○国務大臣(斉藤鉄夫君) 神津たけし議員にお答えいたします。
物流に携わる方々の所得の引上げと物流に関する取組の計画についてお尋ねがありました。
まず、トラックドライバーの賃上げの原資となる適正運賃の収受に向け、標準的運賃の八%引上げを行うとともに、荷役作業の料金等を適正に収受できるようにすることで、初年度に一〇%の賃上げ効果を見込んでおります。
また、先月の関係閣僚会議で、二〇三〇年度に向けた政府の中長期計画を策定し、デジタル技術の活用により、二〇三〇年度までに、一人当たりの荷待ち、荷役時間を年間百二十五時間以上削減することなどのロードマップを示しているところでございます。
国土交通省としては、物流の持続的成長に向け、これらの取組を着実に進めてまいります。
二〇二四年問題に対する政府の取組についてお尋ねがありました。
平成三十年に時間外労働の上限規制を含む働き方改革関連法が成立したことを受け、この年、議員立法により貨物自動車運送事業法が改正され、標準的運賃と荷主に対する要請等の制度が設けられました。国土交通省において、これらの制度を速やかに運用し、浸透を図ってきたところでございます。
また、国土交通省として、これまでも、自動化、機械化等の物流DXや、モーダルシフトなどによる輸送の効率化の推進、トラックドライバーの働き方改革の呼びかけなど、物流の課題に対し、必要な対策を講じてきたところでございます。
その上で、昨年六月の政策パッケージと十月の緊急パッケージに基づき、必要な施策を講じているところでございます。引き続き、総合的な取組をしっかりと進めてまいります。
トラックドライバーの賃上げについてお尋ねがありました。
今般の標準的運賃の見直しにおいては、労務費や燃料費の上昇分を反映し、運賃水準を平均八%引き上げるとともに、荷待ち、荷役の対価、下請手数料など新たな運賃項目を設定することで、初年度で一〇%前後の賃上げにつながると見込んでおり、相応の年収増が期待されると考えております。
加えて、トラックGメンによる荷主等への是正指導の強化、業界ごとの自主行動計画の作成、実施、さらに、この法案による物流の効率化や多重下請構造の是正に向けた規制的措置の導入を組み合わせまして、持続的で構造的な賃上げ環境をつくってまいります。
標準的運賃の改正についてお尋ねがありました。
国土交通省では、令和二年四月に現行の標準的運賃を告示し、荷主を含め、周知、浸透を図ってまいりました。
その上で、令和四年度時点の物価動向について改めて調査を行い、これに基づいて、今月中に新たな標準的運賃を告示する予定としております。この新たな標準的運賃が、議員御指摘の八%の引上げを行うものでございます。
これ以降の更なる標準的運賃の改正については、物価動向などを注視しながら、適切に対応してまいります。
トラック事業者の最低運賃と下請手数料の取扱いについてお尋ねがありました。
まず、トラック事業の取引は多種多様であるため、最低運賃を保障する制度の導入については様々な意見があり、慎重な検討が必要と考えております。
その上で、国土交通省としては、トラック事業者が適正運賃を収受できるよう、年度内に標準的運賃を引き上げるほか、下請手数料等を新たな運賃項目として設定しています。これは、実運送事業者が収受すべき標準的運賃に、元請事業者等が収受すべき手数料を上乗せした金額を荷主に求めるべきとの考えに基づくものです。
これに加え、この法案において、実運送体制管理簿の作成を義務づけることによる運送体制の可視化や契約条件の明確化、トラックGメンによる悪質な荷主、元請事業者等への是正指導の強化によりまして、実運送事業者の適正運賃収受とトラックドライバーの賃上げに向けて、しっかりと取り組んでまいります。
荷待ち、荷役等の有料化とトラックGメンの活動内容についてお尋ねがありました。
トラックGメンは、悪質な荷主等を監視し、荷主等による無理な配送依頼や運賃・料金の不当な据置きなどの不当な行為が認められた場合に、要請や勧告、公表といった是正措置を行うものです。
さらに、この法案では、元請トラック事業者に実運送体制管理簿の作成を、荷主、トラック事業者双方に運送契約の書面化をそれぞれ義務づけることとしており、トラックGメンの活動の中で、これらの記載内容の確認が可能になります。
これにより、トラックGメンにおいて、荷主等からの運送依頼、運賃・料金、実際の運送、これらの状況などを把握しやすくなり、悪質な荷主等への監視、指導を一層強化することができるものと考えております。
高速道路の料金割引についてお尋ねがありました。
高速道路においては、物流事業者など、利用する機会の多い車を対象に、時間帯や平日、休日にかかわらず、利用額に応じて最大四〇%割引する大口・多頻度割引を導入しています。
また、この割引については、令和五年度補正予算を活用し、令和七年三月末まで、最大割引率を五〇%に引き上げることとしています。
更なる割引の導入については、他の交通機関への悪影響が生ずる可能性や、高速道路の料金収入が減少することで安定的な債務返済が難しくなることなどの懸念があり、慎重に検討する必要があると考えています。
高速道路のミッシングリンクの解消についてお尋ねがありました。
高速道路ネットワークの整備により、農産物、水産物輸送の速達性向上や観光振興が図られるほか、災害時の代替性の確保により防災機能が強化されるなど、様々な効果が期待されます。
しかしながら、全国には、いまだネットワークがつながっていない、いわゆるミッシングリンクが残っており、物流効率化の観点からも、この早期解消が重要です。
引き続き、議員御指摘の中部横断自動車道を含む高速道路のミッシングリンクの早期解消に向けて、しっかり取り組んでまいります。
トラックの積載率についてお尋ねがありました。
二〇一九年度におけるトラックの積載率は三八%でしたが、この法案の施行後三年間で一六%向上させ、四四%とすることを目指します。
これを達成するため、これまでに、業界、分野別の自主行動計画の作成を進めるとともに、令和五年度補正予算を活用し、貨物とトラックをマッチングする求貨求車システムの導入などによる帰り荷の確保の支援、物流データの標準化を通じた共同輸配送の促進などを進めてまいりました。
また、この法案では、構造的な対策として、荷主等に対し積載率向上に関する努力義務を課すとともに、一定規模以上の荷主等に対しては、納品までのリードタイムの延長など、具体的な取組に関する計画作成を義務づけることとしています。
これらの取組により、積載率向上を推進してまいります。
中小企業における労働時間遵守、適正運賃収受についてお尋ねがありました。
国土交通省としては、中小事業者を含むトラック事業者が賃上げ原資となる適正運賃を収受できるようにするとともに、ドライバーにおいて適正な労働時間と適正な賃金が両立する、そういう環境を整備することが重要であると考えています。
そのため、標準的運賃の引上げや新たな運賃項目の設定、トラックGメンによる荷主等への監視体制強化や、物流効率化のための設備投資の支援、さらに、この法案による規制的措置の導入などにより、ドライバーの健康と安全を確保しつつ、賃上げ原資となる適正運賃収受を図ってまいります。(拍手)
〔国務大臣松村祥史君登壇〕
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