○茂木国務大臣 外務大臣の茂木敏充です。安全保障委員会の開催に当たり、前原委員長を始め理事、委員各位に御挨拶申し上げるとともに、安全保障政策についての所信を申し述べます。
国際社会及び我が国を取り巻く安全保障環境の変化が様々な分野で加速度的に進んでいます。ロシアによるウクライナ侵略や不安定な中東情勢、我が国周辺における中国の外交姿勢や軍事動向、北朝鮮による核・ミサイル開発に加え、ロ朝軍事協力といった懸念すべき動きも出てきています。
このような厳しい国際情勢の中、日本への期待が高まっています。外務大臣として、様々な分野で国際社会から期待される日本の役割と責任を果たしていくことで、国益を守り、国際社会でより存在感を高める、力強く、視野の広い外交を展開してまいります。
私は就任後、すぐにウクライナ地雷対策会議を主催し、続いてASEAN関連首脳会議、APEC閣僚会議及びG7外相会合に出席しました。また、この間、米国のルビオ国務長官を始めとする各国のカウンターパートと会談し、一層の連携と協力を確認したところです。
日米同盟は我が国の外交、安全保障政策の基軸です。先月行われた日米首脳会談の成果も踏まえ、日米同盟を更なる高みに引き上げてまいります。
この観点から、日米両国が共有する自由で開かれたインド太平洋、FOIPの実現に向け、日米同盟の抑止力、対処力の一層の強化に取り組んでまいります。また、米国との間で幅広い分野における具体的な安全保障協力を進めてまいります。
日米同盟を更に発展させていく上では、外交、安全保障と経済を一体として議論していくことが重要になっています。こうした観点から、先般の日米首脳会談の成果も踏まえ、日米間の合意の着実な実施に加え、経済安全保障を含む経済分野における協力を更に発展させてまいります。
在日米軍の態勢の最適化に向けた取組も進めてまいります。同時に、普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指して辺野古移設を進めるなど、沖縄を始めとした地元の負担軽減と米軍の安定的駐留に取り組んでまいります。
法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持することにより、インド太平洋地域、ひいては世界全体の平和と繁栄を確保していくことが重要です。
自由で開かれたインド太平洋の実現に向けては、これまで構築してきた様々な枠組みを生かし、韓国、豪州、インド、フィリピン、欧州諸国、EU、NATO等との外交、安全保障面での協力のネットワークを強化してまいります。
また、同盟国、同志国とのネットワークを重層的に構築し、抑止力を強化する観点から、防衛装備品の共同開発や移転を始めとする安全保障分野での協力を、制度面の見直しと並行して一層強化していく考えです。
英国及びイタリアとの間で行う次期戦闘機の共同開発についても、我が国の安全保障環境にふさわしい戦闘機とすべく、引き続き三か国で緊密に連携して進めてまいります。
近隣諸国との間の懸案の解決も重要な課題です。
中国との間では、これまで首脳間で確認してきた戦略的互恵関係の包括的推進と建設的かつ安定的な関係の構築という大きな方向性の下、意思疎通を一層強化し、双方の努力によって懸案と課題を減らし、理解と協力を増やしていきたいと考えております。もちろん、主張すべきは主張し、責任ある対応を求めていきます。
日中間には、尖閣諸島情勢を含む東シナ海や南シナ海における力や威圧による一方的な現状変更の試みや、我が国周辺での一連の軍事活動を含め、数多くの懸案や課題が存在しています。台湾海峡の平和と安定も重要です。
特に、尖閣諸島周辺の我が国領海で独自の主張をする中国海警船の活動は、国際法違反であり、認められません。
我が国の平和と安定、尖閣諸島を含む我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下、かかる行為に対しては冷静かつ毅然と対応してまいります。
韓国は、国際社会の様々な課題にパートナーとして協力すべき重要な隣国です。韓国との間には隣国であるがゆえに難しい問題もありますが、現在の戦略環境の下、日韓関係の重要性は一層増してきています。
竹島については、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も日本固有の領土であるとの基本的な立場に基づき、毅然と対応してまいります。
北朝鮮による核・ミサイル開発が推し進められています。一連の北朝鮮の行動は、我が国、地域及び国際社会の平和と安定を脅かすものであり、断じて容認できません。
さらに、ロ朝軍事協力は、ウクライナ情勢のみならず、我が国周辺の安全保障に与える影響の観点からも深刻に懸念すべき動向です。
米国、韓国を始めとする国際社会とも協力しながら、関連する国連安保理決議の完全な履行に向けた取組を進め、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の完全な廃棄を求めてまいります。
その上で、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を実現するとの方針に変わりはありません。
中でも、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国は最優先の課題であり、あらゆる手段を尽くして全力で取り組んでまいります。
ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙です。
各国の外交努力が、国際社会の結束の下、長年にわたる戦闘の終結と一日も早い公正かつ永続的な平和の実現につながることが重要です。我が国としても、G7と連携し、今後もウクライナ支援と対ロ制裁を継続してまいります。
日ロ関係は厳しい状況にありますが、領土問題を解決し、平和条約を締結することが日本政府の方針です。両国の間には隣国として解決すべき懸案事項が山積しており、適切な意思疎通を行っていく必要があります。特に、元島民の皆様の切実な思いを踏まえ、北方墓参の再開を粘り強く働きかけてまいります。
国際社会が抱える諸課題への対応にも全力で取り組みます。
中東情勢は引き続き予断を許しません。日本経済の安定と成長に不可欠であるエネルギーの安定供給、そしてこれを支える中東地域における航行の安全の確保に万全を期すとともに、同地域の平和と安定に向け、積極的な役割を果たしてまいります。
多面的な取組を通じて、国際社会で発信力を強めるグローバルサウスの国々ともきめ細やかに連携してまいります。
また、重要鉱物を含むサプライチェーンの強靱化や経済的威圧への対応、重要・新興技術の保全と開発促進など、一層重要性を増す経済安全保障の問題にも全力で取り組んでまいります。
政府安全保障能力強化支援、OSAの推進や、サイバー対応能力の向上、テロ及びサイバー犯罪を含む国際組織犯罪分野での協力の強化にも取り組んでまいります。
核軍縮・不拡散に向けては、NPT体制を維持強化し、核兵器のない世界に向けた現実的で実践的な取組を進めてまいります。
また、人間の安全保障の理念の下、貧困、気候変動、自然災害などの複合的危機への対応についての国際協力を進めるとともに、地球規模課題におけるルール形成の議論を主導してまいります。
そして、女性・平和・安全保障、いわゆるWPSについても国際的な協力を進めてまいります。
以上、我が国が直面する諸課題及び取組について所信を申し述べました。
議員各位、そして国民の皆さんの御理解と御協力を心よりお願い申し上げます。
ありがとうございます。
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