○福田(徹)委員 ありがとうございます。
おっしゃるとおり、今挙げられた課題の解決策として、保険適用というのは一つの方法となり得ると思います。
一方で、お産を低い診療報酬の保険適用とした場合、地域の周産期医療体制が崩壊するのではないかという懸念が言われております。
日本産婦人科医会が令和六年に実施した、地域における産科診療施設の事業継続見込みに関する調査によりますと、お産が保険適用となった場合、分娩取扱いをやめる、若しくは、制度内容により中止を考えると回答した産科診療所は、五百九十施設中、四百一施設。約六八%もの産科診療所が分娩から手を引く可能性があるとされています。
この調査は日本産婦人科医会のものですので、もしかしたら偏りがあるかもしれないと思いまして、私自身で多くの産婦人科医師にヒアリングを行いました。やはり、その結果、ほとんどの産婦人科医師はこの保険適用について強い懸念を示しております。特に診療所の院長だけではなくて、大病院の勤務医であったり、いわゆる立場を問わずです。保険適用となり、一旦公定の診療報酬が決まると、その後、上がることがない、むしろ下げられる可能性がある、そう思われているからなんですよね。過去の診療報酬の歴史を見れば、そう思っても不思議ではありません。
今、もちろん地域差は多いのですが、厚生労働省の保険局の調査では、出産費用は大体平均五十万六千五百四十円とされています。もし、これに近い金額の診療報酬が一度設定されると、近年の物価上昇や人件費上昇、これですぐに赤字になってしまう、そう予想されています。
だから、御想像のとおり、産婦人科診療所というのは、小規模でも入院設備を持っていたり、二十四時間三百六十五日、お産や急変対応のために、当直医であったり待機医を置いていたり、もちろん助産師さんも置いている。こうやって、産科診療所の運営というのは経済的にも体力的にも物すごく厳しいものなんですよね。私の専門とする救急医療にすごく似ていると思って、気持ちがよく分かるんです。
そして、極めて重要な点が、現時点で日本の周産期医療において、町の産婦人科診療所というのが極めて大きな役割を果たしております。現在、我が国の分娩の約半数、四五・一%が、病院ではなく診療所で行われております。もし、この保険適用で、町の産婦人科診療所がお産から一気に手を引くと、リスクの低いお産がみんな、いわゆる周産期母子医療センターみたいな、本来はハイリスク分娩を扱うような施設に一気に流れ込む。そうすると、当然ですけれども、受け入れる大規模施設側がそれを受け入れる余裕はなく、地域の周産期医療体制が破綻します。そうすると、お産難民が生まれて、これは逆に少子化促進策になってしまうと思うんですよね。
私自身は、長期的には、お産の集約化、大規模施設への集約化というのは必要だと思っております。実際、現在、何もせずとも、医師の高齢化であったり、あとはお産の減少で、町の産婦人科診療所というのはどんどん減っているんですよね。徐々に大規模施設に集約化されていっています。そして、このトレンドはしばらく変わらないと思います。
でも、そのトレンドを、今回、保険適用というワンプッシュで一気に進めてしまうと、いわゆる大規模施設側の、集約化される側の施設の体制が整わないうちにそれが起こると、本当にお産の行く末がなくなる、破綻してしまうんじゃないかと危惧しております。
そして、高市総理にお願いしたいと思います。妊産婦の経済的負担の軽減、そして地域の周産期医療提供体制の確保、この二つを同時に実現すること、これが少子化対策です。そのために、出産費用の保険適用は慎重に議論すること。特に、保険適用を行う場合は、毎年の物価の上昇、人件費の上昇、それだけじゃない、出産費用の毎年の確認、これをしていただいた上で、もし上がっていく場合はそれに見合うように、その価格をスライドして一緒に上げていく、これをルール化した上で保険適用とすること、これをお願いできないでしょうか。
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2026-04-09 · 衆議院安全保障委員会
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