○国務大臣(茂木敏充君) おはようございます。
外交防衛委員会の開催に当たり、里見委員長を始め、理事、委員各位に御挨拶申し上げるとともに、外交政策について所信を申し述べます。
今般の中東情勢も含め、世界は今、パワーバランスの変化や紛争、対立の激化を受け、戦後最も大きな構造的変化の中にあり、安全保障環境も一段と厳しさを増しています。
ロシアによるウクライナ侵略や我が国周辺における中国の外交姿勢や軍事動向、北朝鮮による核・ミサイル開発に加え、ロ朝の軍事協力といった懸念すべき動きも続いています。
このような厳しい国際情勢の中、一貫した外交姿勢を堅持する日本への期待が高まっています。高市内閣の掲げる平和と繁栄を創る責任ある日本外交を推進すべく、国際社会から期待される日本の役割と責任を果たしていくため、多角的、重層的な連携をリードする包容力と力強さを兼ね備えた外交を展開してまいります。
日米同盟は我が国の外交・安全保障政策の基軸であり、インド太平洋地域の平和と繁栄の礎です。先週の日米首脳会談には私も同席しましたが、安全保障、経済、経済安全保障などの幅広い分野で、質の高い日米協力を具体的に進め、日米同盟を更なる高みに引き上げることを確認しました。今後とも、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化してまいります。
同時に、関税に関する日米間の合意の着実な実施に加え、経済安全保障を含む幅広い分野で日米協力を拡大し、重層的な人的交流も拡充してまいります。また、普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指して辺野古移設を進めるなど、沖縄を始めとした地元の負担軽減と米軍の安定的駐留に取り組んでまいります。
自由で開かれたインド太平洋、FOIPを日本外交の柱として提唱から十年、この間の時代の変化や新たな課題に対応してFOIPを戦略的に進化させてまいります。
また、G7、ASEAN、豪州、インド、EU、NATOなどとの協力関係を更に強化し、日米韓、日米豪、日米フィリピン及び日米豪印を始め、実践的かつ多面的な協力を広げてまいります。
さらに、安全保障環境の変化が様々な分野で加速度的に生じる中、国家安全保障会議の下、国家安全保障戦略始め、三文書の見直しにも取り組んでいきます。
また、防衛装備移転、政府安全保障能力強化支援、OSAやサイバー安全保障を推進するとともに、関係省庁と連携してインテリジェンス機能の強化に取り組んでまいります。
国際社会における法の支配を推進するとともに、テロやサイバー犯罪を含む国際組織犯罪分野での協力の強化にも取り組んでまいります。
また、情報セキュリティー基盤を強化するとともに、偽情報の拡散等の外国からの情報操作に対抗すべく、情報収集・分析力及び戦略的対外発信の強化など情報戦対応を進めてまいります。
同時に、我が国による発信が各国から前向きに受け止められる土壌を醸成すべく、人的交流を含む文化外交の抜本的強化に取り組んでまいります。
近隣諸国とは、難しい問題、課題に正面から対応しつつ、安定的な関係を築いてまいります。
まず、中国についてですが、中国との間で戦略的互恵関係を包括的に推進し、建設的かつ安定的な関係を構築していく方針は一貫しています。
その上で、中国との間には、尖閣諸島情勢を含む東シナ海や南シナ海における力又は威圧による一方的な現状変更の試み、我が国周辺での一連の軍事活動、日本企業等に対する輸出規制等の措置を含め、数多くの懸案や課題が存在しています。台湾海峡の平和と安定も重要です。
日中間に懸案と課題があるからこそ、意思疎通が重要です。我が国としては、中国との様々な対話についてオープンです。こうした姿勢の下、今後も冷静かつ適切に対応してまいります。
韓国は、国際社会の様々な課題にパートナーとして協力すべき重要な隣国です。日韓関係を未来志向で、安定的に発展させていくために、韓国側と引き続き緊密に意思疎通をしてまいります。
竹島については、歴史的事実に照らしても、また、かつ、国際法上も日本固有の領土であるとの基本的な立場に基づき、毅然と対応してまいります。
北朝鮮による核・ミサイル開発は断じて容認できません。また、ロ朝の軍事協力は、ウクライナ情勢のみならず、我が国周辺地域の安全保障に与える影響の観点からも、深刻に懸念すべき動向です。
米国、韓国を始めとする国際社会とも協力しながら、関連する国連安保理決議の完全な履行に向けた取組を進め、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の完全な廃棄を求めてまいります。
北朝鮮との間では、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を実現するとの方針に変わりはありません。
中でも、拉致被害者やその御家族も御高齢となる中、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国は最重要の課題であり、あらゆる手段を尽くして全力で取り組んでまいります。
日ロ関係は厳しい状況にありますが、北方四島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結することが日本政府の方針です。日ロ両国の間には隣国として解決しなければならない懸案事項が山積しており、適切に意思疎通していく必要があります。
特に、御高齢となられた元島民の皆様の切実な思いを踏まえ、北方墓参に重点を置いて、ロシア側に対して粘り強く事業の再開を求めてまいります。
また、ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙です。このような力による一方的な現状変更の試みは決して許すことはできないとの考えに変わりはなく、一日も早く公正かつ永続的な平和を実現することが重要です。我が国としても、G7を始めとした各国と連携し、今後もウクライナ支援と対ロ制裁を継続してまいります。
緊迫した情勢が続くイラン情勢について、今何より大切なことは、事態の早期鎮静化を図っていくことであり、先週の日米首脳会談でも、高市総理からこの点をしっかりとトランプ大統領に伝えたところです。
私としても、事態の発生直後からあらゆる外交努力を継続しており、米国を含むG7や当事国であるイスラエル、イラン、また湾岸諸国の外相等と会談を重ねています。
ホルムズ海峡における航行の安全、エネルギーの安定供給を含む中東地域の平和と安定、そして国際的な核不拡散体制の維持は、我が国にとって極めて重要です。国際社会と連携し、引き続き必要なあらゆる外交努力を行ってまいります。
また、イスラエルとパレスチナをめぐる情勢は依然として予断を許しません。我が国としては、ガザにおける停戦の維持、人道状況の改善や早期の復旧復興を後押しし、二国家解決の実現に向けて積極的な役割を果たしていく考えです。
国際社会で発言力を強めるグローバルサウスの国々との連携はより重要性を増しています。我が国や我が国の立場に対する支持や理解を得るため、戦略的対外発信や文化外交を推進するとともに、ODAやOSAを通じて、相手国のニーズも踏まえたきめ細やかな協力を進めてまいります。また、ODAを呼び水とした民間投資も促進していきます。
さらに、ODAを戦略的かつ効果的に活用し、経済安全保障等の重要課題にも対応してまいります。
アフリカについては、第九回アフリカ開発会議、TICAD9で発表したインド洋・アフリカ経済圏イニシアティブを、中央アジアとの間では、中央アジアプラス日本対話・首脳会合の成果を具体化してまいります。
経済外交については、日本の経済力強化のため、日本が優位性を持つ技術力、課題解決力や日本企業の海外展開を外交面で後押しし、新規市場の開拓やイノベーションの創出に貢献してまいります。
ルールに基づく自由で公正な国際経済秩序の維持強化も重要です。CPTPPの高い水準の維持や戦略的な拡大、WTO改革の推進、安全、安心で信頼できるAIエコシステムの構築に取り組んでまいります。
一層重要性を増す経済安全保障の課題に対応するため、エネルギー、食料の安定的な確保、重要鉱物を含むサプライチェーンの強靱化や経済的威圧への対応、重要・新興技術の保全、開発促進などに全力で取り組んでまいります。
二〇二七年国際園芸博覧会の成功に向けても取組を進めます。
今年は日本が国連に加盟して七十周年となります。世界が抱える諸課題を解決するため、安保理改革を含む国連改革・機能強化、日本らしい人権外交を積極的に推進してまいります。
また、核兵器のない世界の実現に向けて、本年四月のNPT運用検討会議を含め、NPT体制を維持強化するための現実的で実践的な取組を進めてまいります。
気候変動、国際保健、自然災害といった地球規模課題については、人間の安全保障の理念の下、SDGsの達成に向けた取組を推進し、二〇三〇年以降を見据えた国際的な議論を主導してまいります。
かつてなく厳しく複雑な国際情勢の中で一層の外交的成果を上げるため、外交・領事実施体制の抜本的強化に取り組みます。特に、緊急事態対応や邦人保護、情報保全に万全を期すとともに、積極的な外交を展開するため、本省及び在外公館の体制や基盤の整備、強靱化を進めてまいります。
旅券手数料の引下げにも取り組みます。また、外国人との秩序ある共生社会の実現に向けた取組も、関係省庁と協力し進めてまいります。
最後に、今国会において外務省から提出予定の法律案と条約について、御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
引き続き、我が国の外交政策について国民の皆様の御意見や国際社会の動向も踏まえ、しっかりと進めてまいります。
委員各位、そして国民の皆様の御理解と御協力を心よりお願い申し上げます。
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