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秋田喜代美 ·学習院大学文学部教授/東京大学名誉教授

衆議院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会(2024-04-09)での発言

第213回国会 ·第第10号号 ·5,679字
○秋田参考人 秋田喜代美でございます。  このような機会を頂戴いたしましたこと、誠に御礼、ありがたく思っております。ありがとうございます。  私の方、スライドの方の順に説明をさせていただきますが、まず冒頭でございますが、私自身は、子供政策につきまして、平成二十四年八月にこの国会において成立いたしました子ども・子育て支援新制度の構想の段階から、委員として検討や参画をしてまいりました。また、厚生労働省の社会保障の児童部会長でありましたり、内閣府の子ども・子育て支援制度の会長、そして、現在、こども家庭審議会の会長などをさせていただいて、現場の方々を始めとした関係者の皆様のいろいろな声を聞きながら議論を進めてまいりました。  また、今般の子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案の土台になるこども未来戦略の策定に当たりましても、こども未来戦略の会議の一員としまして、検討に加わってまいりました。こうした経緯や、それから経験も踏まえまして、今回のこの基本法につきまして、賛成という立場から本日は意見を申し上げさせていただきたいと思います。  この十数年の間で、国の子供政策は、まず待機児童対策、そして、それから幼児教育、保育の無償化というような、本当に大きなことを次々と改革が図られてまいりました。  そして、今般の法案によりまして、国際的にも最も社会保障が高いと言われるスウェーデン並みの水準にまで至り、子供の未来に投資がなされること、いわゆる現在の投資だけではなくて、この社会を持続可能にするための未来投資というところで、子供政策は今大きな転換点を迎えているというふうに考えております。  そして、子供政策に携わってきた者としては、この機会を捉え、政策を強力に推進していく必要がある。また、先ほど遠藤委員も言われましたけれども、少子化は待ったなしでございます。そして、今この国を、未来を考えたときに、今この改革を進めるということが極めて重要であるというふうに考えているというところでございます。  そして、この基本政策について、二ページ目に全体像を、こども家庭庁で出しているものをお示ししておりますけれども、やはり全般的、包括的に切れ目なく支援をしていくということが、社会の中の有用な人材を育成していくことになります。三ページ目に、すごろくのようにマップが描かれておりますが、子供の育ちとともに、こうした形で包括的な支援というものが重要であると考えられます。  そこで、まず、基本的な私の認識を御紹介をさせていただきたいと思いますけれども、私、大切にしていることは、さっき柴田委員が幸福感という言葉を使われましたが、今、国際的にはウェルビーイングという言葉が重視されているわけですが、何よりも子供の健やかな育ちということに全て政策がつながるということが重要であろうと考えております。  子供の頃に健やかであるということが、その後のその人の生涯のウェルビーイングに大きな影響を与えるということは、様々な長期縦断研究を始め、実証がなされていることでございますし、そして、子供が幸せに育つことは保護者にとっても幸せですし、それだけではなく、社会のウェルビーイングにつながる基盤になっていきます。  そうした意味で、全ての世代の人が幸せな社会をつくっていくことができることにつながるというふうに考えております。  私自身は、二十年以上前に、NPOのブックスタートというものを、最初、一自治体から始めまして、今、八割の自治体に広がっておりますが、そこでは、子供の笑顔が保護者を笑顔にし、そこに、子育て支援に地域の人たちが当事者として支えていくことが本当に町づくりの基盤で、笑顔になっていく、そしてウェルビーイングをつくっていくということを、私自身が実践を通して体験してきたことであります。  そうしたことから考えて、全ての子供の育ちの環境を切れ目なくつくり上げていく、同時に、子供を育てる保護者や養育者、保育者等がウェルビーイングであるために、そうした人を支えていくということが子供の基本政策になっていくというふうに考えているところでございます。  そして、三つ目に、今般の法案、具体的な内容でございますけれども、大きく三つの特徴がございます。  ライフステージを通じた子育てに係る経済的な支援をするということ、そして、全ての子供、子育て世帯を対象とする支援の拡充、この全て、あらゆるということがやはり社会格差を縮め、そして幸せな社会をつくっていく基盤になりますし、そして、そこで共育てという、一緒に育ち合っていく社会、それが支え合いのきずなをつくるというようなことが柱になって、各種の政策を盛り込んでいるわけであります。全ての子供を切れ目なく、そして、保護者や養育者、保育者を支える内容にこれはなっていますので、そうした意味で、先ほどマップも見ていただきましたが、非常に高く評価できるものだと思っています。  具体的な政策として、多様にございますが、今回、二点だけ、特に重要だと思うものを御紹介をさせていただきます。  一つは、こども誰でも通園制度でございます。  こども誰でも通園制度について、私も昨年の開始時期から座長として議論をさせていただいてきておりますけれども、この検討会では、学識経験者や保育所や幼稚園などの関係事業者や団体から構成されておりまして、まず、こども誰でも通園制度がつくられることの意義、それから、一時預かり事業とどう違うのか、そして、利用枠、障害のある子供の受入れといったことについて主に議論をしてきたということになります。  こども誰でも通園制度の意義につきましては、八ページ、九ページ辺りに資料を入れさせていただいておりますけれども、なぜその創設が求められ、どのような意義があるのかということは、検討の初めからずっと議論をしてきました。こども誰でも通園制度が子供を中心に、親の、現世代の預かりを支援するというだけではなくて、生まれたときからの、六か月からですけれども、子供にとってよりよい生育環境を社会でつくり出していくという意味を持っている、それが委員の皆さんの共通の認識になっています。  現在、御家庭が、子供が育つための社会文化的資源が十分にある場所になっているとは限らないということが、格差もあり、子育てに困難を抱える親がたくさんいるというところからもあるわけであります。経済的に困難な御家庭も増えておりまして、子供が遊ぶのに十分な絵本であったり、おもちゃだったり、それが自宅にないという御家庭も結構増えているわけでございます。子供が地域の園に通園するということによって、専門家、高度な専門職である保育士の適切な支援の下で、これを受けることができる、利用ができるということは大きなところでございます。  この利用の枠について、検討会でもいろいろ議論をしてまいりました。月に十時間、本格実施に向けて試行では十時間という。十時間以上ということで、今は十時間というようなことで制度を目指しております。  利用を希望する者だけが利用するという制度ではなくて、全ての子供に保障する制度であるということを考えて、まずは対象となる全ての子供が利用できる枠組みとするということが最優先ではないかという議論の下で、この十時間というものが設定され、スタートを切ることになりました。私は、この全ての子供に給付として行われるということが重要であると考えているわけでございます。預かりと、子供中心と親の支援の違い。  それから、多様な形でこの誰でも通園ができるということにつきまして、資料の十二ページ、それから十三ページには、パイロット事業、そして、これが里帰りした先でも利用できるし、戻ってからもできるというようにオンラインのシステムをつくって、このデジタル化を同時に推進していくということが、ここにも示しているところでございます。  こども誰でも通園制度は、特に大事なのは、障害の有無にかかわらず、全ての子供を対象としているものでございます。検討会でも複数の委員から障害のある子供を置いていかないようにということが繰り返し言われまして、議論を行ってきました。そして、政府においては、令和六年度の試行的事業で、障害のある子供を受け入れる場合の加算というものも設定をして対応されているものと認識しております。  障害のある子供の受入れに当たって留意すべき点、整理すべき点などが出てくるわけですけれども、障害の有無にかかわらず、全ての子供への支援を行うというこの理念を貫いたものとして、こども誰でも通園制度の意義というものをしっかりと、今回の法が通り、果たしていっていただきたいと願っているというところでございます。  是非、この辺りについて、政府におきましては、試行的な事業を実施しますので、しっかりそのエビデンスベース、検証を行いながら検討を進めていただきたいと考えております。  もう一、具体的な案として、これも給付ですけれども、新たな給付としての妊婦等包括相談支援事業について、簡単に御紹介をさせていただきます。  これはやはり、子供の頃に赤ちゃんや小さな子供のお世話をする経験が今の若い世代にないからこそ、育児時間がとても大変だわということで、両立諦めというようなことも起こってくるというところになります。それで、親になることの不安を取り去っていくという意味でも、産前からの伴走型支援ということが極めて重要になってございます。  本事業によりまして、産前から専門職等と相談や面談を行うことで、この横の図で十六ページのところに書いておりますけれども、出産、育児というようなことをずっと見通しながら支援をしていくというような切れ目のない支援ということになります。  この事業では、十万円相当の妊婦のための支援給付の申請の機会を活用して、全ての妊婦に対して、これまでお金などでちゅうちょしていた若い若年妊婦等も含め、より効果的に妊娠初期からアプローチをするということにおきまして、全ての養育者とつながる機会を得て養育を支えていく、社会が養育を支えていくんだという強いメッセージがここに表れているのではないかと考えております。  本事業の制度化を通じて、切れ目なく、全ての妊婦、子供、子育て世帯に寄り添った支援が全国で広がっていくということに大いに期待したいというふうに考えているというところでございます。  そして、その安定的な財源ということにつきまして、簡単にでございますけれども、今回の法案に盛り込まれた給付の抜本的拡充が可能となるためには、支援金制度によって安定的な財源というものが確保されることが極めて重要であります。  社会保障・税一体改革の積み残しであります配置基準の改善につきましても、令和六年度予算で対応されてきました。このように、支援金の財源というものについて、やはり児童手当の拡充に充てられるからこそ、他の給付事業に公費を充てることができ、全体として切れ目のない総合的な支援を実現することになったわけでございます。  支援金制度は、子供、子育て支援のための目的財源でありまして、企業や高齢者も含めて拠出してもらうものですので、子育ての社会化に向けた財政面の改革であると理解しております。  給付だけでなく拠出の面においても、社会全体で子育て世帯を応援する、そして、将来は応援された側が今度は応援する側に回るのだというような環境をつくるということが、こどもまんなか社会の実現につながっていくというふうに考えております。支援金は、こうした世代を超えた連帯意識の意義があることを広く全国の皆さんに伝えていくことが重要だと考えております。  先ほどからもありましたように、なかなか納得感がいかないという話がありますが、私自身、実際に説明を受けながら、当事者としてみんなが理解をしていくことによって、必ずや納得感を得る。特に今、こども家庭庁では、十代、二十代、三十代初めの若者とともに、こうしたものをどういうふうに説明し周知していったらより伝わるのかという議論をしております。こうしたことが、何かあてがいぶちというのではなく、重要なことではないかと考えております。  五番目は、こどもまんなか社会ということの象徴的なもので、これを全て説明するわけではございませんけれども、こどもまんなか社会というのは、特定の子供だけを真ん中にするというのではなく、これが全ての社会のウェルビーイングにつながるというメッセージをつくっているものでございます。こども基本法の理念に基づきながら、子供の最善の利益を第一に考え、こども家庭庁が政策を包括的に推進していくことを期待しております。  今回の法案は、こども家庭庁発足後、初めて提出する法案でございます。包括的な給付の拡充を盛り込むとともに、政策を実行する上で、社会全体の連帯というものを得ながら安定的な財源を確保するものです。こども家庭庁発足の趣旨にもかなうものでございまして、是非とも、早期に法案が成立するということをお願いしたいというふうに思います。  繰り返しになりますけれども、子供の健やかな成長ということが、その後のウェルビーイング、そして、これからの少子化社会の中で持続可能な社会をつくっていくための鍵になる理念がこどもまんなか社会でございます。今回の法案によって、こどもまんなか社会を実現し、その考え方が広く社会に共有されることを切に願いまして、私の意見陳述とさせていただければと思います。  御清聴どうもありがとうございます。  少しだけ長くなってしまって済みません。どうもありがとうございました。(拍手)

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