SEISAKU DB トップ
SEISAKU DB
須田直樹 ·宮城県社会保険労務士政治連盟会長

衆議院法務委員会(2024-05-14)での発言

第213回国会 ·第第18号号 ·4,860字
○須田直樹君 宮城県社会保険労務士政治連盟会長の須田直樹と申します。今日はよろしくお願いいたします。  本日は、陳述人として意見を述べさせていただく機会を頂戴し、誠にありがとうございます。全国社会保険労務士会連合会で取り組んでいるビジネスと人権の観点なども用いて、法律案について陳述させていただきます。  まず、冒頭に恐れ入りますが、社会保険労務士会として取り組んでおりますビジネスと人権について説明させていただきます。  日本でも急速に、ビジネスと人権、BHRへの意識が高まっているところ、全国社会保険労務士会連合会としても、日本の未来を展望し、全ての人にディーセントワーク、働きがいのある人間らしい仕事を提供し、持続可能な社会の創造に向けた、より多くの企業、労働者、消費者、その他全ての利害関係者が力を合わせて発展していくための支援をしていくことが使命だと考えています。  そこで、全国社会保険労務士会連合会では、ILO、国際労働機関駐日事務所からの技術協力をいただきながら、ビジネスと人権に関する研修を社会保険労務士のために構築、提供し、ビジネスと人権、BHR推進社会保険労務士を養成しているところであり、更に人権尊重に関する取組を加速しているという背景から、この法律案について意見を述べさせていただきます。  この後は、現状の技能実習制度の問題点と今回の法律案への意見とに分けて述べさせていただきます。  まず、ビジネスと人権の観点から見た技能実習制度の問題点を一から五まで、五つ述べさせていただきます。  一として、人材育成を通じた国際協力という目的が形骸化しているという問題を挙げさせていただきます。  技能実習制度においては、人材育成を通じた国際協力を目的としてうたっておりますが、国内の人材不足が加速するにつれて、ていのいい労働力確保の手段へとなってしまっている現状があります。つまり、目的が形骸化しているため、実習生でありつつ労働者という地位を併せ持っているという立場が曖昧になってしまい、それが受入れ機関の知識や自覚の欠如に拍車をかけてしまい、不法就労を助長してきた側面があったかと思われますので、目的の適正化は急務であります。  二として、転籍が困難であるという問題を挙げさせていただきます。  現状は、転籍の理由が余りに制限されており、かつ本人都合による転籍が認められていないため、転籍が極めて困難であります。  さて、自らの仕事、せめて職場を自由に選ぶという極めて基本的な人権が侵害されているということは、ビジネスと人権の観点からもゆゆしき事態でありますので、この範囲を拡大し、手続を緩和するということは非常に重要なことかと思います。また、外国人にとって魅力的な労働市場をつくりたいというスローガンが叫ばれるようになって久しいと思いますが、職場を選択する自由がない市場に魅力を感じてもらうのは極めて難しいのかと思っております。  三として、送り出し機関と監理団体、受入れ機関の不透明な関係という問題を挙げさせていただきます。  送り出し機関が不当に高額な手数料を徴収したり、監理団体、受入れ機関へキックバックを行ったりすることが絶たないという問題があります。悪質な送り出し機関により法外な紹介手数料を請求され、多額の債務の返済のために実質的に身柄が拘束されているような状況になっており、人権問題であるとともに、外国人による犯罪を助長している側面もあるものと存じます。  四として、監理団体の能力担保に関する問題を挙げさせていただきます。  現状の制度では、監理団体の資格要件に若干曖昧さがあり、受入れ機関に適正な指導を行えるだけの能力が本当に担保されているのか疑問が残ります。特に、正確な労働法知識、キャリアパスの考え方、人権意識などの専門家が不在のまま監理することはそもそも不可能であり、それらに抜け道が生じたことにより、専門知識、倫理の欠如が生じ、外国人が不法、不当な取扱いを受けているケースもあるものと思われます。  五として、途上国の経済成長と円安による失踪者等の増加という問題を挙げさせていただきます。  三の送り出し機関と監理団体、受入れ機関の不透明な関係とも関係するのですが、多額の借金を抱えたり、母国の家族を支援する必要があったり、経済的な問題を抱えた技能実習生が極めて多い現状に途上国の経済成長と円安が重なり、日本で給与を得るメリットが急激に減退しています。  さらに、日本における働き方改革の進展などにより残業も制約されることとなり、収入の増加も見込めず、多額の借金や母国への経済支援といった理由も相まって、技能実習生が勝手に副業を行ったり、危険なアルバイトに手を出したり、最悪の場合、犯罪に手を染めてしまったりする事案が増えていると思われ、それらに対する抜本的な対策が必要であります。  ここまでは五つの問題点を列挙させていただきましたが、この後は、改正後の法律案への五つの問題点に応じた五つの意見を述べさせていただきます。  一として、今回の法律案で目的が明確化されたということについて意見を述べさせていただきます。  法律案では、特定技能一号水準の技能者の人材育成、人材確保を目的として明記し、労働者という位置づけが明確化されたことにより、労働法遵守に寄与するものと考えております。さらに、DアンドI、ダイバーシティー・アンド・インクルージョンやビジネスと人権などの考え方も含め、受入れ企業への啓蒙活動は継続的に必要であるものと存じます。この後も何度か申しますが、そういった、受入れ機関の経営者のセンスに訴求する地道な取組がこの制度の成否を決定づけるものと思っております。  私は、社会保険労務士として日々様々な会社の雇用にまつわる相談を受けているわけですが、現在の日本の、特に零細中小企業の経営者は、悪い意味で短期的合理性や硬直的ルール、現場の空気みたいなものに執拗にこだわる傾向があります。これは外国人に限らず日本の若者にとっても理解し難いものであり、そのことが外国人にとって日本が魅力的な市場でなくなっていることの大きな要素だと思っております。その辺の価値観の転換にどのようにリーチできるかが、最終的にはこの制度の成否を決定づけると思っております。  二として、転籍の範囲拡大、手続緩和という点について意見を述べさせていただきます。  やむを得ない事情がある場合の転籍の範囲が拡大し、就労期間一年超などの条件付で本人意向の転籍が認められるというのは、ビジネスと人権の観点からも大きな進展かと思われます。もちろん、自由度が上がれば上がるほど魅力的な市場化に寄与するわけですが、一方で、急激な緩和により、育成就労外国人の追跡が困難になるというのは、犯罪抑止、税務署による所得の捕捉などの観点から考えましても、余りにリスクが大き過ぎるものと思われますので、激変緩和措置として経過的に条件を付して、育成就労外国人の転籍動向や、それによる各方面への影響を注視しながら、最終的には転籍制限の撤廃を目指し、順次、更なる拡大、緩和を図っていく必要があるものと存じております。  また、転籍については、当分、民間職業紹介事業者の参入は認めない方針ではありますが、転籍量の拡大に伴い、近い将来、ハローワーク等のみでは目詰まりを起こすことは想像に難くありませんので、優良な職業紹介事業者の関与の必要性が生じるものと思われますが、その有料職業紹介事業者の審査に当たっては、現行、労働局により行われている五年、許可直後の初回のみ三年に一度の監査のみでは、不良職業紹介事業者の指導監督は困難かと思われますので、手前みそではございますが、社会保険や労働法といった労務全般の専門士業であり、職業紹介事業許可や労働者派遣事業許可などの申請代行も行っている社会保険労務士の知見を活用するといった方法も検討の余地があるのではないかと思われます。さらに、季節ごとに仕事量のばらつきが多い農業と漁業に限り労働者派遣が認められるという点についても同様に、社会保険労務士の活用は効果的かと思われます。  社会保険労務士の活用については、具体的には、現在、企業主導型保育事業において専門的労務監査が公益財団法人児童育成協会から全国社会保険労務士会連合会に再委託されることにより効果的に行われている事例などが参考になるものと思われます。  三として、送り出し機関と受入れ機関の間の金銭の授受に関する基準についてですが、外国人が送り出し機関に支払った費用額や送り出し機関と受入れ機関の間の金銭の授受に基準やペナルティーを設け、育成就労外国人の人権を擁護する仕組みができることは、現在、経済的に苦心する外国人を救い、不当な利益を享受している機関を排除してクリーンな市場にする観点からも非常に重要であります。  四として、監理支援機関の外部監査人要件の厳格化について意見を述べさせていただきます。  現状任意である専門士業による外部監査人の設置を許可要件とし、また、外部監査人の権限を強化することで、コンプライアンス意識は格段に高まるものと思われます。更に言えば、外部監査人を引き受ける専門士業の者は、当然、自分の専門領域の知識はありますが、人権や倫理、キャリアパス、SDGsなどについて必ずしも総合的な専門知識があるわけではないので、外部監査人に就任するに当たり、かつ、外部監査人に就任後一定期間ごとに、広く深く様々な能力を担保するため、現行の法律を中心とした養成研修ではフォローアップできていないDアンドI、SDGsといった広範な人権教育も含めた講習を義務づけることなども有効なのではないかと思われます。  再三同様のことを申してしまい恐れ入りますが、入管法や労働法などの法律を受入れ機関の経営者に守らせることはもちろん、日本の労働市場を魅力的なものにする鍵は、ダイバーシティー、インクルージョンといった世界基準のマネジメント感覚、人権感覚を経営者に身につけてもらうこと以外ないのではないかと思っております。外部監査人にその趣旨を十分に理解してもらい、その外部監査人を通して効率よくそれらの啓蒙を広く深く浸透させる方法なども検討する余地があるのではないかと存じます。  五として、途上国の経済成長や円安による育成就労外国人の経済的な事情への現実的な対応について意見を述べさせていただきます。  途上国の経済成長や円安は市場原理に基づくものなのでコントロールできるものではありませんが、その動向によっては育成就労外国人の経済的なダメージは相当なものになりますので、それらのリスクをあらかじめ入国前の外国人に事前に啓蒙することは当然ですが、事後的に経済的な窮乏に見舞われるような状況に陥った際には、激変緩和措置として臨時的な経済支援なども視野に入れておく必要があるものと思われます。  また、日本と送り出し国との経済格差が縮まることにより、日本に送り出される育成就労外国人の能力のレベルが急激に下がってきているという現象も見られ、日本語教育、職業能力教育において、各外国人のレベルに合わせた、きめ細やかな、あるいはDXなどを巧みに用いた教育を行っている教育機関の成功事例などを研究し、情報共有して、外国人教育システムを迅速にアップデートしていく仕組みづくりを構築していくことも急務かと思われます。  最後に、日々、経営者、労働者から相談を受け、現在の日本の労働問題に直面している社会保険労務士として、この法改正が豊かな労働環境に寄与されますことを御祈念して、私の意見陳述を終了させていただきます。  以上、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

須田直樹 の他の発言

2024-05-14 · 衆議院法務委員会
○須田直樹君 ありがとうございます。  私も勉強不足なところがあって申し訳ないんですけれども、脱退一時金、先ほど千葉様のお話を聞いていて、六十か月で、確かに、今度の制度改正で、長…
2024-05-14 · 衆議院法務委員会
○須田直樹君 うちのクライアントさんなんかでも最近よくお聞きするのが、ベトナムの方は日本ではやはり稼げないという感覚なんですかね、円安もあって、あとベトナムの経済成長もあって、そう…
2024-05-14 · 衆議院法務委員会
○須田直樹君 ありがとうございます。  外国人の方の育成就労から特定技能に上がっていくキャリアパスの件なんですけれども、前からちょっと疑問なんですけれども、介護とか保育とか建設と…
2024-05-14 · 衆議院法務委員会
○須田直樹君 ありがとうございます。  外部監査人の方ですかね。逆に言うと、今まで任意で外部監査の方がいて、労働法の知識等もそれほどないまま、よくやられていたなという感じがします…
2024-05-14 · 衆議院法務委員会
○須田直樹君 ありがとうございます。  ちょっと勉強不足なところがあって、深く知見がなくて申し訳ないんですけれども。  ちょっと先ほどの話と重複しちゃうんですけれども、キャリア…
2024-05-14 · 衆議院法務委員会
○須田直樹君 ありがとうございます。  私も最初お聞きしたときは、自分だったら一か月でもちょっと無理だなと思いますので、そんなに引き裂かれるのはつらいことだと思うんですけれども、…
2024-05-14 · 衆議院法務委員会
○須田直樹君 ありがとうございます。  済みません、私も、また知見がそんなにないところで申し訳ないんですけれども。  私は、入管のイメージというのは、非常に自由裁量というか、裁…
2024-05-14 · 衆議院法務委員会
○須田直樹君 移民というと、またちょっと、本当に、ますます知見がなくてあれなんですけれども、諸外国の移民政策なんかを聞いていると、先ほど来、私、人権問題と言っているんですけれども、…

API / MCP 利用

国立国会図書館 国会会議録 API を構造化

REST: /v1/diet/speeches/search?speaker=須田直樹
MCP: search_diet_speeches(speaker="須田直樹")