参議院本会議(2025-05-16)での発言
第217回国会
·第第19号号
·2,604字
○国務大臣(城内実君) 井上哲士議員からは、まず、AIが国民の権利利益を侵害するリスクの認識についてお尋ねがございました。
AIがもたらし得るリスクとして、様々なものが考えられますが、例えば、偽情報及び誤情報の拡散や、犯罪の巧妙化といったものがあると認識しております。
本法案におきましては、そのようなAIによる国民の権利利益を侵害するリスクに対応するため、AIの研究開発、活用の適正性確保のための国際規範に即した指針の整備や、国民の権利利益の侵害が生じた事案の分析、対策の検討、その他の調査等を国が行うこととしております。
これらの調査等の取組については、関係府省庁で緊密に連携して迅速に対応してまいります。
次に、規制強化や法的対策強化の必要性についてお尋ねがありました。
AIの発展や普及のスピードが今後高まることも予想される中、その動きに遅れることなく、我が国のAIの研究開発及び活用を推進していくためには、イノベーション促進とリスク対応の両立を図ることが重要であり、過剰な規制は避けつつ、適切にリスク対策を講じていくことが必要であります。このような考え方は、有識者から成るAI戦略会議及びAI制度研究会の中間とりまとめにおいても指摘されております。
我が国においては、これまでAIのリスクについて、既存の法令とガイドライン等を適切に組み合わせて対応してまいりました。その上で、本法案においては、AI開発者及び活用事業者等が遵守すべき事項を含む指針の整備や、悪質な事案に対する調査とその結果に基づく指導、助言等を国が行うことなどを規定しております。
また、本法案では、AI戦略本部の設置を始めAI政策の司令塔機能を強化することとしており、全ての関係府省庁の緊密な連携の下、今後顕在化するリスクに対して更に適切かつ迅速に対応することができると考えております。
次に、第八条で国民の責務を定めることの懸念についてお尋ねがございました。
今後、誰もがAIの利用者となり得る中で、国民の皆様がAIによる不利益や被害を受けないようにするためには、AIに対する正しい理解と関心を深めていただき、AIを適切に活用していただくことが極めて重要であることから、法案第八条の内容を規定しております。
国といたしましては、法案第十五条に規定する教育及び学習の振興、広報の充実等に必要な施策を講じる予定としており、第八条の規定により国民の皆様に過度な負担を掛けたり、自己責任を押し付けたりすることは決してなく、誰もが安全、安心にAIを活用できる環境を構築していきたいと考えております。
次に、データセットにおける個人情報の扱いについてお尋ねがありました。
データセットには個人情報が含まれる機会があり、このようなデータセットの使用に当たっては、個人情報を保護するための適切な処理を行うなど十分に配慮がなされるべきと考えております。また、本法案はAIの研究開発及び活用の推進のためのものであり、個人情報の保護を含む既存の法律の考え方を変えるものではありません。
個人情報やプライバシー権の保護については、既存の法令に従って引き続き対応をいただくものであり、既存の権利利益の保護を後退させるものでは一切ありません。
次に、要配慮個人情報の扱いについてお尋ねがありました。
個人情報保護法上、個人情報取扱事業者は、原則として、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはならないとされていると承知しております。
個人情報保護法の遵守を促すため、総務省及び経済産業省が策定するAI事業者ガイドラインにおいては、プライバシー保護の観点から、事業者には適切なデータの学習が重要となること、また利用者には個人情報の不適切な入力への対策が重要となることを示した上で、必要な注意喚起を行っているものと認識しております。
次に、生成AIによる偽情報、誤情報対策についてお尋ねがございました。
本法案第十三条では、国際的な規範の趣旨に即した指針を整備する旨を規定しております。この国際的な規範に含まれる広島AIプロセスの国際指針では、偽情報、誤情報に係る対策として、AIが生成したコンテンツであることを認識できるよう、AI開発事業者等に対し、可能な場合には電子透かし等の技術を開発、導入すべき旨が規定されております。このため、今後国が整備する指針においても電子透かし等の技術の導入を奨励するなどを明記することを検討しており、このような取組を通じて生成AIによる偽情報、誤情報対策を強化してまいります。
次に、知的財産の保護の強化や著作権法の見直しについてお尋ねがございました。
生成AIによる著作権を含む知的財産権の侵害の懸念が指摘されていることは認識しております。昨年五月に内閣府が策定したAI時代の知的財産権検討会中間とりまとめにおいて、AIと知的財産権との関係について法的ルールの考え方の整理を行うとともに、AI技術の進歩と知的財産権の適切な保護の両立が重要であることをお示ししております。
また、著作権法については、私の所掌ではございませんが、この中間とりまとめは、文化庁が文化審議会での議論を経て昨年三月に取りまとめたAIと著作権に関する考え方についても踏まえて策定されており、著作権法を含めた知的財産権の関係法令にのっとって適切な対応が行われるよう、引き続き関係省庁とも連携を図りつつ取り組んでまいります。
最後に、データセンターにおける使用電力等の問題についてお尋ねがございました。
データセンターにおける使用電力等については、私の所掌ではございませんが、AIの研究開発と活用を進めていく上では、インフラをしっかりと整備していくことが重要であると認識しております。データセンターのエネルギー消費効率の改善に向けては、第七次エネルギー基本計画において、技術開発の促進に加えて、事業者が満たすべき効率を設定した上でその取組を可視化するなど、諸外国の取組も踏まえつつ、支援策と一体で制度面での対応を行うこととされており、経済産業省において現在その検討がなされていると承知しております。(拍手)
〔国務大臣平将明君登壇、拍手〕