○本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。
もとより、憲法は第九十六条で改正について規定しています。憲法自身がその改正を所与の前提としている以上、国会で議論を尽くし、必要があれば改正を発議することは当然のことです。この点においては、改憲派も護憲派も、与党も野党も関係ありません。問題はその中身です。
その上で、本題に入ります。
先週、四月十一日の本審査会で、自民党の中谷筆頭幹事より、これまでの議論の到達点として三点、緊急事態条項、特に国会機能維持、憲法における自衛隊の明記、そして教育の充実について言及がありました。
私は、前回総選挙より二年半、本審査会での議論に参加してきましたが、中谷筆頭幹事が挙げた三点について意見を申し述べたいと思います。
第一に、国会機能維持、そのための議員任期の延長について。確かに議論は盛んですが、肝腎の立法事実について、認識が共有されているとは思えません。
そこで確認しますが、中谷筆頭幹事は、衆議院総選挙や参議院選挙の実施が全国の広範な地域で困難であり、かつ、それが相当程度長期間に及ぶ場合と述べておられますが、それは一体どういう状況でしょうか。
例えば、二〇一一年に発災した東日本大震災では、直後の首長、地方議員選挙が数か月延期されたものの、それは東北地方の被災三県内に限られた措置でした。一九九五年の阪神・淡路大震災でも、直後の首長、地方議員選挙が延期されましたが、延期は四十日余りで、かつ、兵庫県、神戸市など四つの被災自治体にすぎません。さらに、一九二三年、首都直下型の関東大震災、このときは明治憲法下の緊急勅令により府県議会議員の任期が延長されましたが、これも東京府、神奈川県、埼玉県など一部被災地にとどまっています。また、いずれの大震災でも国会機能は維持されており、震災後の国会議員の選挙も期日どおり実施されています。
こういった過去の事例も踏まえた上で、日本全国で長期間選挙が実施できない状況、国会機能が維持できない状況とは一体いかなる場合なのか、中谷筆頭幹事から具体的に御説明いただきたいと思います。
第二に、憲法における自衛隊の明記ですが、これも立法事実が示されていません。
私が昨年十一月に本審査会で申し述べたように、現在、自衛隊が憲法に明記されていないことによる法的、政策的支障は具体的に見当たらず、また、違憲論争に終止符を打つためであれば、それは仮に自衛隊を明記しても、行使する自衛権の内容などをめぐって、合憲の自衛隊か違憲の自衛隊かといった議論は今後も続き、改正の意味を成しません。
第三に、教育の充実に至っては、無償化も含め、憲法問題ですらありません。
教育を受ける権利を定めた憲法第二十六条が義務教育以外の教育の充実や無償化を禁じたものでないことは、文言上明らかです。むしろ、意欲と能力がありながら経済的な理由で義務教育以上の教育を受けられない子供たちは、第二十六条が規定する、その能力に応じてひとしく教育を受ける権利を侵害されていると解すことさえできます。いたずらに憲法問題として議論する時間と労力があれば、速やかに法律と予算で対応すべきです。
以上のとおり、中谷筆頭幹事が到達点とされている三点は、憲法改正や条文化作業はおろか、改正を必要とする立法事実すらはっきりしないものです。
憲法改正を主張される方々の御高説を伺っていると、何とかもっともらしい改正の理由を見つけようと、さながら改憲の青い鳥を探すかのごとくですが、そのために本審査会を毎週開催する意味がどれほどあるのか甚だ疑問です。
それでもなお開催することに意義があるとすれば、それは、現行憲法の遵守状況、とりわけ、合憲性、違憲性が問われている立法について本審査会で積極的に議論することであると考えます。例えば、先ほど國重委員も取り上げた同性婚、そのほかにも、昨年十月に最高裁が違憲判決を下した手術要件を伴う戸籍上の性別変更、あるいは、国会で議論し判断すべき事柄として最高裁から国会にボールが投げられたまま長年放置されている選択的夫婦別姓などが挙げられます。
こういった現実的な憲法課題について積極的に議論し国会における立法をリードしていくことも本審査会の重要な役割であるということを申し上げ、私の発言といたします。
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