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仁比聡平 ·日本共産党

参議院本会議(2025-04-23)での発言

第217回国会 ·第第15号号 ·3,295字
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平です。  会派を代表して、刑事デジタルプライバシー侵害法案というべき刑事訴訟法等改定案について質問いたします。  本法案は、情報通信技術の進展に対応するとして、形があり、そこにあるものではなく、形のない、今日際限なく蓄積される巨大サーバーやクラウド上の個人情報、電子データ自体を初めて捜索、差押えの対象とする電磁的記録提供命令を創設するものです。  プロバイダーなど電気通信事業者は、提供命令に正当な理由なく違反すれば処罰されることになるため、実際上、利用者の個人情報を提供せざるを得なくなります。一方で、個人情報本来の持ち主である利用者に知らせることは禁じられます。一旦提供された個人情報は、たとえ提供命令が後に取り消されても、消去、抹消されることなく捜査機関の元に蓄積され続けていくことになります。例えば、グーグルは世界各国にデータセンターを設置し、個人情報を収集、蓄積していますが、その全てが提供の対象になります。LINEやインスタグラムも同様です。法務大臣、そのとおりですね。  これは、本人が全く知らない間に、警察や検察が疑いを掛けた犯罪とは全く無関係な人々との関係性や、開発、営業など事業に係る情報を根こそぎ収集、分析し、蓄積し続けることを意味します。  犯罪捜査の必要性と人権、私生活上の平穏とプライバシー権の緊張関係について、憲法三十五条は、何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、正当な理由に基づいて発せられ、かつ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ侵されないと定めています。すなわち、捜索、差押えは、対象になる捜索場所及び物が個別具体的に特定して明示された裁判所の令状によらなければ許されません。  元々形がなく、どこで区切れるかが曖昧な電子データを、捜査機関の一方的な資料だけを見て行う令状審査で裁判官が特定することは不可能なのではありませんか。例えば、仁比が契約する通信事業者サーバーの中のデータボックスという程度で特定性は認められません。捜索対象が特定されない包括的令状、一般令状の絶対禁止という憲法原則、令状主義を形骸化することは許されません。法務大臣の認識を伺います。  二〇一九年、共同通信社の丸裸にされる私生活、企業の個人情報と警察・検察という調査報道があります。捜査機関が令状なしで任意の提供を求める捜査関係事項照会に対しても、各航空会社、鉄道・バス会社、電気・ガス会社、ポイントカード発行会社、クレジットカード会社、消費者金融、携帯電話会社、コンビニ、スーパー、家電量販店、ドラッグストア、パチンコ店、遊園地、アパレル、居酒屋、劇団や映画館、ガソリンスタンド、カラオケ店やインターネットカフェ、ゲーム会社などあらゆる企業が、カードなどの利用履歴、氏名と生年月日、住所、電話番号、メールアドレス、銀行口座、家族情報、店内防犯カメラ映像やレシート情報など、およそありとあらゆる個人情報を捜査機関に提供しているという衝撃的な報道です。法務大臣、これらの企業は全て提供命令の対象にもなるのですね。  この報道から六年。情報通信の高度化、個人情報の蓄積は、六年前とは比較にならないほど急速に進んでいます。  衆議院の参考人、指宿信教授は、法制審議会でも、捜査関係事項照会でどのような不具合があったか、あるいは二〇一一年改正で導入されたUSBなどの記録媒体にコピーさせ物として差し押さえる記録命令付差押えが一体何件執行され、何件思うようなデータが取得できなかったのかといった立法事実が全く提出されていないと厳しく指摘をしています。法務大臣、電磁的記録提供命令制度を不可欠とする立法事実は何ですか。導入しなければ立件できない犯罪があるのですか。  スマートフォンの進化で、近年、指紋認証や顔認証などの生体認証を含む二段階認証が広がっており、多くの人はこれらで個人情報は守られていると信頼しています。そこで、総務大臣、こうした認証システムは個人情報への不正アクセスを防ぐためのものですね。  ところが、法案では、提供命令の際、当該電磁的記録の内容を確認するための措置を命令できることになっています。法務大臣、パスワードやパスコードが掛けられていても、本人の同意なく、本人がパスワードなどを教えなくても、捜査機関は情報を取得できるようになるのではありませんか。  GPSの履歴はどうでしょう。今や、ほぼ全ての携帯端末が衛星からの位置情報を受け取っています。総務大臣に確認します。子供の見守りサービスのように利用者の意思で利用されているものもありますが、端末によっては、使うアプリで利用者がGPS受信機能の利用を選択するしないにかかわらず、端末自身が常時位置情報を受信しているのではありませんか。  二〇一七年最高裁判決が弾劾したとおり、GPS捜査は、個人の行動を継続的、網羅的に把握することを必然的に伴うという特徴においてプライバシーを侵害する度合いは極めて深いものです。それでも、法務大臣、利用者本人が知ることなく、GPS履歴も提供させることができるのですね。  これまでも、犯罪の未然防止のためだとして情報収集する公安・行政警察活動と、事件が起こったといって始まる犯罪捜査に実態として切れ目はなく、不可分一体に重大な人権侵害が引き起こされてきました。  大川原化工機事件はその一つです。警視庁外事第一課が三年にわたって執拗に捜査し、役員の逮捕、勾留、起訴に至りましたが、後に検察自ら起訴を取り消さざるを得なくなった重大な冤罪でした。手柄欲しさに無理やり事件をでっち上げられ、保釈さえ認められず、お一人は身柄拘束のまま病死するという取り返しの付かない非人道的な結果をもたらしました。  国家公安委員長に聞きます。関係者は一貫して謝罪と検証を求めています。ところが、警察も政府も拒否し続けています。一体なぜですか。  風力発電をめぐる住民運動を監視し続けた岐阜県警大垣警察署警備課の活動について、昨年九月、名古屋高裁は、市民の個人情報の収集、保有、情報提供は違憲、違法とし、損害賠償と個人情報の抹消を命じました。ところが、警察庁は、上告断念に追い詰められながら、警察の情報活動という事柄の性格上、その目的、対応などを明らかにすることができなかったのが敗訴の要因などと国会で答弁するなど、全く無反省ではありませんか。つまり、公安活動の目的や対応は、たとえ裁判に負けてでも、事柄の性格上、明らかにしないとでも言うのですか。国家公安委員長、お答えください。  法案によって、捜査機関に蓄積されていく電子データは、令状記載の犯罪捜査だけではなく、広く公安警察活動の資料としても利用されていくのではありませんか。法務大臣、お答えください。  衆議院で大川原化工機の島田順司参考人は、突然、逮捕、勾留され、留置所で屈辱的な扱いを受け、取調べで録音、録画も弁護士の立会いも許されない捜査の実態を告発されました。  ほかにも、事件と全く無関係の中学校時代の成績や男女関係を調べ、取調べで言及して侮辱したり、お子さんの精神疾患を持ち出して黙秘権の行使を非難するなど、手にした情報をてこに自白を強要し、冤罪を引き起こした例は枚挙にいとまがありません。  法務大臣、我が国の刑事司法に今求められているのは、自白偏重と人質司法を改める抜本的な改革ではありませんか。全面的な証拠開示、全事件全過程の取調べの可視化、取調べへの弁護人立会い、オンライン接見の実現を強く求めます。  数々の冤罪、そして袴田事件無罪確定の下、迎えているこの国会で、再審における証拠開示、検察による上訴を許さない再審法の抜本改正を実現しようではありませんか。  同僚議員の皆さんに呼びかけ、法務大臣の見解を問うて、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣鈴木馨祐君登壇、拍手〕

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