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櫛渕万里 ·れいわ新選組

衆議院国土交通委員会(2024-04-24)での発言

第213回国会 ·第第10号号 ·3,372字
○櫛渕委員 お願いいたします。  さて、オーバーツーリズム対策について施策を行っていくことは、もちろん重要です。しかし、今日大臣と議論したいのは、もう少し基本的な政策なんですね。それは、日本は何のために外国人観光客を積極的に呼び込むのか。国は、観光客ばかりを見て、受入れ体制を考えていないのではないかという点なんです。  政府はなぜインバウンドに力を入れているのかがよく分かるのが、この図です。  パネル一を御覧ください。  定住人口一人当たりの年間消費額百三十万円は、旅行者の消費に換算すると、外国人旅行者八人分、国内旅行者二十三人分、日帰りの七十五人分に当たるとあり、要は、人口が減るから何とかしなければいけない、そうだ、外国人旅行者を八人増やせば人口一人の減少分を補えるはずだという、何とも情けないそろばん勘定的な発想に見えるんですね。  去年の第四次観光立国推進計画でも、観光は成長戦略の柱、地域活性化の切り札と書かれています。日本に外国から旅行者が来ることは、それ自体よいことだと思います。しかし、国の政策の柱とか切り札とかと位置づけるのは、さすがに違うんじゃないでしょうか。  総理は、今年の施政方針演説で、二〇三〇年に訪日客六千万人、消費額十五兆円を目指しますと言いました。二〇二三年は二千五百万人、五・三兆円ですから、一年ごとに五百万人、一・四兆円ずつ増やしていくことになるんですね。  この十五兆円の目標、極めて大きな額です。日本の主力産業は、今自動車ですが、去年の乗用車の輸出額が十五兆円であることを考えると、いかに壮大な計画であるかが分かります。  十五兆円になる観光というのは、その資源と能力について、どんな調査と根拠に基づいているんでしょうか。自動車産業は、国を挙げて、法律を作ったり、投資をしたり、人材育成に力を入れるなど、国も会社も社会も総動員で、長い時間の努力をかけて今に至っています。  訪問客というのは、そこに魅力があるから来るわけであり、一見さんでは終わらせず、今からあと五、六年で、三倍の規模の観光資源の魅力をどう広げ、受入れ体制をどうするのか、そういう問題です。  これほどのハイペースでインバウンドを受け入れるだけの力が本当にあるのか、そもそも、足下のインバウンドの急増でどのような影響が出ているのか。政府は、分析及び対応をしてきたから、この数字を掲げているのかということを確認していきたいと思います。  まず、観光に関わる産業と、そこで働く人々の実態です。  最初に、宿泊業を見ていきます。  資料一を御覧ください。  民間ゼロゼロ融資の返済状況を調べた中小企業庁の資料がこちらです。赤い文字を見ていただきたいんですね。「宿泊業については、据置期間中と条件変更の比率が高くなっている。」と特記事項がつくほど憂慮すべき深刻な状況となっていることが分かります。  これを受けて、宿泊業は、完済と借換の比率が最も低い。つまり、ゼロゼロ融資が残っている率が最も高いということになります。このゼロゼロ融資の返済開始の最後のピークは、ちょうど今月なんですよ。まさに、今この瞬間でも、宿泊業の方は、金融機関と厳しい交渉をしているはずです。  もう一つ重要なのは、資料二を見てください。  観光に関わる宿泊業と飲食業、借入れに依存する割合が、他の業種と比べて圧倒的に高く、依存度は九七・八%です。資本金一千万未満の事業者で、インボイスの影響も心配です。  ゼロゼロ融資の返済を乗り切ったとしても、積み上がった借金で首が回らない。しかも、日銀はこれから利上げをしていく予定ですから、状況はどんどん暗くなるばかりでしょう。  一方、賃金です。パネル二を御覧ください。  宿泊業は、業種として構造的に不景気が続いていることから、そこで働いている人の賃金もずっと低いまま。このデータもそうですが、コロナ以前から、全産業と比べて三割も低い。月十万円以上も賃金が低いんです。さらに、非正規雇用の比率が全産業より一七ポイントも高い。そこには女性と外国人が多いことは御存じのとおりです。  これからインバウンドが増えれば大丈夫、雇用環境も変わるから、そんな期待もあるかもしれませんが、甘いと思いますよ。  観光白書のデータを見ると、確かに、日本ほどひどくはないですが、アメリカでもスペインでも、労働分配率がやはり低い。海外はチップの文化がそれを補填していますけれども、日本はそれはありません。  また、インバウンドへの期待は、感染症など不測の事態で急激に落ち込むことがあるわけで、不安定過ぎて、国の政策の柱や切り札にはなり得ない。それがコロナの教訓ではないでしょうか。  また、冒頭で触れたように、苦しいのは働く人だけではありません。多くの国民です。  二〇二三年度の消費者物価指数によると、総合は前年度比で三・二%ですが、宿泊費は、何と二五・五%も上がっています。外国人観光客はそれでも泊まることができるかもしれませんが、実質賃金が二十三か月も落ち込んでいる日本人には、この値上がりはきつ過ぎます。  現実に、国内旅行を今後どうするのかを聞いた、日本旅行業協会の調べ。次、パネル三です。  旅行は増えないと答えた人の理由のトップが、宿泊料金の上昇、二番目が、生活にゆとりがないとなっているんですね。インバウンドが増えたのはよいことかもしれませんが、それによってホテル代が上がって、国内旅行の伸びを抑えつけている、そんな実態が見えてきます。  インバウンドは、現状、表の数字は上がっていたとしても、現場を支える宿泊業にとって、そして、そこで働く人々にとって、好循環をもたらしていないばかりか、料金が上がって日本に住む人々の国内旅行が伸びない、こう分析できると思います。  飲食業はどうなのか、見ていきます。  日本の食文化の象徴とも言えるおすし屋さんの状況はどうか。豊洲に行くと、インバウンド丼といって、一万八千円の海鮮丼があるそうなんです。でも、おすし屋さん全体で景気がいいかというと、全く逆。東京商工リサーチが二月に発表したデータだと、すし屋の倒産が増えて、コロナ禍以来の数字になっているとのこと。インバウンドの恩恵が受けられるところはいいですが、ネタや米、光熱費が上がって、普通のすし屋には大変な負担になっていることがうかがえます。  もう一つの国民食と言えるラーメン屋はどうなのか。一杯五千八百円のオマールエビラーメン、これはテレビで話題になって、私も見ました。さぞやもうかっているかと思えば、そうでもないんですね。そして、去年二〇二三年のラーメン屋の倒産は、何と過去十五年間で最多だそうです。すし屋と同じで、食材の高騰に音を上げているのが普通のラーメン屋さんの状況です。  飲食店全体で見ても、去年の倒産は七割増。飲食店は元々入れ替わりが激しい、そういう声もあるかもしれませんが、去年のデータで驚いたのは、開業三十年以上という老舗の飲食屋さん、その倒産が三分の一に達しているということなんです。  れいわ新選組は、積極財政で失われた三十年を取り戻すと訴えていますが、この間三十年で頑張り続けた飲食店、こうしたところが次々に倒産し始めている、これが今の実態です。  去年十月からはこれにインボイスが加わっていることも大変な影響です。同じく東京商工リサーチのインボイス制度に関するアンケートでは、免税事業者との取引を中止、縮小するとの回答は飲食店が二六%と業種別で最も高かったわけで、政府の間違った政策が追い打ちをかけていることは明白です。インボイスは廃止してください。  働いている人の賃金は、先ほどの宿泊業と同じく、飲食も全産業の中で一番低い。非正規が多く、やはり女性が多いのが特徴です。  以上、政府は、インバウンドの増加を目指し、自治体の仕組みづくりを支援するのはいいのですが、それを支える宿泊業や飲食業、そして、そこで働く人々はとても受入れ体制ができているとは言えないように思います。  大臣、お聞きします。この現実、どう御覧になりますか。

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