SEISAKU DB が解決する8つの空白地帯
カボシアが2026年6月に公開した「SEISAKU DB(日本政策 DB)」は、すでに存在する NJSS・LobbyAI・角川アスキー総研「政策リサーチ」のような既存サービスと正面衝突するものではない。むしろ、これらの既存サービスが触れていない8つの空白地帯を埋めにいく。
ここで「空白」と書くのは「誰もやっていないから差別化できる」という浅い意味ではない。「これがあることで何が変わるか」「どんな困りごとが具体的に解決するか」まで掘り下げて空白かどうかを判定している。以下、8つの空白地帯と、それぞれが解決するユーザーの困りごとを書く。
1. 「閣議決定→法案→予算→補助金→採択企業→上場企業→有報根拠」の縦串
各層は別 DB に分散している。閣議決定は e-Gov、予算は財務省、補助金は J グランツ、採択企業は gBizINFO、上場企業は EDINET という具合に。
縦串が引かれていないと、大型の補助金が閣議決定された瞬間に、どの上場銘柄へ資金が落ちるかを知るには各層を手で繋ぐしかない。1週間かかる作業を、縦串1回で5分に圧縮する。機関投資家のポジション取り、上場企業 IR の投資家説明、シンクタンクのコンサル単価向上、いずれにも効く。
2. 政策テーマから銘柄への自動マッピング
株探やみんかぶは1,764の政策テーマを手動で管理している。新しいテーマが出てから銘柄マッピングが完成するまで1〜3か月かかる。
SEISAKU DB は閣議決定の翌日に該当銘柄リストを出す。新興テーマでアクティブ運用ファンドが先回りするには、この1〜3か月の差が決定的なアルファになる。
3. お金の流れ全体の縦串
官民ファンド15、行政事業レビュー、公共調達、租特透明化法、GPIF 保有銘柄。これら全部を横断的に解析した商用 DB は、公開情報で確認できる範囲では見当たらない。学術論文が中心だ。
SEISAKU DB はこの縦串を順次実装している。直近の例として、GPIF(年金、評価額約¥244兆)の保有銘柄全18,470件を取り込み、経済安全保障の認定114件と物資別にクロスマッピングしたところ、同認定企業の GPIF 保有評価額は合計約¥8.42兆と定量化された(蓄電池¥3.4兆/半導体¥1.6兆/重要鉱物¥0.9兆ほか)。さらに競争的研究費(KAKEN/AMED/NEDO)31,676件を14の政策テーマで AI 分類済みだ。
PE・ヘッジファンドが「JIC+INCJ 投資先→数年後の IPO 候補」のシグナルを早期検知する用途、上場企業 IR が「自社の GPIF 保有比率の推移」を常時参照する用途、ともに需要は大きい。
4. 「議論はあるが金がない」「金はあるが議論されていない」ギャップの可視化
政策の言行不一致を可視化する商用 DB は、公開情報で確認できる範囲では見当たらない。学術研究では公共政策評価の文脈で類似分析があるが、リアルタイム化されていない。実際に SEISAKU DB のデータでこれを見ると、面白い事実が浮かぶ。
| テーマ | 国会発言数 | 行政事業レビュー予算 |
|---|---|---|
| AI | 269件 | ¥29,580億 |
| 経済安保 | 2,667件 | ¥23,090億 |
| 防衛 | 14,998件 | ¥13,134億 |
(2024-01〜2026-05累計、発言件数は NDL 国会会議録ベース)
AI は「金は付いているが議論不足」、経済安保は「議論が先行して事業展開が追いついていない」傾向が出る。メディアのスクープ材料、シンクタンクの予測根拠、投資家のテーマ株シグナル、いずれにも応用できる。
5. 政策イベント×株価のイベントスタディ商用化
学術研究はあるが、商用化はゼロだ。過去の閣議決定100件と株価リターンを掛け合わせれば「閣議決定後5営業日でこの業種が +N%」のようなパターンが出る。機関投資家のアルファ生成にも使えるし、リスク管理側で「政策イベント前後のボラティリティ拡大」を事前検知する用途にもなる。
6. 海外日本株投資家向けの英語版
Bloomberg Intelligence Japan は500人体制で良質な分析を出しているが、Bloomberg Terminal の年額24,000ドルに同梱されている。Terminal 契約のない中小ファンドには届かない。
海外日本株ファンド(Capital Group、FMR、GIC、Norges Bank Investment Management など)には、月数万円で Terminal 不要の SEISAKU DB 英語版にニーズがある。対日直接投資と JPX 英語化の追い風で、海外勢の日本株関心はますます高まる。これは Phase 2 で着手する。
7. AI 時代の MCP/API/自然言語対応
公開情報で確認できる範囲では、主要な既存サービス(NJSS、LobbyAI、角川アスキー総研など)は MCP/API 連携を前面に出していない。
SEISAKU DB は Phase 1 で実装済みだ。ChatGPT/Claude/Codex ユーザーは「自社の業種に関連する政策を AI に聞く→SEISAKU DB から一次データを直接取得」が1コマンドで完結する。エンジニアは API で自社システムに組み込める。AI 時代の「外部システムに繋がない政策 DB」は次第に選ばれにくくなる構造で、SEISAKU DB はこのトレンドを起点に設計している。
8. セルフサーブ、月解約自由、公開料金
既存サービスは個別見積・年契約型が中心に見え、料金は非開示か代理店経由が一般的だ。
SEISAKU DB は月払い・解約自由・稟議不要の金額帯を前提に設計している。スタートアップや中小企業にとっては「稟議不要の金額帯で意思決定がスピードに乗る」、大企業にとっては「まず月払いで PoC してから年契約で稟議資料を用意する」の二段構えが組める。AI 時代の意思決定スピードに合った価格モデルを目指している。
なぜカボシアがこれをやるのか
SEISAKU DB はカボシアの「日本データインフラ」事業の5つ目だ。EDINET DB(上場企業財務)、FUDOSAN DB(不動産)、BOUSAI DB(防災・気象)、HOUJIN DB(全法人マスタ)に続く。
各 DB は単独でも価値があるが、相互運用したときに本領を発揮する。SEISAKU DB の「上場企業×公的支出」は EDINET DB の財務データと連携し、HOUJIN DB の法人マスタは全 DB の企業エンティティレイヤとして横串で使う、といった具合だ。「政策起点」「金融起点」「不動産起点」「防災起点」「法人起点」と入り口を分けながら、データインフラとして繋がっている。1事業の単独最適ではなく、5事業合計の総和でユーザーベネフィットを最大化する設計である。
SEISAKU DB の数字
2026年6月時点で構造化済みのデータ規模は次のとおり。
- 行政事業レビュー: 30,134事業 × FY2021-2025 × 23省庁
- 公的支出→全法人 名寄せ: 企業向け純額¥24.0兆/5年・1,702社(通過分を除いた下限値)
- 国会会議録(発言単位): 約26万発言(263,003 unique、2024-01〜2026-05)
- 国会議案・採決履歴: 6,939議案(重複排除済)
- e-Gov 法令: 9,514法令
- J グランツ補助金: 3,487補助金(募集中112)
- 経済安全保障 認定供給確保計画: 114認定(蓄電池37/半導体27/航空機の部品17/クラウド11ほか)
- 競争的研究費: 31,676件(KAKEN20,441/AMED11,056/NEDO179)を14の政策テーマで AI 分類済み
- 年金 GPIF 保有銘柄: 18,470件(評価額約¥244兆) → 経済安保認定企業の GPIF 保有評価額は合計約¥8.42兆
- 各府省の年次白書: 約1,300件を AI 構造化
REST API 23 endpoints、MCP 31 tools を整備済みで、すべて seisakudb.jp/developers で公開している。API/MCP キーは無料で発行できる。
普段使う AI から政策データを引く
SEISAKU DB は専用ツールを必要としない。Claude / ChatGPT に MCP でつなぐだけで、政策・公的支出データを会話から直接引ける。β期間は無料。
API / MCP キーを取得