との共同声明とを見比べると、安全保障分野の文言はほぼ踏襲されています。しかし、この法の支配の文言だけは落ちています。  もちろんアメリカが政権が替わったことは理解をしておりますが、アメリカとの事前調整の過程で、要請されて落としたのでしょうか。日本が自ら進んで法の支配を落としてアメリカに提示したのでしょうか。明確にお答えください。  石破総理は、対米投資を一兆ドルに引き上げることを表明されました。いつまでに誰がどのように投資を積み上げるのか、お答えください。  石破総理は、帰国後のインタビューで、関税について議題に出なかったと明確に答えられていますが、共同会見時にトランプ大統領は相互関税に言及されました。どのような印象を持ちましたか。  会見での言及のとおり、トランプ大統領は日米首脳会談後、正式に鉄鋼、アルミニウムへの二五%の関税を例外なく課すと明らかにされました。日本にも課されることになるのでしょうか。また、日本政府にこのことをいつ伝えられたのでしょうか。首脳会談のときに話はあったのですか。今回、日本は報復措置を検討するのでしょうか、また、どのように対応するのでしょうか。お伺いします。既に、アメリカと同盟関係にあるEU、韓国は懸念を表明しています。  また、それ以外にも、トランプ大統領は相互関税の導入にも言及しています。日本も対象になるということでしょうか。この鉄鋼、アルミニウムへの二五%追加関税、相互関税が日本企業にどのような影響をもたらすと考えているのでしょうか。お答えください。  これらの関税措置は、アメリカ国内のインフレを助長し、ひいては世界経済の減速を招くものと強く危惧をしています。  次に、USスチール問題についても質問いたします。  首脳会談では、買収ではなく投資という表明がなされましたが、詳細は明らかにされませんでした。すると、その後、トランプ大統領は、誰もUSスチールの株式の過半数を取得することはできないと表明されました。このことを石破総理は聞かされていましたか。  元々、日本製鉄はUSスチールについて、一株五十五ドルで全株式を取得する計画でした。約二兆円の投資です。この計画を白紙に戻すことになるなら、極めて遺憾です。  首脳会談後すぐさま日本製鉄に判断を迫るような事態になることについて、総理はどうお考えですか。また、首脳会談では言及しなかったトランプ大統領の発言や関税措置は想定内のことなのでしょうか。ウィン・ウィンの関係を本当に築けるのでしょうか。  総理、自由で開かれたインド太平洋の三本柱のうちの一つ目の柱は、まさに法の支配、自由貿易、航行の自由です。この法の支配や自由貿易体制について、関税をディールの材料にするトランプ大統領とその価値観を共有できていると言えるのでしょうか。お答えください。  トランプ大統領は、アメリカ産のLNGの輸入を新たに開始すること、アラスカの石油とガスに関して日米間で共同事業を行うことを明らかにし、石破総理も、両国間でエネルギー安全保障の強化に向けて協力していくことを確認したと述べられました。一体幾らで、どのぐらいの量を買い付けるのでしょうか。また、アラスカのプロジェクトは、これまでアメリカからオファーがありましたか。いつからどのような形で日本は参加になるのでしょうか。お答えください。  防衛協力についてもお伺いします。  トランプ大統領は、日本に約十億ドルの防衛装備品等の売却を承認したと明らかにし、アメリカの抑止力をフルに発揮し、同盟国を一〇〇%防衛すると表明されました。一〇〇%防衛すると表明されたことはよしとしたいと思います、有り難いことだと思います。しかし、日本は一体何を購入するのでしょうか。  共同声明の中にある、日本の南西諸島における二国間のプレゼンスの向上について、アメリカのプレゼンスの向上とはどのような状況を指すのでしょうか。お答えください。  二〇二七年度以降の防衛力強化について、どのように考えているのでしょうか。またも増税ですか。具体的にお答えください。  また、石破総理は、総理就任前から、また予算委員会でも、日米地位協定の改定に意欲を示してきました。首脳会談ではこの改定に向けた議論を提起したのでしょうか。  しかし、昨年十一月にも沖縄で米兵による性犯罪が発生し、昨年の検挙件数は四件となり、過去十年で最多。沖縄県民の不安は払拭できません。主権国家として、トランプ大統領にはこれらの実態を伝え、在日アメリカ軍の綱紀粛正を求めたのでしょうか。  トランプ大統領による中国への追加関税に対して中国が報復関税を発表するなど、今後も米中対立は更に厳しさを増すことが予想されます。中国への対応を念頭に、東シナ海における力又は威圧による現状変更の試みへの強い反対を確認しています。台湾海峡の平和と安定の確保にも言及されています。そのことは評価します。  一方、昨年十一月の日中首脳会談、十二月の日中外相会談と、石破政権は中国との会談を重ねています。中国との対話を重ねることは評価します。尖閣周辺のブイの撤去も明らかになっています。  そういう状況の中で、中国のメッセージをどう受け取り、そして石破政権はトランプ政権下の米中関係にどのように関与し、地域の平和と安定にどのように寄与していこうと考えているのでしょうか。また、国際機関への台湾の参加はいかなる機関を想定しているのでしょうか。お答えください。  共同声明では、北朝鮮については、世界にとって深刻な脅威となっている核・ミサイル開発への対処の必要性や、完全な非核化に向けて日米が連携して取り組んでいくことを確認されました。  米朝首脳会談がまた開催される可能性も指摘されています。トランプ大統領は就任日に、北朝鮮を核保有国と発言しました。これは日本政府の立場とは異なるものですが、その確認はされましたか。  日米韓の連携強化を含め、北朝鮮に対する圧力強化や対話の可能性、完全な非核化に向けた外交努力の重要性についてどのような認識の共有がなされたのでしょうか。  また、最重要課題の一つである拉致問題は、日本が即時解決を実現する決意を改めて表明し、アメリカはそれを支持したということですが、どのような協力が確認できたのでしょうか。お伺いします。  トランプ大統領が表明したWHO脱退、パリ協定の再離脱方針、アメリカによるパレスチナ自治区ガザの所有権構想、所有構想等については、今回の首脳会談などでは言及がありませんでした。話題にもしなかったのでしょうか。なぜですか。  トランプ大統領は、パレスチナ自治区ガザを長期的に所有し、再建を担う考えを示しました。国際法違反であることが指摘されています。その後、一部軌道修正はあったものの、日本が一貫して支持するイスラエルとパレスチナの二国家解決とは相入れません。イスラエルとパレスチナとの紛争について議論はあったのでしょうか。日本は国際社会と協調して二国家解決を目指すことに変わりはないのでしょうか。お答えください。  重ねて、トランプ大統領は、国連パレスチナ難民救済事業機関、UNRWAへの資金拠出を停止しており、一月にはイスラエル国内でのUNRWAの活動を制限する法律が施行されました。我が国は、外務大臣名でこの法律についての深刻な懸念を表明しています。  UNRWAの活動について、トランプ大統領と何らかの協議はあったのでしょうか。あわせて、日本はUNRWAへの拠出金を引き続き継続していくことを確認させてください。  さらに、トランプ大統領は、国際刑事裁判所、ICCについて、ICCへの制裁を可能にする大統領令に署名をしました。ICCの赤根所長は深い遺憾の意を表明すると述べ、約八十の国・地域が国際的な法の支配を脅かすと非難する共同声明を発出していますが、日本は署名をしていません。なぜですか。ICCが果たす役割の重要性についてトランプ大統領に伝えることはされましたか。お聞かせください。法の支配への挑戦ではありませんか。  足下の最も大きな懸念の一つは、アメリカ国際開発局、USAID、いわゆるUSAIDです。  USAIDは、一九六一年以来、世界各地でアメリカの開発・人道支援活動を主導してきました。アメリカのソフトパワーの柱であり、日本が拠出するグローバルファンドとともに国際的な緊急事態で役割を果たしてきました。  USAIDへの資金の凍結は、世界中の人道支援プログラムに深刻な影響を既に与えています。国連人口基金は、アフガニスタンではアメリカの支援がなければ千二百人の妊産婦が死亡し、十・九万人の望まない妊娠が新たに発生する可能性が高いと警告。ミャンマーでは、マラリア検査と薬の供給が停止しています。メキシコでは、トランプ大統領が懸念するフェンタニルや違法薬物が米国に流入するリスクが高まります。  援助を停止することは、中国やロシアといった国々に影響力を拡大する余地、機会を与えることになります。現在進行中のプログラムを何とか継続させるべきであると考えます。  今回の首脳会談において、国際援助の重要性について話はあったのでしょうか。また、総理自身、日本がこれらの空白をどのように埋め、どのように貢献するか、お考えはあるのでしょうか。日本外交は人間の安全保障をうたってきたのではありませんか。  今回の共同声明と比較して、昨年四月の岸田総理とバイデン大統領との共同声明では、日米両国でロシアのウクライナ侵略戦争に対する断固とした反対、北朝鮮とロシアとの軍事協力への深刻な懸念、ガザではイスラエル、パレスチナの二国家解決を求めることに加え、人道支援の必要性を高らかにうたっています。しかし、今回の共同声明では、これらについて全く言及がありません。  昨年の共同声明に書かれていて今回の共同声明から落ちている内容は、白紙に戻るのか、維持されているのか、どのようなステータスになるのでしょうか。お答えください。  来月、核兵器禁止条約の第三回締約国会議が開催されますが、今回の首脳会談では話題にされなかったようで非常に残念です。しかし、アメリカと同盟関係にあるドイツやオーストラリアも締約国会議にオブザーバーとして参加しています。もちろん拡大抑止の必要性は重々理解していますが、日本が参加できない理由は何でしょうか。  総理は検証すると答弁されていますが、いつまで掛かっているのでしょうか。日本被団協がノーベル平和賞を受賞してきたことを踏まえ、また唯一の被爆国として決断をしていただきたいと思います。いつまでに結論を出すのか、オブザーバー参加を決断する気持ちはあるのか、お答えください。  これほど世界各国で異常気象、災害が頻発している中で、脱炭素社会の実現に向けて日米の協力が後退することに強い懸念を抱きます。また、トランプ大統領が連邦政府のDEI、多様性、公平性、包括性プログラムを終了する大統領令に署名したことで、アメリカでの多様性に関する政策がこれも大きく後退し、差別主義的な状況が現れることを心配しています。  日本は、こういったアメリカの状況にお付き合いすることなく、気候変動対策、選択的夫婦別姓制度や同性婚など多様性を確保する政策を加速させなければならないと考えています。この国会で何としても実現したいと考えます。総理の決断一つです。いかがでしょうか。  尊敬する国際政治学者、高坂正堯先生は、一九六六年に出版された名著「国際政治」において、混乱した国際政治の状況とは、各国の行動を規律する準則、いわゆる法の支配ですね、準則が弱まり、他の国がいかなる行動様式を取るかを理解できないか、あるいは信用できない状況なのであると述べられています。約六十年前の炯眼です。  まさに今の国際情勢は難しい時代だということは私も認識しています。しかし、失礼を承知で申し上げれば、結局、一兆ドルの投資、防衛装備品の購入、LNGの購入等々の大きなお土産を持っていっても、関税は課せられたということですね。  トランプ大統領は間違いなくタフなネゴシエーターだと存じます。専権事項である外交をつかさどる石破総理を始め、政府の皆様の厳しさは重々承知をしています。それでも外交は動きます。国際社会で日本外交が今まで積み上げてきた信頼、法の支配や人間の安全保障といった理念が日本外交の中で揺らぐことのないよう、石破総理の御奮闘を期待し、質問とさせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕

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