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城内実 ·自由民主党・無所属の会 ·内閣府特命担当大臣(クールジャパン戦略・知的財産戦略・科学技術政策・宇宙政策・経済安全保障)

参議院本会議(2025-05-16)での発言

第217回国会 ·第第19号号 ·4,576字
○国務大臣(城内実君) 杉尾秀哉議員からは、まず、シンギュラリティーの到来時期や、社会や経済への影響についてお尋ねがございました。  AIの大幅な発展によって社会や経済に大きな影響を与える可能性がありますが、シンギュラリティーについては、例えば、電力の大量消費や性能向上に必要な学習データの不足などの技術的な課題があり、その到来の有無や時期などについては専門家によって意見が異なっているものと承知しております。このため、現時点でシンギュラリティーの到来時期や具体的な影響についてお答えすることは難しいと考えております。  なお、もしシンギュラリティーが到来した場合には、AIが倫理的に誤った判断をするリスクや利用者が過度にAIに依存するリスクなどがあると承知しており、AI制度研究会などにおいてもそうした議論があったところであります。  本法案が成立した暁には、法に基づく情報収集や調査などによって、技術発展の動向や課題を把握し、有識者とも議論を行いながら、必要な対応を図ってまいります。  次に、AIの分野で世界に後れを取った理由についてお尋ねがございました。  様々な理由があるかと思いますが、AI開発の遅れの主な理由としては、AIの研究開発に資本や人材が迅速に集まってこなかったこと、日本語はデータ量が少なく同音異義語が多いためAI学習が難しいなど、日本語特有の事情があることなどが考えられます。また、AI活用の遅れの主な理由としては、AIの持つメリットが不透明であったため、経営者が十分に投資をしてきていないこと、AIがもたらし得るリスクに対する国民の不安が十分に払拭できていないことなどが考えられます。  AIに関する国際的な競争が激しさを増していることから、関係省庁と連携して、このような状況を克服し、我が国におけるAIの研究開発と利活用を強力に推進していきたいと考えております。  次に、これまでの政策の実効性についてお尋ねがございました。  AI政策については、政府が本格的に取組を始めてからまだ多くの時間がたっておらず、現時点において全ての政策効果を評価することは難しいと考えております。  しかしながら、AIの研究開発、活用が遅れた理由としては、先ほど述べたとおり、AIの活用に対する国民の不安の払拭などを十分に行えなかったことや、資本や人材が迅速に集まってこなかったことなどが挙げられます。  これまでもAI戦略を作成するなど、政府の取組を進めてきましたが、このような課題の克服に向けて、今後は、本法案により新たに設置するAI戦略本部が司令塔となり、本部の下で策定するAI基本計画に基づき、関係府省庁がより一丸となって、関連する取組を総合的かつ計画的に進めてまいります。  次に、AIの民間投資などの数値目標等の設置についてお尋ねがありました。  AIの民間投資などの指標については、これまでAI戦略等を検討する際に調査、分析を行ってきましたが、AIの開発動向は刻々と変化しており、具体的な目標や指標の設定については適時適切に議論する必要があると考えております。  今後、本法案に基づき設置されるAI戦略本部において、国が講じる施策の基本的な方針等を定めるAI基本計画を策定する際に、有識者の意見も聞きつつ、具体的な目標や指標を設定することも含めて、関係府省庁で連携して検討してまいります。  次に、我々が目指すべき社会の法案の基本理念への明記についてお尋ねがありました。  本法案では、第一条の目的において、国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを掲げております。  また、第三条の基本理念においては、行政事務及び民間の事業活動の著しい効率化及び高度化並びに新産業の創出、経済社会の発展、安全保障、我が国及び国際社会の平和と発展に寄与といった観点を明記しております。  このように、我々が目指すべき基本的な方向性については、法律の目的及び基本理念に既に盛り込んでいるところであり、更に具体的な重要事項につきましては、法案に基づき策定するAI基本計画に記載してまいります。  次に、人間中心主義のAI法への明記についてお尋ねがありました。  広島AIプロセスの国際指針においても掲げられているとおり、人間中心の考え方を尊重することは、当然にして、非常に重要なことであると考えております。我が国においても、広島AIプロセスに先駆けて、二〇一九年、平成三十一年に人間中心のAI社会原則を策定し、AI政策を進めてきたところであります。  今後、AI戦略本部の下で策定するAI基本計画にも、その冒頭で、人間中心のAI原則の考え方を記載する予定としております。基本計画の冒頭に記載されることで、法案に直接書き込まずとも、人間中心のAI原則に基づき、各施策が行われることを担保できると考えております。  また、法案第十三条に基づき国が整備する指針においても、広島AIプロセスの国際指針の趣旨を反映させ、人間中心のAI原則の考え方をしっかりと示していくことを予定しております。  次に、AI法案が世界のモデルとなる根拠についてお尋ねがありました。  議員御指摘のとおり、近年、世界各国においてAI法制度に関する対応が進んでおり、その際、各国それぞれの法体系や社会的、歴史的背景に応じて制度整備が進められていると承知しております。  そうした中、本法案は、国際整合性を保ちながら、イノベーション促進とリスク対応の両立を図るため、体制整備や基本計画及び指針の策定、調査、情報収集等から成る、いわゆる規制法ではない形の法律としており、事業者の自主的取組を尊重するとともに、新しい技術にも柔軟に対応できる制度となっております。  AIの研究開発や活用を加速することのできるバランスの取れた法制度として、これまでのところ、有識者の方々や、諸外国からも評価されていると考えており、本法案は、今後、世界のモデルになり得るものと考えております。  次に、本法案がリスクベースアプローチを取らなかった理由についてお尋ねがありました。  御指摘のあったEUのAI法では、AIをリスクに基づき四つのランクに分け、そのうち最上位の許容できないリスクを持つAIシステムは禁止され、また、二段階目のハイリスクなAIシステムを扱う事業者には基準遵守義務が課されていると承知しております。  EUで禁止される許容できないリスクを持つAIシステムについては、我が国においても個人情報保護法等により規制されております。また、EUが適合性評価を義務付けている重要なインフラ等に関するハイリスクなAIシステムについては、我が国においても、個別の業法等により、基準を遵守していないAIを用いた医療機器や自動運転車の販売は違法となります。  現在、各国において、様々な考え方でAI法制度に関する対応が進められておりますが、我が国では、既存法令とガイドライン等の組合せによってリスクへの対応を行いつつ、イノベーションを促進するという考え方を取っております。  悪質な事例等については、既存法の罰則の適用やAI法案に基づく調査等を行うとともに、潜在的なリスクについては、技術進展の動向を見ながら、必要に応じて、AI戦略本部の下、全ての関係省庁と連携して適切に対応していくこととしております。  リスクに適切に対応することで、イノベーションも促進させるため、両者をしっかりと両立させ、AI政策を推進してまいります。  次に、AIシステムの安全性確保についてお尋ねがありました。  まず、汎用の生成AI等に関しましては、利用場面が千差万別であります。このため、一律の安全基準を設けることは困難でありますが、広島AIプロセスに即した指針を国が整備し、その中において、AIの安全性を向上させるためのAI事業者の取組等を規定する方針であります。  また、AI技術を使った自動運転車やロボット等の個別の製品の安全性に関しては、各製品の安全性に関する既存の法令等の下で、基準やガイドラインの整備等、安全対策が講じられているものと認識しております。  さらに、本法案に基づく、国による調査や情報提起の枠組みも通じて、AIの安全性の実態を把握し、安全性の向上を図ってまいりたいと考えております。  次に、AIによる損害発生時の責任の所在に関する考え方についてお尋ねがありました。  AIの利活用によって生ずる損害に対する責任の考え方を明確化させていくことは、AIの開発や利活用を促進していく上で、非常に重要な観点であると考えております。  こうした観点から、例えば、自動運転車が事故等を起こした場合の責任制度や社会的ルールの在り方等については、産学官の関係者によって検討を行い、今後検討を深めるべき事項等が整理されているものと認識しております。  今後、司令塔たるAI戦略本部の下、自動運転車以外の分野においても、AIの利活用によって生じる損害に対する責任の考え方を明確化させるべく、関係省庁と緊密に連携しながら検討を深めてまいります。  次に、生成AIの普及に伴う国内の経済格差の拡大等についてお尋ねがありました。  生成AIによって業務の自動化や効率化が可能となり、その結果、生産性が向上して経済成長に大きく寄与することが期待できる一方で、多くの職種が奪われるのではないかとの不安や懸念があることは承知しております。  生成AIが現在の仕事の一部を代替できることは事実であると認識しております。一方で、生成AIの普及により、従来にはない新しい職種や産業が生まれたり、AIエンジニア等のAI関連の産業に対するニーズも増加することが考えられます。  このように、経済社会における人材需要や働き方が大きくシフトしていくと考えられるため、リカレント教育やリスキリング等の取組を通じて、新たに生まれる職種への労働力の移行をスムーズに行いつつ、労働者がこれまで以上に安全かつ安心に、そして幸せに働くことのできる社会の実現を目指してまいります。  最後に、国民の責務と規定した理由についてお尋ねがありました。  本法案第八条の内容は、国民の皆様がAIを適切に活用し、便益を享受するためには、AIに対する正しい理解と関心を深めていただくことが不可欠との認識の下、規定したものであります。また、国や地方公共団体が推進するAI活用を推進するための施策が十分な効果を得るためにも、国民の皆様の御協力が必要であります。  さらに、今後、様々なAIが多くの国民に利用されていくことを踏まえると、例えば不適切な動作を行うAIを発見した場合に関係機関に情報提供していただくなど、適正なAI利用環境の維持に向けた取組に可能な範囲で御協力いただくことも想定されます。  こうした観点に基づき、第八条の見出しに果たさなければならない努めを意味する責務という文言を用いたものであります。(拍手)    〔国務大臣あべ俊子君登壇、拍手〕

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