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田名部匡代 ·立憲民主・無所属

参議院本会議(2026-02-25)での発言

第221回国会 ·第第3号号 ·8,057字
○田名部匡代君 立憲民主・無所属の田名部匡代です。  会派を代表して、高市総理大臣の施政方針演説に対し、総理に質問させていただきます。  高市総理、まずは御就任おめでとうございます。総理には、国民のために丁寧に誠実に議論に向き合っていただくことを期待します。  本来の質問に入る前に、一点確認させていただきます。  昨年、当時の石破総理は、十万円の商品券を十五名に渡し、物価高で苦しむ世論からの批判を受け、謝罪され、商品券は返還されました。  今回、高市総理は、衆議院選後に自民党衆議院議員の全員にカタログギフトを寄附されたと報じられ、昨日、御自身のSNSでも事実関係についてはお認めです。自民党衆議院議員全員、総額幾らになりますか。一万円でも約三百万、報道されている三万円なら一千万円近くになりませんか。総額、その原資と目的についても御説明願います。  あのときも今も、政治と金の問題や物価高の状況は続いているということだけは申し上げておきます。  さて、衆議院は在職約一年三か月という戦後三番目の短さで解散され、解散から投開票までは戦後最短の僅か十六日、しかも厳冬期の選挙。投票時間の繰上げや交通障害、外出や移動困難など、特定地域の投票機会が制約される事態が生じたことは、民主主義の公平性の観点から問題はなかったのでしょうか。  青森県では災害救助法が適用され、青森市では積雪が一時百八十センチに達し、陸上自衛隊の災害派遣が行われました。現時点で、青森県だけでも死者八名、重軽傷者を含めると二百名を超える被害となっています。雪国にとって一月、二月が豪雪期であることは予見可能だったはずです。政府として事前の影響評価や備えを十分検討されたのでしょうか。また、豪雪という物理的障害が投票機会を実質的に制約した可能性についてどのように認識されているか、伺います。  昨年、我が党は、立法府の権限と国民の参政権を適切に保障するためのルールを定めることを目的とした議員立法を提出しました。解散権は、内閣の権能であると同時に、国民の参政権にも直結します。その行使に当たっては、透明性と説明責任を制度としてどう担保するのか、冷静な議論が必要ではないでしょうか。  法案の内容は、解散理由と予定日の事前通告、国会での審議と情報公開、選挙準備状況の確認制度を設けるものです。二〇二四年の解散・総選挙でも、投票所入場券の遅配や洋上投票の準備不足など、参政権保障に関わる問題が生じました。現行憲法の下で可能な立法的整理を含め、民主主義の基盤に関わる問題として建設的な議論を開始するお考えはありませんか。総理の見解を伺います。  また、現在、ネット上での虚偽情報や悪質な誹謗中傷が拡散し、候補者、有権者双方に深刻な影響を与えています。さらに、選挙におけるインターネット広告は急速に拡大していますが、選挙の公平性を確保する観点から、ネット広告についても数量規制や透明性確保の制度改正など、実態に即した新たなルールの整備が急務と考えます。与野党の選挙運動に関する協議会で必要な法整備に関する議論が行われています。表現の自由を尊重しつつ、検討を加速すべきと考えますが、総理の見解を伺います。  施政方針演説で総理は、どのような国をつくり上げたいのか、その理想の姿を物語るものが憲法だとおっしゃいました。しかし、憲法は、国の在り方や理想を示すものである以前に、国家権力を縛り、国民の権利を保障する最高法規です。立憲主義の核心は権力の制限にあります。総理は立憲主義の原理をどのように理解しておられるのか、改めて伺います。  東日本大震災から十五年。残されている課題を前進させるため、私たちはこれからも被災地の声を聞き、寄り添い、力を尽くしてまいります。  総理は、第三期復興・創生期間において、除去土壌の再利用と福島県外での最終処分の道筋を具体化すると述べられました。福島県外での最終処分は法律により二〇四五年までと定められており、残り十九年です。用地選定、合意形成、施設整備、搬入までの標準的期間を政府は何年と見積もっていて、その工程を逆算した場合、いつまでに候補地を決定する必要があるのか、二〇四五年に間に合うと約束できるのか、お答えください。  最終処分の問題は青森県にもあります。六ケ所村では、高レベル放射性廃棄物の搬入開始から三十年が過ぎました。事業者が県や村と結んだ協定では、管理期間の目安を三十年から五十年としていますが、最終処分地はいまだ決まっていません。いつ工程を示すのか、今示されなければ管理期間内に完結しない可能性が高いのではありませんか。間に合うとお考えか、それとも管理期間の実質的延長が前提なのか、明確にお答えください。また、国が今後どう責任ある行動をするのか、伺います。  我が国では実質賃金の低迷が長期化し、国際比較でも、日本は実質賃金や一人当たりGDPで伸び悩み、豊かさから取り残されています。総理は令和六年度の実質賃金の伸びはプラスと述べられましたが、厚生労働省の毎月勤労統計調査によれば、令和六年度も実質賃金はマイナスのままです。わざわざ自分に都合の良い数字を持ち出して、厳しい現実を直視しない姿勢は、物価高に苦しむ国民に対して不誠実ではありませんか。  アベノミクス以降、賃金と成長の好循環は実現していません。政府は、実質賃金低下と円安が長期化している要因をどのように分析しているのか。また、物価高が長期化する中、家計負担の軽減に向けた中長期的な物価高対策をどのように進めていくのか、円安の是正に向けてどのような政策を講じていくのか、明確にお示しください。  いわゆる百三十万の崖について伺います。  年収が百三十万円を僅かに超えると社会保険料負担が発生し、手取りが減るケースが生じ、働き控えを招く要因との指摘があります。政府も対策は講じていますが、実態に十分対応できているとは言えません。労働者の実態に即した抜本的な制度設計が必要です。  立憲民主党は、扶養から外れて保険料を納めても手取りが緩やかに増えるよう給付金を支給する制度を提案しています。働いた分だけ手取りが増える仕組みの実現が必要ではないでしょうか。総理の見解を伺います。  責任ある積極財政と食料品消費税減税について伺います。  立憲民主党が給付付き税額控除の提案をした昨年から給付付き税額控除の実務者協議が進み、その後、高市総理が提案され、国民会議が設置されました。そこに急に食料品消費税の議題も追加となりました。  総理は責任ある積極財政を掲げていますが、であるならば、食料品消費税減税について財源の説明は不可欠です。政府の財源確保の基本方針をお示しください。  また、今回の選挙で与党は大多数となり、総理は、食料品消費税減税という悲願達成の環境、それが整ったのかなと思います。まずは与党として取りまとめ、国会に提案するおつもりはないでしょうか。  あわせて、総理のお考えになる責任あるとは、財政規律なのか、成長責任なのか、将来世代への説明責任なのか、何をもって責任あると判断されるのか、具体的な評価指標を伺います。  次に、租税特別措置は、公平、中立、簡素の租税原則の例外にもかかわらず、現在約三百七十項目、減収額は約九兆円規模に上るとされています。今後整理されるとのことですが、その前提として重要なのは透明性の確保です。隠れ補助金とも言われる租特は、補助金と異なり適用企業名が公表されておらず、誰にどれだけの恩恵が及んでいるのか国民から見えないことに大きな問題があります。  立憲民主党は、政治と金の問題を正す観点からも企業名の公表を主張してきました。昨年末の税制改正大綱では、企業名公表について、検討し、令和九年度改正で結論を得るとされていますが、公表を前提に具体策を検討するのか、公表自体も含めて再検討するという意味なのか、伺います。  そもそも補助金は公開されているのに租特は公開されない合理的理由についても、併せて答弁願います。  また、租特の政策効果を検証するために税務データの活用が不可欠ですが、所管省庁等との共有は限定的です。情報保護に配慮しつつ、検証の実効性を高めるため税務データの更なる共有を進めるべきと考えますが、総理の見解を伺います。  防衛装備移転三原則の運用指針見直しについて伺います。  これまで政府は、殺傷能力を有する完成装備品の輸出については極めて慎重な立場を取ってきました。転換は我が国の安全保障政策の根幹に関わる問題です。見直すとすれば、まずはどの装備品を、どの地域に、どのような基準で移転するのか。防衛産業基盤の強化が目的であるなら、具体的な需要想定や数量規模を示していただきたいと思います。また、紛争当事国への流入をどのように防ぐのか、抽象論ではない明確な戦略と歯止めについての考え方を伺います。  兵器輸出は抑止力強化につながるとの説明もあります。しかし、武器の移転は紛争の拡大や地域の軍拡競争を招くリスクも伴います。政府はそのリスク評価をどのように行っているのか、総理に答弁を求めます。  総理は三月に訪米を予定されています。総理にはトランプ大統領との信頼関係構築を期待いたしますが、いかに同盟国であっても、力による現状変更や保護主義的通商政策に対し日本は主体的な姿勢を示すこと、それが極めて重要と考えます。訪米に臨む基本姿勢と法の支配に基づく国際秩序の維持に総理はどう貢献するつもりか、お伺いをします。  トランプ政権による相互関税は違法とアメリカの連邦最高裁が判決を下したことを受け、トランプ大統領は、通商法百二十二条に基づき追加関税を一五%に引上げを表明しました。総理の受け止めと日本企業への影響について伺います。  また、日米間で相互関税とセットで合意された五千五百億ドルの対米投資は予定どおりに実行していくのでしょうか。日本が投資から得られるのは超過利益の一割しかない点や投資案件の選定の在り方など、再交渉の余地が生じたのではないでしょうか。政府の方針を伺います。  日中関係について伺います。  昨年十二月以降、フランスのマクロン大統領、イギリスのスターマー首相が訪中し、習主席と首脳会談を行い、今週にはドイツのメルツ首相も訪中しています。また、トランプ大統領も三月に訪中する予定です。  中国は、高市総理の発言をきっかけに経済的な圧力を強めています。昨日、さらに、日本の二十社・団体に対し、レアアースを含むデュアルユース製品の輸出を禁止したとの発表もありました。  経済安全保障上、サプライチェーンにおける極端な依存を低下させるとしても、隣国である中国とは安定的に戦略的互恵関係を発展させることが我が国の戦略上も重要です。  総理、対話はオープンだとして、待ちの姿勢で現状を打開できるでしょうか。総理は日中関係をどのように改善していくべきとお考えなのか、お聞かせをください。  レアアースについて、民間試算では、中国からの供給が停止した場合、一年間で二・六兆円の経済損失が生じる可能性を指摘しています。これは資源問題ではなく、経済安全保障そのものです。政府は、供給が止まった場合の経済や国民生活への影響をどのように分析されているのか、現時点の評価をお示しください。  また、総理は選挙期間中、南鳥島周辺の深海資源に触れ、今の世代も次の世代もレアアースに困らないと発言されました。レアアースは二〇一〇年、当時の民主党政権下での安定調達に向けた約一千億円の調査費が盛り込まれたのが始まりで、私も大変期待はしております。他方、高市総理の、今の世代も次の世代も困らない、その発言の根拠を問われた佐藤官房副長官は、自民党総裁としての発言に政府としてのコメントは差し控えると述べています。  総理が述べられた困らないとの発言は、自民党総裁としての政治的メッセージなのか、内閣総理大臣としての政府の公式認識なのか、明確にお示しください。  国家の経済安全保障に関わる戦略物資について、党の立場と政府の立場が峻別されないまま発信されることは、国内産業や国際社会に誤解を与えかねません。内閣としての統一見解並びに商業化に向けて現実的な全体像、いつ頃までの実現を見通しているのか、伺います。  世界的課題である気候変動対策について伺います。  政府は、二〇三〇年度に温室効果ガス四六%削減、さらに五〇%の高みに挑戦する目標を二〇二一年に掲げていました。一方、今回総理から環境大臣への指示書では、前回記載のあった二〇五〇年カーボンニュートラル及び二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標を実現しの記述が削除されました。なぜ削除したのかの理由、目標を維持されるのであれば、具体的、現実的なロードマップをどのように描いているのか、お答えください。  米国はパリ協定から離脱し、国際機関からの離脱の可能性も報道されており、国際枠組みに影響が出ることが懸念されています。仮に国際的な気候変動対策の枠組みが揺らぐ場合、日本の目標達成戦略にどのような影響が出るのか、日本の目標自体を見直す可能性もあるのか、お答えください。  立憲民主党は、日本の高い技術力と地域の資源を生かした省エネ、再エネの活用と産業支援により、更に野心的な温室効果ガス削減目標の策定を目指すべきと考えています。政府の御見解を伺います。  高額療養費制度について石破前総理は、患者が不安を抱えたまま見直しを実施すべきではないと、制度改正を一旦凍結しました。その決断後も、私のところには多くの当事者や御家族から声が届いています。多くは生活や仕事への不安、そして、治療は続けられるのだろうかという不安の声です。  現在、所得に応じた月額上限の引上げ方針が示され、将来にわたる負担増への不安は広がっています。家計も苦しい中で、当事者や御家族にとっては深刻な問題です。生涯にがんに罹患する確率が二人に一人と言われる時代、決して人ごとではありません。高額療養費制度は、病気になったときの最後のとりでです。  そこで伺います。  月額上限引上げが患者の治療継続に与える影響を政府はどのようなデータに基づいて評価しているのか。負担増の不安に対し、引上げ方針を見直し、引上げ額を十分に抑制すべきと考えますが、いかがですか。命に関わる制度である以上、財政上やむを得ないという話は到底納得できません。総理には心から寄り添って十分な検討をしていただきたいんです。誰もが安心して治療に専念できるよう、希望を持っていただける、そんな答弁をお願いします。  地域医療について伺います。  政府が、令和八年度の診療報酬改定において、三十年ぶり三%超えの引上げ方針を示されたことは評価いたします。  しかし、物価やエネルギー価格の高騰、医療材料費の上昇、人材確保の難しさなど、医療現場は経営、人材、需要構造の三重苦に直面しています。救急、周産期、災害医療、へき地医療など、採算の取りにくい医療を担う自治体病院ほど慢性的な赤字構造にあり、努力だけでは維持できない危機が進行しています。地域で唯一の医療機関が失われることは、地域社会そのものの崩壊につながります。  そこで伺います。  構造的に赤字を抱える自治体病院、地域中小医療機関を国でどのような責任において安定的に維持していくのか、お示しください。  政治と金の問題について伺います。  唐突に議員定数削減の話が出ていますが、繰り返される政治と金の問題を棚上げし、争点をすり替えたところで、問題はなかったことにはなりません。  私たちは、企業・団体献金を受け取る対象を党本部と都道府県連の政党支部に絞り、受け取る上限額を引き下げるという規制強化法案を提案しています。また、政治資金をチェックする第三者機関の設置についても与野党で精力的に議論を進めてきました。信頼回復に向け、実現をさせるべきです。ここで総理の決意を伺いたいと思います。  農業問題について伺います。  昨年、米の価格高騰を受け、備蓄米の放出が行われました。ただし、法的根拠は十分に明確とは言えません。  このため、立憲民主党は、備蓄米の放出だけではなく、米価の急激な変動に対応できるよう、食糧法改正案を提出いたしました。消費者と生産者双方の不安を解消し、制度の透明性と安定性を高めるためにも重要な法案だと考えます。政府の見解を伺います。  あわせて、いざというときの備えである備蓄について、現行百万トンの水準が適切なのか、民間在庫も含めた見直しの考え方について伺います。  立憲民主党では、消費者、国民へ食料を安定供給するため、農地を維持することへの支援、食農直接支払制度や米価が生産コストを割り込んだ場合の直接支払制度を既に具体的に提案しています。また、中山間地域では、食料生産だけではなく、防災、環境、地域社会の基盤が失われかねないことから、中山間農業を守るべき社会基盤と位置付けた支援の強化、さらに新規就農対策の拡充も具体策を示し、確実な食料自給率向上と食料安全保障の実現を目指しています。  総理は総裁選で、食料自給率一〇〇%を目指すべきとの考えを示されました。現在、農水省では、二〇三〇年度の食料自給率目標がカロリーベース四五%のまま、総理の目指す一〇〇%目標に向けた工程はまだ示されていません。また、全ての田畑フル活用というのも、旗を掲げただけでは絵に描いた餅です。  食料自給率一〇〇%の達成目標は、どういうものを生産し、どのような施策で実現するのか、全ての農地を誰がどう活用することをイメージされているのか、明確なお考えをお聞かせいただきたいと思います。  我が国では、三十年以上前から少子化問題が取り上げられてきました。まさに、三十年以上前から予測されていたのがこの少子化問題であります。この間、賃金停滞や非正規雇用の拡大、子育てや教育費の負担の重さ、働き方改革の遅れなど、構造的な要因への対応は遅れ、対策も全く不十分。かつて自民党は、子ども手当を将来世代へのツケ回しと厳しく批判し、高校無償化についても税金の無駄遣い、ばらまき政策と繰り返し否定されてきました。そして今、少子化はかつてない速度で進み、子育て、教育支援の必要性は与野党の共通認識となっています。  当時の批判は、結果として対策を遅らせたのではないでしょうか。過去の議論をどのように総括し、今後どのような抜本対策を講じるのか、総理の明確なお考えを、御見解を伺いたいと思います。  働いて働いて働いて、それでも先が見えない不安を抱えている人たちがいます。一人一人の暮らしが安心でなければ、国は強くなれません。私たちは、国民生活の土台を強くし、誰もが何度でも挑戦し続けられる社会を目指します。そして、押して押して押しても動かない壁に阻まれ、前に進めない人がいるならば、壁を打ち破り、希望を持って未来へ踏み出せる、そんな社会を目指します。小さな声にも立ち止まり、弱い立場の人を切り捨てない。その先にこそ、世界に誇れる国としての成長があると信じています。  立憲民主党は、真の強さとともに、優しく、そして温かな社会を実現し、世の中が穏やかな笑顔であふれるよう、平和であるよう、今後もみんなで力を合わせて力を尽くしていくことをお約束し、質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣高市早苗君登壇、拍手〕

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