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山口浩幸 ·空知農民連合書記長

衆議院農林水産委員会(2024-04-17)での発言

第213回国会 ·第第10号号 ·3,734字
○山口浩幸君 本日は、このような機会をいただき、ありがとうございます。  空知農民連合で書記長を務めさせていただいています山口です。本職は農業者ですが、また、地域の土地改良区の監事もさせていただいています。  本日は、基本法の改正に関する地方公聴会ということで、送られてきた資料に目を通す時間がなかったもので、聞き及んでいる範囲で、基本法のことや現在我々が抱えている課題を中心に意見を述べさせていただきます。  さて、私自身は、札幌近郊の南幌町で、小規模ではありますが、後継者の息子と、米、麦、キャベツを生産しています。  また、私の所属している空知農民連合は、空知管内の農業生産者の社会的、経済的地位を高めることを目的としている運動体であり、今月四日、国会で行われました農林水産委員会に参考人として出席していました中原氏の北海道農民連盟とともに、我々生産者が抱えている問題の解決、政策の不都合な点の改善、理想とする農業環境を目指すべく、盟友農業者の代表として活動しています。  さて、昨今の農業の現状は、この数年、様々な要因で農業経営が厳しい状況にあります。新型コロナを原因とした農産物価格の低迷、昨年は、猛暑の影響により、農産物の収量、品質が低下しました。  私の場合、水稲の収量は平年並みでしたが、農協以外に販売した米が二等米となったり、特にキャベツにおいては、雨不足の時期にはアザミウマという害虫の被害があり、計画の六割程度の収穫しかありませんでした。また、世界情勢の不安定化により肥料、燃油の高騰、円安等により生産資材が高騰し、経営を圧迫し、厳しい状況にあります。  また、空知の農地の多くが水田であり、多くの農地が土地改良区と関わりがあるため、一昨年の水田活用の直接支払交付金の見直しが、特に転作率の高い私が住んでいる南空知の地域にとっては、いまだに混乱と戸惑いがあります。このため、コスト高による経営の悪化や水田活用の見直しをきっかけにして、離農する生産者が増えています。  猫の目行政に振り回されている農業経営としては、先の見通せない状況の中で、交付金は経営を支えるものであります。  また、水田の畑地化をしても、必ずしも土地改良区の地区除外とはならないので、決済金を払っても土地改良区からの脱退とはならず、賦課金は払い続けなければなりません。  今後、水田活用の交付対象外となった農地を持つ生産者にとって、経営の足かせとならない対策をお願いしたいと思います。  さらに、今後は、トラックドライバーの時間外労働の上限規制問題、さらには、私の地元で生産されている南幌のキャベツなどの野菜はJRコンテナを利用して道外輸送しているため、JRを利用して輸送している北海道産の農産物が、新幹線の札幌延伸に伴い、もし函館―長万部間の在来線が廃止となれば、今後の農産物の生産、輸送に対しても大きな影響が考えられます。  国際貿易と自給率については、日本の国土に根を下ろしている我々農業者が、輸出企業のために、貿易交渉のたびに自給率の高い農産物の輸入や影響の大きい農産物の関税の引上げ交渉を材料とするのは、非常に納得がいかないところです。  ましてや、こうして農産物をどんどん輸入して、さらに自給率の高い米までが国内需要の一割以上を輸入しているため、食料自給率が上がらないと言っていることについては、国の国内農業に対する姿勢としては甚だ疑わしいです。いまだTPPのアメリカ枠を取り下げず、農業輸出国との新たな交渉もうわさされている中、更に輸入が増えるのが心配です。  次に、農業経営における国からのセーフティーネット対策として、収入保険制度や、全ての農産物が対象ではないものの、農業共済制度がありますが、いずれも収入や売上げを基準に補填する制度であって、現在のように、肥料、燃油などの生産資材の高騰や労賃、高額な農業機械の購入に対する資金など、コストが収入より高くても、そのコスト増を賄える仕組みではないため、経営は厳しい状況にあり、このため、組合員勘定制度という、農協に経費を一時立て替えてもらって、農産物の収穫後に返済する仕組みである組勘が年末に黒字化することができるのか、不安を抱えて十二月を迎える生産者も多くいます。  政策の中で、経費の補填をするものとして畑作物の直接支払交付金がありますが、経費を収量で割り返すため、生産者の努力で収量を上げても、一俵当たりの金額がコストに見合うような金額とはならず、豊作でも収益が上がる仕組みとはなっていません。  また、経費に算入される労賃は作業員としての単価であり、例えば、機械を操作する場合は、オペレーターとしての労賃を導入すべきと考えます。  このような状況で営農している親としては、子供に強く後を継ぐようには言えず、ましてや、娘には農家だけには嫁がせたくないなど、農業者の減少に歯止めがかからない状況にあります。新規就農者においても、このような環境下では長続きせず、離農する者も多いと聞いています。  やはり、真面目に営農に取り組んでいる農業者が将来にわたって安定的に営農ができ、後継者に自信を持って就農を勧めることができる政策を求めるものであります。  次に、価格形成については、我々としても価格転嫁できるならうれしい限りではありますが、我々農業者が必要とする農産物の価格と、消費者が農業の実情を理解した上で購入する価格には、かなり開きがあるものと感じますし、実際、農産物の価格が上がると、買い控えや、以前レタスが高騰したときは安いキャベツを代替品として購入するなど、最終的には、価格の高い国産の農産物ではなく、価格の安い輸入農産物を求めるようになる可能性が考えられます。それでも価格を上げれば、食料を購入することができない国民が増えることと思います。  国に価格補填対策を求めると、過去の米の所得補償政策のときのように国から補填されるなら、その分、価格を低く抑えられることがあったため、国は補填対策には後ろ向きではありますが、作物別の所得政策や生産資材の補填対策ではなく、経営全体を通しての所得政策や、中山間地域等直接支払制度や多面的機能支払交付金のように、農地に対して支払われるものを参考に、今すぐにでも何らかの所得補填対策を講じないと、農業者の減少に歯止めがかからず、耕作放棄地も増えるため農業生産物が減り、自給率が更に下がることは明白であります。  そのためにも、防衛費の増額よりも、食料安全保障に沿った農業予算確保を第一に求めるものであります。強力な武器をそろえても、国民が飢えているようでは本末転倒であり、有事の際には食料の確保が重要であり、輸入もままならなくなるはずです。本来、防衛費と食料の確保は表裏一体であると私は思いますので、食料の備蓄は重要であると思います。  ちなみに、タイ米を緊急輸入した平成五年の冷害のときは、作況が七四であり、今年の需給見通し六百七十一万トンで計算すると、百七十五万トン不足することとなります。  また、不作以外の要因や食料の輸入できない事態となると、当然、今の十年に一度の不作にも供給できる量としての備蓄量百万トンが適正であると言える状況にはないと考えます。  また、農業者の減少とともに耕作放棄地が増えていることは、土地改良区や農協の運営に支障を来すばかりでなく、冬の北海道にとっては、一般道路はもとより高速道路、中には空港の除雪を担っている農業者もいます。農業者の減少によって冬の北海道経済を支える除雪作業が滞ることとなると、大変な状況になることは容易に想像できるところであります。  次に、スマート農業の推進については、人手不足の解消や生産性の向上などの利便性や効果については理解しますが、円安、物価高、半導体不足、ディーゼルエンジンの新たな排ガス仕様など農業機械は非常に高額化しており、規模の小さな多くの生産者は購入に慎重な状況にあります。そのための予算確保をお願いいたします。  また、関連法案の食料供給困難事態対策法案については、生産調整を国が手放し、生産者が需要に応じた生産をするように進めてきたのに、不測時の罰則規定は到底納得できるものではありません。これを進めるのであれば、国による生産の関与や、目標とする自給率を達成できなかったときには国の責任を明確にするなどの責任を果たしていただきたい。  最後に、このような公聴会での意見を基本法の施行や基本計画の策定に反映していただき、家族農業の重要性を分かっていただいて、安心して将来にわたって営農できる国内農業の推進と、食料が行き渡り、飢える国民を出さないことを基本中の基本として、我々が希望を持てる改正をしていただきたい。  耕作放棄地が出ていることで、生産現場は既に手遅れなところまで来ておりますが、取り返しがつかなくなる前に手を打っていただくことをお願いして、私の意見陳述を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)

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