○伊波洋一君 配付資料の二枚目ですけれども、これが「シミュレーションの全体像」という資料ですが、これは昨年、本委員会の小西洋之委員が十一月に求めて出させてもらったんですけれども、それが臨時国会閉会日、その日、二三年の十二月十三日に、防衛省から本委員会に、理事会に提出されたものです。
このシミュレーションの中には、実際に今申し上げたような、最初に出たものとは違って、この「シミュレーションで想定しているもの」の中に、「我が国に対する侵攻には我が国が主たる責任を持って対処し、米軍はこれを支援するとの日米の基本的役割分担」というのがあります。しかし、この基本的役割分担というものがそもそも説明がもうされていないということを、まず指摘をしておきたいと思います。同時に、隣には、「想定していないもの」の中に、「外交」とか、あるいは「国民の被害」とか、あるいは「石油・天然ガスの輸入が途絶又は著しく困難となった場合」などの対処というのは書いてございません。そういうものになっているんですね。
何が書いてあるかというと、その後の、これはその後の⑥、⑦、⑧というのは、この入っている理由を私は聞いたんですけれども、資料⑦の外交の項では、シミュレーションには将来の防衛力の在り方を検討するために実施したものであり、外交の検討を行っているものではないとしっかり書いてありますし、さらに、その下段の、国民の被害はカウントしていないと書いてあります。もちろん、その中で、自衛隊員の被害は考慮していると書いてあります。
このように、「シミュレーションの全体像」は、戦争の全体像ではなく、戦闘行為を遂行するのに必要な防衛力のシミュレーションであるわけですね。そういうことがこの結果として、この資料、今申し上げた安保三文書の積算された四十三兆円の全体像となっておりまして、これが本当の意味で、じゃ、日本全体の、この私たちの国が安全保障が成り立っているかどうかというものの検証になっているかというと、私はなっていないものだと、このように理解しております。
さらに、四つの想定される事態の一つとして、資料③の方ですけれども、「洋上及び空中からの島嶼への着上陸」が書かれています。しかし、このような武力侵攻が行われるとすれば、既に我が国の離島沿岸領域においては、あるいは少なくとも沿岸域に達するまでの海空域において、海上優勢や航空優勢が失われている状態です。このような海上優勢、航空優勢を失い、言わば丸裸になった段階でなお防衛戦争を継続するということは、およそ現実的ではありません。海上優勢や航空優勢を失った状況で、あたかもかつての本土決戦のように「事前展開した陸上部隊等により」対処すれば、住民を巻き込んだ地上戦とならざるを得ません。これは沖縄戦の惨劇を繰り返すことになるのではないでしょうか。
かつて、日本軍が大戦末期に海上優勢、航空優勢を失う中、本土決戦の戦略思想を、それまでの沿岸撃滅主義から内陸持久主義にシフトさせました。このことが住民を巻き込み、県民の四人に一人が犠牲となった国内唯一の地上戦である沖縄戦の悲劇の一因となりました。
海上優勢、航空優勢を失い、侵攻部隊による洋上及び空中から島嶼への着上陸が試みられるような段階に至る前に、停戦交渉など外交的な問題解決を図ることが沖縄戦の教訓を生かして国民の被害を最小限にするという現代の軍事的考え方ではないかと考えます。
そこで、質問します。
そもそも、「洋上及び空中からの島嶼への着上陸」に「事前展開した陸上部隊等により」対処するという想定は現実的ではないのではありませんか。海上優勢や航空優勢を失って、いつ着上陸を受けるかもしれない段階の、前の時点で外交的な問題解決を図るべきではありませんか。
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