○池下卓君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の池下卓です。
ただいま議題になりました両法律案に対して、会派を代表して質問いたします。(拍手)
現在の技能実習制度は、我が国の技能、技術、知識等を開発途上地域に移転することを目的に、平成五年に創設されました。しかし、同制度が安価な外国人労働力を確保するために用いられてきたことは、皆様御承知のとおりです。
今年は、技能実習制度ができ三十年という大きな節目の年です。二〇五六年には日本の人口が一億人を下回ると予想される中、日本経済を維持していくためには外国人材が期待されています。
今般創設される育成就労制度を通じ、永住につながる特定技能制度による外国人の受入れ数が増加されることが予想されることは、政府自身も認めています。労働力不足を補うために受け入れた外国人材が、キャリアアップを果たし、永住権を取得し、家庭を築き、子を産み育て、その子供は我が国の学校教育を受けて進学、就職していきます。外国人労働者のキャリアアップを促し、行く行くは永住権の取得にもつながる育成就労制度を創設するのであれば、労働者としての側面だけではなく、生活者としての側面についてもしっかり見ていく必要があります。
しかしながら、永住者や外国人労働者の増加といった問題について、これまで真正面から議論は行われてきておりません。タブーを恐れず議論し、我が国の外国人の受入れの方向性を定めていくべきだと考えますが、政府の見解をお伺いいたします。
次に、育成就労制度での受入れ分野について、受入れ事業者の観点からお伺いをいたします。
現在技能実習生を受け入れている事業者や今後受入れを検討する事業者からは、育成就労制度で外国人労働者の受入れが可能なのか、不安視をする声が上がっています。育成就労制度の受入れ対象分野は特定産業分野に限るとされていますが、現在の技能実習対象職種、作業の中には、特定産業分野に含まれていないものもあります。特定産業分野に含まれない職種の技能実習生を受け入れている事業者は、今後の受入れ継続に強く不安を抱いており、受入れに二の足を踏むケースも出ていると聞いております。
対応する特定産業分野が現在設定されていない技能実習対象職種、作業については、今後、特定産業分野への追加の要否を検討するとのことでありますが、その要否が決まるまでの間、現行制度を利用している事業者や外国人労働者に不安を与えたり不当な不利益を生じさせないよう、適切な経過措置を講じる必要があると考えますが、政府のお考えをお伺いいたします。
次に、日本語学習にかかるコストについて、外国人材の視点からお伺いをいたします。
外国人材の視点に立ったとき、就労先として、日本はかつてのように絶対的優位ではなくなっています。ネックになっているのは、日本語習得の難しさです。
今、語学要件が緩やかで、日本ほど語学習得の労力がかからない国に外国人材が流れていく傾向にあります。このような傾向の中、日本語能力要件を今以上に引き上げることは、外国人材を我が国から遠ざけてしまうことになるのではないかと危惧をしています。外国人材に求められる日本語能力は会話力であり、業務や日常生活の中で聞き取りと発信を支障なく行うことができれば十分ではないかと考えます。日本語能力試験に合格するための勉強が会話力の向上につながっていないケースもあり、日本語能力要件の引上げが外国人材の流入につながるのか疑問です。
日本語能力については、試験合格といった形式的な基準ではなく、会話能力を含む実質的なコミュニケーション能力の有無といった基準を設けて適性を判断すべきと考えますが、政府の考えをお伺いいたします。
あわせて、技能実習制度が設けられた平成五年以降、これまで約百八十万人の実習生が受け入れられてきたと言われています。この方々は、日本での生活を経験し、一定程度の日本語能力や日本文化、社会に対する理解を持つ貴重な人材であると言えます。是非、この人材を即戦力として、希望される方については育成就労制度での再来日を認めてはどうかと思いますが、政府の見解をお伺いいたします。
次に、地域の地場産業の人手不足や後継者問題の解決のための外国人材の確保についてお伺いいたします。
地域の地場産業における人手不足や後継者問題は、日本の地域経済にとって非常に重要な課題です。伝統的な産業や技術を受け継ぐ後継者の不足に直面している地域において、外国人材の活用は、地場産業の持続、継続性を高める手段となります。育成就労から特定技能一号、特定技能二号へキャリアアップを図っていくこの制度は、地場産業における後継者をじっくりと長期的に育成していくこととの親和性が高いと言えます。
しかしながら、私が本改正案で懸念していることの一つは、本人の意向による転籍が容易になることで、賃金の地域間格差等を背景に、人材が都市部へ集中してしまうおそれがあるということです。地方で外国人労働者を受け入れている企業は、この点を非常に心配しています。
こうした懸念を払拭するため、今後、地域社会全体で、外国人材を受け入れるための補助金の支給や、住まいの確保等の生活面での細やかなサポート体制の構築など、地方で働くことの魅力を高めるための取組が必要でないかと考えますが、政府のお考えをお伺いいたします。
次に、在留カードの偽変造対策についてお伺いいたします。
今般、政府は、在留カードとマイナンバーカードを一体化した特定在留カード、これを希望する外国人に交付できることといたしました。外国人が行う各種行政手続が効率化される効果が期待されますが、プライバシー保護や情報漏えい防止などといった課題に十分配慮を払いつつ、制度の構築や運用に取り組む必要があります。
また、在留カードには偽変造リスクがつきものです。不法就労を行うために外国人が在留カードを偽造するケースが増加し、偽造技術も高度化しています。技能実習生の失踪が問題となっていますが、監理団体の資格を持たない違法業者がばっこし、在留カードの偽造グループと提携して技能実習生の失踪者をあっせんしているという情報も耳に届いています。今回新たにできる特定在留カードについては、どのような偽変造防止策が取られるのか、政府にお伺いをいたします。
次に、不法就労助長罪の厳罰化による効果と課題についてお伺いをいたします。
今回の改正では、育成就労外国人に係る転籍ブローカーの排除を担保する目的で、不法就労助長罪の法定刑を引き上げることとされていますが、この法定刑の射程は、そうした転籍ブローカーだけではなく、外国人労働者を雇用する雇用主にも広く及ぶこととなります。そうなりますと、不法就労助長罪の厳罰化により外国人労働者を雇用するリスクが高まることで、雇用主が外国人労働者の雇用をためらい、外国人労働者の雇用機会が制限される可能性があります。
また、逆に、中小零細企業の経営者の中には、このような法律が存在すること自体を知らないケースもあるため、誤って不法就労外国人を雇ってしまい、厳罰に処されるケースも生じかねません。政府におかれましては、今回の厳罰化を機に、改めて、不法就労問題について広報を徹底すべきであると考えます。
いずれにせよ、厳罰化により雇用主が外国人労働者の雇用に及び腰とならないよう、外国人労働者の合法的な就労を支援するための体制整備が必要と考えますが、政府のお考えをお伺いいたします。
次に、特定技能二号の対象拡大により、今後、永住者の増加が予想されることについての課題や展望についてお伺いをいたします。
今般、政府の改正案によって育成就労制度から特定技能一号、二号への連続的な移行が確保されたことによって、外国人材の永住許可申請が増加することが予想されます。これにより、一号特定技能者が大幅に増えるとともに、家族の入国が認められる二号特定技能者も増えることになりますが、文化や習慣が異なる外国人労働者とその家族が増えることで、地域社会や住民生活も変化を余儀なくされる事態も想定しなければなりません。今も、実際に、外国人コミュニティーとトラブルが生じている地域も出てきています。
政府は、地域に外国人コミュニティーが生じることに伴う問題について、どのように認識されていますでしょうか。また、トラブル回避のために、どのような対策が必要だとお考えですか。併せてお答えください。
政府は、今回の法律案において、永住許可制度の適正化として、永住許可の取消し制度を設けることとしています。本件については、永住者の増加が予想されるのであるから、その適正性についての検証を不断に実施することは必要であると評価する意見がある一方で、反対意見も多く寄せられているところです。
日本人と外国人の共生には、相互理解とコミュニケーションが大切です。地域住民や職場の仲間との交流を通じて、外国人材に日本の法律、マナーや地域のルール、常識を理解してもらい、外国人材が地域に溶け込み、日本と外国人材の母国のお互いの文化を理解した上で、共存し、永住することが重要であります。
万が一、ふさわしくない行為があった場合に一旦永住許可を取り消されることは、共生社会にとってどのような意味があるとお考えですか。政府の御見解をお伺いいたします。
最後に、選ばれる国日本についてお伺いをいたします。
アジア諸国の労働者の海外移動先としては、ベトナムでは一位が台湾、二位が日本。インドネシアでは一位が香港で、二位が台湾、三位マレーシアと続きまして、四位が韓国、そして五位が日本。フィリピンでは一位がサウジアラビア、二位がUAE、三位がシンガポール、四位香港と続き、日本がようやくここで五位という結果となっています。
国際的な人材獲得競争の激化に伴い、日本が選ばれる割合は後退傾向にあると言えます。日本がより多くの外国人労働者を受け入れたいと思っても、日本という国に魅力がなければ、人材獲得競争に負けてしまいます。日本人の給料が上がらず他国に見劣りすることや円安の環境、さらに、労働者の送り出し国の給料は上がっている背景から見ても、日本以外の国に行って稼ごうと考える外国人がますます増加することでしょう。
日本に来ればキャリアアップが可能であること、日本は治安がよく、人権が保護されている国であること等、日本ならではの魅力を海外に発信し、外国人から選ばれるような共生社会を政府が率先して推し進めていくべきだと考えますが、政府のお考えをお伺いいたします。
日本維新の会は、党のマニフェストである維新八策の中で、外国籍の住民との共生を掲げている党として、今後も共生社会の実現のためには力を尽くしていくことを表明いたしまして、私の質問を終わりといたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕
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