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小笠原由佳 ·インパクト志向金融宣言事務局長代理

参議院政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会(2025-05-09)での発言

第217回国会 ·第第5号号 ·6,030字
○参考人(小笠原由佳君) 皆様、このような機会を賜りまして、心より感謝申し上げます。  本日は、インパクトファイナンスと開発援助の共創を目指してという題目で御説明を差し上げたいと思います。  まず、二ページ目を御覧ください。自己紹介です。  私は、インパクト志向、インパクトファイナンスを推進する金融機関のプラットフォームであるインパクト志向金融宣言の事務局を務めておりますほか、上場企業の取締役としてサステナビリティーも担当しております。また、地域活性化ソーシャルベンチャーの支援などにも携わっております。過去には、JICAやJBICにて開発援助、国際金融の経験もございます。  三ページ目を御覧ください。  私のこれらの経験に基づいて、インパクトファイナンスと開発援助の連携について具体的な事例を交えながらお話ししたいと思います。なお、これは全て個人の見解でございます。  最初に、インパクトファイナンスとは何かという概念の御説明、その推移等を御説明いたしまして、アフリカの市場についても簡単に触れたいと思います。最後に、日本の開発援助がアフリカ向けインパクトファイナンスと協業し、開発効果を拡大するために何が重要かという観点で、数点意見を申し上げたいと思います。  四ページ目を御覧ください。  まず、インパクトファイナンスとは何かという点でございますが、財務的リターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的、環境的インパクトを生み出すことを意図する投資行動と定義されます。  重要な点としましては、一点目、意図性です。投資家はインパクトを生み出すことを意図して資金を流すという点でございます。単に結果として、投資の後に、あっ、何かいいことが起きたねというものでは駄目で、最初からインパクトを一つの目標に置いているというところがポイントになります。  二点目、経済的リターンというものも、インパクト、社会的、環境的リターンを共に目指すという点でございます。必ずしも市場リターン、たくさんのリターンを目指す必要はないんですけれども、寄附や慈善活動とは異なるという点が挙げられます。  三点目飛ばしまして、四点目、これはインパクトの測定、メジャーメントを行うという点です。目的としてインパクトの創出というのを掲げておりますため、財務的リターンは当然測りますが、投資によって生み出されたインパクトを測定するという必要がございます。その方法論等はいろいろ議論があるんですが、測定を行っていないものはインパクトファイナンスではないというところになります。なお、サステナブルファイナンス、ESG投資というものもあると思うんですけれども、ESG、環境、社会、ガバナンスを考慮した投融資というのは主にリスク低減を目的に行われる手法ですので、社会にインパクトを生むためにお金を流すという点がインパクトファイナンスとの違いとなります。  六ページ目を御覧ください。  次に、インパクトファイナンスが世界的に、そして国内にどのように推移しているのかを見たいと思います。  世界のインパクトファイナンスというのは近年非常に成長をしていると言えます。二〇一六年から二〇二二年、約十四倍に成長しておりまして、現在、一兆五千七百十億ドルに達しております。ただ、世界のいわゆるESG投資、ESGファイナンスの全体の中で見ると、まだインパクトファイナンスと言われるのは五%程度という、まだニッチであるということが言えます。  次、失礼しました、六ページを御覧ください。  日本においてもインパクトファイナンスは四年で三十三倍と急速に拡大をして、現在十七・三兆円という数字が出ております。ただ、こちらもサステナブルファイナンス全体に占める割合というのはまだ三%程度でございます。ODA、政府開発援助は二〇二四年で約二・五兆円ですから、インパクトファイナンスは非常に大きいなというふうに思われるかもしれませんけれども、後ほど御説明いたしますが、インパクトファイナンス、日本のインパクトファイナンス、約五三%国内向けというデータがございますので、なかなか、今お二人の先生からもありましたけれども、グローバルサウス向けの資金の流れというのは少ないというのが現状でございます。  では、七ページに行っていただきます。  次に、アフリカにおけますスタートアップ投資の現状でございます。いろいろなちょっとデータがありますので、大きなトレンドとして捉えていただければと思うんですが、アフリカのスタートアップ市場、非常に大きく成長した後、やはりパンデミック、その後のインフレ、通貨安などの影響を受けて一時低迷いたしました。ただ、最新のデータでは多少回復基調にあって、それからディールの数ですね、そういったものも復活しているというところでございます。ただ、先生方のお話にもあったんですが、非常に地理的に偏りが見られている、南アフリカ、ナイジェリア、エジプト、ケニア、この四か国に集中しているというところもございます。  ここから幾つか、アフリカにおけるインパクトファイナンスの具体的な事例を御紹介します。  八ページ目を御覧くださいませ。  最初に、日本のベンチャーファンド、インパクトファンドの事例でございます。つまり、日本のファンドが主に日本の投資家から資金を集めてアフリカの現地のベンチャーに投資を実施しているという事例でございます。こちらのファンド、アフリカで十一か国、百三社への投資を実施しております。二〇一八年に二十二億、二四年には九十億の資金を調達しております。出資者には豊田通商様、SBIホールディングス様、三井住友信託銀行様、JICA等々、非常に大きな機関が名を連ねているというところでございます。驚くべきはこの想定リターンなんですが、IRRベースで三〇から三五%ということで、インパクト投資が十分な収益性を持ち得るということを示しております。  九ページ目を御覧ください。  こちらは日本の起業家がアフリカで起業したケースでございます。アフリカでは、タクシードライバーさん銀行融資が受けられませんので、車が買えず、貧困から抜け出せないという課題がございます。この会社は独自の与信審査を行うことで融資を可能として、ドライバーさんが中古車を買って、ローンを払い、資産形成をすると、そして貧困から解放するというような御支援をされています。こちらももう三期連続で黒字を出されて、そして成長率が前年比で一〇〇〇%を超えるという、業績も好調でございます。これまで主に日本の金融機関さんを中心に四十九億円の資金調達をされているというところでございます。  十ページ目を御覧ください。  最後のケースは現地のベンチャーでございます。現地の、現地発のベンチャーですね。このリジェン・オーガニックスさんというところは、ケニアのスラム、本当に排せつ物がそこらじゅうにあるというところですけれども、この排せつ物や有機廃棄物を回収して昆虫飼料とか有機肥料として、廃棄物を資源として活用するという能力とノウハウを持って成長しておられるということで、これまで四十二億円も調達していると、JICAさんなんかも出資をしているというケースでございます。  十一ページ、参ります。  これらの事例は、このインパクトファイナンス、開発途上国の持続的な開発を促進するために有効な手段じゃないかというふうに思われるのではないかなと思います。ただ、私もその議論には賛成する立場ですが、よく議論が混乱いたしますので、十二ページで一旦議論を整理したいと思います。  お金の流れですけれども、左から、アセットオーナーさんですね、年金とか開発機関、CVC、それからアセットマネジメントさんが運用としてお金を受けて企業、ベンチャーに投資をするケース、若しくはアセットオーナーさんが直接投資をされるケース、両方ございます。一番右に、ベンチャーが成長し、それが開発効果につながっていくということでございます。  こちら、じゃ、アセットオーナーが日本であればいいのか、マネジャーが日本じゃなきゃいけないのか、ベンチャーが日本人じゃなきゃいけないのか、この辺りがちょっと議論が混乱するポイントかなというふうに思っております。  一番下に整理をいたしましたけれども、日本の公的資金を使って、何を目的とし、誰を支援するのかというところの議論を整理をしておくことが重要だと思っております。  一番、日本の資金、金融機関若しくは事業会社さんのお金がアフリカのベンチャーに流れるようにするのか。日本に限らず、アフリカに流入するファイナンスを増やすということを目的観とするのか。日本のスタートアップ、これを現地に連れていくのであるということを目指すのか。若しくは、アフリカ、とにかくアフリカのスタートアップがどんどん増えれば開発効果があるじゃないか、それを支援しようと思うのか。この辺りでやること、やるべきことは変わってくるかと思うんですけれども、公的資金ということでございますので、一と三、日本の企業にも利益がもたらせるようなことが優先かと思います。  こちらは、この中では、私、日本の企業の利益、リターンという言葉を使っておりますけれども、あくまでも両方、開発効果も出るけれどもリターンも出ると、非常にうまくバランスできればいい話かなというふうに思っております。  三番ですね、インパクトスタートアップというところは私ちょっと専門ではございませんので、一番、日本の金融機関若しくは事業会社さんがアフリカ向けインパクトファイナンスを増やすという観点で御提言をしたいと思います。  十三ページを御覧ください。  実は、日本からのアフリカ向けインパクトファイナンス、この統計では約一%と非常に少ないというのが実態でございます。私、海外のインパクトファンドが日本に来るたびにいろんなセミナーを企画したり、実はこの後もあるんですけれども、そういったときに、なかなか日本の金融機関さんに御関心を持っていただけない、そういった実態がございます。  十四ページ、御覧ください。  なぜなのか。課題いろいろございます。投資可能な案件、どれが本当に有望な案件なのか発掘が難しい、若しくはその発掘をしてくれるファンドマネジャーの見極めというのが容易でない、挙げ句の果てにちょっとだまされちゃったりするという、そんなこともあったりします。それから、よく聞くのが、やっぱり海外人材、途上国に喜んで行くような人材というのがなかなか日本の組織にはいない。三番目、途上国の社会関係データ等、指標、事例の情報などがないので難しい。それから、先ほども申し上げたインパクトの測定ですね、こういったことが難しい。国際的なルール、こういったものにもちょっと精通していないというような課題があるというふうに言われております。  それでは、これらの課題に対しまして、十五ページを御覧ください。三つほど御提言をさせていただきたいと思います。  一つ一つ御説明いたしますので、十六ページに進んでいただければと思います。  一番、リスクをより多く取るような資金を是非供給していきたい、これを増やしていただきたいということを考えております。これは、それから、民間の論理に合わせた運用というのも大変重要かなと思っております。リスクが高い途上国への投資、なかなか民間企業さん一歩踏み出せないというところがありますので、公的資金が入ることでその事業全体がリスクが下げられるというところがございます。それから、民間の論理ですね、JICAさんの方がちょっと法律も改正されたというふうにお伺いしておりますけれども、民間の論理に柔軟であったり迅速であったり、そういったことを重視した運用というのもとても重要かなというふうに思っております。  ただ、ここで気を付けなければいけないのはやはりモラルハザードで、公的資金が出るから行こうという形でなってしまうのも難しい、そこも問題ですので、いかにやっぱりいい案件、開発効果が出て、しかもリターンが出る、そういう案件を見極められるかというのがポイントになろうかと思います。  十七ページを御覧ください。  それから、先ほどの民間金融機関のお悩みポイント、こういったものを解決するような情報提供とか、こういったことを公的機関の方がしていただけるとよいのではないかと思います。JICAさん、ジェトロさん、非常に多くの拠点をアフリカに持っていらして、なかなか日本の企業がここまでフットプリント持たれているというのはないと思います。こういったところで質の高い案件を組成するための支援であったりネットワークの提供、途上国のデータ、インパクト測定に関するノウハウの提供、こういったことが考えられるのではないかというふうに思っております。  最後の御提言です。十八ページでございます。  ファイナンスを出す、ブレンデッドファイナンスを出す、それからノウハウも差し上げる、それだけではなくて、この民間金融機関との協業、いい案件をつくるためには非常に優良な率直な意思疎通が必要になりますので、そういったことができる、エコシステムというふうに書きましたけれども、そういった場、コミュニティーが必要かなというふうに考えております。  勝手ながら、私どものやっておりますインパクト志向金融宣言、そういったことを目指しておりまして、非常に金融機関さん同士、通常いろいろ競い合っておられる方々が、インパクトファイナンスに関しては、これ本当に難しいよね、どうやってやろうかみたいな情報交換がなされています。  まとめに入らせていただきます。十九ページですね。  日本においてもインパクトファイナンス非常に成長していますが、まだまだ発展途上でございます。開発援助とインパクトファイナンス、これを連携させることでより大きな開発効果を生み出すことというのは可能であるというふうに考えております。ただ、現時点ではなかなかそこまでには至っていないということも事実かなというふうに思っております。  そのためには、日本の金融機関、事業会社が海外、特にアフリカでインパクトファイナンスを取り組むということに当たりまして、その課題を一つ一つ解決するような手助けが政府の機関というところがしていただければ、ここは一歩一歩進むのではないかなというふうに考えております。  ちょうど時間だと思います。御清聴どうもありがとうございました。

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