○古賀千景君 立憲民主・社民・無所属の古賀千景です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論いたします。
人のためにと思って就いた職業、憧れた仕事、自分が向いていなくても、必死で勉強しても、自分の性格が変わらなかった、子供に迷惑を掛けてしまう、大好きな子供なのに、こんなことなら生きていても仕方がない、今までの謝罪や罪滅ぼしになればと思う、さようなら。
これは、初任者になって五か月で自死を選んだ教員の遺書です。この教員の方は、自分が小学校のときの担任の先生との出会いがきっかけで、小学校の先生になりたくて教職に進みました。しかし、時間外在校等時間は、五月中旬から六月中旬までに百四十八時間、六月中旬から七月中旬まで百二十九時間と、過労死ラインとされる月八十時間を大きく超えていました。
息子が子供の頃から憧れていた職業が小学校の先生でした、教員採用試験に合格したときは子供のように喜んで満面の笑みでうれしそうにしていたその顔を生涯忘れることはできません。これが自死された教員の保護者の言葉です。
彼は本当に教員に向いていなかったのか、なぜ百四十八時間という時間外在校等時間まで働かなければならなかったのか。自死の理由は様々あるでしょう。しかし、この給特法も彼の死に大きく影響していると思います。
半世紀前に制定された給特法では、残業代も出ず、超勤四項目以外には教員に時間外勤務を命ずることができないとなっています。教員が五時以降にやっている業務は、全て自主的、自発的行為とみなされ、業務とは位置付けられません。誰一人取りこぼさないと文科省は言われますが、教育現場がこのような状況で子供たちを大切にできる授業ができるとお考えですか。
多くの教職員は疲弊し、教職員の精神疾患による病気休業、休職者は二〇二三年度には過去最多の七千百十九人、そして、病気休職者の代替教員は慢性的に不足しており、担任のいない学級が全国で急増しました。
給特法廃止又は抜本的見直しを目指している立憲民主党としては、とても賛成できる内容ではありませんでした。
しかし、今一番大事なことは、教職員の命と健康を守ること、そして学校に欠員なく十分な教職員がいること、何より学校で子供たちが安心して学べること。そう考え、立憲民主党は、提出された閣法に修正を入れるべきだという方針を決めました。そして、立憲民主党を中心として修正に向けた議論が行われ、結果として、与野党の多くの御賛同を得て、衆議院で修正案が提出され、可決しました。
時間外在校等時間に関する目標を達成するために政府が措置を講ずるものとするとの文言も盛り込まれ、政府が学校における働き方改革の実現に対する責任を有することが法的拘束力のある附則に明記されたのです。多くの措置を盛り込むことで、学校における働き方改革を着実に推進する確かなレールも敷かれることとなりました。御賛同いただいた与野党の皆様には心より感謝申し上げます。
衆議院における修正では、学校における働き方改革は、政府、地方公共団体、教育委員会、学校を始め、関係者が一体となって取り組まなければなりません。政府において、衆議院における修正の経緯を踏まえ、教育委員会や現場に働き方改革の取組を丸投げするのではなく、強い責任感を持って修正に盛り込まれた措置を確実に講じていかなければなりません。
以下、衆議院において修正された事項を中心に、政府が今後取り組むべき方向性について六点お示しいたします。
第一に、教員一人当たりの持ち授業時数の削減についてです。
多くの教員は、子供たちの学びを充実させるために、夜遅くまで学校に残って次の日の授業の準備をしています。給特法の枠組みの下で残業代が支給されないにもかかわらずです。教職員の善意と献身に依存した現状はもはや限界であり、速やかに改めなければなりません。教員一人当たりの持ち授業時数を一日当たり四こま、週二十こま辺りにまで着実に減らし、教員が勤務時間内に授業準備を確実に終えることができるような環境を整備するよう政府に強く求めます。
第二に、教育課程の編成の在り方を検討することについてです。
学習指導要領の記載内容が分厚くなり、標準授業時数も増加しています。学校現場は、膨れ上がった学習指導要領の内容を教えることで手いっぱいとなっています。子供たちも、膨大な学習内容を消化するのに必死で、学びを喜ぶ、喜びを感じる余裕がありません。現在、学習指導要領の改訂に向けた検討が進められておりますが、標準授業時数を削減して子供たちがゆとりを持って学べるようにするなど、子供たちを中心に据えた議論をしていただきますよう強く求めます。
第三に、教職員定数の標準の改定についてです。
教職員定数は、学級数に乗ずる数と呼ばれる一定の係数を掛けて算定されています。法案審議において、あべ文科大臣は、必要に応じて乗ずる数も含めた今後の義務標準法の在り方についても検討していくという答弁してくださいました。今こそ義務標準法の在り方について見直すべきです。
第四に、教職員以外の支援人材の増員や、保護者との意見の相違等への対応についての支援、部活動の地域展開のための財政援助についてです。
政府は、目標期限となる令和十一年度にかけてどのような財政措置をどの程度の規模で実施する予定なのか、その全体像を具体的に示す必要があります。
第五に、令和八年度からの公立中学校の三十五人学級の実現についてです。
各教育委員会が中学校教員を確実に確保し、令和八年度からの中学校三十五人学級を円滑に実施できるよう、義務標準法改正案の早期提出を求めます。その上で、高等学校の三十五人学級の実現も必要です。このことも御検討いただきたい。
第六に、教職員の勤務状況の調査についてです。
法案審議では、教育委員会が把握するデータと文科省が行った教員勤務実態調査との間には大きなずれがあるとの指摘や、教育委員会が把握するデータは休憩時間、持ち帰り業務の時間、土日の勤務実態が正確に把握されていない等の指摘がなされました。勤務実態を正しく把握できなければ、適切な対応を考え、実行していくことはできません。教職員勤務実態調査の実施を強く求めます。
以上、政府が今後取り組むべき方向性をお示しいたしました。衆議院における修正を経て、学校における働き方改革を推進する着実な一歩を踏み出せたのは重要な成果だと考えています。ただし、これで学校における働き方改革は解決しません。
だからこそ、今回の法改正で歩みを止めてはならないのです。時間外在校等時間を令和十一年度までに月平均三十時間程度に削減する目標がありますが、これは本来ゼロにすべきです。更なる削減に向けた取組を進めていく必要があります。
また、代替者が来ないという今の現実は、臨時採用教職員の処遇が余りにも厳しいからです。臨時採用教職員の処遇改善も政府に強く要求します。
そして、今回の改正案は主に教員中心に考えられています。政府はよくチーム学校という言葉を使われますが、学校には教員以外の様々な職種、例えば養護教員、事務職員、学校司書、栄養教職員、実習教員、寄宿舎指導員、現業職員などもいらっしゃいます。この教職員たちの働き方改革についても政府は考えていく必要があります。
今回の法改正はようやくスタートラインに立ったというだけです。最終的には給特法の廃止又は抜本的見直しに向け、立憲民主党はこれからも取り組んでいく強い決意を申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)
古賀千景 の他の発言
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それでは、質問の方に入らせていただきます。
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○古賀千景君 立憲民主・無所属の古賀千景です。
まず、質問に入る前に一言申し上げます。
皆様も御存じのとおり、京都府南丹市で痛ましい事件が起きてしまいました。御遺族、関係者…
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