○伊波洋一君 上川大臣から詳しくまた説明をされていただきました。ありがとうございました。
アリソン氏のトゥキディデスのわなとは、新興国が覇権国に取って代わろうとするとき、新旧二国間に危険な緊張が生じる。現代の新興国中国と覇権国アメリカの間にも同じような緊張が存在している。過去五百年の歴史上、新興国が覇権国の地位を脅かしたケース十六件のうち、戦争に行き着いたケースは十二件、戦争を回避したのは四件だけと指摘した上で、いかに米中戦争を回避するかを様々な角度から検討、提言するものです。一部の方が誤解して引用するように、米中戦争は不可避だ、とか、あるいは十六分の十二だから米中戦争の可能性は七五%だ、などと主張するものではありません。
本書でアリソン氏は、米中戦争が今ならまだ回避できると主張しています。そして、トゥキディデスのわなは、運命論でも悲観論でもない、メディアや政治家のレトリックに惑わされず、米中間の巨大な構造的ストレスが存在することを認め、平和的な関係構築に努めなければならないという警鐘だと強調しています。
本書の冒頭で、シンガポール首相を三十年も務めたリー・クアンユー氏の発言として、中国が世界のパワーバランスにもたらす変化は巨大であり、世界は新たな均衡を見付けなければならない、中国を新しいビッグプレーヤーだと思ってはいけない、中国は史上最大のプレーヤーだ、が紹介されています。
また、アリソン氏は、中国経済はほとんどの指標でとっくにアメリカを追い抜いていることを指摘しています。中国は、既に世界最大の生産国であるだけでなく、ほとんどの製品の世界最大の消費国です。
中国は、世界最大の自動車工場でもあり、最大の自動車市場です。アリソン氏が掲げた指標の最新データでも、国際自動車工業連合会によれば、資料⑤のとおり、二〇二二年の自動車販売台数は、中国が二千六百八十六万台、アメリカは一千四百二十三万台です。
資料④のとおり、購買力平価による国内総生産では、二〇一四年に中国はアメリカを追い抜き、二〇二二年に中国のGDPは三十兆三千二百七十三億ドル、アメリカは二十三兆四千六百二十七億ドル、日本は五兆七千二十二億ドルで、中国は既にアメリカの一・二倍、日本の五・三倍になっています。今、そのアメリカと日本を足しても僅か二・七%しか大きくありません。一年あるいは二年以内でもう超えられているでしょう。
さらに、アリソン氏は、アメリカと中国は核兵器大国でもあり、相互確証破壊戦略により米中戦争は両国の破滅の結果をもたらすとして、アメリカが同盟関係から日本の尖閣領有問題に巻き込まれることを懸念し、日米同盟の見直しにも言及しています。
米国内にはこのような議論もあります。既に、アメリカ政府と中国政府の最近の交流、接近は連日のニュースとなっています。日本は応分の負担をせよとか、あるいはNATO並みに防衛費をGDP比二%、三%に増額せよと求めるジャパン・ハンドラーなどの米国の意見は米国内の一部にすぎません。
中国も米国も、少なくとも自国を戦場にして戦争しようとは考えていません。しかし、日本の今の安保三文書に基づく路線は、米国覇権を維持するために日本国民の生命、財産をリスクにさらすことになります。
三月二十七日に北京を訪問したアリソン氏は、米中関係においてトゥキディデスのわなは必然ではないと表明し、四月二日のインタビューでも、王毅外相との会談の主な目的はトゥキディデスのわなから逃れる道を議論することだったと語っています。
公明党の山口代表も、それぞれの陣営を固めるだけでなく……
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