○杉尾秀哉君 立憲民主・社民・無所属の杉尾秀哉です。
本調査会が、「21世紀の戦争と平和と解決力~新国際秩序構築~」というテーマで、猪口邦子会長のリーダーシップの下、三年間にわたって行ってきた調査を締めくくるに当たって、以下、意見を申し述べます。
まず冒頭、本調査会で細谷参考人が指摘したように、今、国際社会は歴史的な転換点にあり、我々が奉じてきた自由で開かれた安定的な国際秩序は重大な危機にさらされています。
その象徴がいまだに終わりが見えないウクライナ戦争であり、何よりも、世界の警察官であったはずのアメリカにトランプ氏という全く予測不能な大統領が誕生したことです。第二期トランプ政権は、従来の国際秩序における法の支配や国連などのマルチの枠組み、さらには日本を含む同盟国を中心とした民主主義国間の連携を重視してきた前政権の政策を根底から覆しました。アメリカ・ファーストの名の下に力を信奉し、自国の国益をあからさまな形で前面に押し出す政策で国際社会に大きな混乱を広げています。
これについて、本調査会の参考人からは、まずウクライナ戦争の停戦交渉について、トランプ構想は被害者と加害者を同等に扱う点で公正さに問題があり、持続可能な平和になるのか不明であること、また、トランプ大統領はロシアの要求を相当のむことで戦争を終わらせようとしており、ウクライナは降伏を強要されている旨の指摘がありました。一方、中東、特にガザ情勢については、トランプ大統領が主張しているガザのリビエラ化は荒唐無稽な主張で国際法上も許されないことや、そもそもアメリカは過去のガザの復旧復興でリーダーシップを取ったことがなく、イスラエルとの関係でガザ支援に後ろ向きであることなどが指摘されています。
こうした観点に立ちますと、トランプ政権が公平中立な仲介者としてではなく、ロシア寄り、イスラエル寄りの立場から強引に解決を図ろうとしていることは火を見るよりも明らかです。そして、そのことがこの二つの紛争にどのような帰結をもたらすのか、我々は十分に注視する必要があると思います。
さて、第二次大戦後の国際秩序を振り返れば、国連憲章において紛争の平和的解決と武力行使の禁止が基本原則として定められ、経済的な開放性や政治的互恵性、多国間管理などがその柱とされてきました。こうした言わばリベラルな国際秩序ともいうべきものが、今やロシアからの挑戦のみならず、守護神であったはずのアメリカ自身からも重大な挑戦を受け、大きく動揺しているのが現状でしょう。
その結果、これからむき出しの暴力そのものが衝突し、軍事大国が自身の主張や正義を中小の国に押し付けるような時代に逆戻りしかねない危機的な状況となっていることを認識した上で、これまで培われてきた国際政治の原則をいかに維持し、強化していくかが問われていると言えるのではないでしょうか。
また、現在のような不確実性の時代においては、これまで法の支配や人間の安全保障といった考え方を外交の重要な柱として推進してきた日本の役割が一層高まっているということは言うまでもありません。
これまで日本外交は、ともすればアメリカ一辺倒とも見られてきました。しかし、彼らが内向きになり、独善的な外交を推し進めようとしている今こそ、単なる米国依存ではなく、価値観を同じくする欧州の国々などとの連携強化やアジアを含むグローバルサウス諸国との関係深化を含めたいわゆる全方位外交を展開していくべきと考えます。
さらには、ウクライナ戦争や中東情勢においても、戦後、ODAなど様々な開発協力の知見を積み重ねてきた日本だからこそ果たせる貢献が重要な意味を持つのは明らかです。
最後に、去年十月、日本被団協、日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞したことに触れないわけにはいきません。
今回の受賞の背景には、ウクライナ戦争でロシアが核兵器による威嚇とも取れる言動を繰り返したことで再び想起された核使用の恐怖があります。原爆投下による広島、長崎の惨禍を二度と再び繰り返してはならないという被爆者の皆さんが繰り返した魂の叫びが世界の人々の危機意識の高まりを再び呼び覚ましたと言えるのではないでしょうか。
今年八月で原爆投下と終戦から八十年となります。こうした危機的な状況であるからこそ、唯一の被爆国である私たち日本が、核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバー参加するなど核兵器廃絶に向けた取組を一層進めていくべきであると申し上げて、私からの意見表明といたします。
御清聴ありがとうございました。
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国立国会図書館 国会会議録 API を構造化
REST: /v1/diet/speeches/search?speaker=杉尾秀哉
MCP: search_diet_speeches(speaker="杉尾秀哉")